六十四話
最近、本当につい最近になって冥界のメディアにおいて流行り出した番組がある。
それは……。
『始末してやるぞ、裏切り者……ドラゴンカイザーよ』
『裏切ったんじゃない、表返っただけだ。来るなら来い、『禁手化』!!』
見るからに怪人な格好の者と一誠そっくりの人物が『赤龍帝の龍人鎧』の姿まんまな変身をした。
そう、これこそ最近、冥界で流行り出した番組、一誠を主演とした特撮作品である『龍帝ドラゴンカイザー』だ。
因みに一誠が役者として演じている訳では無く、一誠と背格好が同じ役者さんにCGで一誠の顔をはめ込んで加工している。
「始まってすぐに冥界で大人気みたいです。特撮ヒーロー、『龍帝ドラゴンカイザー』」
「ならその人気を台無しにしないよう、振る舞わないとな」
現在、一誠の家の地下一階にある大広間で『龍帝ドラゴンカイザー』の鑑賞会をしている一誠たち、膝上に座っている小猫が一誠に身を摺り寄せ、一誠は彼女を抱き締め、頭を撫でながら言った。
この番組、何と放送開始されて視聴率が早々に五十%を超えるお化け番組となったそうだ。
ストーリーとしては悪魔に敵対する邪悪な組織に捕らわれ、伝説のドラゴンが宿ったアイテムを埋め込まれるだか何だかして改造された若手悪魔のイッセーは恋人であったアリス(番組ではリアスと良く似た背格好の役者に)との愛により、自分を取り戻して邪悪な組織と戦う変身ヒーローというものである。
「いやあ、しかし良く出来てるよなぁ……番組もこれも……っていうか商売根性逞し過ぎるだろう」
一誠は番組のクオリティもそうだが、机に置かれている玩具版ブーステッドギアの試作品を弄りながら言う。
「流石はグレモリー家ってところだよね。色々規模が違うよ」
「俺も開発協力してるけどな。物を作るのは嫌いじゃねえし」
「でしょうねぇ」
祐斗の言葉にアザゼルが告げ、一誠は苦笑をする。
「でも、こうやって一誠が冥界で人気になっていくのは嬉しいわね」
「というより、番組内だけでも一誠をヒロインとして独占出来ているからでしょう。気持ちが見え見えよ」
「良いじゃない、グレモリー家製作なんだから……特権のようなものよ」
リアスと朱乃が軽い女の戦いというよりは牽制をし合った。
「まさか、小さい時に特撮ヒーローごっこしてた幼馴染が実際に特撮ヒーローの主役になるなんて驚きだわ」
「俺も男の子だと思ってた幼馴染が美少女天使になったのは驚きだよ」
「も、もう一誠君ったら……気をつけてくれないと私、堕天使に堕ちちゃうわ」
「その時はVIP待遇で席を用意してやる」
「堕天使直々に勧誘するのは洒落にならんから、止めろ」
「ってぇっ!!」
イリナと軽くたわむれた一誠だったが、アザゼルが乗ってきたので一誠は小さく魔力を固めた球体を指弾として指で弾き、アザゼルの頭部に炸裂させた。
「それにしてもそろそろ、修学旅行だな。アーシア、イリナ、ゼノヴィア、祐斗、一緒に思う存分、楽しもうな」
「はい、イッセーさん」
「ああ、京都は良いところだと聞くし、本当に楽しみだ」
「私だって日本にいたのは小さい時だったから楽しみよ」
「勿論、僕だって楽しみだよ」
駒王学園の二年生は体育祭の後、修学旅行がある。
行き先は京都である。
「修学旅行は良いものよ。行き先の京都もだけど」
「ええ、良い思い出ですわ。リアスが凄くはしゃいでましたし」
「それは言わない約束でしょう。もう……」
一誠が切り出した修学旅行についての話をしたりして一誠達は今夜、珍しく穏やかな団欒を楽しんだのであった……。