もし、ハジメと香織の天職、技能が同じだったら。
そんなIFのお話。ルートは2つ。
※プレートを受け取るあたりまでカット
ルート1 治癒師
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南雲ハジメ 17歳 男 レベル:1
天職:治癒師
筋力:10
体力:30
耐性:40
敏捷:20
魔力:120
魔耐:120
技能:回復魔法・光属性適正・闇属性耐性・高速魔力回復・言語理解
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これがプレートに血をこすりつけて出てきた情報だ。
これが血をこすりつけたときにでた情報だ。
『治癒師』がハジメの天職らしい。
まるでゲームのキャラにでもなったようだと感じながら、ハジメは自分のステータスを眺める。他の生徒達もマジマジと自分のステータスに注目している。
メルド団長からステータスの説明がなされた。
「全員見れたか? 説明するぞ? まず、最初に〝レベル〟があるだろう? それは各ステータスの上昇と共に上がる。上限は100でそれがその人間の限界を示す。つまりレベルは、その人間が到達できる領域の現在値を示していると思ってくれ。レベル100ということは、人間としての潜在能力を全て発揮した極地ということだからな。そんな奴はそうそういない」
どうやらゲームのようにレベルが上がるからステータスが上がる訳ではないらしい。
「ステータスは日々の鍛錬で当然上昇するし、魔法や魔法具で上昇させることもできる。また、魔力の高い者は自然と他のステータスも高くなる。詳しいことはわかっていないが、魔力が身体のスペックを無意識に補助しているのではないかと考えられている。それと、後でお前等用に装備を選んでもらうから楽しみにしておけ。なにせ救国の勇者御一行だからな。国の宝物庫大開放だぞ!」
メルド団長の言葉から推測すると、魔物を倒しただけでステータスが一気に上昇するということはないらしい。地道に腕を磨かなければならないようだ。
「次に〝天職〟ってのがあるだろう? それは言うなれば〝才能〟だ。末尾にある〝技能〟と連動していて、その天職の領分においては無類の才能を発揮する。天職持ちは少ない。戦闘系天職と非戦系天職に分類されるんだが、戦闘系は千人に一人、ものによっちゃあ万人に一人の割合だ。非戦系も少ないと言えば少ないが……百人に一人はいるな。十人に一人という珍しくないものも結構ある。生産職は持っている奴が多いな」
ハジメは自分のステータスを見る。さっき見た通りに天職欄に『治癒師』とある。どうやら回復魔法に才能があるようだ。
ハジメ達は上位世界の人間だから、トータスの人達よりハイスペックなのはイシュタルから聞いていたこと。なら当然だろうと思いつつ、口の端がニヤついてしまうハジメ。自分に何かしらの才能があると言われれば、やはり嬉しいものだ。
「後は……各ステータスは見たままだ。大体レベル1の平均は10くらいだな。まぁ、お前達ならその数倍から数十倍は高いだろうがな! 全く羨ましい限りだ! あ、ステータスプレートの内容は報告してくれ。訓練内容の参考にしなきゃならんからな」
技能を見てみると、回復魔法とある。ゲームで言う『ヒール』みたいなものだろうか。
メルド団長の呼び掛けに、早速、光輝がステータスの報告をしに前へ出た。そのステータスは……
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天之河光輝 17歳 男 レベル:1
天職:勇者
筋力:100
体力:100
耐性:100
敏捷:100
魔力:100
魔耐:100
技能:全属性適性・全属性耐性・物理耐性・複合魔法・剣術・剛力・縮地・先読・高速魔力回復・気配感知・魔力感知・限界突破・言語理解
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といったふうに、まさにチートの権化だった。
「ほお~、流石勇者様だな。レベル1で既に三桁か……技能も普通は二つ三つなんだがな……規格外な奴め! 頼もしい限りだ!」
「いや~、あはは……」
団長の称賛に照れたように頭を掻く光輝。ちなみに団長のレベルは62。ステータス平均は300前後、この世界でもトップレベルの強さだ。しかし、光輝はレベル1で既に三分の一に迫っている。成長率次第では、あっさり追い抜きそうだ。
そして、ハジメもあとに続く。
「ほお。お前は治癒師か。魔力が120か!勇者よりも高いじゃないか!これは将来有望だぞ!」
「ちょ、ちょっと!痛いです!」
「あ、すまんすまん」
肩をバシバシ叩かれていた。
メルドの筋力300にはハジメの耐性40では対抗することは難しいのだ。
「んで、次はそこの嬢ちゃんか・・・ん?」
メルドが首を傾げた。
何かあったのかと思い近づいてみると、特に何もなかった。
「メルドさん、何かあったんですか?」
「ああ、さっきの治癒師か。・・・すまんが、もう一度プレートを見せてくれないか?」
「?・・・良いですけど」
そしてハジメはプレートを渡す。
その時香織のプレートも見えたのだが、これだった。
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白崎香織 17歳 女 レベル:1
天職:治癒師
筋力:10
体力:30
耐性:40
敏捷:20
魔力:120
