いや、私は別に暗い過去も壮大な裏設定もないただの憑依転生者なんですけどね   作:美味しいラムネ

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 続きました


急募:遅刻したら校門前で不審者に襲われそうになった時の対処法について

 

 

 

 

 おぉ、神よ。いるかどうかは知らないけど神よ。一体私が何をしたと言うのですか。

 夜遅くまで掲示板で駄弁ってた結果、入学式に遅刻しただけじゃないですか。いや冷静に考えると入学式に遅刻ってやばいな。

 

 でもしょうがないじゃないか。他の掲示板の民が住んでる異世界の話、面白いんだもん。ずっと命を蝕む霧に包まれた街とか、血に染まった月が沈まない国とか、定期的に文明がリセットされる世界とか...あれ?私の世界って当たりでは?

 

 「『急募:遅刻したら校門前で不審者に襲われそうになった時の対処法について』ぇっ!──んっ!近寄るな変態!!」

 

 

♦︎

 

83:名無しの転生者

服に魔力を籠めろ!!そのまま防壁を貼るよりも効率は良い!

 

84:名無しの転生者

横に飛べ!追撃が来るぞ、多分属性は火、だって燃えてるし。防ごうとするな、今の技量じゃ無意味だ!

 

85:名無しの転生者

すごい、珍しくスレ民が真面目でまともだ

 

 

 

♦︎

 

 

 いくら何でも、コレはあんまりじゃないだろうか。

 遅刻しただけで命を狙われる羽目になるってどう言うことなんですの!!!

 掠っただけで服が裂かれ、脇腹に薄い切り傷が刻まれる。頭上を通り過ぎただけの火球は、私の肌を焼く。スレ民のアドバイスがなければこれで終わっていた。

 

 翼もないのに宙に浮かぶ、双頭の人型を睨みつける。沸々と泡立つ表皮からは、苦痛に満ちた表情をした人の顔が絶えず浮かんでは消える。吐き気を催す汚水のような香りを放つそいつは、余裕そうな表情でニタニタと笑っていた。

 

 うん、魔物だね。モンスターだね。見ただけで正気が削られるタイプのモンスターだね。

 警備員は...ひょっとするともう食べられたのかもしれないね。

 

 前世では終ぞなかった、直接誰かに命を奪われそうになるという恐怖に、体が動いてくれない。会社には間接的に狙われていたけど。

 

 金縛りにあったように動けない私に向けて、「あぁ」と合点が行ったようにソイツは何かを取り出した。

 皮一つない綺麗な頭蓋骨。うん、警備員食べられてたね。

 

 『あぁ、貴女はワタクシがちゃんと全部食べたのか不安デシたのね。安心してください。ワタクシは紳士ですので、皮の一片、髪の一本に至るまで全て食べるようにしているのデスよ』

 

 こ、こいつ脳内に直接...!しかもなんか強そう。魔力的なサムシングが()()()()()()。その辺の人とか、鮭ですら見えてるのに。それだけ隠匿技術が高いのだろう。つまり学園の警備に気付いてもらえる可能性は低いってわけ。

 

 ...誰か助けて!!!!!

 

 

 

 

 時はほんの数刻前に遡る。

 

 

 

 ♦︎♦︎♦︎

 

 

12:全身ピカピカの憑依新入生

えー、遅刻確定でございますよえぇございます。うーん太陽が眩しい。なんて清々しい朝なんだ!河原のたんぽぽで作ったコーヒーが苦ぇですわ!!

 

14:名無しの転生者

悲報:貧乏お嬢様、入学式に遅刻する

 

16:名無しの転生者

こんなところに辿り着いてるんだ、まともに朝起きられるわけないよね

 

17 : 全身ピカピカの憑依新入生

安全な家で、何にも駆り立てられることなく寝られたのって久しぶりだから...誰かと他愛のない話をしたのって久しぶりだったから...

 

18:名無しの転生者

>>17 わかるぞ、その気持ち

それはそうとあれは他愛のない話なのか?半数以上滅びかけの世界の話だったぞ?

 

20:名無しの転生者

現代社会の闇ぇ...

それはそうとさっさと着替えて会場に向かうべきだと思うんだ。初日ブッチは終わりだって

 

22:全身ピカピカの憑依新入生

なんか良い感じの速攻早着替え系の魔法とかない?似た魔法体系の世界の人いたよね?

