怪記異生録 ―空手部と迫真の裏技―   作:刺身フライ

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夏休みが始まり、空手部の3人は部長・三浦の提案により
彼の友人"秋吉"が切り盛りする山奥の旅館にやってきた。

さっそく風呂に入ろうとする1年の部員・木村は
廊下にある窓から、怪異【邪視】を目撃してしまう!!

田所の活躍によりなんとか邪視が食い止められて、
       彼らの元には再び静寂が訪れるのだが―――――


歴史レ○プ!怪異を語る秋吉さん(後編)

『よう、昨日はよく眠れたか』

 

ロビーには、すでに秋吉さんが来ていた。客用のソファに座り、テレビを見ている(こんな山奥にも繋がっているものなのか?)

 

「はい、とても・・・むしろ寝すぎたくらいですかね」

『疲れた時の睡眠はなにより大事だからな、もっと眠っていてもよかったんだぞ』

昨日の事が嘘のように秋吉さんは僕のほうに顔を向け笑って見せた・・・(いや、実際には少し引きつっているように見えたが)

 

「田所はまだ起きて来ないのか?」

「あぁ、三浦さん。先輩なら今トイレに行っているはずですよ」

「廊下で寝たから腹でも壊したか?・・・まぁいい。アイツには後で話すとして・・・木村、お前にこれからとてつもなく重要なことを話すゾ。・・・心して聞いてくれゾ」

 

「重要な―――話?」

 

 

『それより・・・まずは、簡単な昔話からだ』

 

「わかったゾ、秋吉さん・・・じゃ、木村。昨日、お前は怪異【邪視】に襲われたな?」

「はい」

 

「そして・・・ポ達が戦い、野獣がトドメを刺した。・・・迫真空手の持つ力によってな」

 

『迫真空手・その原点は、およそ1000年前にも遡る。・・・当時から、人々は怪異による災害に苦しめられていた』

(昨日の、アイツみたいなのが1000年前から・・・!?)

 

『そこで、とある陰陽師が、人類に唯一協力した怪異の力を得て、怪異の親玉と大勢の仲間を退治するために戦い・・・相打ちで勝利した。

その後、再び怪異が現れることを危惧した陰陽師は、自身の弟子に力を全て託し、さらにその弟子が多くの人々に伝授して広めたのだ。

 

 

   家系ごとにその形は変わって行った。・・・その一つが迫真空手だ。』

 

 

 

「・・・昨日の二人が、超人的な動きで怪異を倒したことは覚えています。でも、すいません。今になって・・・信憑性が薄れてきました・・・だって、迫真空手なんて授業でも聞いたことないですよ!!」

僕が強気に発言するが、冷静に秋吉さんは話を続ける。

 

『突然な話で無理もない・・・すまないな、木村くん。しかし、本当に存在するんだ。・・・ただ、歴史に残らなかっただけだ』

 

「歴史に、残らなかった?」

 

 

『それじゃあ、このまま本題に入ろう。なぜ、怪異と迫真・・・この二つが歴史に消え去ってしまったのか。』

 

 

 

『怪異に対して効果を発揮する迫真空手。しかし、最大の弱点があった。

 

     その力を持つもの・・・また、その力を見たことがあるものは・・・怪異を"引き寄せて"しまうのだ』

 

         「!!」

 

『これにより、使いこなすことのできなかった者や、不運にも存在を知ってしまったものはどんどん命を奪われ・・・やがて、少数しか残らなかった。』

 

「ポの家や野獣の家もそうだ。・・・木村や秋吉さんは違うけどな」

『当時の朝廷により情報が規制され・・・今や小数の者以外に迫真を知る者はほぼ居ない。そんな武術がなぜ

君たちの高校で取り扱われているのか?・・・そう思うだろう』

 

『迫真使いの子孫らは、微量だが迫真の気を受け継いでしまうらしい。よって、無意識のうちに怪異をおびきよせてしまう。

その対策のために、君たちの入った高校があるんだ』

 

   「・・・・・。」

 

どうも嘘ではない、らしい。それだけははっきりと分かった。それ故に、僕の心は混乱という文字にまみれていき・・・・・

 

・・・衝撃の事実が、体を突き刺して行く

 

 

「・・・ポらの高校、【甲戸区立穂毛高校(こうとしりつほもうこうこう)】は、数少ない迫真使いの子孫が築いた高校だ。そして、迫真の系統を持つ人間は必ずここに入学し、空手部で履修を受ける事が義務付けられているんだゾ」

 

 「えっ!?」

 

「この事は、"政府"が朝廷時代の意向に基づいて、設置されたんだゾ。・・・木村。お前は確か、自らこの部に入りたいと言ってきたな。だが・・・もしお前が他の部に入ったり、そもそもこの高校に入学しなかったとしても!!

 

    ・・・この空手部に入るように、国が操作していたはずだゾ・・・」

(・・・そんな、どういうことだ・・・!?)

