超能力者のセカイ   作:聖剣エクスカリバー

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あまりワンダショ原作との変更点が無い話なので連続投稿。


第五χ うるΨ2人組! ロボットダンスも止まらない

「というわけで演出家とマジシャンを連れて来たぞ!!」

「わあ〜! 昨日のショーの人だ! マジシャンの人もなんか凄そう! ようこそわんだほ〜い☆」

 

 僕達は遊園地の端っこの、寂れたショーステージで軽く自己紹介をしていた。

 やれやれ、とうとう断れずここまで来てしまった。もうどうにでもなれだ。……それに、聞きたくなかったことも知ってしまったからな。区切りが付くまでは協力してやらんこともない。

 

「へぇ、こんなステージがあるなんて知らなかったな。古いけどしっかり手入れされているね。」

「えへへ! あたし、鳳えむ! よろしくね、類くん♪」

「……鳳?」

「ねぇねぇ、マジシャンの楠雄くんはどんなことができるの?」

「折角だ、瞬間移動以外も見せてくれ!!」

 

 さて、どこまで教えてやるか。

 瞬間移動だけだとは言えない雰囲気だ…。

 

[後ろだ]

「っわぁ?! すごい、見えなかった!!」

[その椅子を見てみろ]

「うぇぇ?! う、浮いてる?!」

「やはり楠雄、お前は天才的なマジシャンだな!!」

 

 浮いている椅子の周りをギャーギャーと回る2人だったが、神代は流石に眉を顰めてしまう。

 

《今、タネを仕掛ける時間も素振りもなかった筈…。一体どういう仕組みなんだ?》

 

 くっ、やりすぎたか…?

 

《まあ、あの二つの技術だけでも演出が凄く派手に出来そうだ。素晴らしいね…!》

 

 よかった、ショーにどう活かすかに思考をシフトチェンジしてくれたようだ。あの2人は大丈夫そうだが、神代にはやはり気を付けた方が良さそうだな。

 

 てかオイ乗るな、何してる。

 ゆっくりと椅子を下ろした後、鳳さんはピョピョン飛んで凄い凄いと言っていた。流石に何も考えてないわけではないが、アイツからはNの気配を感じるな。

 

「そういえば、推薦したいと言っていたもう1人のメンバーはどうしたんだ?」

「ああ、そこまで一緒に来てたんだけど…彼女は少し話すのが苦手でね。呼んでくるから待っていて欲しいな。」

「どんな子なんだろ? とっても楽しみ!」

 

 草薙さんは僕以上に筋金入りだからな。全く、最初見た時は驚いたぞ。

 

「みんなおまたせ。連れて来たよ。」

「「ロボット?!」」

 

 現れたのは本人を模った顔がデカいロボだ。今にも『ネネダヨー』とか言い出しそうである。

 

「大きいロボットだ〜!あたしの腰くらいまであるよ!」

「わ、わざわざロボットを推薦したのか?! そんなに思い入れのあるロボなのかコイツは?」

「僕がショーに使っていた自立型と違って、これは遠隔操作型でね。僕が作ったんだけど、一回の充電で3日間はフルの稼働に耐えられるし、ショーに適した複雑な動きも出来るように設計してあるんだ。いやあ、我ながら素晴らしいものを作ってしまったなあ。」

「ええい、自画自賛などいい! それより、操作してる人間はどこに居るんだ?」

「ああ、ここから少し離れた所に居るよ。大丈夫。彼女のコントロール技術には、僕が太鼓判を押すよ。」

 

 それにしても、ロボットがショーか…斬新だとは思うが、大丈夫なのだろうか?

