いや、私は別に暗い過去も壮大な裏設定もないただの憑依転生者なんですけどね   作:美味しいラムネ

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続いた




急募:バイトテロでバ先が消えそうな時の対処法②

 

 

 

 「我々は貨幣神の信徒なり!神が与えたもう貨幣の理由も忘れ、私腹を肥やす秩序の邪神の信徒どもよ!我らが貴様らの資本を残らず焼き尽くし、世界をあるべき姿に戻してやろうではないか!!!」

 

 衛兵の体を槍で貫き、それを掲げながら叫ぶ狂人。あー、なるほど。

 

 

 「バイトテロっていうかガチのテロリストじゃねえか!!!」

 

 スレ民と意思が一致した瞬間であった。 

 

 

 

198 : 名無しの転生者

 とりあえず建物内に隠れろ、蜂の巣にされるぞ!!!

199 : 名無しの転生者

 クロスボウっていうか、マシンガン...

 

 

 

 クロスボウのボルトが広場を飛び交う。

 ある弾は爆発し、ある弾は放射状に広がり、通行人の命を呆気なく奪う。火の粉が舞い、灰が空を暗く覆う。

 鉄の香りがツンと鼻をつく。

 

 隣で誰かが嘔吐く声がした。

 

 「...逃げる、行けそう?」

 

 「な、なんとか...」

 

 狂人の行列が、衛兵の首を高らかに掲げて行進する。

 我らはここにいる、我らが意思を聞けと叫びながら進む。

 

 

201 :名無しの転生者

こりゃ酷いな...魔力のこもったボルトによる榴弾と散弾ってところかな?...銃でできることは全部他のものでできるからそっち方面に技術ツリーが伸びなかった世界なのかもな、ここ

 

202:名無しの転生者

>>201 言ってる場合か

とりあえず遮蔽のある場所へ、室内越しに離脱しようか

 

203:名無しの転生者

念動力によるバリアじゃ拙いな...

 

 

206:全身ピカピカの新入生(配信中)

とりあえずまだ残ってるお客様の避難誘導もしたいし中に入るのは都合がいい

 

207:名無しの転生者

じゃあ決まりだな

 

 

 

 

 唐突に飛び込んできた現実感のないリアル。あ、人って案外簡単に死ぬんだな、なんて考えながら瓦礫を盾にしながら前へ進む。

 

 「『土の第一層『石の盾(ストーンシールド)』』」

 

 男爵令嬢の魔法が、通行人を襲った攻撃を防ぐ。感謝の言葉を伝えながら走り去っていったあの親子も、その内死ぬんだろうな。

 

 「ごめんなさい、私では、自分を守り切るので精一杯ですの」

 

 本当は、『貴族』として、我々が庶民を守らなくてはならないのに。そう呟き、唇を噛み締めながらその場を後にする。

 幸いにして、私にはそう言ったプライドはない。気づいたらこの身体に居ただけ、だから何の感慨もなく逃げることができる。

 頼りになる指示役もいる、体を動かすだけでいい。

 

 何かが燃える音、爆発音をbgmに広場を抜ける。この街は大丈夫なんだろうか。治安が悪いっていうレベルじゃねえぞ。

 

 

210:全身ピカピカの新入生(配信中)

というかさ、お前らの言い分とかどうでもいいんだわ。客とバ先返せや、明日からどうやって生活していけばいいんですかね?

はぁクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソ

おふぁっくですわ!!!!!

 

211:名無しの転生者

こ、壊れちゃった...

 

212:全身ピカピカの新入生(配信中)

あの魔物と戦ってた時は「あぁ、ファンタジーしてるなぁ」とか思ったよ、そうしたら次はこうだよ、市街地戦始まっちゃったよ、今鎌持ってきてないよ、明らかに私の銃よりあいつらのクロスボウの方が強いよどうなってるんだよこの世界!!!

