異世界で出会い厨やってるけどなんか質問ある?   作:タコス

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生きてた

 

死ぬほど痛いと言う言葉がある。多分、今の俺に一番合っている言葉だと思う。何故なら死ぬ程の痛みがあるのに死ねないから。

 

落下の衝撃は思いの外強く、多分俺じゃなかったら即死んでいただろう。あんまり好きじゃない表現だけど、語彙力が無いせいでそれしか思いつかないのが悔しい。

 

まぁ、それでも目の前には廃墟。いや、ボロい廃城があるから、目的地には着けた様だ。身体中死ぬ程痛いけど。

 

あ、待って?本当に痛いかも。駄目だ。コレ、やばい奴だ。痛い痛い。

 

体を動かそうとして力を入れると、全身が悲鳴を上げてるのが手に取る様に分かる。脳は起き上がろうとしてるのに身体はそれを無視し、休もうとしていた。

 

日本人は働き過ぎだから、休もう。もう俺は疲れた。魔王城を目の前にして、俺はそっと目を閉じた。

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

『……せ』

 

誰かが何かを言っているのが聞こえる。聞いた事が無い声だ。だが、良い声なのは分かる。

 

『……ませ』

 

ませ?マセって何だろうか。マセガキかな?いや、いらっしゃいませかもしれない。魔王城って実は秋葉原のメイドカフェで、店長が魔王で幹部四人が四天王だったりしない?

 

『目を覚ませ!』

 

「いたい」

 

思いっきり叩かれて、最悪な目覚めになった。

 

異世界にはコンプラもフェミニストも存在しない様なので、そう言う表現はやりたい放題らしい。無敵か?だから、異世界人は皆露出度がおかしいんだ。俺は一人で理解し、納得した。

 

『漸く目が覚めたか、勇者め』

 

「……へ?」

 

これは寝ぼけて聞き間違えただけか?それとも、俺の耳が寿命なのかどっちだ?すいませんショタじじいなんでね。もう一度、大きな声でハッキリと言ってくれんか?

 

『漸く目が覚めたか、勇者め』

 

俺の思いが回り回って伝わった様で。まるでゲームのNPCの様に、一言一句変わらない言葉を同じ挙動で届けてくれた。現実世界でそれやられると、頭がバグったのかと思うな。ゲームではそれが普通なのに。

 

「あ、えっと貴方は……そして此処は?」

 

一応の情報確認の為、目の前の女にそれを尋ねる。それは、若干の現実逃避も含まれていた。

 

『貴様は何を言っている?此処が何処だか分からなくて入った訳じゃないだろう?……まぁ、良い。それが貴様の最後の望みと言うなら聞いてやろう』

 

女は近くの豪華な椅子に座り、足を組む。ほえー足長いアピールっすか。良いっすね、モデルさんみたいで。こっちは短足なんすよ。クソが。

 

『此処は魔王城だ。そして、私が城の主と言えば分かるだろう?勇者よ』

 

「あの、信じて頂けないのを承知で言わせて頂きますが、私は勇者ではないです」

 

魔王はそれを聞くとおかしそうに笑った。まるで何を言ってるか分からないとばかりに。

 

『お前はどうやって来た?それが理由じゃないのか?』

 

言ってなかったかもしれないが、飛行石は歴代勇者が受け継ぐ物と言われている。つまり、それを持っている者が勇者だと証明している。安価なんかやらなきゃ良かったって言うのも、この結果が証明してますね。あははははは。

 

「……」

 

『そんな態度をするな。私はお前を待ち望んでいたのだ』

 

「俺は待ち望んで無いです。──こんなか弱い少年が魔王を殺せるなんて思えますか?」

 

『勇者に年齢制限が存在するのか?』

 

クソッ。こっちがチワワみたいな顔してるのに、そんな冷徹な目で正論を言うな。駄目だ、魔王と戦うしか無いのか。俺が?

 

誰だこんなシナリオ考えた奴。見つけたら不老不死にして、木で縛り凡人の極みで永遠にサンドバッグにしてやる。

 

「やるしか無いんですか?」

 

『勇者として私を殺すのが、仕事だろう?』

 

彼女から発される重々しいオーラで息苦しくなる。恐らく、死ぬんだろうな。

 

「そうですね」

 

よし、良いタイミングで石奪って帰ろう。安価には魔王と戦ってくださいとは書いてなかったからな。生きて帰るまでが遠足ですしおすし。

 

『さぁ行くぞ』

 

「逝きますか」

 

片手で剣を抜き、構えた魔王を見て俺は先手を打たれる前に足を走らせ距離を詰め。

 

思いっきり力を込めた拳が魔王の顔面に突き刺さった。

 

 

 

 

 

 

 

え。

 

突き刺さっちゃったの?アレ?

 

壁破って吹き飛んじゃった。

 

?????

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

「──う、そだろ。まさか、こんな」

 

『ハハハハハハ!正直……此処まで強いとは思わなかったぞ。ゴホッ……だが私の、』

 

勝負は一瞬で着いた。正直俺は驚いていた、まさか此処まで圧倒的な闘いになるなんて思っていなかったからだ。それ程までに両者には力の差が存在していた。

 

「魔王よ」

 

『勇者……いや、勇者を騙るものよ。お願いがある』

 

「……なんだ?」

 

『私を鍛えてくれないか?勇者を倒せるぐらい強く!』 

 

「なんで?」

 

魔王、クソ弱かった。それが結論だ。いや、俺が強いとかじゃない。そんなそこら辺のなろうラノベと一緒にしないでくれ。ラノベが可哀想だろ?

 

まぁ、とにかく良く分からないが死ななくて良かった。

 

あんな強者みたいなオーラ出してたから強いかと思った。良かったぁ弱くて。コレは案外、勇者もそんな強くないのかもしれない。

 

いや、でもあの時めっちゃ殺意飛ばしてたし捕まったら死んでただろうなぁ。もう会いたくないな、会わないだろうけど。

 

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