リアス・グレモリーとライザー・フェニックスの婚約を賭けて行われる『レーティングゲーム』で勝利すべく鍛錬に励んでいるリアス達。
とはいえ、毎日毎日ハードな訓練をして体を壊しては元も子もないので休む時間も設けている。そして、その時に何をやるかと言えば……。
「折角の機会だ。絆も深めたいし……身の上話をしよう。それじゃあ、先ずは言い出しっぺの俺からだ。俺、兵藤一誠は性欲が人の数倍強くて皆に迷惑かける高校生だったが、ある日、俺が『赤龍帝の籠手』の所有者であって将来的に危険な存在であったため、上の指示を受け、偽りの恋人として接触してきた堕天使のレイナーレに殺された。そこをリアス・グレモリー様に眷属として転生してもらい……今にいたる。これからもリアス・グレモリー様と朱乃さんに祐斗、小猫ちゃん、アーシアの力になれるよう頑張る所存だ」
一誠はリアスを除いた眷属同士で身の上話をする事を提案した。目的としては腹を割って話す事で絆を深めるためである。
「では、次は私から……私、アーシア・アルジェントは教会のシスターで信者さん達の怪我を癒す『聖女』をしていました。しかし、ある日悪魔の方が怪我をしていて、助けを求めてきたので治療しました。そこを教会の方に見られてしまい、追放されこの駒王町に……しかし、それはレイナーレ様が私の神器を奪うための罠でした。そこをイッセーさんに助けられ、そうして今、私はリアス・グレモリー様の眷属になりました。回復以外の事では迷惑かけてばかりですが、精一杯皆さんの力になれるよう頑張ります」
一誠の次にアーシアが語る。
「……うん、じゃあ僕も話すよ……僕、木場祐斗は実は教会勢力で育てられていたんだけど、聖剣を研究する機関に同志の子供たちと一緒に預けられたんだ。そこで色んな実験とかもされて、ある日失敗だとして殺された。僕だけ、同士たちに逃がされて……そうして、力尽きた所をリアス・グレモリー様に拾われ、眷属になったんだ」
「そうだったのか……じゃあ、その聖剣を研究する機関の関係者に復讐したいんだな?」
「そ、それは……」
一誠の問いに祐斗はどう答えれば良いか、迷う。
「咎めてるわけじゃない。そんな扱いを受けて仲間を殺されたんだ。復讐を考えるのは当然の事だ。そして、俺はお前の復讐を手伝うぜ、俺もレイナーレへの復讐を手伝ってもらったもんだしな。俺が復讐したのにお前の復讐を止めるなんてしねぇよ。俺は力を引き寄せるドラゴン、しかも超強大な二天龍の一柱である『赤龍帝』を宿しているんだ。案外、すぐに聖剣の研究機関の関係者と接触できるかもしれないぜ」
「……じゃあ、その時はお願いしようかな」
しかし、一誠の言葉に苦笑しながら言った。
「ああ、頼りにしてくれ。経験者だから、言うがな……復讐はやり終えると滅茶苦茶すっきりするぞ祐斗」
「それは是非とも経験したいな」
「経験させてやるさ」
「ありがとう、イッセー君」
「礼はまだ早いぞ」
そうして、一誠と祐斗は言葉と共に誓いを交わしたのである。
「……では、次は私が……私、塔城小猫は、元は猫又にして猫魈という仙人の種族でした。私には黒歌という姉がいて、姉がとある悪魔の眷属となる事で私達は保護を受けていたのですが、ある日姉が力を暴走させ、そうして逃亡してはぐれ悪魔に……私は色々と迫害を受けましたけど、ある日、リアス・グレモリー様に拾われ、今に至ります」
次に小猫が身の上話をした。
「そうだったか……なら、黒歌と会った時は迫害を受けた分、ぶん殴ってぶっ倒してやれば良い。強くなる事には協力するし、勿論対決した時には力を貸すよ」
「……本当、イッセー先輩はシンプルですね」
「シンプルなのが一番なんだよ、何事も」
「はい、じゃあその時はお願いします」
「勿論だ」
一誠は小猫に近づき、頭を撫でながら会話を交わす。小猫は心地良さげにしながら、一誠のシンプルな物言いに微笑み、一誠も微笑むのだった。
