カレーの付け合わせは福神漬けよりらっきょの方が好きなんだけど甘酢漬けにしたはずの瓶の中から勝手にテレポートして外に出ちゃってる件について 作:大神山
「ここに一枚の紙があります。」
そう言われて突き出された一枚の紙は、この数か月。俺の頭をずった悩ませていた悩みの種だったった。
マジでふみん状態にさせられた。その忌まわしき紙を…。
「なんでアンタがそれをもってる。」
「そりゃ、君のお父さんに貰ったからだよ。息子を頼むって。」
オレンジアカデミー合格通知。ただし、期限はとおに過ぎており、今日が今年度のオレンジアカデミーの入学式だ。俺はそこにはいないけど。
「なんで行かなかったの?」
「いや、しってる?学費バカ高いんだぜ、あそこ。」
ちなみに俺は知らないで受験した。
知らないよ。ゲームに学費の項目なかったし。寮費もきっちり取られるしね。
受験会場の雰囲気で、マズったとは思った。
そりゃ、イジメが起きる訳だ。あの学校は歴史も格も一級だが、中身が腐ってる。まさにオレンジだ。
あの学校は、3つの派閥に分けられる。一つは頑張って努力して、バカ高い学費払って格と箔を求める秀才。もう一つが学校の箔と格を維持するために学費免除で入学してくる特待生ら天才たち。そして学校のパトロンとなる大企業や有名人の血族たるボンボンたち。
ネモ、ボタン、ペパー、オルティガ。登場人物の後ろに何が見えるかお察しの通り。
オルティガに関しては世界でも最も歴史と格が高い学校の一つに通っているのにも関わらず、いじめ問題を抜きにしてもベースの学力と学ぶ意欲に疑問が残る。
しかも、オルティガだけの問題ではなく、あれよりヤバいのがごまんといる。
さらに、教師が彼らを甘やかす。もちろん、教師たちが彼らを評価しているのではなく、その後ろにいる彼らの庇護者におもねっているだけだ。
だからいじめ問題が起きるし、問題が起きて何がどうなったか。学校を良くするでもなく、問題解決に奔走するでもなく。果ては心に傷を負った学生に寄りそうでもなく、教師は一人残らずやめていった。
止めてもらったなんて言っていたが、実際のところは面倒ごとが山積し、実入りのなくなった学校にいつまでもいる必要がなくなったから、あれだけ伝統のある学校の教師という地位を捨てただけの事。誰一人しがみ付かなかったことにあの学校の問題の大きさが見える。
まぁ、そんな問題だらけの学校にすら通えなかった奴がなにを言ったところで寒いだけなんだが…。
「なんでほかの学校を受験しなかったのさ。」
「まぁ、落ちるわけないと思ってましたし…。」
実際受かってはいる。行こうと思えば行けた。ただ、バカ高い学費で家計を圧迫してまで行く価値があるかと言えば…。
この世界、スクールを卒業するとアカデミーへと進学する。まぁ、大半は進学をする。8割方進学する。
進学しなかったレッドやグリーンなんておかしな奴らが偶にいるが、まぁ進学する。
ちなみにリーグ挑戦へのバッジ集めは、夏休みなどの長期休暇でジム巡りをする奴が大半だ。パルデアでは宝探しなんて言っているが実際は夏季休暇期間である。ちなみにチャンピオンロードもスターダストストリートもレジェンドルートもホームウェイも扱いとしては自由研究である。
間違っても、スクール卒業したからチャンピオン目指すので旅に出ますっていうのは、レッドとかグリーンとかヒビキとかそういう頭おかしいのしかいない。
ちなみにシルバーには帰る家がありません。進学前に父親が蒸発しました。さらに実家はグリーンに奪われました。
なので実家手伝いor就職or俺はこいつらと旅にでるの3つの選択肢しかなかった。
ちなみに来年は進学します。オレンジアカデミーとかもういいから、キキョウかコガネのアカデミーにでも通います。
「だから僕の出番さ。」
え~、なんかめっちゃどや顔するじゃん。こういう場合ってろくなことないんだけど…。
「ここに三枚の紙があるでしょ?」
そう言ってテーブルの上に並べられる三枚の紙。
