兵藤一誠は『禍の団』において人間で構成された『英雄派』に攫われた京都の妖怪を統べる者であり、大規模な術式発生装置であり、儀式場として最適な京都の強力な気脈を管理している九尾であり、八坂姫を救うために動き出した。
まずは娘であるために血が繋がっている九重の血を媒介にして八坂姫の場所の捜索を始めた。その場所は京都のとある場所に設けられた異空間であった。
「いや、普通にやってのけたけどよ……いくら血の繋がりを利用して探知したからって普通は異空間に入る存在をそう簡単には見つけられないからな」
『イッセーだから』
異空間内ですら探れる一誠の術技のそれにアザゼルは思わず言葉を発するとセラフォルーにグレモリー眷属、イリナが同じ言葉で応じた。
「よし、じゃあ助けに行って、八坂姫を攫ったやつらはぼこぼこにしてやろう」
そうして一誠は虚空に魔法陣を展開しながら、弄っていくと足元の床から更なる魔法陣が展開され、広がっていくと自分とグレモリー眷属にイリナとシトリー眷属、セラフォルーにアザゼル、そして九重達、妖怪勢力らと共に八坂姫のいる異空間に転移してみせた。
「京都まんまだな」
英雄派が用意した異空間は疑似京都まんまであり、そして八坂姫が囚われているのは二条城であり、英雄派の者達も其処をアジトとしていた。
「何かするのを待つ義理も道理もあるかよ」
そう言って、一誠は魔法陣を虚空に展開して弄り始める。
「色々、面倒臭いことされるのも厄介だ。この空間頂くぞ」
そうして英雄派が用意した異空間の支配を始めたのである。
「……ぶっちゃけ、お前を相手にする事において一番怖いのは術技のほうだな。異空間に相手に気づかれないままに侵入し、支配権を乗っ取り、書き換えるなんてめちゃくちゃすぎる……いや、待て、それが出来るって事はレーティングゲームでも無敵じゃねぇか」
「そんな野暮なことはしねぇよ。それに術技を磨いているのは相手が色々厄介な搦め手を使ってくるのに対処するためで俺自身は殴り合う方が好きなんだよ」
「だからこそ、怖いんだよ」
改めてアザゼルは一誠の恐ろしさは術技のほうだと確信した。だが、一誠自身は魔法や魔術、魔力といった術技による戦いではなく、純粋に戦う事を好んでいた。
「さて、これでっ!!」
そして一誠は異空間に施された儀式を行うために調整された気脈を弄って、元通りとしつつ、八坂姫の拘束と精神操作のそれを解除し、自分達の元に転移させた。
「っ、こ、此処は……」
「は、母上っ!!」
八坂姫は意識を取り戻すと周囲を見回して状況を把握しようとする。そこへ九重が涙を流しながら、自分の母である八坂姫へと飛び込み、抱き締められる。
「さて、後は俺好みに整えさせてもらうぜ」
そうして、一誠はこの疑似京都を大規模に変化させていき……。
『っ!?』
英雄派の構成員たちと一誠以外の者達を何も無いシンプルな戦場にて対峙させ……。
「よう、初めましてだな……英雄派のリーダーと主力陣共。特別に遊んでやるよ」
『なっ……』
一誠と英雄派のリーダーに主力陣らは闘技場にて対峙するというそれ、異空間を完璧に支配したが故の操作であり、改変を行ったのであった……。