魔耐:120
技能:回復魔法・光属性適正・闇属性耐性・高速魔力回復・言語理解
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まさかのハジメと完全一致。
「やっぱりそうか。・・・まあ、回復役が増えたのは良いことだからまあ良いか」
メルドは特に気にしなかった。
「ねえねえハジメくん!私とハジメくんってステータス全部同じなんだね!」
「うん。そうだったね。・・・こんなことあるんだね」
「うーん、珍しいけどなくはないんじゃないかな?このクラス結構人いるし」
そんなことを話していると、香織が雫の方に行ったときとある人間が話しかけてきた。
このシリーズを読んでくださっている皆様ならもうおわかりだろう。檜山だ。
「おい南雲ぉ!お前治癒師だったんだって!?良いなぁお前は!後ろで怪我する心配とかなくて!俺は勇敢な軽戦士だから前に出て戦わなくちゃいけないんだよ!お前もやれよ!ああお前は臆病だから無理か!ギャハハ!」
まーた煽りに来た。そんなことを言われていると、香織が戻ってきた。
「ハジメくーん、ってあれ?檜山君?どうしてここに?」
「あ、し、白崎さん。いや、このオタクが治癒師だからって戦いから逃げようとしてたんで懲らしめようとしてただけですよ。おい南雲、余計なこと言ったらどうなるかわかってんだろ?黙ってろよ」
「ふーん。私も治癒師だったんだけど」
「え、そ、そうだったんですか?・・・いや、ハジメは自分のステータスが低いのも理由にして」
「ハジメくん、プレート見せてあげて。・・・で、これが私のプレート。ハジメくんと私ってステータス同じなんだよね。すごい偶然でしょ?」
「え、お、同じ・・・?」
「で、聞きたいんだけどさ。私とステータスが同じなハジメくんが逃げようとしてるっていうんだったら、私もそうなんだよね?君の理論だとさ」
「い、いや、その、なんというか・・・」
「理由は聞かないよ。・・・もう二度と私、そしてハジメくんに近寄らないで。・・・君たちのこと、大っ嫌い」
「・・・・・・・・・・・っ!」
そして負け犬は逃げ出した。
「ハジメくん、大丈夫だった?」
「うん。ちょっと面倒だっただけで慣れてるから心配ないよ」
「慣れちゃだめだよ・・・もう」
翌日から訓練が始まったのだが、天職ごとに分けられた。光輝や浩介といった戦闘系、幸利などの魔法系、ハジメや香織などの回復系に分けられた。ハジメとしては檜山たちが寄ってこないためこの分け方を結構喜んでいたりする。
まあ、檜山たちはこの前の香織に言われた言葉で近寄れないだろうが。
そして、その翌日の夜。ハジメは訓練場や庭を散歩していた。
「はあ、なんでこんな事になったんだろうな。戦争参加か・・。できることならやりたくないなぁ・・・。でも、やらないといけないんだよね・・・戦争の意味をわかってるのかな?・・・・・・・・・・・まあ、それより元の世界か。・・・母さんたち、心配してるだろうな」
「・・・そうだね」
「うわっ!?白崎さん!?」
「あ、驚かせちゃった?ごめんね。・・・なんで、参加していいって言っちゃったんだろうね、私」
この話では召喚直後をカットしており、忘れている人もいるかも知れないため一応記述しておく。
香織は光輝が参加すると言ったあと、『雫が参加するなら』といった理由で参加していたのだ。
「・・・白崎さん?」
「浮かれてたんだろうね。光輝くんに言われて、力があることに気づいて。人を殺す覚悟なんてできていたわけないのにさ。・・・昨日、戦争ってなんなのか考えてみたんだ。・・・1秒も経たずに気づいたよ。『殺し合い』だってさ。・・・昨日は、人を殺す恐怖で全然眠れなかった。・・・ハジメくんは、覚悟、って、できて、るの?」
その問いかけに、ハジメは無言のまま首肯で返す。
「そっか・・・強いね。ハジメくんは」
「そんなことないよ。僕も実践になったら本当に殺せるかわからないんだから」
「それでも、覚悟してるだけ凄いよ。・・・私は・・・」
「・・・白崎さん。泣くのは我慢しなくて良いんだよ」
「・・・え?」
「泣くのを我慢してるように見える。そんな資格なんかないって考えてるみたいで。・・・あれはもう忘れちゃっていいよ。場の雰囲気もあっただろうし」
「で、でも!」
「でもじゃない。・・・白崎さん、君は召喚者だ。でも、それ以前に高校生だ。この世界は別として、地球じゃまだ未成年だよ。・・・泣いたって良いんだ」
そう言って腕を広げ、香織を抱きしめる。
「ほら、我慢しないで。ここでは僕しか君の泣き声を聞かないから」
そう言いながら頭を撫で続ける。
「〜〜〜〜っ!」
服が濡れる。そんなこと気にも留めず撫で続ける。少女が泣き止むまで、落ち着くまで、ずっと。
「ありがとう、ハジメくん。・・・恥ずかしいところ見せちゃったね」
「ううん。そんなことないよ。いつもと変わらず可愛いままだよ」
その言葉は今の香織にとって致命傷の一撃だった。一瞬で顔が赤くなる。暗闇でもわかるほどに。
たぶんボフッて音もしていたと思う。
ちなみにハジメだが、香織が赤くなったのを見て何かあったのか考えてみたが、『可愛い』と言ったことを思い出し、赤くなっていた。
「あ、ありがとう。は、ハジメくんも、かっこいい、よ」
そしてハジメも更に赤くなったわけだが、もう夜も遅いことを思い出し、城に戻る。
明日、2人の関係は『友達』ではなくなるかもしれない。
それを示すように、2人の手は固く繋がれていた。