「では、私も話しますわ……私、姫島朱乃は実は堕天使の幹部、バラキエルとこの日本で異形退治をする家系、『五大宗家』の一族の一つ、『姫島家』である母様、姫島朱璃との間に生まれました。ですが、敵対する者どうしの関係が認められる訳がなく……ある日、父バラキエルが居ないときに刺客が放たれ、母様は犠牲となり、私は父様が間に合ったから助かりましたが……でも、父様がそもそも家を出なければ母様は犠牲にならなかった。許せず、家を飛び出し、日本を放浪していましたが姫島家の刺客にまた、襲われそうになったところをリアスに助けられ、そうして眷属になりました」
朱乃も身の上話をし、そうして背中からは堕天使の翼を出す。
「……でも、嫌ですわよねイッセー君とアーシアちゃんは……堕天使の血を引く私なんて……おまけにイッセー君を殺し、アーシアちゃんも殺そうとしたあの堕天使と姿も似ていますもの」
「なるほど……だから、どこか一歩引いた形だったのか……やっぱり、腹を割って話すのは良い方法だな。レイナーレはレイナーレで朱乃さんは朱乃さんだ。姿が似ていようと種族が同じだろうと朱乃さんを拒絶もしないし、嫌いにならねぇよ」
「はい、朱乃さんはとても優しい人だというのは分かっていますから……」
「イッセー君、アーシアちゃん」
一誠とアーシアの言葉に朱乃は嬉しそうにし……。
「だから、遠慮なんてしないでほしい。むしろ積極的に交流して欲しいんだよ。朱乃さんとは是非とも、深い関係になりたいと思っているからな」
「……うふふ、本当にイッセー君は大胆で積極的ですわね」
「結局のところ、俺は女好きだからな。こんな俺は嫌いか?」
「いいえ、大好きですわ」
一誠に朱乃は飛び込むように動き、そうして抱き締め合った。
「殿方に抱き締められるのはこんなにも良い物なんですわね……」
一誠の身体へと身を預けつつ、満足そうな表情で言った。
「俺も心地良いし、そう言って貰えて嬉しいよ。朱乃」
「ん……そうして親しく愛を込めて名前を呼ばれるのも良いですわ。改めてよろしく、イッセー」
「ああ、こちらこそ……さて、とにもかくにも俺たちはくそったれな人生を救ってくれたリアス・グレモリー様に眷属として恩返しする時が来た。やってやるぞ、皆……ハルマゲドーン!!」
『ハルマゲドーン!!』
そうして、悪魔流の気合を入れた言葉を交わし、一誠たち眷属は対決に向けてのテンションや絆を深めたのであった……。
その日の夜中……。
「不安ですか部長……まあ、相手がフェニックスで経験者だから仕方ないですが……」
「イッセー……ええ、どうしても不安になってしまうの」
暗いリビング、ティーライトキャンドルがテーブルの上で淡い灯をともしている。その中でリアスが赤いネグリジェに紅の髪を一本に束ね、眼鏡をかけて『レーティングゲーム』の本を読んでいた。そこに一誠が声をかけたのである。
「自分の将来がかかっている訳ですからね。一つの正念場……絶対に勝ちましょう」
「ええ、勿論よ。私は私が好きな人と結婚したいのだから……ねぇ、イッセー……その相手が貴方だったらどうする?」
「勿論、とっても嬉しいし功績を積んで、地位も上げてリアス・グレモリーとの仲をグレモリー家にも冥界中の悪魔に認められる存在になる」
「そ、即答なのね。しかも具体的……」
「勿論。部長はとても魅力的な女性ですからね。是非とも愛したいし、愛してもらいたいです」
リアスの問いに一誠は即答し、リアスは唖然としつつも苦笑すると一誠は頷きながら告げた。
「……それじゃあ、イッセー……元気づけてくれる?」
「喜んで」
そうして、リアスの求めに応じて彼女へと近づき、彼女の身体を抱きしめた。
「大丈夫、俺が貴方を自由にさせるよ。リアス」
「ええ、よろしくお願いするわ……イッセー、そうしたら私の『愛』をあげるから」
「逆に気合入れられたな。だが、頑張るよ」
そうして、しばらくの間一誠とリアスは抱き締め合い……一誠は部屋に戻った後……。
「さて、気合も入れられたからそろそろやるか」
『本当にやるのか?』
「そのために今まで歴代赤龍帝のイメージも含めて戦ってきたんだ。それに
『死ぬなよ、相棒』
「死ぬかよ……それじゃあ、行くぞ」
神器内の奥深く――とある理由からとてつもなく、危険な場所へと行こうとする一誠にドライグが声をかけ、一誠は応じる。
そうして、一誠は自らの力を高めるべく、歴代赤龍帝の怨念が立ち込める領域に踏み込んだのであった……。