流るるままに異世界探索記   作:みるしー

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かわいい女の子にロリは欠かせないっしょ



第3話 - 印鑑は証明写真代わり

「待って?!あなたは?」

 

流為探索協会の扉を開けようとしたところで声を掛けられる。

既に手を掛けていたからか、ちょっとピリッとした感覚が自分を襲う。

彼女はこちらに慌てて走って来た。

こんなキャラ如何にもな見た目である。

おまけに金髪。

そういえば、この世界での目標は『かわいげに溺れる』こと。

まぁ彼女はかわいくないから関係なし。

 

「いや、水下瀬柘ですけど…」

「そういうことじゃなくて!これ!」

 

そういって彼女の指が差したのは、自身の左腕、手首よりちょい下のところだった。

よく見ると、何か焼かれてる。

 

「焼印?!」

 

びっくりし過ぎて一瞬気を失ったが、彼女が起こしてくれたみたいだ。

 

「大丈夫ですか?それで、提案なんですけど、暫く私の家に住みませんか?」

 

唐突で、さっぱり意味不明だった。

 

「…どゆこと?…ですか!」

 

「多分その焼印…私の家なら、住み込みで探索者としての修業が出来ますよ!」

 

かわいくない子と一緒に住むなんてやだやだと思ったが刹那、その家にはかわいい子が住んでいるのではないか。そんな期待がよぎってしまった。

 

「…お願いしたいです!」

 

そんな損得勘定から始まった異世界ライフである。

ちなみに主人公は、(タイプの)かわいい女の子なら誰だって好きな奴である。

 

法がなければ何でもやる、そんなやばい奴である。

以後お見知りおきを。

(1話のは、そういうこと)

 

 

 

 

 

 

 

道中で昼ご飯を済ませ、また歩き出す。

昼ご飯は、異世界のマドレーヌもどきだったが、これまた美味だった。

 

 

「シエール!なーせちゃん!帰って来たよ~!後今日から住人が1人増える~!」

 

白い豪邸、って感じの家に着くと、男の人が迎え入れてくれた。

見た感じ、屈強なサイモンといったところだろうか。

長い髪を両端に流している。

 

「おかえり、って、そいつ…あの野郎の…」

「そうだよ?だから持ち帰って来たの。なーせちゃん、早く~!」

「しっ、今はあいつ寝てるから。」

「分かったよ…」

「えっと…どなたですか?」

「俺はシエールだ。なーせちゃんっていうのは…事情でこの家に住んでる女の子のことだ。」

 

どうやらもう1人住んでいる人がいるようだ。

期待が高まる。

 

「よろしくお願いします。お邪魔しますね。」

「あぁ。」

「そういえば、自己紹介がまだだったね!私はウラーセル・サファーニよ!気軽にサフィと呼んでちょうだい!」

 

会ってから思っていたことだが、彼女は凄く元気な感じがする。騒がしくなりそうだ。

 

「改めて、よろしくお願いします。」

「そんなに固くならなくて良いって。これから一緒に住むんだし。」

「はい。なら、手洗いは?」

「…滅菌するよ~」

 

暫く後、サフィは手を前に出してこう言った。

みるみる内に、手の汚れが消え、洗いたてのような感触になる。

 

「…え?」

「お前はどこから来たんだ?」

 

戸惑う自分を他所にシエールが質問を投げかけてきた。

 

「別世界から、です。」

「なるほどな。この世界では、全部ではないが、基本的な生活は魔法で行われてる。今度教えてやろう。」

「ありがとうございます。」

 

お邪魔してすぐ、襖形式のドアが見えた。

掛けてある物には『な~せ』とかわいく印字されている。

 

「そういえば!なーせちゃんの様子でも見て来よっか!」

「そうだな。」

「ところで、なーせちゃんって本名なんですか?」

「違うわ!彼女の本名は、茅鳴(ちなる)と言うのよ!」

「何で全然違う呼び方を?」

「…」「…」

 

茅鳴のいるという部屋に入ると、茅鳴という子はクーと眠っていた。

 

「相変わらずかわいい寝顔ね。」

「だな。彼女が安心して生活出来るようになったのは良かった。」

「何かあったんですか?」

「正しく売られる為に臓器を取られる、その直前に助けたってだけだ。」

「そう…なんですか。」

 

