駒王学園における女子生徒による兵藤一誠の人的評価は最悪だった。
それはそうだろう。覗きに躊躇も何も無く、教室での猥談やAⅤをためらいなく出したりしていたのだから……。
しかし、今では……。
「あの、兵藤君。ここについて聞きたいんだけど」
「ん、ああ、ここはな……」
「兵藤君、その……なんだけど」
「なるほど、それは……」
同じクラスは元より他のクラスや他の学年の女子たちから話しかけられたり、頼られたりするようになった。
最初こそは真人間になると宣言し、今までの被害者たちに謝る等しつつもそれは何かを企んでの事だと警戒していた女子生徒たちだが真摯な態度で自分たちとの交流や対応を何日もするし、そうした事は男子生徒に対してもするので今では頼れる男子生徒として認識されていた。
生まれ変わったようだと評価されたり、人って変われるものだと認識されたりしたのである。
ともかく、兵藤一誠の駒王学園での評価は最高のものになったのである。
そうして今日も又、一誠は放課後まで学生としての時間を過ごしていくのだった……。
二
今日も又、悪魔として『オカルト研究部』を拠点に召喚者たちに対し、願いを叶えて対価を得る活動をしていくリアスとその眷属たち。
「イッセーさん、部長さん。仕事、終えてきました」
今日はアーシアの初めての契約活動であった。それを終えた事で彼女は部室に刻まれた魔方陣から姿を表す。
「お帰りアーシア、初仕事ご苦労様」
「お疲れ様。無事に契約は果たせたようね」
一誠とリアスがそれぞれ激励の言葉を贈る。
「はい、ちゃんと召喚者さんの願いを叶えてきました」
アーシアは笑顔で言い……。
「その、イッセーさん。仕事を終えたご褒美が欲しいです」
直後、恥ずかしがりながら一誠に要求する。
「良いぞ、何が欲しいんだ?」
「その、ここでは言えないので家のほうで言います」
「分かった、アーシアの望む物を与えてやるから遠慮なく言ってくれ」
アーシアに対し、一誠は頷き受け入れた。
「そう言われると気になるわねぇ」
「はい、部長。私も気になりますわ」
「……アーシア先輩が要求するのは珍しいです」
「だね、けど詮索はしない方が良さそうだ」
リアス達は興味を抱いたがしかし、詮索はしないでおいた。こうして、無事今日も活動は終わり一誠とアーシアは一誠の転移魔法で兵藤家の中の一誠の部屋に帰ると……。
「それで、アーシアが欲しいご褒美はなんだ?」
一誠はアーシアが望む物を聞いた。
「……ふぅ……イッセーさん、私としてください……その「大丈夫、分かるよ……一度だけ、聞く。良いんだな?」はい、よろしくお願いします」
アーシアは気合を入れるために深呼吸して自分の望みを告げ、一誠からの問いにも再度頷き、頬を赤めて瞳を潤ませながらはっきりと頷いた。
「こちらこそだ」
「ふむっ!! ん、んん……ふぷ、んちゅ、くちゅ、ふ……」
アーシアが頷いたのを見ると一誠はアーシアに近づき、そうして抱き締めながら深い口づけをし、舌を絡ませ始める。
アーシアは少し驚いたがすぐに一誠を受け入れ、そうして一誠はアーシアに対し優しく丁寧に口づけや愛撫などをして愛と快楽を与えていく。
「あふ、く、ふっ、んくっ……はぁはぁ、い、イッセーさん……」
「……アーシア……」
一誠の部屋のベットの上でお互い、裸となっていて愛と快楽を貪り合った事で興奮に愛情も感情も高まり合っている二人。
後は繋がり合おうとしたところで……。
『っ!?』
一誠の部屋の床に魔方陣が描かれ、光を放つ中……一誠とアーシアは呆気に取られ呆然と眺める。
そうして、魔方陣から現れたのは……。
「イッセー……って、アーシアも?」
リアスが魔方陣による転移で現れると一誠とアーシアの状況を見て一瞬、戸惑う。
「きゃ、きゃああ!! ど、どうしたんですか、部長さん!?」
「なんて時に転移して来るんですか……部長」
アーシアは悲鳴を上げると共に自らの裸体を隠そうと身動きし、一誠は何かを堪え切ろうと顔を引きつらせながら、指を鳴らして魔力のオーラを弾かせると自分とアーシアの裸体を覆う衣服に変化させて身に纏う。
「……ああ、そういう事……どうやら、最悪の形で邪魔しちゃったみたいね」
リアスはアーシアが部室で言っていた事の意味も含めて把握し、自分のやらかしに頭を抱えた。
「はっきり言えば、そういう事です。それで何しに来たんですか、正直に答えてください」
「……その、イッセーに私を抱いてもらおうと思って……」
「え、部長さんが?」
一誠の問いにリアスは返答し、アーシアが戸惑った。
「色々と考えたのだけれど、これしかなかったのよ。好きでもない人と結ばれるくらいなら、私はイッセーと……イッセーになら……」
「確かに力になるとは言いましたし、そういう相手に選んでもらえたのはとても光栄で嬉しい事です」
リアスの言葉に一誠はまず、そう言った。