 

214:名無しの転生者

とりあえずしゃがめ、狙撃が来る

 

215:名無しの転生者

あ、その隣の建物倒壊するね、3秒後かな

 

217:名無しの転生者

>>214-215 お前らはなんなんだよ

 

219:名無しの転生者

いや、建物ヒビだらけだし小刻みに揺れてたしそれぐらい普通にわかるのでは?狙撃予言ニキは...よくわがんね

 

 

 

 目の前で人が死ぬのを見たのなんていつぶりだろうか。自分の後ろのデスクで作業していたはずの同僚の声はそういえば死ぬ1週間前から聞こえなくなっていたけど死んでいた訳ではないだろう。*1

 

 レスを頼りに死地を抜ける。長かった数分間を超え、店の目の前まで到着する。少し離れた位置にあったからか、まだこの周辺に完全に魔の手は広がっていないようだ。

 

 店の周辺には2人、広場と比べれば少ない...いや待て冷静に考えたらこのテロリストども人数多くないか?テロというかもはや侵略レベルじゃないか?

 

 

221:名無しの転生者

そのまま突っ切れ、それ以外だと間に合わん

 

 

 ちょうど店の方にクロスボウを向けていた2人の人型に向けて駆ける。

 

 「ん、合わせて」

 

 「はぁ!?...背後への被害は不味い、だったら...『水の第二層『水球(ウォーターボール)』』『氷の第一層『凝固(フリーズ)』』」

 

 「弾けて」

 

 私が念動力の力で片方の頭を破裂させ、男爵令嬢は男の全身を水球で覆ったかと思うと、その水を凝固させ氷像へと変えた。

 

 窒息死待ったなしだ、なかなかえげつないことをする。

 

 

 

 

 

222:名無しの転生者

ひぇ...

 

223:名無しの転生者

1番苦しい死に方じゃないですかやだー

 

226:名無しの転生者

>>223

は?龍神の七種の呪いにかかって悶え苦しんで死ぬよりもか?適当に1番とか抜かすなよ

 

229:名無しの転生者

レアケースすぎるんだよそれは

 

231:名無しの転生者

どっちも高度な魔法ではなさそうなのにその使い方が...

あとやっぱりイッチの魔法は明らかにこの世界の常識にあってない感じするね、教え方間違えたわ

 

232:全身ピカピカの新入生(配信中)

手 遅 れ

 

233:名無しの転生者

言うてイッチもだいぶえげつない殺し方したね、直接脳みそに干渉して血管破裂させたね

 

235:全身ピカピカの新入生(配信者)

だってやれって言われたし...相手全く魔力纏ってない素人だったから通用しただけだし...

 

238:名無しの転生者

あれ?もしかしてこいつら武器が強いだけの雑魚か?

 

241:名無しの転生者

その武器に滅茶苦茶にされてるんだよカス

 

 

 

「あ、危ないところでしたわ...」

 

「ん、店だけは守れた...と思う」

 

 中から血の匂いがする訳でもないし大丈夫...だと思う。大分五感は麻痺気味だけど。と言うかこんな状況正気じゃやってられないわ。これ社会で学んだ知恵ね、麻痺させれば無理も無茶も通る。

 

 店の中に警戒しつつ入る。左右から何かが振るわれる気配。それを飛び退いて避ける。

 

 「...て、店長!?」

 

 「あっ...外で暴れてる奴らと勘違いしちゃった、ごめんね!!」

 

 危うく頭部にいいのを喰らうところだった。メジャーを目指せるいいフルスイングですね、凄まじい。

 

 「ちょ、お前らよく無事だったな、心配してたんだぞ、早く避難避難!!」

 

 どうやら、店員達で、客が避難するまで店を守ろうとしていたようで。す、すごい。責任を果たそうとする上司ってこの世界に存在したんだ。

 

 「とりあえずあんたたちもこっちに、あー...そのー...禁酒法時代*2に先先代が下水道に逃げる隠し通路作ってたから、こっちから脱出できる!」

 

 

244:名無しの転生者

禁酒法あったんかいこの世界

 

245:名無しの転生者

隠し通路...建物伝いに外部へ脱出するつもりだったけどそっちの方がいいな

 

 

 ちょうど最後に1人が外部に出た直後のよう。同僚の中で、今日たまたまシフトが入っていた魔導学園の生徒が護衛として先導しているそうで、殿を店長ともう1人の店員が勤めていた、と。

 

 ...ところで、振るわれたモップが地面を貫通して突き刺さってるんですけど店長本当に人間?

