くるくる〜くる〜くる〜
「…じゃない?……なのかも!」
「…いえ、さすがに…」
「…2人とも落ち着いて、もうそろそろ起きるよ…」
…なんだ?うるさいなぁ…
「う、うぅ…」
…なんだここ…柔らかい…ベッドか?
「あ!起きた!起きたよ!」と一人の女がそう騒ぐ。
「ふむ、身体に異常はありませんかねぇ〜?」と黒髪の男が変に伸びた語尾に不思議に思いながらも頷いておく。
「キュ?キキュ?」
「…え?」
…なんだ、この生き物…
ベッドの上に乗っているモサモサしたネズミ?みたいな生き物に目を向ける。
「あぁ、そうだな。お前ら、一度、彼から離れるんだ…」と奥で座っていた白髪、褐色の男がそう場をまとめた。
「むぅー!」
「…そうですね〜申し訳ございませんね〜」と謝られ、距離を置かれた。
「い、いや…別に…」
「目が覚めてよかった!スウォームに囲まれているのを見た時はビックリしちゃったよ!」
「…スウォーム?…ここはどこなんだ?たしか俺はあの蟲達に襲われて…それで…」
…俺は死んだのか?そりゃあんなとこから生きてられるわけないよな…となると、ここが天国?それとも地獄なのか?
「あぁ、そうだな。そこの説明をしようか。」
すると、白髪の男が色々と説明してくれた。
「まず、今君がいるここは星を駆ける列車。そして君の近くを通りかかった私たちがスウォームに襲われている君を保護したという訳だ。」
「…じゃ、じゃあ俺は死んでない…ってことか?」
マジか…俺、まだ生きてるんだ…
…あれ?
「うわぁ〜!泣きだしちゃったよ〜!どうしよ!」と女の人が騒ぎ出した。
「な、泣いてなんて…」
視界が歪み、腕に涙がこぼれ落ちる。
「…キュ?キュキュ〜!」
謎の生き物も俺の腹に頭を擦り始めた。
「…」
俺はもふもふした身体を抱きしめ人生で初めて、号泣した。
あぁ、俺はまだ生きてるんだ…
「…」
「…寝ちゃったね」
「…そうですねぇ〜」
「キ、キュキュ…」
「…起こさないよう、我々は出ていこうか…あぁすまない、彼のために犠牲になってくれ、ババ」
「キュキュ!?キュ〜!」
その鳴き声が列車内に響き渡り、三人はその鳴き声を背に出ていった。
◆◇◆◇◆◇
〜数時間後〜
俺は目を開ける。
「…頭いてぇ…」
「…キュ…キュ…」
…もしかしてこの生き物抱えて俺、寝てたのか?
俺が起きた振動で謎の生き物も起きてしまった。
「…キュ?キュキュ!」と鳴いてベッドから降りた。
「…あぁ、ご、ごめんな…もう行ってもいいよ…」
そう言うと、謎の生き物は部屋から出ていってしまった。
俺の胸はなんだか寂しくなってしまった。
「…」
俺はベッドから起き上がり、部屋を出た。
部屋を出てすぐ、俺は驚くべき光景を目にした。
「…マジか」
あの白髪が言っていたように本当に宇宙を
俺がジッと窓の外を眺めていると、横から足音がした。
振り向くと、そこには謎の生き物を抱えたあの白髪の男がいた。
「…やぁ、おはよう。ぐっすり眠れたかな?」
「…あ、はい、バッチリです。」
「ふふふ、そうかいそれは良かったよ」
「あの、それで…」
俺が何かを言う前に男は言葉を止めさせた。
「落ち着いて…まず先に、私たちナナシビトは君を歓迎しよう。」
「はい、ありがとうございます…」とりあえず歓迎してくれるらしいので感謝しておく。
「そんなに畏まらなくていい。旅は道連れ世は情け…人は多いに越したことはない。それに私は賑やかな方が好きなんだ。」
…ならもうちょっとカジュアルに話すか…
「そうか、助かる。」
そういうと、嬉しそうに頷いた。
「うんうん、いいね。それで、どうする?近くの星まで送ってあげることも出来るが、ここに残ってくかな?」
「…そうだ、俺が乗っていた船はどうした?」
「あぁ、済まない…スウォームから君を救い出すことで精一杯でね、船は今頃…」
…まぁ、仕方ないか…そんなもの生きていられるならいくらでも捨てるつもりだったし…
「…そうだな… なら、俺の宇宙船ができるまでこの列車に居させて欲しい。」
「そうか!なら、他の乗客にも紹介しなくてはね!」本当に嬉しそうな顔でそう言われると、俺もなんだか嬉しくなってしまう。
…楽しくなりそうだな…クワバラから出た時とは大違いの感情を抱いて俺は白髪の男に着いていく。
「あぁ、そうだった。」そう言って男が振り返る。
「私はこの列車の車掌のアキヴィリだ。よろしく」
「俺はザンダー、…いや、ザンダー・クワバラだ。こちらこそよろしく、アキヴィリ」
◆◇◆◇◆◇
ピピピ…ピピピ…ピピピ
「…ぅん」
まだ起きたくない…
うるさく鳴り響くアラームを止めようと手だけを動かしてアラームを止める。
椅子の肘掛け、机の端、音の元へと手を移動させる。
「…」
「…」
「…」
…どこにある?
流石に見当たらなすぎるので起き上がるとすぐ隣にアラームを持ったヘルタの人形がいた。
「…うわっ!なんでここに?」
「…」
動悸の激しくなった胸をなだめて、何も言わない人形をジッと覗く
…ヘルタは入ってないのか?
怖いなぁ…なんて思いつつ凝り固まった身体を伸ばす。
ピピピ…ピピピ…ピピピ
鳴り続けるアラームをとりあえず止める。
アラーム画面には『最重要:星穹列車のメンテナンス』と書かれていた。
…そうだった、急がなくては…
私は身なりを整え、仕事用のアタッシュケースを持ち部屋を後にする。
カサカサ…