異世界で出会い厨やってるけどなんか質問ある?   作:タコス

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五日先の未来《前編》

 

「おはよう、と言うには遅いな」

 

翌日。

 

起きて来ないから死んだのかと思って部屋まで様子を見に行ったら、ベッドの上で固まっている魔王がいた。

 

『全身痛くて動けん……。さては食事に毒でも仕込んだか?卑怯な者だな。さすが勇者を騙った者よ』

 

駄目だ会話出来ないわ。まず毒なんか仕込んで無いし、勇者も騙ってない。って何語で言えば伝わる?

 

「ただの筋肉痛だろ」

 

一瞬自分で言ってておかしいなと思った、あの程度で筋肉痛になるのか?と思ったがそもそもこの魔王様はこの城から一歩も外へ出歩かないらしいので運動不足で体が驚いただけだ。

 

『これが唯の筋肉痛だと?滅茶苦茶痛いのに?私はこんなもの知らないぞ』

 

体は動かないが、口は動くらしくその証拠にベラベラと舌が回っている。うるさい。

 

「元気そうなら走るか」

 

『オニ、アクマ!』

 

「じゃあお前は何者だよ」

 

『魔王』

 

格上じゃねえか。

 

そんな事を駄弁りながら、着替えを済ませ。朝ごはんを胃の中に流し込み、二日目のトレーニングが始まった。

 

『マジで、キツイって……』

 

「まだ一周しただけだろ」

 

改めて想像以上の体力の無さ。これは、ちょっとやそっとのトレーニングでは改善しそうに無い。ずっと部屋の中で、コケが出来るぐらい篭ってたらしいからな。

 

「そんなんじゃ勇者を倒せないぞ。勇者を倒して親父さんに胴上げしてもらうんだろ?」

 

『はぁ、はぁ……』

 

俺の励ましの言葉も全く届いていない様だ。参ったな。

 

「少し息を整えろ」

 

『フゥ、フゥ。ふー』

 

少し落ち着いたところでまたウォーキングを開始する。その後は、体操や身体ほぐしなどで全身を動かしていく。まるで気分はジムのトレーナーだ。

 

『痛い痛いいたいいたい、折れるって!』

 

「大丈夫だって、多分」

 

ガッチガッチで、いくら背中を押してもほんの少ししか動かない。やばいな。

 

『ギブギブ』

 

「いけるいける」

 

悲鳴を無視して、魔王の背中に力を入れていく。グーッと。

 

『しぬ』

 

バキバキッと骨が軋む音の後に、ペタッと床に手がくっついた。やれば出来るじゃないかと声を掛けても反応が無いので、顔を覗くと意識が飛んでいた。

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

そんなこんなで、時間はあっという間に過ぎ去り俺が魔王城に来てから約五日が経った。もうそんな経ったのかと感慨深い様な、まだ五日なのかと言う思いが混ざり合ってる。

 

「えーっと、あ。このトメートも美味そうだな。これ下さい。それから……」

 

「アンタまだ買うのかい?どう考えても買いすぎだよ。まぁどうでも良いけど、お金はあるのかい?」

 

「おばちゃん、商売なんだからどうでも良く無いだろ。そこがキモだろ」

 

俺は今地上で買い物をしている。何でかって、そりゃあ身体を作るのはより良い食事だからなと言うのは建前で。魔王嬢の冷蔵庫には、というか冷蔵庫がそもそも無かった。

 

と言うか、食事という概念が無かった。だから冷蔵庫も無いと言う恐ろしすぎる事実が判明した。それで部屋に引き篭もっていたら体力がないのも当たり前だ。

 

って事で、色々食材を買って作る為に道行く人で賑わっている地上のスーパーに来ています。

 

おわり。

 

「確かに、あんまり買いすぎるとアレかもなぁ」

 

ちなみに魔王はお留守番である。まだアイツに紐無しバンジーは早いからな。にしても、落ちるだけとは言え怖い物は怖いし痛いものは痛い。死なないだけだ。

 

「戻すかい?」

 

「いやいや、良いよ。今どうすれば良いか考え……」

 

あ、そうだ。これを手土産にして会いに行くか。

 

「このキャロッタと後キューリも追加で」

 

「それで終わりにしときな。もう店じまいだよ」

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

「だーから。王女様に話通して貰えれば分かるって。ちょっと、そこダッシュすればいるだろ。知り合いなんだよ」

 

「王女様は大変忙しい方だ。お前みたいな餓鬼に構っている暇は無いし、お前が王女様の知り合いな訳が無い。帰れ」

 

預けた子供達と、後王女が元気にしているかどうかを見に城までやってくると門番に止められた。しかも話が通じなくて、知り合いだって言ってるのに忙しいの一点張りだ。

 

「じゃあ、王女様はもう良いんで子供達に会わせてください。最近此処に来た子供達が居るはずです」

 

「彼らも仕事で忙しいから駄目だ」

 

「そっすか」

 

えぇ……。仕方無い、無理に会いたい訳でも何か用がある訳でも無いし、また今度行くか。

 

「何やってるの?」

 

後ろを向いて帰ろうと思った時、聞き覚えのある声が俺の耳に届いた。それは……。

 

「元気そうだな」

 

ふわりと花の香りがする少女シトラスは、無表情だが、少し嬉しそうな顔で俺の問いに頷いた。

 

「お陰様で。で、何やってるの?」

 

「お前(ら)に会いに来た」

 

「あー……私達ね。はいはい、門番さん。この人、怪しい人じゃないから入れてあげてください。私達の知り合いなので」

 

「本当だったのか!これは済まない。最近怪しい少年が王女様に不敬を働いて牢屋に入れたばかりでな。警備が厳重になってるんだ」

 

誰のせいだよって思って話を聞くと思いっきり俺のせいだった。何だか気まずくなったのですぐさま門番と別れてシトラスに連れられ後ろを歩く。

 

「働いてるのか」

 

「ちょっとした雑用だったり、誰でも出来るような簡単な事を少しね。それでも、毎日やる事が違うし朝から大きな声を出さなくて良いし。夜はゆっくり眠れてご飯も朝と晩食べれてお金も貰えるから幸せ」

 

「そりゃあ良かった」

 

「ところでその荷物はどうしたの?」

 

「あー、皆でパーティーでもしようかなと思ったんだけどそんな暇無いよな」

 

「それは大丈夫だと思うよ。姫様も貴方が来たら喜ぶだろうし」

 

生の野菜を魔王にそのまま食わせる訳にもいかないし、王国のコックに調理して貰って残った分を魔王に回そう。

 

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