いや、私は別に暗い過去も壮大な裏設定もないただの憑依転生者なんですけどね   作:美味しいラムネ

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続いた
なんかものすごく伸びていてびっくりした


ゆる募:学園生活のスタートダッシュに失敗した場合のリカバリー策

 

 お空、綺麗。雲ひとつなく澄み渡っている。

 財布、綺麗。多分暫く使ってない。硬貨一枚なく空である。

 

 「はぁ...」

 

 財布を見る。金がない。

 もう一度財布を見る。金が全くない。

 

 「...お金、無いなぁ」

 

 最後に食べたまともなご飯、何だっけ?

 ...あ。そういえば。校門前の不審者モンスター、あれを倒した後の取り調べの時が最後だね、これは酷いね。

 

 

 ♦︎

 

17 : 名無しの転生者

っぱギャンブルよギャンブル!人生は一発逆転一点狙い!

 

18:名無しの転生者

その元手すらねんだわ、この貧乏お嬢様

 

20 : 名無しの転生者

結果としてワイら、何故か自分の世界じゃない世界にしか生えてない野草の知識が無駄に豊富になったんですけどね

 

21:名無しの転生者

まさかどう見ても毒キノコなキノコが食用とはこのリハクの目を持ってしても(以下略

 

23:全身ピカピカの憑依新入生

私、最後に食べたまともなご飯、取り調べの時に牢で食べた臭い飯ですわ!!!!

 

25 : 名無しの転生者

そもそも学園内に不審者が入ってきてるってどうなってるんですかね?治安悪くない?

 

 

 ♦︎

 

 あの校門前不審者との激闘を終えた後のこと。無理やりつなげた腕の神経がクッソ痛む中、私は押し寄せてきた警備員の群れに拘束されたのだ。

 

 倒した魔物の死体は消え失せたし、近くには警備員の頭蓋骨。そこに1人の半裸の血みどろお嬢様。怪しくないわけがない。とはいえ一応私は生徒。治療は受けられたが、取り調べは長かった。担当官は妙に優しかったけどなんなんだろうね、あれ。

 

 どこぞの男爵家の令嬢が戦いを目撃していたらしく、その証言のお陰で解放されたころには入学式はおろか、その後のガイダンスまで終わっていた。

 ありがとう見知らぬ令嬢よ、貴女がいなければ私はまだ解放されていなかったかもしれない。血みどろの私を見たせいで寝込んでるらしいし、会った時には感謝の意を込めて昼飯でも...私お金ないんだった。

 

 精神的苦痛を感じましたってことで訴えたらお金貰えたりしない?無理?ここは中世?だろうね。

 

(仕方がないから、暫く野草生活か...)

 

 気を取り直して、財布をポーチにしまい、食べられる野草を探す作業に戻る。ついでに魚も忘れずに。貴重なメインディッシュだ。...流石に虫は食べたくないけどこのままだと食べる必要が出るかもしれないね、これ。

 生い茂る若草は、春の暖かな光に照らされて呑気そうに風にそよいでいる。私も光合成できないかな、それは流石に怪人すぎるか。

 

(ブルーライトじゃない、太陽の光...気持ちいなぁ)

 

 生活は大変だが、その大変さはどこか心地いい。死神(会社)に駆り立てられるあの大変さとは大違いだ。

 

 ♦︎

 

30:全身ピカピカの憑依転生者(配信中)

あぁ、今の私の心はこれまでにないほど落ち着いていますわ...これが明鏡止水の境地ですのね

 

31:名無しの転生者

>>30 多分全てが間違ってる。何もかも間違っている。

 

32:名無しの転生者

お、トマトみたいな何か生えてるじゃん。ちゃんと食用なのに、何故かその辺に生えっぱなしで放置されてるんだよなぁ。図鑑にも「貴族が下々の民に食べさせる伝統があった」って書かれてたから多分食用なのに

 

34:名無しの転生者

>>32 そもそも野生のトマトを食おうと普通のやつは思わないんだよ

 

35:全身ピカピカの憑依転生者(配信中)

ふふ...私は運がいいですのね...そろそろ草も沢山集まりましたし、釣りでも始めましょうか

 

36:名無しの転生者

>>35 キモイほどに落ち着いてるぞ今日のお嬢様。表情筋は死んでるけど

 

38:名無しの転生者

あ、川に泳いでるフグ擬きだ。...まさか、ワイが取っていたフグ調理師免許が異世界でも役に立つとは思ってもなかったゾ

 

39:名無しの転生者

異世界のフグ擬きと前世のフグの内部構造が9割9分一致してたのは流石に笑った

 

40:全身ピカピカの憑依転生者(配信中)

ふふ、今日はフグのお刺身...ご馳走ですわね!ブレス吐く謎鮭にも出逢いませんし、今日は平和ですわねぇ...

