赤龍帝に憑依転生した者   作:自堕落無力

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百九話

 

 

 兵藤一誠とリアスはサイラオーグの執事から個人的な頼みがあるシトリー領にある病院に呼ばれた。この病院の病室の一つにはサイラオーグの母で元七十二柱の上級悪魔の一族で獅子を司る偉大な名家のウァプラ家の出であるミスラがいた。

 

 ミスラはサイラオーグが『滅びの力』を持たずに生まれた事でサイラオーグと共にバアル家から欠陥品として差別され、侮蔑され、迫害されたという。

 

 無論、元バアル家の出であるリアスとサーゼクスの母であるヴェネラナが二人をグレモリーの領土に保護しようとしたがバアル家は強く反対した。

 

 ならばとばかりにウァプラ家が二人を引き取ろうとしたが、バアル家はサイラオーグだけは家の恥であるが故に渡せないと拒否したのである。

 

 ほぼ嫌がらせみたいなものである。悪魔の中では自分と相手に絶対に契約を遵守させる契約法だってあるのだから、まあ、そんな手間や労力をかけたくなかったのだろう。

 

 しかしてミスラは一部の従者と共にバアル領の辺境へと移り住み、助力無しでの田舎暮らしを始めた。

 

 そうして滅びの力どころか魔力も普通の悪魔に劣るサイラオーグが虐めを受ける中、厳しく叱咤激励し、己の肉体を鍛え、戦うように促したのである。

 

 時に厳しく、時に優しく育て上げて言ったが、そんなミスラは悪魔特有の難病で症例こそ少ないが深い眠りに陥る事で目覚めなくなり、徐々に衰弱しながら死に至る『眠りの病』にかかってしまった。

 

 一誠が規格外の実力を持つというのはこの冥界でも噂になるほどであり、ならばとサイラオーグの執事は一誠を頼ったのである。

 

 一誠にとっても、ミスラは将来的に一誠の親戚になるので助力を約束し、そうして治療をしてみる事にした。

 

 彼は普段から自分の身体を細胞は勿論、魂にいたるまで改造をしている。体を弄る技術に優れているのだ。

 

 よってミスラの身体を弄る事で見事、『眠りの病』を治療してミスラは目を覚まし、タイミング良く、サイラオーグも自分の母親の見舞いに来ていた事で自分の母親が目覚めたのを目撃した。

 

 そうして……。

 

「兵藤一誠……お前には本当に、本当にこれ以上ないくらいの恩が出来てしまった……そして、母上を治療してくれて深く感謝する。この恩は必ず、返そう」

 

 ミスラとの話を終えたサイラオーグは一度病室にであると一誠に向き合い、深く頭を下げた。

 

「これで余計なものも無く、全力で戦えるわけだな」

 

「ああ、むしろ更に気合が入ったぞ。母上に俺の力を見てもらえるのだからな」

 

「それで良い」

 

「戦いについてはそうだが、しかしこの恩はそれとは別だ。必ず、返す」

 

「元は私の個人的な依頼です。この命を賭けてもこの件についての礼はさせてもらいます」

 

「分かった、楽しみにしていよう」

 

 サイラオーグとその執事より、しっかりと一誠は言われたのであった。

 

 こうして、病院を去ろうとした一誠とリアスだったが……。

 

「どうか、話をさせてもらえませんか?」

 

 当たり前だが、一誠がミスラの『眠りの病』を治療した事は直ぐに広まり、そのため病院の院長に呼ばれた。

 

「他の『眠りの病』にかかっている悪魔たちへの治療をしていただけないでしょうか、教えられる物であるなら教えても欲しいのですが……。

 

「……中々に繊細で難しい施術をしなければいけないから、身に着けるのは難しい。期間は空く事になるが、それで良ければ治療をしよう」

 

 一誠は院長とそうした取引を交わした。

 

『よろしくお願いします、一誠さん』

 

『よろしくね、イッセー君。愛している』

 

 病院からソーナとセラフォルーにも話が言ったようで二人から治療の協力に関するメールが送られたりしたのであった……。

 

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