確かに、街道の治安は思った以上に悪かったように思える。

ちょっとした広場では乱闘が起こっており、道端には死体も転がっていた。

雰囲気だけは小町通りみたいな感じだったが、危険度は高い地域みたいだった。

茅鳴は、あどけない寝顔を晒すだけだった。

 

 

戻ってサフィは夜ご飯の準備を始める。

 

「そういえばあなた、料理出来る?後名前は?」

「出来るけど…後名前は会うときに言いましたよ。」

「じゃあ手伝ってちょうだい!名前はもう1回お願い!」

 

目線をちらとシエールにやると、やれやれといった感じの目線を返してきた。

埒があかなそうなので、ささっと名前を教えてやった。

 

「瀬柘!じゃあこれ!油にさっと通して~」

「何と人使いの荒い…」

 

夜ご飯が出来て、さあ食べようというところで、眠たげな目を擦って茅鳴がリビングに出て来た。

かわいい。

そうそう、茅鳴は肩にかかるぐらいまでの茶髪だった。

 

「…誰?この人。」

「水下瀬柘っていうらしい。」

「瀬柘、よろしく。」

「よろしく。」

「シエールと同類ではなさそうだね。」

「…!」

「どういうこと?」

 

辺りがシーンとなった。

サフィの言ってることが分からなかっただけで、まずいこと言った?ねぇ

茅鳴はジト目でサフィとシエールを見ている。

シエールはいたたまれなさそうだ。

 

「いや、何てことはない…サフィ、余計な事を言ったらどうなるかぐらい分かるな?」

 

「冗談だって。さ、食べよ食べよ!」

 

この日頂いたのは、カツである。

しかしこのカツ、2度揚げている。

調理技法も特殊な気がした。

まぁ良いや。

その他様々な料理は、俺の胃を満たしてくれた。

 

「満足いただけた?」

「勿論」

「ごちそうさま」

「うまかった!」

 

─異世界飯、やっぱりおいしいのか?

そして夜ご飯を食べ終わると、サフィが奥から何かを出して来た。

 

「タクティックで遊びましょ!」

 

タクティックとは、異世界流カードゲームのことらしい。

押したり引いたりの駆け引きで上手く勝つゲームであるとのこと。

俺はサフィから一通りのルールを教えてもらい、早速遊び始めた。

 

「先ずは親交を深める為にも、カードゲームよ!」

 

 

─どことなく、カラースプラッシュに似ているのは気のせいだろうか。

 

 

「3コスでステーキカードをここに置く」

 

「あぁ!そうめんが…」

 

「私はハーブティーで」

 

「これは、ハロウィンクッキーにしようかな…」

 

そんなこんなで勝敗が付いた。

 

「よし!」

「やっぱりシエール強い」

「何でビリなのぉ!」

この対戦で何となく分かったことがある。

シエールは大胆でありオーバーな、そんな人だということ。

サフィは、まぁテンションが高い。会ったときから思ってたが。

茅鳴は、冷静に物事を見極めるような、鋭い目をしてる。

 

この後も何回か対戦してお風呂に入ることになった。

 

「シエール、行くよ!」

「待って!まだシーユ*1が出来てない!」

 

サフィがシエールを引っ張って連れて行く。

屈強な体は何の為にあるのやら。

茅鳴が服の裾をつまんできた。

 

「…後で一緒に入る?この世界の慣例で、年の最も若い2人は一緒に風呂に入るっていうのがあって。」

「あの2人何歳なの…」

「サフィが67歳でシエールが64だったかな。瀬柘は0歳、私は9歳。」

「え、何で0歳?」

「この世界に来た時点から数えるから。それに、そんなに年じゃないでしょ?」

「まぁ、23だけど…」

「やっぱりその辺。お風呂の入り方も慣れないだろうし、一緒に入るよ。」

「えぇ…知らない男の人と風呂に入れるの?」

 

流石にまだ箍は外さないように気を付けている。

ただ、茅鳴が呆然とその様を眺めているような気が…

 

「え、寧ろ駄目なの?まぁ、シエールのことを考えると…」

「いや、駄目ではないけど引かれる…というか。」

「引かれる?年齢や性別による何らかの制限は一切ないよ?好きにして?」

「え?」

「あっ、あそこに置いてある紙貸して?」

「この字面、見覚えがある…」

 