 

23:名無しの転生者

>>22 それ修得している間に日が暮れるから早く行きなさい

 

25:全身ピカピカの憑依新入生

デスヨネー

とりあえず武器は持って...やっぱりおかしいでしょ何で学校に武器が必要なんだ...?

 

26:名無しの転生者

学校って正気を失った学徒とか、異界の獣が放し飼いにされているものでは?だから自衛用だと思う

 

28:名無しの転生者

>>26 前世を思い出せ、正気に戻るんだ

 

30:名無しの転生者

まぁ、剣と魔法の世界の中に火炎瓶と銃持ち込んでるイッチも大分正気じゃないと思うんだけどね

え、スナイプしたのは誰だって?知らないなぁ

 

32:全身ピカピカの憑依新入生

作っててよかった瞬間風呂魔法!遅刻確定だけど、急いで来たふりすれば小指詰めれば多分許される!

 

34:名無しの転生者

お前は何を言っておるんだ!?

 

 

 

 

 ♦︎

 

50:名無しの転生者

走る貧乏お嬢様BB

 

『画像』

 

52:名無しの転生者

>>50 いや誰得だよ

 

53:全身ピカピカの憑依新入生(配信中)

随分と静かだとおもたら何しているんだ

入学式見たいっていうから配信してるのに、肖像権の侵害ですわ!訴えますわ!裁判ですわ!!

 

55:名無しの転生者

忘れそうだからって道中も映したのが悪いのでは...?ボブは訝しんだ

 

57:名無しの転生者

で、着きそうなんです?

 

59:全身ピカピカの憑依新入生(配信中)

もう少し、おパンフレットに書かれた地図によればここらへんのはず...なんかいるよ、校門の奥になんかいるよ

 

60:名無しの転生者

先生...ですかねぇ...完全に遅刻した奴を引っ捕えるためにいるね

 

61:名無しの転生者

説教コースかなぁ

それはそうと校門すっごい豪華

 

62:全身ピカピカの憑依新入生(配信中)

優等生で行くつもりだったのに、授業開始0日目で説教は洒落になってないが?0ターンキルだが?

 

63:名無しの転生者

うわぁ、激おこだよ...手に魔力が集まって...いや待て、こっち狙ってね?

 

64:名無しの転生者

退避、退避ーっ!!!

 

65:全身ピカピカの憑依新入生(配信中)

おま、あれ先生じゃないって、さっきまで人間にしか見えなかったのに!!!あんなホラーな生物が先生な学校があってたまるか!地面抉れてるし、避け損ねてたら死んでたわ

 

67:名無しの転生者

あれが遅刻した生徒を処刑する処刑装置か...

 

68:名無しの転生者

いや、洒落になってないって 

イッチ逃げた方がいいって!!

 

70:全身ピカピカの憑依新入生(配信中)

悲報:私の第二の人生、始まる前に終了

肛門に入った瞬間、結界の中に入った感じで外に出られなくなった模様

 

71:名無しの転生者

この一大事にその誤字はダメだよワトソン君

 

73:全身ピカピカの憑依新入生(配信中)

明日にはあの化け物の肛門から出てきてるかもしれないけどな、助けて、誰か助けて!!!

 

75:名無しの転生者

しょうがにゃいなぁ...とはいっても、ワイらに何ができるかはわからんぞ

 

77:名無しの転生者

助けを呼ぼうにも、目の前のこいつすり抜けなきゃいけないのか...無理では?

 

78:名無しの転生者

入学式が終わるのっていつだっけ?

 

79:全身ピカピカの憑依新入生(配信中)

全力で寝坊したからあと30分ぐらい

 

81:名無しの転生者

じゃあ全力で耐久だな...いやキツイか

 

 

 

 こうして、冒頭に戻る。

 

 (こちとら戦った経験もない一般人ですが?あ、鮭とは格闘したことあるけど...)