 

41:名無しの転生者

あ、鳩だ

 

42:全身ピカピカの憑依転生者(配信中)

捕まえろ!!!殺せ!!!貴重な動物性タンパク質だ!!!肉を食わせろ!!!魚と草ばっかりの生活は嫌じゃ!!!鶏肉!!フライドチキンにするんだ!!!

 

44:名無しの転生者

うわ、お嬢様急に発狂した

 

45:名無しの転生者

いけませんお嬢様、いけません!拳銃を使ってしまえば鉛のせいで可食部が減ってしまいます!

 

46:全身ピカピカの憑依転生者(配信中)

ありがとう校門前不審者、お前との戦いがなければ私は念動魔法をここまで使いこなせていなかった、お前のおかげで鳩を捕まえられる!今夜は鶏肉だ!!!

 

47:名無しの転生者

かつての強敵との戦いが糧になる王道展開。なお相手は鳩

 

48:名無しの転生者

久しぶりのお肉だもんね、しょうがないね

 

50:名無しの転生者

明日から授業始まるけど、この野生お嬢様は大丈夫なんだろうか。記憶もないし

 

52:名無しの転生者

>>50 そういえばそうじゃん。生きるのに必死すぎてこのお嬢様多分脳内に野草と魚の知識しか入ってないぞ、授業どうするつもりなんだ?

 

54:名無しの転生者

魔法はワイらの世界の理論教えたから使えるけど...これ本当にこの世界の理論にあってるのか確認しなくて大丈夫?メラの世界にファイアとかアギ持ってきましたみたいなことになってないよね?

 

56:全身ピカピカの憑依転生者(配信中)

うるせえこちとら一日中食糧確保に動き回らなきゃいけないせいで他のことに手ぇ出してる余裕ないんだよ!!!

 

58:名無しの転生者

...とりあえず、働き口探そうな?

 

59:名無しの転生者

>>58 本人曰く、それをするために今は食料の備蓄確保に動いているそうで...

 

61:名無しの転生者

学校始まったら採取する時間減るもんね、なんでこいつナーロッパ世界でサバイバル生活してるの?

 

62:全身ピカピカの憑依転生者(配信中)

安価で金を使い果たしたからだよおおおおお!!!!なんなら替えの制服代で借金負ったぞおおおおお!!!!!!!

 

64:名無しの転生者

極論、掲示板使えば常時カンニング状態だから授業は突破...できないなぁそういえばここにいる全員別世界の住民だもんなぁ

 

65:名無しの転生者

野草の時みたいに教科書共有すればいいんじゃない?

 

67:全身ピカピカの憑依転生者(配信中)

>>65で思い出したんだけども

...教科書代すらないじゃん今の私

 

69:名無しの転生者

どうするんだよこのお嬢様。学費代は取っておいてるんじゃなかったのか?

 

71:全身ピカピカの憑依転生者(配信中)

取調室で渡されたガイダンス資料にね、教科書代は後払いで授業料その他費用には入ってないって書かれてたんだ

教科書販売は4日後だからすぐに金を準備する必要があるね

 

72:名無しの転生者

>>71 イッチ回復魔法得意だし、それで闇医者みたいなことして稼げば?

 

73:全身ピカピカの憑依転生者(配信中)

その、推しへの想いに不純なものが混ざってしまいそうでそういうのはちょっと...

 

 

 

 

 とはいえ、生きるのには金が必要なのも事実。どうすることもできないまま、ついに運命の日がやってきてしまった。初登校日が、後ろに控える教科書販売と肩を組みながら突進してきた。そのイメージはさながら首を求める戦国武将である。

 神よ、私がいったい何をしたというのですか。でも、まだ終わっちゃいない!

