今回の選択肢次第ではオリキャラが出てくる可能性があります
バキン!
薪を割る音がする、左右に割れた薪を荷車まで持っていく、斧を振り上げて下ろす、動作としてはそれだけだが、やってみるとなかなか気を使う仕事だ、入射角は正確でなければならないし、あまりに力を入れすぎてもいけない、斧の方に負担が来てしまうからだ、最悪破損してしまうのでその辺はやっていくうちに学ぶしか無いだろう。
それはそれとしてこの身体の力はこういう肉体労働の際には便利だ、由来はゴミだが使える物は使うのは当然の事である。
バキン!
「ふう…」
もっとも、慣れない作業というのは肉体への負担が少なくてもなんだか疲れるのには変わり無い、ましてや上司がいた経験も無いのだから尚更だ…薪を運ぶ時に目の前で爆発される不安が無ければもう少し気が楽だったのだが…
「今日から直属の上司になるエイトです、宜しくお願いします」
「はい、宜しくお願いします」
昨日部屋に戻った後言われた通りこれからこの近衛兵の部下として働くようだ、彼の力は知っている、現時点では不満は無い。
「…今日はとりあえず雑用からです、実力的には十分、ならばまずやる事は訓練よりもこの城に慣れる事だと思いました、薪割りをして荷車一杯の量になったら乾燥場に運んでください、爆発するかもしれないので乾燥場が見えたら支給した盾を構えて身を守りながら近づいてください、非常に危険ですので、その道中に出会った人とは挨拶を交わしましょう、乾燥場が一杯になったら今日の薪割りは終わりですので自由時間として構いませんが…トロデーン城の一員としての自覚を持つ第一歩です、挨拶周りをして自己紹介をするのも良いかもしれません…すみません、何せ私も部下への指示はしたことが無くて…これで問題無いでしょうか?」
「まあ、今は貴方が上司なのだし特に問題は無いと思うけど…あ、トラブルの対応でわからない事は貴方に聞けば良い?あと薪が爆発でもするのですか?聞いたことがありませんが…?」
この世界特有の現象だろうか…?ひょっとしたらかなり凄まじい世界に来てしまったのだろうか?
「いえ、乾燥場の100メートル先にいる火の番をしている魔法使いのマックに相談してください、その際彼が魔法を暴発していて伸びていたら教会の神父の所に持っていってください、何度もお世話になっていますのでどちらも蘇生に慣れています」
「えっ…?その…危険性は無いの?」
多分有ると思うが…あと聞き間違いだろうか?蘇生?どういう事だ?まあ教会関連の本は読んでいなかった私が悪いのだが…
「非常に…いえ、最高クラスに強いので最悪被害が薪の乾燥場のみのあの場所で研究させています…魔法の結界も無意味だそうで…火の番としてもヒャダルコやメラミの呪文を使える彼ならば一応適任ではありますし…とにかく乾燥場に近づく際には盾で身を守る事を意識してください…個人技能も必要で再現性もかなり低い、その上暴発すれば極めて危険なれど正確に利用出来さえすればモンスター対策としては威力面ではこの上なく有用だと判断されました、彼の他に二つの呪文を同時に行使してその上で命を掛けようとする者もそうそういないのも事実ですし…制御のノウハウが出来れば魔法技術の新たな一歩に成るのは事実のようです…とりあえずあなたがやることは薪割りの予定ですが… 薪運びの際は近づく事になるでしょう…」
「はあ…いきなり、ですか…」
…今なら適当な理由をつけて逃げられるだろうか?そんな考えが頭によぎる…いや、そうそう簡単にこの環境が手に入るとは限らない、一度ここに居ると決めたのに逃げればそうそう戻ってこれないだろう…覚悟を決めろ、私はアドラステア帝国の皇帝だった女だ、それくらいで怖じ気づく事など許されない立場だった…ならばたかが薪割りと薪運び程度出来ない筈が無い!
「…すみません…やはり断っても構いませんが…」
「いいえ、やります」
…つい言ってしまった、だが巻き込まれる可能性があるのは乾燥場にいる時だけだ、危険なれど魔法使いが蘇生が出来るくらいの負傷ならば盾を構えた私にとってはリスクが凄まじいという訳でもあるまい、やってみるとしよう。
「…道中で人と出会ったり挨拶周りの際には『薪運びをしました』と言うと良いでしょう、城の皆から一目置かれて名前を覚えられる筈です、自慢話の種にでも…」
「…わかりました、開始します」
勇気を振り絞れ!アドラステア皇帝、参る!
「ふう…」
がらがらと薪で一杯になった荷車を引いて乾燥場に向かう、薪割りをしているうちに皇帝としての覚悟が萎えてきたような気がするが、とりあえず彼は魔法を爆発させながらも今の所は乾燥場に被害を与えた事は無いらしい、魔法を放つのは乾燥場と逆方向なのでそりゃそうではあるが、一応ちゃんと考えられてはいるようだ。
「さて…」
何をするか?
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危険なのでさっさと薪を置いて戻る
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魔法の可能性が気になってしまう