 

 脳内で弓を引くイメージをする。火矢と雷の矢をイメージして、引き絞って──

 

 「発射(バースト)

 

 鎌を持たない、空いた左手から魔法が放たれる。

 橙と蒼の軌跡を伴って魔力の矢が飛ぶ。前世にはなかった魔法の力。それは、仮称:魔物の前で透明な膜のようなものに阻まれてかき消された。

 土塊と水でも試したが、結果は同様。

 

 

 

 

 ♦︎

 

98:名無しの転生者

うわ効いてないねぇ、魔法効いてないねぇ

 

99:名無しの転生者

まぁ、イッチの魔法って現状器用貧乏だからなぁ、威力もそこそこ止まりだし

 

 

 ♦︎

 

 『大人しく食べられてくれると嬉しいのデスが...まぁいいでしょう。折角デス、子供の頑張りを採点してあげましょう』

 

 『異界、火炎の第二層『火炎鞭(ファイアウィップ)』』

 

 「っ!」

 

 鞭の先端の速度は音速を超えると言われている。だからこれを避けられたのは偶々だ。

 炎で編まれた鞭が、一瞬前まで自分がいた位置を通過した。

 

 (...怖っ!というか、これ私が戦うのは無理だなぁ。選択肢はあってもどう使えばいいかわからないし...ここは先輩の力を借りて...あっぶなスカート燃えた!)

 

 

♦︎

 

101:全身ピカピカの憑依新入生(配信中)

こいつとの戦闘でメインで使う魔法

>>107

 

102:名無しの転生者

気でも狂ったか!?

 

104:名無しの転生者

土魔法

確かに下手に選択肢がある状態よりも、初心者なら一個に絞った方が気が散らなくていいかもしれないね

 

106:名無しの転生者

強化メインで近接戦闘

 

107:名無しの転生者

念動魔法でひたすら股間狙い

 

109:名無しの転生者

火炎魔法を顔面近くで炸裂させ続けて目潰し

 

111:全身ピカピカの憑依新入生(配信中)

確かに、魔法が効かない相手でも念動で動かした瓦礫とかなら貫けるかもしれないな、サンガツ!

 

113:名無しの転生者

そういやあれリロードにも使えるよな...股間狙いって何?

 

114:名無しの転生者

ところで石畳爆破してるけど大丈夫なんです?その...修繕費とか

 

116:名無しの転生者

>>114 言ってる場合か!

 

118:名無しの転生者

瓦礫は盾にも武器にもなるね。あ、本当にあれ対魔法結界ってだけだね、物理攻撃は避け続けてるし

 

119:名無しの転生者

『こ、股間ばかりを狙いやがっテ...乙女としてそれはどうかと思うゾ!』

 

121:全身ピカピカの憑依新入生(配信中)

うるせえこちとら折角手に入れた平穏な生活奪われそうで必死なんだよ!

 

122:名無しの転生者

ファイアーボールvs投石、やっぱ魔法は最後に物理に行き着くんすわ

あ、瓦礫が全部吹き飛ばされた。...イッチ、上だ、自分を上に飛ばせ!

 

124:名無しの転生者

あ、ガラス瓶投げたな。あれ?火炎瓶じゃなくてただの酒?

 

125:全身ピカピカの憑依新入生(配信中)

なんか茂みの中に落ちてた、酒瓶っぽいし多分在校生が隠したやつだと思う

 

126:名無しの転生者

酒に濡れてる→アルコールは燃えやすい→ところで懐に入ってる瓶

 

128:名無しの転生者

『苦し紛れですカ。いいですね、最後まで諦めない姿勢は評価できま...アッツ!?バカな、炎魔法ダト!?』

こいつだけ剣と魔法の世界でテロとゲリラの世界してるんですよ

 

130:名無しの転生者

火炎瓶、魔法じゃないんだよね

あれ、炎使いのくせに炎に弱い?なんか派手に燃えてね?

 

132:全身ピカピカの憑依新入生(配信中)

アルコール追加ぁ!ありがとう見知らぬ不良生徒!おらっ!燃えろっ!股間燃えろっ!去勢だ去勢っ!

 

134:名無しの転生者

あ、股間を銃弾が貫いた

 

136:名無しの転生者

痛そう(小並感)

 

138:名無しの転生者

そこに小石の弾丸がばばばっと。さては脳内イメージ機関銃だな?

 

139:名無しの転生者

すごい、当たる前に空中で小石が砂に!意図しない目潰し!

 

140:名無しの転生者

あのさぁ...

 

142:全身ピカピカの憑依新入生(配信中)

うわぁ、ものすごく怒ってらっしゃいますわ。最初の口調がどっかいっちまってますわ

ところで股間ボコボコにされてるのにピンピンしてるんですけどお前何なん?

