序章
『現実は小説よりも奇なり』とは言うが、これはあきらかにその度を越しているだろう。
なにせ……。
『長い年月を生きてきたが、こんな事に出くわすとはな』
赤い獄炎に包まれた世界、俺は人気ライトノベルである『ハイスクールⅮ×Ⅾ』の作品に出てくる主人公、兵藤一誠が宿す
『ハイスクールD×D』は俺の好きなライトノベルの一つだが、まさか自分がその世界に主人公である兵藤一誠に憑依する事で入る事になるとは……。
因みに憑依したタイミングは神器を有する主人公である一誠を殺そうと偽の恋人となって近づき、実行した敵の堕天使レイナーレが去った後、リアス・グレモリーという『ハイスクールⅮ×Ⅾ』のメインヒロインにして彼女の眷属として『悪魔』に転生させられた時。
俺が何か無くし物にでも気づいたか急に渡った横断歩道を引き返そうとした子供を庇って車に撥ねられて意識を失ったかと思えばこうなったのだ。
まあ、主人公のこれからの人生を奪った事には罪悪感を抱くが起こった事はどうしようもない。俺が兵藤一誠となって活躍すれば良いのだ。
「そういう訳でどうかサポートよろしく頼むよ、ドライグ」
『くく、これも何かの縁だ……よろしくな、異世界からの者よ』
こうして、俺はドライグと話し合い相棒として支え合う事を互いに誓うのであった……。
二
日本の関東圏にある地方都市にして最寄駅から新宿駅まで所要時間は電車で一時間程である『駒王町』。
此処には幼小中高大一貫の進学校であり、元は女子校にして最近、共学となった『駒王学園』がある。
そして、この駒王町に住み、駒王学園の生徒の一人に短い茶髪の高2男子である『兵藤一誠』がいる。
彼は本当に数日前まで黒い髪に眼鏡を掛けた元浜と坊主頭の松田という二人の友人と会わせて『変態3人組』として女子生徒への覗きやら猥談やらで問題行動を起こしていたが……。
「俺、実はさ……恋愛詐欺に引っかかったんだ。死ぬほどショックだった……だから、もう俺生まれ変わる事にするよ。真人間になる」
「そ、そうか。頑張れよ」
「応援してるぜ」
一誠は決意表明をし、元浜と松田はそれを応援する。そして、実際人が変わったかのように好青年としての行動を一誠はしていき、女子生徒は見直し始めていた。
そうして、一誠は学生生活をしながら……。
「ふっ、しっ……悪魔の身体と言うのは凄いな。それに神器の力も」
『お前も中々のセンスの持ち主だがな』
自分が悪魔になった変化をリアス・グレモリーが敢えて放置する事で把握させているのを知っているので一誠は悪魔となった事で上昇した身体能力や悪魔となった事で得た飛行能力、悪魔が有するイメージと想像力に基づく現象を起こせる魔力や『赤龍帝の籠手』の能力を確認しつつ、夜中に山奥や『神器』を通じて入れる精神世界で鍛錬を行なった。
魔力と赤龍帝の籠手の使用により倍増すると共に噴出するドラゴンのオーラを混ぜ込み、膜のようにして纏う事で身体強度と身体能力を上げたり、オーラと魔力を超圧縮して解放する事で瞬間的にオーラや魔力の放出の勢いを上げるなど戦闘鍛錬を主にする。
何故ならこれより先に色んな強敵と戦う事になるからである。
なので訓練だけでなく、赤龍帝の籠手による倍増限界直前の状態を身体に馴染ませるようにし、ドラゴンのオーラと魔力を体内で超圧縮しながら解放する事で爆発的な勢いを与えて巡らせながら内燃機関のようにしたり、更に更に魔力によって細胞レベルで戦闘向きの肉体への改造を続けていく。
これぐらいはやらないと『ハイスクールⅮ×Ⅾ』のパワーバランスはインフレし続けて行くし、自分の存在がイレギュラーを引き起こしかねないので強くなるのに必死であった……。
「この気配は……」
訓練を始めて数日後、感知能力を磨いているのもそうだが、魔力をソナーのように変化させ、放つ事でその反響から周囲の状況を探っていた一誠はとある異形に気づき、向かう。
「よう、此処は俺の主、リアス・グレモリー様の管轄地なんだが悪魔と敵対する堕天使が何の用だ?」
「っ!? グレモリーだと……」
帽子に紳士服を着た男が突如、姿を表した一誠に驚きながら悪魔の名を告げた事にも驚く。
「もっとも、この縄張りに侵入した時点で排除対象だけどな。最後に教えてやろう、俺は『赤龍帝』の兵藤一誠だ」
一誠は左の手から腕までを覆う赤い籠手である『赤龍帝の籠手』を出現させながら、赤く禍々しいオーラを膜状にして全身を覆わせた。
「『赤龍帝』……くく、吹かすにも程がある。こちらこそ排除してやろう、我が名はドーナシークだ」
ドーナシークは堕天使としての象徴である黒い天使の翼を背中から生やしながら光の槍を右手に出現させて一誠へ投擲する。
「そんな程度か」
「んなっ!?」
一誠は槍に対し、左の籠手を軽く突き出す事で砕くとそのまま地面を踏み込んだかと思えば自分の姿をぶれさせ、一瞬にして、ドーナシークの間合いへと踏み込み……。
「はあっ!!」
膜に覆われている右拳をドーナシークに拳撃として打ち込めば余りの威力にドーナシークは文字通り、粉砕されこの世から消滅したのだった。
「まだまだ本気じゃ無いですが、貴女の眷属としてどうでしょうか。リアス様」
「……ふ、ふふふ……勿論、合格よ。私の新しい下僕さん」
一誠が少し前から自分の様子を見ていた艶があり、美しい紅色の長髪を有し魔性の美と色香に溢れた容姿をしている女子、駒王学園の三年生だがその実、駒王町を管轄している悪魔であり、一誠を悪魔へと転生させたリアス・グレモリーに話しかければリアスは興味深げにそして、面白そうに微笑みながら言うのであった……。