赤龍帝に憑依転生した者   作:自堕落無力

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二十二話

 

 教会勢力が有する聖剣の中で代表的な聖剣エクスカリバーは大昔の戦争によって、折れてしまった。その破片を錬金術によって七つのエクスカリバーとして造り直したのである。

 

 そして、現代――七本のエクスカリバーのうち六本はそれぞれ、カトリックが二本、プロテスタントが二本、正教会に二本という形で所有していた。

 

 残る最後の一本だけ世界のどこかへと消えてしまい、行方不明となっているのだ。

 

 そんなエクスカリバーのうち、カトリックにプロテスタント、正教会から一本ずつエクスカリバーが奪われたのである。その首謀者は堕天使の幹部にして武闘派のコカビエルだ。

 

 そして、そのコカビエルは駒王町に潜伏しており、教会は密かにエクソシストを駒王町に送ったが、悉く始末された事でカトリックとプロテスタントはそれぞれ、エクスカリバーの使い手であり、若くも既に何度もエクソシストとして仕事を果たし、コンビも組んでいる二人を派遣した。

 

 それがゼノヴィアとイッセーの幼馴染である紫藤イリナだ。

 

 二人は駒王町を管轄しているリアスに接触し、『静観しろ』と交渉をしてきた。リアスは不承不承受け入れ、イッセーも主に応じて静観しようと決めたが……何を血迷ったか、アーシアにゼノヴィアが手を出そうとしたのでイッセーは軽く、力の差を分からせると共に適当な場所へと転移させて追い出した。

 

 その後、リアス達にとって活動拠点である夜中のオカルト研究部の部屋……。

 

「確かにいるな」

 

 一誠が虚空に複数の魔法陣を出現させ、それに駒王町の映像が写り、手元に出現させている小型の魔法陣を弄れば、次々と映像が変化。

 

 建物内の中にいる堕天使の幹部であるコカビエルや町中を複数のエクスカリバーを帯剣して移動しているはぐれエクソシストの男と初老の神父の男の映像が魔法陣に映し出されて一誠は呟く。

 

「……もう捕捉するなんて流石ね」

 

「うふふ、既に魔法使いとしてはかなりの凄腕ですわね」

 

「……頼りになりますね」

 

「相変わらず、凄すぎるよ」

 

「流石です、イッセーさん」

 

「イッセー先輩、凄いですぅ」

 

「そのうち、アジ・ダハーカの域に達しそうね」

 

 一誠の魔法の力量にリアス、朱乃、小猫、祐斗、アーシアにギャスパーはそれぞれ賞賛を送り、ティアマットはドラゴンの世界において伝説の邪龍の一体であり、凄まじい魔法の使い手である『魔源の禁龍(ディアボリズム・サウザンド・ドラゴン)』という異名を有するドラゴンの名を上げた。

 

「ん……というか、よく見たらこいつ、フリードだな」 

 

「あっ、確かにフリード神父です」

 

 エクソシストの男を見れば、イッセーには見覚えがあり、それはアーシアもである。レイナーレ達と共に行動していたはぐれエクソシストであるフリード・セルゼンだったからだ。

 

「呪言をかけてやったが、解除してもらえたようだな……祐斗、多分だがこいつがバルパーだと思う。見覚えはあるか?」

 

「……うん、間違いない。何度かあの施設で見たから」

 

「……そうか」

 

 祐斗も又、一誠が集中的に初老の男の姿を写した事で記憶を思い返し、そうして確かに頷いた。

 

「さて、リアス。事態が事態だ。サーゼクス様に連絡をとろう」

 

「……そうね」

 

 こうして、リアス達はサーゼクスへと緊急の連絡をし……。

 

『ああ、確かにコカビエルだね……』

 

「教会勢力から聖剣を奪い、そのまま教会勢力を誘き出すようにこの駒王町に潜伏したのはおそらく、また三つ巴の戦争を再開したいのでしょう。そのための引き金を引こうとしているのかと……」

 

『ああ、彼ならやりそうだ』

 

「良ければこっちで倒しましょうか? そろそろこっちに対してアクションを仕掛けそうですし……コカビエルなら俺は倒せますし、なんならティアにも手伝ってもらいます」

 

『ああ、そうしてもらえるとこっちとしては嬉しい。頼れる存在がいてくれて良かったよ。ティアマットも頼まれてくれるかい?』

 

「別に構わないわ」

 