 

 

 

 ♦︎

 

 『お前何なんですか、漸く計画を実行に移セルと思ったラ...魔導学園のくせにやってることが魔法使いのソレじゃない!お前何しにこの学校入っタ!』

 

 (リロードして発射、同時に)

 

 「投擲(スローイング)

 

 投石ヒモをイメージして、周囲に浮かせた瓦礫を発射。火の玉に殆どが撃墜されるが、戦い続けて分かったことがある。いやわかったの私じゃないんだけど。

 

 ♦︎

 

144:名無しの転生者

こいつ、防御の後の数フレームだけ硬直があるな

 

146:名無しの転生者

>>144 いやフレームいうなし

 

 ♦︎

 

 『ガッ』

 

 一瞬の隙間を抜い、鉛玉が股間に炸裂する。

 

 (何故ダ、何故コイツはワタクシの部位で唯一無敵でない部位が股間だと理解していル!?)

 

 これ見よがしな双頭ではなく、股間を狙われ続けることに困惑しながら、魔物は少し魔法の威力を上げる。魔力は温存しておきたかったが仕方がない。

 

 スレ民もイッチも知る由もないが、この魔物の種族は魔神──いつからかこの世界に出没するようになった異界の魔物である。そして、種族特徴として性別を持たず、性器も持たない。だから、股間を狙っても通常は意味がない。倒すためには脳と心臓を壊す必要がある。

 

 だから、この魔神はその常識を逆手にとって股間部に脳と心臓を集中させていた。それ以外の部位はいくら傷つけても意味はない。

 

 『異界、火炎の第三層──『火炎雨(ファイアレイン)』』

 

 「投石(スローイング)

 

 (というか、冷静に考えればこいつの使ってる魔法、なんか変ダぞ!)

 

 降り注ぐ炎の雨が、瓦礫の影に隠れてやり過ごされる。

 

 (少々苦手ですガ)

 

 「直接殴るとしましょうカ。野蛮ですがネ」

 

 このままでは戦力の削りと偵察、そのどちらも果たせない。せめて厄介なこいつは潰して、ついでに新入生の50も持っていけばいいだろう。

 

 

 

 ♦︎

 

148:全身ピカピカの憑依新入生(配信中)

いやぁ、スレ民に教わった魔法が輝いてるぜ!

リロード、発射!!もう何丁か用意しても良さそうだな、念動魔法での三段撃ちとか

 

149:名無しの転生者

うわっ、最悪だ。これ見よがしに鎌見せつけてたけどついにバレたか

 

150:名無しの転生者

ほんの少し前まで一般人だったやつに近接戦闘ができるわけないだろいい加減にしろ!!

 

152:名無しの転生者

実は古武術習ってる主人公体質だったり...?

 

154:全身ピカピカの憑依新入生(配信中)

そんなわけないだろ、高校時代の柔道すら碌にできなかったぞ

 

155:名無しの転生者

引き撃ちしろ...いやだめだ、遠距離戦になると魔法の方が精度は高い!

 

156:名無しの転生者

うわ、上着持ってかれた

 

157:全身ピカピカの憑依新入生(配信中)

生地が薄くて逆に助かりましたわ、服だけ破けて持ってかれましたわ!下手に丈夫だったら体が引っ張られて体勢崩して死んでましたわ!

 

158:名無しの転生者

魔法と格闘の波状攻撃!イッチは死ぬ!

おい絶対こっちの方が強えじゃないか、おい!

 

159:全身ピカピカの憑依新入生(配信中)

鎌の使い方なんてわかんないよ!小学生の頃にやった稲刈り体験が最後だよ!

 

160:名無しの転生者

リーチ差を活かせ、インファイトに持ち込ませるな!

 

161:全身ピカピカの憑依新入生(配信中)

だからどうやって!それをどうやってやるんだ!

方法 >>164

 

163:名無しの転生者

やっぱイッチお前精神状態おかしいよ

 

164:名無しの転生者

自分の腹の近く爆破して後ろに飛ぶ

脚と腕イカれたら戦えなくなるけど、腹は内臓イカれて今後に支障が出るだけで即死は滅多にしないから

 

166:名無しの転生者

それ即死はしないだけでその後死ぬやつじゃねえか!

 

167:名無しの転生者

マジで飛んだ、そしてそのまま反撃、いいぞイッチ!そういや回復魔法もちょっと使えたよな!

 

168:全身ピカピカの憑依新入生(配信中)

血ぃ吐くのなんてもう慣れた!胃に穴が空くのは日常茶飯事、アドレナリンが出まくりダァ!!!

