ありふれたかもしれないIFの世界   作:uruka

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リョウ・スカーレットさんからのリクエストです。今回は短めです。

あと、ちょっとリクエストとは違う感じになってしまいました。


ハジメの『錬成』のIF

もし、ハジメが『錬成』を原作よりも理解していたら。

そんなIFのお話。ルートは1つ。

※訓練開始あたりまでカット

 

 

 

ハジメは『錬成』に関する文献がないか、訓練の休憩時間に図書館で調べていた。

 

その理由としては、檜山たちが毎度のように『訓練』と称していじめを行ってきており、それに対する復讐ができないかと考えたからだ。

 

だが、調べても情報は殆ど出てこない。

 

かろうじて「世界最強の錬成師」といったものが見つかったが、ハジメとは状況が全く違い、それほど参考になるものではなかった。

 

そして休憩時間が終わり、また訓練(という名のいじめ)に行くことになった。

 

 

 

 

「ホラホラ!避けてみろよ!お前は力がなくて戦えないんだからさ!少なくともこれくらいは避けてみようぜ?まあお前には無理だがな!ヒャハハ!」

 

今回檜山たちがしてきたのは剣を持ち振り回しながら追いかけてくるものだ。

 

当然檜山のほうがステータスが高く、ハジメは逃げ切れず何度も切られて血を流している。

 

ちなみにこのとき香織や幸利のような魔法組は別の場所で訓練しており、ハジメが今どうなっているか一切知らない。

 

『ああ、なんで僕だけこんな目に合わなくちゃいけない?何かした?』

 

『周りの人も見て見ぬ振りで助けようとしてくれない』

 

『白崎さんなら助けてくれるだろうけど今はいない』

 

『殺したって良い・・・現状を突破する方法は、何だ?』

 

これは逃げながら考えていたハジメの思考だ。

 

推測できるだろうが、闇堕ちしかけている。

 

まあ、闇落ちしなかった場合のハジメなら檜山達を傷つける思考になど行かなかっただろうから別に良いか。

 

『血も流れて・・・血?』

 

その時ハジメの脳裏をよぎったのは、下手したら死ぬかもしれない一か八かの一手だった。

 

―――自分の血を操作する

 

詳しく言うと、血液中の鉄分を操作するのだ。

 

だが、このまま逃げていても傷が増えるだけだ。

 

そう思いハジメは檜山たちの方に向く。そして。

 

「―――錬成!」

 

檜山たちから見ると、ハジメは手に何も持たず急に「錬成!」と言い出したのだ。

 

「ギャハハ!オイ南雲ぉ〜。幻覚でも見てんのか?何も持ってねぇぞ〜?」

 

だが、そのことは間違いだとすぐに身を持って体験することになる。

 

「――ギャァアアアア!」

 

突然、隣りにいた近藤が立ち止まって叫んだのだ。

 

「お、おい近藤?急に何叫んで・・・「目が!俺の目がぁああ!」・・・は?」

 

その言葉を最後に、近藤は意識を失った。

 

見ると、何か赤っぽい線が近藤の顔と繋がっている。その先はハジメの手だ。

 

この赤い線は、ハジメが流した血。血を髪の毛レベルまで細くして近藤の目に突き刺したのだ。そしてかき混ぜる。近藤の目は回復しても修復不可能レベルの怪我になってしまった。もちろん失明である。

 

気絶したのは脳が許容できる痛みを超えたからだ。

 

檜山が現状を理解できずにフリーズしていると、顔の横を2本の血が通っていった。

 

「「ギャァアアア!」」

 

後ろにいた中野と斎藤の目に突き刺さっている。

 

その時檜山がハジメの方を向くと、右の人差し指を自分の顔に向けていた。

 

「な、なあ南雲?こ、これまでのことは謝るからさ。そ、その手を下ろしてくれないか?」

 

その言葉は無視してハジメは歩み寄る。

 

「ヒ、ヒィイイイ!く、来るなぁ!殺してやるぞ!」

 

そう言って剣を構えるが。

 

―――カラン

 

なぜか、剣が地面に落ちた。

 

見ると、剣の他になにか落ちている。何か爪のようなものがついて――爪?

 

檜山が手を見ると、指が全て切り落とされていた。

 

「ギャァアアア!?手がぁああ!?俺の手がぁあああ!!!」

 

檜山が理解していたかどうかは知らないが、これはハジメの警告だった。

 

僕は正確に君の指を切り落とすことができる。逃げても無駄だ。

 

檜山はその場から逃げ出そうとするが、足がもつれて地面に転んでしまう。

 

立ち上がろうとするが、足が震えて立ち上がれない。

 

「・・・」

 

無言でハジメは歩いてくる。

 

「く、来るな!来るなぁ!謝る!こ、これまでやったこと謝りますからぁああ!だから、だから殺さないでくれぇええ!!!!」

 

その言葉にハジメは足を止める。

 