『ありがとう、それじゃあどうかよろしく頼む』

 

 そうしてサーゼクスと話を終え……。

 

「さて、方針は決まったが……折角だ、あいつらにも恩を売ってやるか」

 

「そうは言うけど、貴方の事だからイリナって子の事が放っておけないんでしょう?」

 

「イッセーは優しいから」

 

「それがイッセー先輩の良いところです」

 

「私もそう思います」

 

「僕もその優しさに救われているしね」

 

「イッセー先輩がいてくれて良かったです」

 

 一誠の呟きにリアス達は苦笑したり、微笑みながら言うのであった……。

 

 

 

 

 

 

 

 ゼノヴィアとイリナが一誠によって追い出された日より翌日、二人はすぐに駒王町へと戻りながらとりあえずはリアス達に関しては不干渉という形でコカビエルの手の者を捜索していた。

 

 しかし……。

 

「えー、迷える子羊にお恵みを~」

 

「どうか、天の父に代わって哀れな私達にお慈悲をぉぉぉっ!!」

 

 二人は露頭で物乞いをしていた。

 

 イリナが立ち寄った展示会にて明らかに紛い物であり、なんの絵を元にしたか分からないような教会関係の絵を宿泊費など全部含めた金で買ってしまったからである。

 

「なんでこんなのに騙されるんだ!! 明らかに偽物だろう!!」

 

「そんな事無いもん!! この絵には聖なるお方が描かれているのよ。私には分かるわ」

 

 ゼノヴィアがイリナが持っているそれっぽい外国風のお方が貧相な服装をして、頭の上に輪っかがあり、背景では赤ちゃん天使がラッパを持って宙を舞っているという絵を指差し、怒ればイリナも怒る。

 

「……多分、ペトロさま?」

 

「ふざけるな。聖ペトロがこんなわけないだろう!!」

 

「いいえ、こんなのよ!!」

 

「……っ、く、止めよう。腹が減るだけだ」

 

「そうね、こうなったら異教徒を脅してお金もらう?」

 

 喧嘩しつつ、腹の虫を鳴らす二人だが、急に物騒な事を言い出した。

 

 

 

「止めろ、そこまでいったらカルトだし普通に俺たちに対しての宣戦布告になるぞ」

 

『っ!?』

 

 先程まで様子を見ていた一誠は堪りかねて声をかければ、イリナもゼノヴィアも身構える。

 

 

 

「何をしに来たっ!!」

 

「どういうつもりかしら、イッセー君」

 

「幼馴染が確実に死ぬ任務をするのを見過ごすなんてのは俺の性に合わなくてな。助けに来てやった……とりあえず、飯はどうだ?」

 

『……喜んで』

 

 一誠の提案に二人は割と素直に応じた。

 

 そうして、一誠は契約の仕事をした中で幾か月、食事を無料で楽しめるようになった高級料理店まで行く。

 

 

 

 

「お、美味しい。美味しいわっ!!」

 

「これが日本料理の味か……実に美味い!!」

 

 イリナとゼノヴィアは肉に魚のコース料理のそれを味わった。

 

「俺からの提案はコカビエル達との戦いに参加させろという事……そして、エクスカリバーの一本だけでも良いから、破壊を容認する事だ。核さえあれば、復元できるしな」

 

「……」

 

「それは流石に……」

 

 ゼノヴィアは考え込むような表情を浮かべ、イリナは悩まし気な表情を浮かべる。

 

「悪魔と協力するのは問題でもドラゴンならば、問題無いだろう。もっともドラゴンの仲間に悪魔がいたりはするがな」

 

「そういう事なら、良いだろう。むざむざ死ぬつもりは無いのでね」

 

「ちょっと、ゼノヴィア!?」

 

「イリナ、これやるよ」

 

「これはっ……イッセー君、やっぱりその優しさは変わってなかったのね。それに強いみたいだし、よろしく」

 

 ゼノヴィアは承諾し、イリナも先程絵を買うために払ったお金全てを一誠が取り返した事で自分の手元に返ってきたのを理解すると喜び、彼女も一誠の提案を受け入れた。

 

「ありがとうな、大将」

 

「いえ、一誠さんには返しきれない恩があるので」

 

 その後、連絡手段を交換し合い、イリナとゼノヴィアの二人が去って行くと料理店の大将に料理を食べたのは自分ではなく、イリナとゼノヴィアなので二人の分を一誠は払ったのであった……。

 

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