人間界では駒王学園での『学園祭』、冥界においてはサイラオーグ・バアルとその眷属との『レーティングゲーム』とやらなければならない大事な行事が複数控えているので準備に励んでいる一誠達。
「え、お兄様から?」
ある日、冥界の魔王でリアスの兄であり、一誠にとっても義兄となるサーゼクスから連絡があった。
『やあ、リアス。そしてイッセー君達もこんにちは。君たちは学園祭と言い、レーティングゲームと言い、その準備に忙しいのは分かっているんだけど一つ頼みを引き受けてくれないかな?』
サーゼクスが少し、申し訳なさそうな表情をしているのが魔法陣が展開されたそこからホログラム的なもので映し出され、そう言ってきた。
「頼みですか」
『ああ、実は冥界の旧首都ルシファードで冥界中から悪魔の親子を集めた『龍帝ドラゴンカイザー』のヒーローショーを予定しているんだけど、本人であるイッセー達に出てほしくてね。都合が合わなければ遠慮せずに断ってくれて構わないよ』
リアスが問うとサーゼクスは冥界にて人気を博している一誠を元にした『龍帝ドラゴンカイザー』のヒーローショーを一誠達本人がやるように提案された。
「バイト代は弾んでくれるんですよね、サーゼクス義兄さん」
『ふふ、勿論だよイッセー』
「じゃあ、やらせていただきます」
『うん、悪魔らしい立ち回りでなによりだ』
こうして一誠は冥界の旧首都ルシファードでの『龍帝ドラゴンカイザー』のヒーローショーに本人役で参加し、見事に観客である悪魔の親子達を喜ばせたのである。
『龍帝ドラゴンカイザー』が人気なのは冥界メディアでロキの撃退に京都での『禍の団』の英雄派の撃退が大々的に報道されていた。
子供達の中ではテレビのヒーローがロキや禍の団相手に戦い、勝利している事になるのだ。これが『龍帝ドラゴンカイザー』の人気が爆発的に上昇した理由でもある。
「冥界とはいえ、特撮ヒーローの主役になるなんてな」
ショーが終わったので舞台裏で休憩していた一誠は呟く。そして、何気なく周囲を見ていると……。
「やだぁぁぁ、ドラゴンカイザーに会いたいよぉ」
「すみません、握手とサイン会の整理券配布は終わってまして……」
裏口の方で悪魔の男の子を連れた母親がドラゴンカイザーのヒーローショーのスタッフの一人と話しており、男の子はぐずっていた。
「ふむ」
一誠は禁手化しつつ、魔術を発動すると周囲の空間とスタッフの時間だけを止め……。
「やあ、君の名前を教えてくれるかな?」
「ドラゴンカイザーだっ!! ぼ、僕はリレンクス」
「そうか、リレンクス。あまり、お母さんを困らせては駄目だぞ」
リレンクスの帽子、ドラゴンカイザーのグッズの一つだったそれを手に取り、外しながら彼の髪を撫でる。
「ほら、特別にサインしてあげよう。俺に会いに来てくれたからな……皆には秘密にしてくれよ」
「はーい」
「ありがとうございます」
そうして、一誠はリレンクスの帽子に魔力によって悪魔文字によるサインを刻んだ。そして被らせながら、今回の対応を秘密にするよう、呼びかけるとリレンクスと礼を言う母親を見送り、魔術を解除する。
「え、あれ、兵藤さん?」
「あの親子にはしかるべき対応をしたから、心配するな。仕事に戻ってくれ」
「分かりました、ありがとうございます」
スタッフに言うとスタッフは頭を下げて自分の仕事へと戻って行ったのであった……。