>>167

回復魔法の威力やけに低いけどな!

 

169:名無しの転生者

そういや、回復魔法は他の魔法とは違って、何かを信じる心を焚べて発動してるって図書館の本に書いてなかったか?

 

171:全身ピカピカの憑依新入生(配信中)

>>169 それって前世の推しじゃ駄目?

 

172:名無しの転生者

いいんじゃない?知らんけど...マジで威力上がってんじゃん

 

 

 ♦︎

 

 『き、貴様ぁ!...えぇ、良いでショウ。依頼は戦力の削りでしたガ...貴女が一番厄介だ。故に──』

 

 ここで貴女を削らせてもらいます。

 

 『異界、火炎の第六層『炎熱の翼(フレイムウィング)』』

 

 背中から、燃え盛る鴉の翼が生える。先ほどまでは地面スレスレに浮かんでいるだけだったのが、大空を飛ぶ鴉のように自在に浮かび始める。

 

 『コレを使うと魔力の殆どが消えてしまうノですガ...貴女はそれに相応しい』

 

 

 橙の炎に照らされ、白髪が輝く。

 結界を超えて外に魔力が伝わったのか、少し向こうが騒がしくなるが、それを気にしている余裕がない。

 

173:全身ピカピカの憑依新入生(配信中)

お前ラスボスか何かか?というかそんなのあるなら最初から使えよ!あ、何とかなりそうって思った瞬間解答札叩きつけるんじゃないよ馬鹿!おたんこなす!

 

174:名無しの転生者

>>173 おたんこなすって最近聞かねえな

 

175:名無しの転生者

上から一方的に攻撃とか卑怯だぞ!

 

177:全身ピカピカの憑依新入生(配信中)

その位置関係だと弾丸が当たらないダルルォ!そもそも一般人がここまで弾丸当ててこられたの奇跡なんだよ!

 

179:名無しの転生者

諦めるなイッチ!

 

181:全身ピカピカの憑依新入生(配信中)

そうだ、やっと私は労働の悪魔から解放されたのですわ、死んでたまるかですわ!

ということで解決策!>>184

 

 

 ♦︎

 

 自分で考えている余裕なんてない。

 心臓の脈動が聞こえる。こめかみを流れる血流の音がうるさい。

 

 息が荒い。

 

 「──ん、くぅ!あぁ!」

 

 体を覆うように展開された翼に瓦礫を落とされながら、何とか降り注ぐ炎の羽を避け続ける。

 攻撃を回避するのに専念する。見知らぬ誰かに命は託した。

 

 

♦︎

 

183:名無しの転生者

風魔法で大ジャンプで近接

 

184:名無しの転生者

念動魔法で浮かせた瓦礫を足場に接近して鎌の射程に持ち込む。鉛玉じゃ炎に溶かされるし、瓦礫はもう当たらん、学習された!

 

186:名無しの転生者

やっぱ近接に持ち込むってので意見は一致するよな、こうなったら魔法防御云々関係なく瓦礫は防がれる...というか瓦礫が爆散するレベルの炎ってなんだよお前。最初から使えよ

 

187:全身ピカピカの憑依新入生(配信中)

元おじさんにパルクールをしろと!?いいよやってやるよ!念動魔法だろ念動魔法、ラジコン操作は得意だったんだよ!

 

189:名無しの転生者

違う、そうじゃない

自分の体無理やり動かしたら腱が逝かれるぞ!

 

191:全身ピカピカの憑依新入生(配信中)

でも、また間合いに入った、戦いの土俵に立てた

 

193:名無しの転生者

あとは気合いだ、回復魔法を挟むのを忘れるなよ

 

194:全身ピカピカの憑依新入生(配信中)

これでやっと入学式に行けるぞ!!どんな試練だよ!!

 

196:名無しの転生者

そういやこいつ入学式行こうとしてたんだった

 

 

 

 ♦︎

 

 自分の体を操り人形のように操る。

 全力で振り切る。ほぼ全財産を注ぎ込んだ鎌の耐久力を信じて、思いっきり──振る!

 

 『異界、火炎の第四層『炎歩(ファイアステップ)』』

 

 瞬間、鎌が空を切り、魔物が私の後ろに移動する。

 その結果、魔力が尽きたのか翼も消える。

 

 

 ♦︎

 

198:名無しの転生者

隠し札を切らせた...けど

まずい、イッチ!