 天馬も同じことを考えていたようだ。

 

「はあ……。あのなあ類。オレが欲しいのはロボットじゃない。ショーをやれる人間だ。」

『……なに。なんか文句あんの?』

「わわっ。喋った〜!」

 

 意外と口悪いな。

 

「あたし、鳳えむ! よろしくね♪ ロボちゃん、お名前はあるの? 」

『……名前? え、ええっと……』

 

 かと思ったら気弱っぽくなったな。どうやら強気なのは天馬相手限定らしい。なんだか悲しい生き物だな。

 鳳さんにより、ロボの名前は本体の“草薙寧々”という名前を捩って”ネネロボ”と名付けられることになった。

 

 天馬がその後もネネロボにつっかかり文句を言うが、ネネロボは極めて精密な操作でのタップダンスやジャズダンスを見せることで実力を証明する。

 それにしてもあの等身で凄まじい動きだな。あれをマニュアルでやっているんだから、恐らく寧々さんはプロゲーマーが一番向いている。

 

『……どう?』

「い……いや、まだだ! ミュージカルショーは歌こそが最も重要! ロクに歌えんようなヤツは、ステージに上げられん!」

 

 その理論を僕に当てはめてくれれば一瞬にしてここから帰られるのだがな。

 

『ふーん、歌えばいいの?』

「へ?」

 

 ネネロボはかなり綺麗な歌声で歌い出した。

 ……本当に上手いな、歌手のものを除けば人生で聞いた中で一番上手いかもしれないぞ。

 

『それで? 次は何をすればいいわけ?』

「ううっ…!」

「どうだい司くん。寧々は、メンバーの条件を満たしているだろう?」

「くっ…たしかに、歌と踊りの出来は認めるしかない……」

「ええっ?! じゃあ、じゃあ?」

「わかったわかった! こいつが5人目のメンバーだよ」

「やったー! よろしくねっ☆ ネネロボちゃんと寧々ちゃんっ!」

『……まっ、よろしくね。』

 

 それにしても、ロボットの劇か……少しは見てみたいかもしれないな。

 

 

 

 

 

 

「それで、このシーンなんだけど…」

 

 翌日。

 天馬が夜鍋して作って来た台本を囲み、僕達は演出の会議をしていた。ちなみに、ストーリーは強くてカッコいい王子様が魔王を倒しに行く冒険譚だ。勿論主役は天馬である。

 恥ずかし気もなく自身を持ち上げるストーリーを作って来れる精神性は、最早尊敬すべきなのかもしれない。

 

「観客が王子ペガサスに深く感情移入できるように、過酷な旅の始まりへの強い決意を表現したい。」

「ふんふん」

「そこで雷を落とそうと思う。」

「ふんふ…うん?」

「雷?! カッコいい〜!」

 

 なるほど、確かにステージの明滅で表現可能だな。悪くない演出になりそうだ。

 

「だろう? 丁度ここにプラズマ発生する装置がある」

 

 物理的だった。

 

「いやいやいや! 危険すぎるだろう!!」

「装置を舞台上に固定しておけば、お客さんは安全だよ。触ったら死ぬけどね。」

「オレのリスクが高すぎる?!」

 

 凄いな…心の声で事情を知ってはいたが、想像以上の演出家だな神代は。

 

「そんな危険な演出はダメだ!」

「そんな……。どんな演出にも12000%の結果で応えてみせると言ってくれたのに…!」

 

 確かに言ってたな。よし天馬、今すぐプラズマ装置に飛び込んでこい。

 

「でもでも司くん! ステージが雷でピカ〜っとしたら、と〜っても目立って楽しそうだよ!」

「?! め、目立つ…!! た……確かに、目立つな。雷が落ちるステージなと前代未聞…話題性がある。」

 

 確かに、人が丸焦げになったステージなら話題性抜群だろうな。ネットニュースどころかテレビデビューも夢じゃない。尤も、出演者は遺影の画像だがな。

 

「……類。……ちょっとぐらいなら、やってもいいぞ」

「え?」

「べ、別に目立つからという理由じゃないぞ。斬新さは、スターのショーに必要不可欠だからな!」

 

 マジで引き受けるのか…。

 ショーに携わっていたメンバーSとして取材されるのは嫌だぞ。

 

「……へぇ……それじゃあ……。」

 

 そこから始まるのは、神代による無茶振りラッシュだった。

 