 

 

 

 ♦︎

 

198 : 名無しの転生者

始まってもないけどな

 

 

 煩いですね...

 まだ教科書販売まで猶予はある。初日と明日は教科書がなくても問題なし!

 

 (ふふ...あと2日もあれば大丈夫、48時間もあればなんとかなる!これ以上借金は増やしたくない!)

 

 それ以上の問題があるとすれば、誰も私に話しかけてきてくれないことだろうか。完全にクラスで浮いている。遠巻きに見るだけで誰も話しかけてこない。

 聞きなれないチャイムの音が鳴る。昼休み、初日にしてぼっち飯になりそうである。

 

 周りの子は、食堂に向かうらしい。お弁当を持ってきている子もいる。みんな美味しそうなもの食べてるなぁ。いいなぁ。

 

 「─────...はぁ」

 

 机の傷を見つめる。あぁ、雨が降ってきそうだ。降らないけど。そもそもお昼休みがある時点で「勝ち」なんですよね、コレ。

 

 それはそうとこちらから話しかけようにも会話が続かないどころか逃げられるのなんなんですかね。この背中の鎌のせい?確かにみんなレイピアとか剣とかばかりだけどさ。

 

 安価で決めたのは失敗だったかなぁ?でも、自分で何かを決めるのって...

 

 ♦︎

 

200:名無しの転生者

ぼっちルート一直線...ですかねぇ...

 

201:名無しの転生者

入学式初日に遅刻してその上取り調べまで受けたやつとか完全にヤバいやつだもんね、不良とかいうレベルは超えてるよね

 

203:全身ピカピカの憑依転生者(配信中)

授業の内容も半分しか理解できないし...まだガイダンスしかやってないのに言ってる用語の9割意味不明...今の所数学だけだぞ理解できたの

 

205:名無しの転生者

野草学とかあれば無敵なのに

 

207:名無しの転生者

>>205 植物学ですらないのか

 

208:全身ピカピカの憑依転生者(配信中)

おかしい、夢の学園生活は何処へ...もっとこう、色々あるじゃん。私はここにいるぞー。誰かー、私に話しかけてきてくれー

 

210:名無しの転生者

>>208 大丈夫、ワイらがいるよ

 

211:名無しの転生者

なお、声は届かないものとする

 

213:全身ピカピカの憑依転生者(配信中)

はぁ...こうなったらホムンクルスでも作ろうかな...

 

214:名無しの転生者

>>213 世界によってはそれ禁忌だから暫くはやめとけ

それで俺は一回死んでる

 

215:名無しの転生者

一回死んでるニキは早く成仏してクレメンス

 

216:全身ピカピカの憑依転生者(配信中)

はぁ...お昼ご飯、食べるかぁ

 

218:名無しの転生者

その内容、干した鮭にトマトとキノコと謎野草のサラダ!!!原始人!!!

 

219:全身ピカピカの憑依転生者(配信中)

どなたか私に炭水化物を恵んではくださいませんか????

 

220:名無しの転生者

>>219 破綻した安価の妥当な末路だ

 

222:名無しの転生者

周りがおシャンティなものを食べる中、ただ1人保存食だろそれみたいなものを食べるしかないのがあまりにも悲しい

 

224:名無しの転生者

ざわついてるじゃん教室に残ってる子達。そりゃビビるよ突然同級生が終わってる食生活見せつけてきてるんだから

 

226:全身ピカピカの憑依転生者(配信中)

うめ...うめ...うぅ...

 

 

 

 

 

 

 

 

 ♦︎♦︎♦︎

 

 

 コーン男爵家の令嬢である彼女は常に頭を抱えている。ヴァイス家のあの娘、疫病神か何かかな、と。

 

 散歩をしていれば突然水鉄砲を反射され、帰り道には血みどろになった彼女が魔物と戦ってるのを見て卒倒してしまった。急いで警備員を呼んだら、体調悪いのに私も事情聴取受けることになったし。帰って流石に寝込んだ。

 

 (はぁ、でこのクッソ疲れた体で上の面々に挨拶、と...せめて昼休みぐらい休ませてほしいのだけど)

 

 しかも例の疫病神とは同じクラスだ。

 私の学園生活に暗雲がタップダンスしながら立ち込めている。勘弁してくれ。

 

 「つ、疲れた...やっとお昼ご飯...」

 