 

 外から戦闘音は聞こえてこないが、そのうち外の死体が原因でテロリストどもに気づかれかねない。衛兵さん早く仕事して。

 

 

247:名無しの転生者

とりあえずさっさと逃げるぞ、階段はカウンター裏か?

 

250:全身ピカピカの新入生(配信中)

そうっぽい...あぁもう!!

 

253:名無しの転生者

高密度の魔力反応、爆弾的なサムシングだ!!!

 

256:名無しの転生者

くそ、普通ただの学生2人にそんなに戦力割かねえだろ、何が目的だよ!!!

 

 

 

 「「間に合えっ!!」」

 

 どちらも魔法使い、流石にこの反応はわかる。

 

 私が店長を押し込み、男爵令嬢が店員を地下に押し込んで棚を倒して蓋をするのと同時に、店を捲り上げるようにして爆発が発生する。

 

 一瞬の意識の暗転。瞬間的に展開した念動力で衝撃はいなせたが、熱と炎は...

 

 「...無事、ですの?」

 

 私たちを包み込んだ水の膜。本当に無茶をするなぁ!

 煤けた顔で見つめ合う。互いに無事で何より。

 

257:名無しの転生者

正面3!

速度的に念動力でなんとかなるかは微妙、銃で一体は持っていける

 

260:名無しの転生者

あぁクソ、離脱できたと思ったら!普通ただの学生2人相手にこんなに戦力割くかね、どんな目的だよ!

 

263:全身ピカピカの新入生(配信中)

後の2体は?

>>265

>>268

 

265:名無しの転生者

落ちてる釘を雷属性の魔力で射出しろ

 

268:名無しの転生者

最初の1人の足を掴んで振るう

 

 

 

 舞い散る埃の中から突っ込んできた、短剣を構えた黒装束の男の脳天を撃ち抜き、もう一体の眼球を釘が貫き、そのまま頭蓋の裏側まで貫通する。

 

 (普通は、止まるだろ!!)

 

 仲間の死に何も感じないように、最後の1人が取り出したフランベルジュを...フランベルジュ!?お前どこから取り出したよ、それ。

 

 フランベルジュの刀身と死体の背がぶつかる。めり込んだ刀身を押し込むように振り抜き、そのまま頭蓋に頭蓋をぶつける。

 

 彼女に汚物は掛からないように。気をつけないとね。

 それはそうと、マジでなんなんだこいつら、これ明日からの営業どうするんだよ。

 

 煙が晴れると、被害の全容がようやく見え始める。

 ...営業どころかこの街の未来は暗いかもしれないね。まず、この店舗は半分近くが捲れ上がって消失している。周囲の店舗もまぁ同様。

 

 爆弾から見られる悪意がひどい。たまたま念動力がセットで防いでくれたようだが、周囲に鉄釘やら鉄片やらが散らばっている。

 

 「今度こそ逃げますわよ、今度こそ...!」

 

 これ以上この場所にいたら命が保たない。次は何が飛んで来るんだ、もう私この世界の治安信用していないぞ。

 

 

270:名無しの転生者

大丈夫だ、ワイらも信用していない

 

273:名無しの転生者

と言うか早速信用しなくてよかった実例が出てきそうだね、頭上1人、それも特大の反応

 

276:名無しの転生者

>>273 毎度思うけどその探知能力なんなんだ

 

 

 

 2発、続け様に熱を放った何か──石?──が飛来する。

 男爵令嬢を抱えてその場を飛び退き、追撃のようにして放たれた光線をほぼ勘で回避する。光は流石に避けられないが?