「ドラゴンと闘うシーンで、火炎放射器を改造した装置を使ってみてもいいかな?」

「な、なに?!」

「あとは、魔王と闘うラストシーンで、10mほど飛んでみるのはどうだい? 以前、足元から強風を当てて浮かせる装置を作ってみたんだ。あのシーンで使ってみたら面白いだろうなあ。」

「ど、どっちもメチャクチャ危険じゃないか…。」

 

 そうだ、諦めろ。命の方が大事だぞ。

 

「だが、どちらも目立つ…! ならばスターとしてはやるしかない…!!」

 

 ハイオワリ。今の内に、『僕だけは反対してたんです』的な証拠でも作っておこうか。

 

「わーい、とっても楽しそう〜!他には他には?」

「じゃあ、折角の屋外ステージだから滝を作って――」

『……これ、どう収集つければいいわけ?』

 

 神代の新演出ラッシュは止まりそうにない。

 草薙さんに全面的に同意である。

 

 ひとしきり言い終わった後、神代は思い出したように僕に問いかけてくる。

 

「そうだ、演出のために聞いておきたいんだけど……君のマジックのタネを教えてくれないかい?」

 

 む……やはり聞いてくるか。

 

[僕は瞬間移動マジックと念力マジックが使える……それ以上を教えるつもりはない。演出に使う内容を僕に頼めばそれで充分だろう。タネ明かしを望むなら、僕は帰らせてもらうぞ。]

 

 あわよくばこれで本当にやめられるといいんだがな。

 

「いや、確かにマジシャンにとってタネは命だろうが…オレ達はあくまでショーをするんだぞ? 万全のショーを望まない様な奴は、オレ達のショーには……」

「良いじゃないか、司くん。楠雄くんのマジックの腕は恐らく世界トップクラスだ。居るのと居ないのとじゃ演出の選択肢に大きな差が生じるよ。望みすぎで貴重な戦力を失っては、本末転倒だ。」

「……それもそうだが…。」

 

 チッ、惜しいな。

 

「それじゃあ、色々試してみようか! そうだなぁ、フフ、小物を同時に動かすとかはできるかい?」

 

 どこからかロボットが運んで来た籠には、バスケットボール程の大きさの柔らかそうな毛玉が詰め込まれていた。

 

 やはりタネを仕掛ける動作なしにやるのは怪しまれる。先に変な動きで間を作っておくか。

 左手を真っ直ぐ伸ばして右手は畳み、両方の掌を向けて念を送るフリをする。

 

「ふ、雰囲気があるな」

「ゴオォッって感じだね!」

 

 その全ての毛玉はぴょいぴょいっと飛び出し、フワフワと僕達の周りを生き物の様に舞い始めた。

 

「うおっ、同時にもイケるのか!」

「わぁぁあ、すっごーーい☆ ねぇねぇ、これどうやってるの?!」

「今の話聞いてたかえむ…?」

「あっ! ごめーん☆」

《なるほどここまで出来るのか予想以上だな 例えば霊魂が漂う演出に使える観客席に飛ばすと盛り上がるね これが出来るならドラゴンの様な巨大物も軽ければある程度自在に操作できそうだ こんなに手軽なら観客を飛ばすという手もいやそれは最早マジックショーか だが観客参加型というショーも面白そうか これを使えば投げる演技も失敗が0になるから取り入れやすくなるね 役者自体に使用すればアクロバティックな動きの援助やいざという時の安全策になりそうだ 今回の演技に滝登りをするシーンを加えてみようか そもそもこの一見超能力にしか見えないマジックを活かせば超能力者をテーマにしたショーが――》

 

 いや長いって。読者の半分も真面目に読んでないと思うぞ。

 

「ここまで実力を証明されたら認めざるを得ないな……ただし、全力でショーに取り組むことは約束してくれよな!」

 

 全力か……。

 出すわけがないだろう、こんなことに。

 

 

 演出についての話し合いは、結局日が暮れるまで騒がしく続いたのだった。

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