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

僕が、空手部に入った理由。

 

高校の入学初日。僕は、通学路で大事故に巻き込まれた。

 

«緊急車が交差点に進入します。ご注意下さい・・・・ただいま、○△交差点付近にて救助活動を・・・»

 

僕の乗ったバスがスリップし、そのままビルに衝突した・・・火災が発生し、衝撃でもろくなったガレキが、火災の影響で横転したバスにふりかかる。

 

気絶していた僕は幸い無傷で倒れていたため、煙を吸うことは無かったが・・・いつバスがガレキの重みで潰れてしまうか分からない状況だった。

消防隊もあまりの状況により、救助に困難を極めていた。

 

           その時。

 

 

                「大丈夫か!!」

 

その時、ガレキをどかして救助しに来たのが・・・田所先輩だった。

 

『おい、野獣!無理は禁物だ・・・一人ずつ、慎重に出していけッ!!』

「そんなん分かってるぜ!三浦はんもケア手伝って、ホラホラ」

 

先輩らのおかげで、幸いにも死者が出ることはなく、僕も軽いキズを負っただけで済んだ(田所先輩は全身をガレキで負傷して入院してしまったらしいけど、3ヶ月で復帰したらしい。本当に人間なのかな?)。

 

その後、二人が僕の高校の先輩で、空手部だということを知った僕はすぐに入部届を提出。こうして僕はこの部に入ったわけだ

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

(・・・だったはずなのに・・・・・・)

葛藤。信じていたものが、崩れ去ってゆく気持ち。息が詰まる・・・・しかし、残酷なほどに真面目な顔をした三浦さんが、今までの事を【まぎれもない、真実】と物語っているようだった。

 

『政府は、迫真使いや、それを知る者がおびきよせた怪異によって、大災害を引き起こしたくなかった。その為に、怪異への対抗ができるよう修行をつける必要はあると結論付けたんだ。

こうして、この高校の設立者に協力を申し立てた。

 

以来、この学校は部活動でにぎわう進学校であると共に、裏では怪異対策の要所として今日まであり続けてきたんだ。』

 

言葉はかすれて出てこないが、冷や汗とうめき声だけは出す気もないのに出てくる。

 

  『木村くん。君は昨日よりもずっと前に怪異と対峙しているんだ・・・それがいつか分かる。そして!だとしても君は昨日、邪視に出会ってしまった。

 

これで君は怪異に狙われてしまった。もう、戦うしかないんだ』

 

 

「そんな・・・どうにか、ならないんですか!!」

 

 

 

『たぶん、ならないだろう。奴らはやがて、俺たちを襲いに来る。迫真空手で倒していくしかない。』

 

『だが、希望がある。』     「!」

 

 

『今から言うのは、1000年前に陰陽師の弟子が残した、二つの予言だ。』

 

 

[此の折より千歳の歳月を経て、怪異の頭領が蘇り、此の土地を再び支配せんとす]

 

『・・・訳すると、「今から1000年後に、封印された怪異の親玉が復活して、世界を支配する」という事だ。』

 

「・・・それのどこに、希望があるんですか・・・」

 

『待て、予言はもう一つある。』

 

[頭領は、諸怪異の力源なり。彼を徹底に討ち果たせば、怪異は尽く消ゆるであろう]

 

『つまりだ。・・・やがて復活する怪異の親玉を完全に叩きのめしちまえば、他の奴らも消えてしまうって事だ。』

 

     

  (つまり、結局僕も戦わなければいけない・・・って事なのか・・・・・・)

 

 

『強制したくはないんだが・・・やがて木村君も戦うことになるだろう。ひとまず、今日はゆっくりここで休んで、明日帰るといい。

  

      そして、君たちの部の顧問に会うんだ。絶対に君たちの手助けになってくれるだろう。なにより、そいつも迫真空手の使い手だからな』

 

 

 

 

「・・・全員で何はなしてるんすかぁ?教えてくれよ~なぁ」

田所先輩がのんきな顔をして入ってきた。

 

『・・・今までの話、もう一度するか?三浦』 「いや、どうせ野獣にはわからんし良いだろ」 『そうだな』

 

 

「俺だけハブキっすか?マジかよぉ!」

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

その後、1日ゆっくりと旅館で身体を休め、あっという間に帰る日がやってきた。(正直、その日は全く眠れなかったが)

 

-無人駅-

 

 

『もう帰る日か。早いもんだな。』

 

「秋吉さん。こっちの事は、しばらくポに任せてくれ。そっちもやることがあるだろうからな」

 

 

「だからなんの話してるんだよ!やじゅっち怒るぞ!!」

 

「ポから後で話してやるゾ。それじゃあな、秋吉さ・・・いや、秋吉。」『おう』

 

 

「秋吉さん・・・・」

僕は、秋吉さんの方を向いた。笑顔で見送ってくれるようだ

 

『いいか、木村くん。君には味方がいる。顧問の先生や先輩たち・・・俺だってそうだ。その内お前たちと合流するつもりなんでな。それまでしっかり生きてろよ!』

・・・僕はとりあえず、手を振った

 

 

電車が出発し、僕たちは帰る・・・自分たちの街に。

 

「三浦・・・任せたぞ。それに・・・・

 

        お前、もな」

 

 

暑い真夏が始まり、怪奇なる戦いの物語が始まった――――




久しぶりの投稿なのでリハビリのために前話より短いし語彙力皆無ッス
また更新遅れるかもしれないけど許して
評価オナシャス!誤字があれば報告お願いしもうす
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