赤龍帝に憑依転生した者   作:自堕落無力

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六十九話

 

 一誠たちは日本観光を楽しむオーディンを護衛していたが、今夜はとうとう襲撃者が現れた。

 

 同じ北欧神話勢力にして悪神であり、トリックスターであるロキだ。

 

 

 

「これはロキ殿。こんなところで奇遇ですな……貴殿らの主神であるオーディン殿がこの馬車には乗られているのを周知の上での行動だろうか?」

 

「無論だとも。我らが主神殿が、我らが神話体系を抜け出て、我ら以外の新話体系に接触していくのが耐えがたい苦痛であるから、我慢できずに邪魔をしに来たのだよ」

 

 アザゼルがロキへと問いかければ、堂々とロキは言ってのけた。

 

 

 

「堂々と言ってくれるもんだな、ロキ」

 

「ふはははは、これは堕天使の総督殿。本来、貴殿や悪魔たちと会いたくはなかったのだが、致し方あるまい――オーディン共々、我が粛清を受けるが良い!!」

 

 アザゼルが怒りながら言えば、ロキは楽しそうに笑いながら敵意を剥き出しにする。

 

「お前が他の神話体系に接触するのは良いってのか? 矛盾しているな」

 

「他の神話体系を滅ぼすのならば良いのだ。和平をするのが納得できないのだよ」

 

「お前はそもそも、破滅させるのが好きなだけじゃろうが……サーゼクスやアザゼルと話をしたり、日本の神話勢力と関わってみるのも楽しい。時代も変わる、故にそれに合わせた異文化交流をするのが儂の新しい楽しみよ」

 

「まったくもって愚かしい……では、此処で黄昏を始めようではないかっ!!」

 

 オーディンが呆れながら言った言葉にロキは戦闘の開始を告げる。

 

 

 

「なら、遠慮なくっ!!」

 

 一誠が右の掌を上げれば夜空が更なる漆黒で覆われていく。

 

 この漆黒こそは悪魔を強化する夜であり、悪魔以外の者では周囲を見る事も出来ない効果もある。

 

 オーディンやロスヴァイセ、アザゼルにイリナなどは一誠の調整によって視界に影響を受けないが……。

 

 更に空間自体も相当に拡大化されているし、異界化もしているのでこれからの戦闘において日本に一切の被害はもたらさない。

 

 

 

「ふっ!!」

 

「小賢しいわ」

 

 ゼノヴィアが先手必勝とばかりにデュランダルを取り出し、大質量のオーラの斬撃を放った。しかし、それは視界強化をして闇夜の妨害を防ぎつつ、オーラの斬撃を受けて見せたロキ。

 

 神の一柱とあって、ゼノヴィアの攻撃は通じていなかった。

 

「なら、これは?」

 

 龍人化し、『赤龍帝の龍人鎧』を纏った一誠が手元に出現させた小型の魔法陣を指先で弄ると万はあるだろう大小、様々な魔法陣が一誠の周囲に構成され、そうして魔法と魔術攻撃が放たれた。

 

 

 

「幾ら量で攻めようと無駄よ」

 

 ロキは波動を放って一誠の攻撃を打ち消していく。

 

「小手調べという奴だ」

 

「なっ!?」

 

 そうして次に手元の魔法陣を弄れば周囲に散った魔法や魔術の粒子が集結し、そうして拘束魔法など様々な魔法と魔術に変化して、ロキへと襲い掛かった。

 

「つ、な!?」

 

 ロキも北欧式の魔術で対抗しようとするも一誠が術式を乗っ取り、発動の阻止や乗っ取っての攻撃などを披露していく。

 

「まだまだいくぞっ!!」

 

「う、ぐっ!!」

 

 バロールの邪眼を元にした魔法での停止や時間感覚を狂わせる幻術など様々な魔法と魔術を仕掛ける一誠。ロキも対抗して一誠との魔術戦をしていくもやがて、翻弄され始め……。

 

「フェンリル!!」

 

『オオオオンッ!!』

 

 ロキが名を叫んだ事で空間が歪み、十メートルはありそうな巨大な灰色の狼であり、神を確実に殺せる牙を持つ魔物を呼んだ。

 

「良し、なら遊びは終わりだ」

 

 一誠は手元の魔法陣を消しつつ、不敵にそう、ロキとフェンリルを見ながら言ってのけたのであった……。

 

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