 挨拶を終えて、半ば這うようにしてクラスに帰還して椅子に座る。本当に疲れた。

 食堂?私みたいな貧乏貴族が使えるわけないでしょ。突然川から砂金取れたりしないかなぁ、切実に。

 

 「さて、お弁当の時間です...わ...ね...」

 

 なんかものすごい存在がいる。貧乏とかそういうレベルじゃない。素材の味を生かしましたとかいうレベルじゃない。素材喰いしてるお嬢様がいる。表情が完全に死んでいる。

 

 例のヴァイス家の令嬢だ。嘘でしょ、この前採取生活してるのは見かけたし被害も受けたけど、まさか文明社会から取り残された生活をしているレベルだっただなんて...変なカルトだったりしないわよね?あれ。

 

 使ってる武器も大鎌とかいう、昔大暴れした魔物が使っていた曰く付きの武器種だし。この娘、関わっちゃいけない人種なんじゃないのかしらね?

 

(関わっちゃいけない...関わっちゃいけない...)

 

 無表情ではあるけど...なんか、こう。すごい寂しそうだし悲しそうな感じがする。

 あれ、色々な問題、しがらみとか考えても。人間として、あれを無視するのはどうかと思うの。どう考えても限界生活を超えた限界生活をしてるっぽいし、何より全身から助けてほしいオーラ出してる同級生を見捨てるのって、人間としてどうかと思うの。

 

(本当に困ってる人のことを、可哀想と思わないのは。下心とか無しに、助けたいと思わないのは人としてどうかと思うって家庭教師の先生も言ってたしね...月謝高すぎるんだよあの馬鹿。お前には下心しかなかっただろ)

 

 「あー、もし?ヴァイス様...その...私、お腹いっぱいでして、よかったら私のお弁当、半分食べます?」

 

 人間、そんなに急な動きできるんだなぁ、と言った感想しか出ない。私のことを凝視している。すごい速度で頷いている。えぇ...

 

 

 ♦︎

 

230:全身ピカピカの憑依転生者(配信中)

や、やっと話しかけてきてくれた...!くれた...!

 

232:名無しの転生者

なぁ、あれってこの前の水鉄砲直撃させたお嬢様じゃ...

 

233:名無しの転生者

>>232 しーっ!!知らぬが花ってやつだから

 

234:全身ピカピカの憑依転生者(配信中)

お、美味しい...人の心がこもった食事だ...涙そうそう...

 

236:名無しの転生者

凄い、哀れな原始人に弁当を分けたら急に泣き始めて凄く困惑している感じだぞ

 

237:名無しの転生者

えぇ...(困惑)

 

 

 

 

 ♦︎

 

 急に泣き始めた。むしろこっちが泣きたい。急にどうした。

 

 「えぇ...」

 

 困惑。どうしよう、今更ながら後悔してきた。

 

 

 「───ん、この御恩は忘れない」

 

 あ、実は優しい心の持ち主だったのかもしれない。

 

 「...でも、お金ない。だから、貴女の前に立ち塞がる敵は全部切ってあげる」

 

 前言撤回。全身切れたナイフだった。

 どうしよう、拾った娘が狂戦士だったかもしれない。

 お父様、格上の貴族というものは皆気狂いなのでしょうか。お父様、私はインフェルノドラゴンの頭蓋骨を踏み抜いて*1しまったかもしれません。

 

 

   

 ♦︎

 

238:全身ピカピカの憑依転生者(配信中)

ありがとう、ありがとう...お礼の言葉ってどんなこと言えばいいんだろう...

 

239:名無しの転生者

>>238 困ってることがあったらなんでも力になるよ、みたいなのでいいんじゃない?

 

240:全身ピカピカの憑依転生者(配信中)

いいねそれ、採用

 

242:名無しの転生者

どうして>>239 を聞いてそれが出力されるんですか!?

 

243:名無しの転生者

バッドコミュニケーションの極地である。もう帰れ

 

245:名無しの転生者

でも文字通り一文無しなのは事実である。同情するなら5000兆円ください

 

 

 

 ♦︎

 

 

 「えぇと、その...お金がないのなら、私のバイト先、来ます...?」

 

 

 ♦︎

 

246:名無しの転生者

貴族だと思ってたら滅茶滅茶庶民派だった。バイトとかしてた。...バイトって概念あるのねこの世界に

 

247:全身ピカピカの憑依転生者(配信中)

神かな!働き口まで斡旋してくれるとか神かな?