「・・・じゃあさ、君が初めて僕を殴った日っていつだったっけ?」

 

「え?えーと、5月20日くらいだったか?」

 

「違う。4月の18日。じゃあ次の質問。君がトイレで水をかけてきたのはいつだった?」

 

「え、えーと。5月30日とか?」

 

「とかって何さ。5月3日。昼休みだよ。・・・謝るって言いながら本気で謝る気なんかないんでしょ?どうせ謝れば逃げ切れるとでも思ってたんでしょ」

 

「な、何だよ!誰だって言うだろうがそんなこと!」

 

「開き直りか。・・・ならさ、君って僕が『やめて』って言ったときやめてくれたことって何回あったっけ?」

 

「な、何回かはやめてやったはずだぞ!」

 

「うん。でもそれってさ、僕が言った直後に白崎さんが来たからなんだよね。・・・白崎さんがこなかったときを聞いてるんだよ僕は」

 

「え?えーと、えーっと・・・」

 

「思い当たらないんでしょ?だって一回もそんなことしてくれなかったんだから。・・・だからさ、君は、いや。『お前は』もう、何も見るな」

 

そう言ってゆっくりと檜山の両目に血を近づける。

 

「い、嫌だ。死にたくない・・・嫌だぁああああアアアアアアア!!!!!」

 

目の痛みとともに、檜山は意識を失った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んあ・・・?」

 

「おや、目を覚まされましたか」

 

「あ・・・?暗・・・そう言えば南雲のカスはどこにいる!ぶっ殺してやる!」

 

「落ち着きなされ。あの少年の話をする前に、あなたの現状を言いましょう。―――あなたは両目を失明。それに加え、両手を失いました」

 

「は・・・?お前ら俺の目や指治せなかったのかよ!何が医者だ!」

 

「話をお聞きなさい。手に回復魔法を掛けたのは私達ではありません。召喚者である白崎香織様です。あの方は私よりも技量が上ですので」

 

「は?香織が?」

 

「そして、あなたの処分が昨日イシュタル様から言い渡されました。戦争離脱です」

 

「・・・・・・・・・・・・・は?」

 

「両手と視界を失ったあなたでは戦争ができないと判断されたのでしょうね。お気の毒です」

 

「・・・あのジジイが!」

 

「・・・思う所あるでしょうが、私は他の患者様の下へ行かないといけないのです。ここらで御暇いたします。何か用があればその魔道具を動かしてください。看護師が行きますので」

 

 

 

「ふう・・・南雲様、これで良かったでしょうか?」

 

「ありがとうございます。もちろん報酬として一月の間、助手をやらせていただきます」

 

実は、檜山の視力はこの医者なら治そうと思えば普通に治せる。でもそれはしなかった。

 

ハジメが回復魔法をかけるのをやめて止血だけにしてほしいと頼んだためだ。

 

当然この医者は驚いたが、話を聞くとそれを承諾。

 

結果、檜山の目には包帯を巻かれただけで回復魔法はかけられていないのだ。

 

手に関しては香織が『間違えて』落ちた指を持ってこずに回復してしまったそうだ。

 

「それは良かった・・・ハジメ様の血液操作があるのとないのとでは生存率が非常に変化しますからな」

 

「あはは・・・偶然なんですけどね」

 

「何をおっしゃいますか。あなたの技能でしょう?偶然だろうとなんだろうと神様が技能を南雲様にくださった。それで良いのです」

 

「・・・それを聞いて安心しました。こんなことをしでかした僕がたったあれだけの処分で良かったのかと思っていたので・・・」

 

チンピラーズとハジメが起こした一連の出来事は、チンピラーズが目覚め次第、その日から三ヶ月謹慎。それに対して、ハジメはたった2日間の謹慎だったのだ。これには光輝が抗議していたが、イシュタルからの正式な声明として出されたためそれ以上抗議することはできなかった。

 

「おそらくですが、これまで檜山様たちが南雲様にしていたことを白崎様や遠藤様が伝えたのでしょう。叙情酌量の余地があると判断されたのでしょうね」

 

「ええ、そのようです。あのあと、浩介・・・ああ、遠藤が話してくれたので」

 

「おや、そうでしたか」

 

「はい。・・・その後、助けられなくてごめんとも言われました」

 

「そうですか。・・・その方は大切にしたほうが良いでしょう。話を聞いたところ、謝りに来たのは遠藤様だけのご様子。他の方は謝りに来ておらず、信用には値しませんでしょう」

 

「ええ。そのつもりです。・・・遠藤以外にも何人かは来てくれましたね。白崎さんとか」

 

「おや、それは良かったですな。ほっほっほっ」




文中にも書きましたが、今回のハジメは普通の金属ではなく自分の血を錬成して攻撃しています。
リクエストで闇落ちみたいなハジメを見たいと言われたのですが、闇落ちのイメージが自分の体を錬成することしか思いつかず、こんな話になってしまいました。
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