A4、B5、A4と真ん中に置かれた紙だけ目立って大きいのが気になるが、それよりもそこに書かれてある『雇用契約書』の文字が俺の頭を痛くさせる。
「好きなのを一つ選ぶんだ。」
コガネジム雇用契約書、ヒワダジム雇用契約書、ヨシノジム雇用契約書。
その三枚の紙の後ろで腕組みしながらこっちにドヤってるヒワダジムジムリーダー、ツクシ(22)。
あ~なんだろう。この10代半ばにしか見えない残念イケメン。だんだんマツバさんっぽさが増しているようなフブキさんっぽさが増してるような…。
ジョウトのジムリーダーは年を取ると残念になる傾向があるというが…。
「はぁ…。」
「なんだい、ため息なんかついて。」
「いえ、私めは本日より旅に出ようと思いまして。」
そういうとツクシさんの表情が一気に曇る。
「だめ。はい、だめで~す。許しません。」
ガキかよ。風貌はガキに見えるがあんた22歳だろ。
「そもそも僕はオレンジアカデミーの受験の件も知らなかったんだからね。その件もあって僕がリーグいグチグチ言われる羽目になって…。マツバさんなんて…。」
あ~、まさにゴースト使い。ニヤニヤしながらチクチクぶっ刺してきたんだろう。あの陰険愉快犯。
「と・に・か・く。君をジョウトから出すなって厳命されてるの。特に今の時期、上はゴタゴタしてるからわがまま厳禁。」
「え~。」
せっかく転生したわけだしいろいろ知りたいし見て回りたいんですけど?
「え~。じゃないの。君のパトロン、というか後ろに控えてるのが何なのか知らない訳じゃないでしょ。」
「……。」
「もともと優秀な子だったのはこの村を見てきた僕はよく知ってる。それでこそ君が初めてポケモンの卵を受け取った場面に立ち会ってたくらいだ。好奇心旺盛でヤドンの井戸やウバメの森に勝手に行っては怒られてるのを君の両親と一緒に怒っていたのは僕だ。」
そう、ツクシさんは俺にとってお兄さんみたいな人だ。まぁ、中身はいまだに虫取り少年なんだが。
「だからこそなんで君なんかがこんな重荷を背負わなければいけないのか理解に苦しむけど、君に何かあればジョウトが崩壊しかねない。」
「……。いや、ねえな。」
まさか、そんなことにはならないだろう。そこまであれが俺の事気に入ってるとかないぞ?あのはらぺこ球根。
「あるの!セレビィの力はホウオウやルギアに匹敵する。幻だなんて言われているが時の流れを操るれっきとしたとした伝説クラスなんだよ。」
え〜、違うよ?あれは、ソロキャンならぬ、ソロ➕3匹でキャンプしてる時にかってに現れては人の飯つまみに来るただの球根だよ?
「とにかく君は今日からヨシノジムのジムトレーナーってこと!。」
しかもちゃっかり自分とこのジムトレーナーにしやがった。どーせ、仕事を部下に任せて虫取りに行くくせに。
だから、リーグにもマツバさんやカリンさんにもグチグチ言われるんだよ。まぁ、あの人たちもリーグも人にグチグチ小言聞かされてるし、それを気にもしてないふざけた大人なんだけどね。
でもまぁ…。
「無理です。俺、旅に出るんで。」
「うんうん。じゃぁ、明日の朝9時の出勤ってことで…。って、ちよっと待った。」
「ん?」
「ん?じゃないの。分かってるの自分の立場。」
と言ってもなぁ。それこそあいつが一番嫌う選択肢なんだろうし…。
「逆ですよ、逆。俺の自由を奪っていいように使おうとすれば、いつまでたっても芽が出ないあの腐った球根が駄々こねますよ?」
ウバメの森でキャンプしてるときにあれの分の食事を用意しなかったら駄々捏ねまくってウバメの森が枯れた。ジョウト一帯にそれが広がることをポケモンリーグはそれを恐れてる。
「芽ないの?草タイプなのに?」
「ないですねぇ。触覚と羽は有るんで、あれ多分虫・フェアリーですよ。タイプ詐欺です。」
実際ツクシさんが引き取ってくれればいいんじゃね?アイツが納得するかは知らんが。
「「……。」」
「とにかく…。僕、どうしたらいいかな?」
「さぁ?」
しらんがな。