 

200:全身ピカピカの憑依新入生(配信中)

対処法>>203

 

 

 ♦︎

 

 手首が掴まれ、爪が食い込む。手首に切り傷が刻まれる。

 

 『やっと、捕まえましたヨ』

 

 『体がいくらダメージを受けても、私ニダメージはないのデね...』

 

 既に地上10mは超えていた。

 翼を失い、地面に落下する魔物は、私を道連れにするつもりのようだ。

 

 (しかし、何故ダ...何故)

 

 貴女は、笑っている?

 

 「知ってる?魔物(モンスター)さん。私の世界(会社)だとね──死ななきゃ安い(労災はおりない)のよ!剣型(ブレード)!」

 

 空いた片腕で、掴まれた腕を、風の刃で自切する。そのまま、自分が魔物の上に入れ替わり、割れたガラスの破片を握りしめて、股間に突き立てようとする。

 

 

 ♦︎

 

203:全身ピカピカの憑依新入生(配信中)

いや、自切するしかないな

 

204:名無しの転生者

そうだけどよくその選択ができたな

 

205:名無しの転生者

というかイッチはまだ股間縛り続けてたのね

 

 

 

 ♦︎

 

 (チッ!)

 

 切断面から溢れる血で、目が潰れる。

 咄嗟に対応しようと、切断された腕を離してしまった。

 

 腕がくるくると空を舞う。それが突然、糸に引かれたように加速して──

 

 ♦︎

 

206:名無しの転生者

これで終わりやね

 

207:名無しの転生者

股間がスパッと...いや頭潰せよ!?

 

208:全身ピカピカの憑依新入生(配信中)

あまりにも痛かったのか、股間が切り取られた瞬間消滅したゾ...

腕はつなげました。あー、推しへの信仰心が爆発するんじゃ〜

 

209:名無しの転生者

えぇ(困惑)

 

 

 

 

 

 

 

 ♦︎♦︎♦︎

 

 

 入学式の最中。

 突如として校門近くから、異界の魔力の爆発を感知した。それを感じ取った幾人かは、すぐにその場に向かい──そして静観することにした。

 

 生徒会長は、仲間と共にその場に向かい、そして目の前の光景に驚き、目を見張った。

 

 空を跳ぶ、無表情な少女。曇った瞳からは心を感じられない。

 

 「念動魔法による身体操作、か...」

 

 人体の限界を超えた駆動を可能にするそれは、非人道的であるとして他人への使用は重罪である。それを自分に使って、あの少女は戦っていた。

 

 ボロボロの服の下からは、血だらけの肌が見え隠れしている。残った布からわかることは...新入生、だろうか?

 

 狂戦士。戦乙女というよりも、それが相応しい戦いぶり。

 

 (ふむ。あれは確か今年入学予定の、ヴァイス伯爵家の娘...たしか、あそこには、改造人間を作っているという黒い噂があったな)

 

 恐れも痛みも知らない*1戦いぶり、もしかすると伯爵家は自分の娘にその実験を...?

 

 (それが事実ならば...最悪だな)

 

 ♦︎

 

 聖女と呼ばれる彼女は、理解ができなかった。

 自分の腕を自分で切った時は、小さく悲鳴をあげそうになった。

 問題は、その後だ。切った腕を繋ぎ合わせた、あの回復魔法。

 

 あの強度の回復魔法を使うことは、神の敬虔な信徒ですら難しい。それほどまでに強い信仰が必要なのだ。

 そして、それほどまでに強い信仰を持つものが使った回復魔法ならば、その色を見ることで信仰の対象がわかる。

 しかし、あの色は──この世界に存在するどの神に対するものにも一致しない。

 

 (もしかして...異界の邪神を信仰する、狂信者というものなのかしら)

 

 だとするならば、危険だ。

 この情報は、必ず伝えなければならない。

 

 ♦︎

 

 

 コーン男爵家の令嬢である彼女はシンプルに不幸だった。

 

 (た、体調を崩して早退しようとしただけなのに、なんですかあれ!?)

 

 本当に偶々偶然グロテスクなものを見せられてしまった彼女は、帰って寝込んだ。

*1
実際はその真逆である





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Q.魔法って?
A.〇〇の第N層
 〇〇は属性、Nは数字が大きくなるほど難易度だったりレベルだったりが上がる。第N層についてはD&Dとかソドワとかの魔法をイメージしてもらうとわかりやすいかも
 
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