異世界で出会い厨やってるけどなんか質問ある? 作:タコス
勇者とはこの国における国宝的な存在であり、その血は代々受け継がれている。勇者と言うだけで何もかもが免除されるリップサービス付きだ。そんなVIPな方の家に強盗に現在進行形で入っている俺は完全にアウトだと思う。
例え、安価で選ばれたからと言ってそんな事を言っても分かって貰えないだろうし。家主にバレたら悪・即・斬で死ぬ。でも安価は絶対だから
やるしか無い。
しかもこれが終わったら、次は魔王城に行かなきゃ行けないし。いくら死なないからって、命を懸けすぎな気がする。これが終わったら暫くのんびりしよう。安価なんて言う悪魔の囁きなんか忘れて幸せに暮らすんだ。
なんて事を考えていたせいか。
『待て、泥棒!』
家主がタイミング良く帰って来てこの状態だ。取り敢えず言い訳が出来ないので、言葉だけ返そうと思う。
「何も否定出来ない自分が辛い!」
『僕のパ、下着を返せ!』
「あ、反論の余地が降って来た!それは盗って無い!」
勇者様、パンツよりも大事な物が盗まれてる事に気づいた方が良いですよ。天国のお爺ちゃんも、きっと草葉の陰で泣いてるよ。
『嘘をつくな!下着の収納棚でコソコソしてただろ』
場所が分からなかったから、適当に漁ってたらそこが下着コーナーだっただけだ。そこに邪な気持ちは無かった。
『と言うかパンツを取ったんじゃなくても、そもそも違法進入だぞ!』
「バレた」
面倒臭くなりそうなので隠れられそうな場所を探して駆け込み、飛行石を太陽に当てる。が、何の反応も無い。
うわ、もしかして充電に時間が掛かるタイプか?参ったな。大事そうに下着に包まってたし。これも先代勇者の作戦だったのかもしれない。エロジジイだったし。
《後、五万年掛かりマス》
「はぁ?」
流石の俺も五万年は生きているかどうか分からない。どうにか出来ないか太陽の光を浴びせながらブンブン振って。乱数調整をしてから、再び太陽に向かって走り始めた。
《飛行開始まで五秒デス》
やっとか。危ねえ。ちょっと休んでも良いだろ。いやぁ、にしても僕っ娘勇者ってベタ過ぎない?正義感があって、嫌いじゃなくてむしろ好きだけどさ。俺の出会い系センサーと、悪魔が出会っちゃえよ!ラブコメっちゃえよって煩いんだけど。
「初対面印象が最悪な方から始まるのはラブコメっぽいな。そこから色々あって意識し出して好きになるって言う物語のお約束の流れ」
現実じゃ、一度会ってそのまま疎遠だったり、悪そうなヤンキーやチャラ男にNTRれたりするんですけどね。
ま、どうでも良い世間話は置いといて、そろそろ魔王城行きますか。五秒経ったし。
《まもなく飛行致します。駆け込み飛行は遠慮下サイ》
こうして、グイッと引っ張られる様に打ち上げ花火の様に空まで俺の体は浮かび上がる。
横を見れば青空があり。今なら、雲にも手が届きそうだなぁと呑気に思っていた所。
ガクンとした衝撃と共に急速に落下を始めた。
《ご利用有り難うございマシタ》
うわああああああ死ぬ!死なないけど死ぬって!
不老不死先生の次回作にご期待下さい。