茅鳴はその紙を真剣な眼差しで見ると、納得したようにこっちに向いてきた。紙とペンを持って。

ねぇ、どっから出現した?ねぇ。

 

「この世界の人の体は、こんな感じになってる。体の出来具合に関しては、男女の違いはないに等しいね。勿論例外もいるけど。」

 

排泄器官もなければ生殖器官もない。

驚愕の事実がつらつらと述べられる。

思えば「ない」気がする。

尿意もしない。血は流れている感じがするが。

 

「じゃあ、どうやって…」

「…誰がこんなのつくったかは知らないけど、ちょっと追加事項を書いておいてあげる。」

「それと1つ…瀬柘に興味がある。」

「…だから入ろ?」

 

上目遣いをされると弱い。

前の世界の常識が変わっていく。ロリコンがこの世界に来たらどうなるんだか。

絶望するのか、はたまた歓喜するのか。

 

 

 

 

 

 

 

風呂はガラス張りになっていて、洗面所からでも中の様子が見えるようになっていた。

所謂海外のお風呂みたいな感じだ。

中は日本でよくあるシャワーと浴槽付きの一般的なお風呂である。

 

「服は…脱いだら貸して。綺麗にしてパジャマ…は駄目だね。」

 

洗面所から出て、何かを取りに行った茅鳴が戻って来た。

 

「これ使って。」

 

そう言うと、茅鳴はニャー(とう)からつくった白い物体の形*2をトレードマークとした如何にもなパジャマを渡してきた。

 

「サイズに関しては心配無用。そういえば、あそこにある冷蔵庫程の大きさしたやつ気になる?」

 

先行して訊かれた為、普通に気になって教えてもらうことにした。

 

「これは、コーヒー樹-乳(じゅーにゅう)精製機。風呂上がりはやっぱこれがないとね。」

「じゃあ入るよ。」

 

初めての異世界お風呂タイムだった。

 

水に濡れる茅鳴がかわい過ぎてやばち、

 

 

しっかりと体を洗って、…

 

駄目だ、かわい過ぎる、抑えろばか

 

「…水圧大丈夫?」

「ちょっと弱いかな。」

「分かった。」

 

 

大変だった。

 

お風呂から上がり、体を拭いて、用意してくれた寝室へ向かう。

─あれ、ここって…

 

「じゃっ、2人ともおやすみ!」

 

バタンと勢いよくドアが閉められる。

出て来ないでねと言わんばかりの閉め方や。

 

「…寝ないの?」

「いや、この部屋どんな感じかなって思って。」

「そっか。前いた世界とは結構違う?」

「全然違うな。食材は見たことないのばかりだし、ファンタジー世界にいるかのよう。」

「じゃあ、私にとってのファンタジーを聞かせて?」

 

それから永い夜が始まった。

前の世界とこの異世界、交わる談義。

それでは、おやすみ。

*1
異世界の冷たいお茶の1種

*2
要はこの世界での豆腐の1種




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お風呂事情について…↓

この世界のお風呂事情ですが、そもそもの話この世界ではお風呂の習慣が日本ほど定着していません。お風呂を流行らせようとした人達はみな、総じて酷い運命を辿っています。
この世界でのお風呂文化が発達しない理由は主に2つあります。
1つ目が、そもそもお風呂に入る理由がないからです。
特殊な水で体を流すことが出来るのであれば、清潔さを保つ為のお風呂は必要なくなると共に、そもそもこの世界の人達、体臭ゼロです。
汗腺がある種族もいますが、例外なくその汗は何かしらの浄化作用を持ちます。
2つ目が、こんなことより他のことやれ、です。
お風呂に入るメリットも勿論あるのですが、それならもっと他のもので代替した方が良いという感覚を持っている人が殆どです。
掛けるものに対して効果が薄いと感じられるものは殆どやらない人達です。
お風呂の代わり、セラピーとかは繁盛しまくってます。
銭湯·温泉事情に関しては、今後の展開を楽しみにしといてください。

因みにこの家にお風呂があるのは、十中八九シエールのせいです。
掘り下げるかは分かりませんが、この家の諸悪の根源はほぼシエールにあります。
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