 

248:名無しの転生者

>>247 騙されるな、蓋を開けたら蟹工船、暗殺者、軍手の片方を歩道に落とす仕事、気分が良くなる草の運び屋の可能性もあるぞ!!!

 

249:名無しの転生者

物理的に体をバラされて体を売られる可能性もあるな

 

250:名無しの転生者

>>249 一回それやられたけどすごく痛かったゾ

 

251:名無しの転生者

頼むから成仏してくれ

 

252:全身ピカピカの憑依転生者(配信中)

私に仕事を選んでる余裕はないんだ、お前を信じるぞ、名前も知らない金髪ドリルお嬢様ああああ!!!一生ついて行きます!!!

 

253:名無しの転生者

これは死んだか?

 

 

 

 ♦︎

 

301:全身ピカピカの憑依転生者(配信中)

普通の飲食でした

 

302:名無しの転生者

>>301 うっそだろお前

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ♦︎♦︎♦︎

 

 

 

(怪しい、怪しすぎる)

 

 野草採取中のヴァイス家の令嬢の後をつけている、怪しい影があった。生徒会長である。

 魔物との戦いで見せた狂戦士の一面が嘘のように落ち着いてはいるが、その行動の怪しさを見逃さない。

 

(あの時、静観したのを後から後悔したわけではないが...今になってみれば、それが正解だったとわかる)

 

 彼女が採取した赤い実。あれの名前はトメイトゥ。猛毒があると庶民に信じられている植物であり、一昔前の貴族が嫌がる庶民に無理やり食べさせるという悪趣味な遊びに使っていたものだ。少なくとも、まともな精神をしているのなら自分で食べようとは思わない。

 

 次に彼女は釣竿を持って釣りを始めた。

 視力を強化して見張っていると、とんでもないものを釣り上げて、しかも持ち帰ろうとしていた。猛毒を持つことで知られている毒魚、フグゥである。

 

(...一体、何に使うつもりだ?)

 

 極めつけには、空を飛ぶハトゥを見つけた瞬間、急に剣呑な気配を纏い狩りを始めた。

 

(あの温厚なハトゥ相手にあそこまで殺意を剥き出しにするとは...ハトゥは平和の象徴、平和を破壊するという意思表示か!?)

 

 毒を集めて、ポーションの素材にもなるキノコや野草を集めて、極めつけには小動物を狩り...もしや、なんらかの儀式をするつもりか!?血で描いた魔法陣は、人の尊厳を貶めるような邪悪な魔法によく使われている。不味いな...黒だったのは彼女の家ではなく、彼女自身かもしれない。

 

 急いで生徒会の面々を集め、会議をしようと思ったが...すんでのところで踏みとどまる。

 入学してくるまで存在を気づかせなかった相手だ、生徒会室は安全ではないかもしれない。...ここは、いつもの場所で集まるか。

 

 到底貴族が行くような場所ではない、場末の酒場。時折そこで秘密の会談を行うこともある。

 2日後、後をつけられていないことを十分に確認して、そこに集まることにした。...しかしそれは、失敗だった。

 

 

 「よく集まってくれた、皆。今回の話...だ...が...」

 

 思わず息が止まってしまう。

 なぜ、お前がここにいる。

 

 「──ご注文は?」

 

 

 最近入ったバイトだという、彼女は──間違いなく、危険人物の奴だった。

 

 (何故だ、何故お前がここに居る!ヴァイス...ヴァイス・アンカー!)

 

 

*1
インフェルノドラゴンの頭蓋骨を踏み抜く : 地雷を踏むと同じ意味のこの世界の言葉。インフェルノドラゴンの頭蓋骨は衝撃で爆発する性質を持っているため地雷として利用される。なお、その残念な性質のせいでインフェルノドラゴンは絶滅寸前である






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コーン男爵家の令嬢
一般人。成績は中の中〜中の上。特別な特徴はないし裏設定もない。特別な過去もない。使う武器はメイス。だって砥石代もケチりたかったから。
餌付けした相手が狂犬だっただけの可哀想な人。この後狂犬に教科書代を貸すことになる。


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