美しい城だ、殆ど城壁くらいしか見えないが、それでも良く手入れされているのがわかる。
さっきの吊り橋の下の川で喉を潤せたが、崖を掴んで登り降りは二度としたくない。
サバイバル生活というのも流石にキツイ、生活の基盤を整える事は必要だ。
…一旦士官希望の傭兵を装って入ってみよう、道中でも何度か水色の怪物に襲われたから戦力はあって損は無い筈。
主人の人格が貴族に相応しくないなら地理だけ聞いてさっさと逃げれば良い、今の私は傭兵なのだから。
とりあえず地理を聞くなり金を稼ぐなりしたい所だが…まあまずは門番に話しかけて様子を見る。
「少し、よろしいでしょうか?」
「おや、トロデーン城に何かご用で?」
「流れの傭兵なのですが、流石に腰を落ち着けたくて…士官するならこの美しい城にしてみようと思って来ました、兵士の募集はしていますか?」
「いえ、特には…実力が有れば歓迎しますが、最近実力を確かめる試験官が変わってしまって、そいつがそりゃあ厳しいもんで…『我が王と姫様の為に生き残れる者を選別する』ってまあ張り切っちゃって…今はとりあえずよした方が良いと思いますよ…」
どうやらタイミングは良くなかったようだ…しかしそれでも挑むだけならタダだ、やってみるだけやってみよう。
「やらせて下さい、できればその人はどんな人なのかも教えてくれませんか?」
「あんたのようなお嬢さんがアイツにボコられるとこはあんまり見たくないんだけどな、まあ良いさ…名前はエイト、孤児ながら姫様に拾われた果報者さ、だが強さは半端じゃねえ、明らかに異常な膂力と無茶苦茶な鍛練をこなしてそれでいて『私の全ては我が王と姫様の為に有る』だなんて事を平然と言ったりホイミとキアリーとリレミトが使えるからか近衛兵にまで登り詰めちまった変わり種だ。…まあ肝心の強さに関してだけどよ…呪文はギラを覚えててそりゃもう速くてな、スライムくらいなら何匹いようが一瞬だぜ、もうすぐベギラマを習得できそうとか言ってたけど。剣を振らせりゃウチの城の兵士でもそうそう遅れは取らねえ、盾を持たせりゃ4人がかりで袋にしても崩せねえと来るが、アイツが一番得意なのは槍なんだよ、まあ突くのが速いの何の…一突きで3回4回くらい突いてるぞアレ…防御を固めても一突きでぶち破られるし、何よりもベホイミを使えるようになってから訓練でも容赦が無くなってさあ…テンション上げて回復すれば良いってもんじゃないんだよ、痛いもんは痛いんだよ…そりゃ俺だって王様も姫様も守りたいよ?でもだからって『痛みは自分がまだ戦える証拠』とか言って明らかに自分を治療しなきゃならんのに訓練を止めようとした兵士全員伸して訓練続けるのはおかしいだろ…あ、すみません…つまりは『強いし魔法使えて回復できる容赦が無いヤバい奴が試験官なんで辞めとけ』って事です…悪い奴じゃないんですけどね…士官するなら定期船を使いますがアスカンタ辺りの方が良いとは思いますが…」
「はあ…」
どうやら時期的に外れを引いてしまったようだ…しかし挑むだけならタダだ、回復もできるらしいから怪我の後遺症も無いだろう。
自慢気ではあるが、愚痴も混じっている、万が一にも此方がやりすぎて周囲の不服を買うということは無さそうだ。
「やらせて下さい」
「…まあ、そう言って叩きのめされた奴は結構いますが…認められた奴もいるんでとりあえず頑張って下さいね…あ、あとエイトの奴の前で王族の侮辱なんてしたら絶対ダメですよ?テンションぶち上げ過ぎて紫のオーラ纏って放たれたギラという名のベギラゴンで消し炭にされた奴がいて…こっちも色々大変になりますから…まあ、兵士の宿舎まで案内しますよ、負けを認めるか周りに引いた線から押し出せば合格です」
「ありがとうございます」
…どうやらこの世界ではテンションを上げればファイアーがボルガノンになるくらいに強化されるらしい、白魔法も強化出来る様だ、致命傷さえ避ければどんな事をしても問題は無いのだろう…折角の機会だ、全力で行こう。
ゲーム的にはレベル1からだけどあの出自の近衛兵が弱い訳無いのでこの時点でレベル19からスタートです。
エイトのスキル振りは槍と勇気中心で行きますが、エーデルガルトのスキル振りはアンケートで行います。
どんな戦法で行く?
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斧を持って攻撃を優先
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剣を持って回避を優先
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剣と盾を持って防御を優先、押し出しを狙う