「しかし、よく考えてみてください。いきなり、下級で下僕である眷属の俺が主にして上級悪魔、それも悪魔の中では地位も高く、名高いグレモリー家の娘であるリアス様に手を出せば、どうなるか……間違いなく、リアス様の家の者や他の家の悪魔たちに殺されますよ。だろう、ドライグ?」
次に諭すように言って最後には一誠とアーシアの情事を見ないように神器の奥深くに潜っていたドライグを呼び出しながら左掌に小型の魔方陣を出してそこから会話できるようにする。
『悪魔は実力主義であると同時に純血主義だからな……少なくともまだ悪魔の世界で名を上げてもいない相棒がリアス・グレモリーの要求通りにすれば、殺害対象になるだろうな』
「そういう事です。ともかく、今日はお帰り下さい……明日、朱乃さん達と皆で部長の悩みについてもっと話し合いましょう。ただ、アーシアには謝ってあげてください。今回、彼女なりに色々と勇気を振り絞っていたんです」
ドライグの返答に頷くとリアスに言い、最後にアーシアに謝るよう言った。
「勿論よ。本当にごめんなさい、アーシア。貴女にとっての幸せの時間を邪魔して……お詫びはしっかりとさせてもらうわ」
「そんな……部長には沢山、世話になっていますし色々と悩み事があるのは分かりましたから……」
リアスは深々と謝り、アーシアは遠慮するような態度で言った。
「それじゃあ、私の気が収まらないの。ともかく、今日は本当に……」
そして転移しようとする前に再度、二人に謝ろうとすれば、また一誠の部屋に魔方陣が刻まれ……。
「こんな事をして破談へ持ち込もうというわけですか?」
転移によって現れたのは長い銀の髪を二つの三つ編みとした魔性の美しさを有し、スタイルも抜群で色香も有したメイドであった。
「幾らなんでも考えなしだったと反省しているところよ。グレイフィア」
「ええ、反省してください。そのような下賤な輩に操を捧げると知れば旦那様とサーゼクス様が悲しまれますよ」
リアスに対し、グレイフィアはアーシアと共にいるからこそだろう……一誠へと侮蔑の視線を向けていた。
「……まずは自己紹介させていただきます。俺は兵藤一誠、リアス・グレモリー様の眷属であり、『兵士』です。そして、こっちが……」
「私はアーシア・アルジェントです。イッセーさんと同じく、リアス・グレモリー様の眷属で『僧侶』です」
一誠は再度、何かを堪え切るように頬を引きつらせながら自分が紹介した後、アーシアにも自己紹介させる。
「で、この家は俺の家なんですよ。そこへ土足で踏み込んでおいて、挨拶も何も無く、いきなり下賤呼ばわりは無いのでは?」
「……おっしゃる通りです。これは大変、失礼しました……私はグレモリー家に仕えるグレイフィアと申します。本当に申し訳ございません。謝罪させていただきます」
グレイフィアへ一誠が物申せば、グレイフィアは自分の過ちを認めて深く頭を下げる。
「謝罪を受け取ります。分かっていただければそれで良いので……後、誤解も解かせていただくと俺とアーシアがちゃんと合意の元、愛し合い、身も心も繋がろうとしたところでリアス・グレモリー様が転移をしてこのような状況になっています」
「……お嬢様……」
グレイフィアがリアスを責めるような視線で見つつ、溜息を吐いて頭を抱えた。
「……本当に考え無しだったって反省しているわ……」
リアスも又、自分の失態に改めて頭を抱える。
「ともかく、お帰り下さいリアス様、グレイフィアさん……色々と疲れたので」
「そうね、今日は本当にごめんなさい。イッセーにアーシア……このお詫びはさせてもらうわ。グレイフィア、後は私の根城で話をしましょう。朱乃も同伴で良いわよね?」
「はい、お嬢様……イッセー様、後日お詫びの品を持って個人的に謝罪させていただきます」
「分かりました。そちらの気が済むならそうしてください……それではおやすみなさい」
「おやすみなさい」
『おやすみなさい』
そうしてリアスとグレイフィアは転移によって一誠の部屋から姿を消した。
『まあ、そのなんだ……残念だったな。相棒、アーシア……いや、もうかけるべき言葉が見つからん。あんまりにもあんまりすぎる』
「気遣いありがとう、ドライグ」
「ありがとうございます、ドライグさん」
二人に対しての状況にドライグは同情しながら、言葉をかけ一誠とアーシアはドライグに礼を言った。
「ごめんな、アーシア。せっかくのお前の頑張りと気持ちに報いれなくて」
「いえ、イッセーさんは悪くありません。あんなにも私を愛してくれましたし……」
「せめて、一緒に風呂に入ってから寝るか」
「はい」
そうして一誠とアーシアは一緒に風呂場へと行き、互いに洗い合ったり浴槽の中へ入ったりするとその後、裸の二人は一誠の部屋のベットで横になりながら、互いに抱擁し合う。
「はふぅ……イッセーさん、温かいです」
「俺も温かいよ、アーシア」
そう、お互いの抱擁具合に満足しながら……。
「おやすみ、アーシア」
「おやすみなさい、イッセーさん」
最後に二人は口づけを交わし、眠りへと落ちていくのであった……。