 

 

 「射石砲に集光鏡...ふむ、型落ちの技術では仕留められんか」

 

 「『土の第三層『岩の槌(ストーンハンマー)』』っ!!」

 

 男は、放たれた岩の槌を()()()()と、ケラケラと笑う。

 

 「予定通りに進んでいない地区があると思えば...聖女ですらない相手にこの様か...我らも堕ちたな。そうは思わんか?えぇ!?...思わんか」

 

 独り言の多い奴だ。その癖まるで隙がない。

 槌と同時に咄嗟に放った火球も避けられた。

 

 リーダー格。先ほどまでの雑兵とは比べ物にならない重圧。帰りたい。そもそも私はバイトをしていただけなんだが。勘弁してください。

 

 「無視は悲しいぞ?」

 

 「敵の首魁...ですのね...どうしてこんなことを?」

 

 「おぉ、無視はしなかったか。偉いぞ。ふむ...一つは、秩序の神への復讐。一つは...貨幣の意義を忘れ、驕り高ぶった貴様らへの制裁、一つは、資本に洗脳された羊たちの魂の解放」

 

 わかってもらう気は無いがな、と呟く男は見逃してくれそうに無い。

 

 

278:名無しの転生者

男爵令嬢ちゃん、絶対戦い慣れしてないのにやることはやってるね...

 

279:名無しの転生者

会話するふりして滅茶苦茶魔力練ってるね、あれ

 

281:名無しの転生者

なおそれでも出力は低い模様

 

 

 

 見逃してくれないならやることは一つ。まさかこんなことにはならないだろうと鎌は家だが、なるようになるしか無い。

 

282 : 全身ピカピカの新入生(配信中)

やるぞ、おまいら

開幕の1発

>>289

 

283 : 名無しの転生者

オペレートは任せとけ、俺の指示で世界の滅亡を人類の滅亡に抑えたことがある俺に任せとけ

 

脳天に鉛玉ぶち込んだれ

 

285 : 名無しの転生者

誰がなんと言おうと1番苦しい死に方は溺死なので口元を水で覆いましょう

 

289 : 名無しの転生者

タマキン爆破したれ!!そして──

 

 

 練り上げた魔力に指向性を持たせる。お手本は今日一日で何度も見てきた。お前らが散々見せてくれた。

 

 (相手の股間に魔力の糸を結んで...引っ張る!)

 

 

 その日、戦っていた衛兵たちは、魂を引き裂くような男の絶叫を聞いたと言う。

 

 「な、なかなかやりおるじゃないか...」

 

 脂汗を流しながらも、男は健在。

 あれだけの爆発を喰らってもなお、まだ倒れないとは。血も流れていない。

 

 でも、これは本命じゃ無い。

 

 

 ──たぶん、令嬢ちゃんが待機させている魔法は氷系だから、それに合わせて雷でも上から降らせたれ

 

 

 はっきり言って私は雷の魔法が得意というわけでも無いが、連携前提なら問題ない。

 

 「降って!」

 

 「『氷と風の第四層『霰の嵐(クリアストーム)』』!」

 

 股間を抑える男を取り囲むようにして、無数の尖った氷塊を伴った暴風が発生し、頭上を塞ぐようにして雷が落ちる。

 

 開幕の一撃としては上々。

 まぁ、相手がピンピンしてなかったら、という前提条件付きだが。

 

 「極地探索に用いられる防護服、多少は痛むが霰を耐えられないほどでは無い。おかげで雷に当たらずに済んだというわけだ」

 

 いつの間にやら服装が変わっている。

 

 (タフとかいう問題じゃ無いよな...)

 

 

 

 

 

*1
その4日前に先輩は発狂して現場から飛んでそのまま行方不明

*2
その昔、秩序神の教会の助言により禁酒法が施行された時期があった






感想、評価などありがとうございます!励みになります!

 
ということで第1章、ボス戦です。この作品では基本的に敵の方がチートです。


それはそうと禁酒法の時代に幸福薬と呼ばれる物品が流行ったとかなんとか
みんな幸福になれば秩序でハッピー!
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