ありふれたかもしれないIFの世界   作:uruka

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T E Nさんからのリクエストです。
光輝には肉体言語を普通にするくらい嫌っているとあったのですが、そんなに嫌わせることができませんでした。すみません。


香織がハジメに向ける恋愛感情 IF

もし、香織が原作よりハジメを好きだったら。

そんなIFのお話。ルートは1つ。

※共依存気味です

 

 

「おはよう、ハジメくん!」

 

「あ、白崎さん。おはよう」

 

ハジメが教室に入ると、早速ニコニコとしながら香織が話しかけてきた。

 

「今日も結構ギリギリだね。もう少し早く来たら?」

 

「そうしたいのは山々だけどね・・・最近父さんが結構やばくてさ」

 

香織はよくハジメを構う。徹夜のせいで居眠りの多いハジメは不真面目な生徒と思われており(成績は平均を取っている)、生来の面倒見のよさから香織が気に掛けていると思われている。

 

ちなみに、ハジメは自分の趣味で徹夜することもあるのだが、今回は父の会社の手伝いで徹夜した。

 

「南雲君。おはよう。毎日大変ね」

 

「香織、また彼の世話を焼いているのか? 全く、本当に香織は優しいな」

 

「全くだぜ、そんなやる気ないヤツにゃあ何を言っても無駄と思うけどなぁ」

 

そんなふうに話しかけてきたのはクラスメイトの3人。

 

まあわかっているだろうが雫、光輝、龍太郎だ。

 

「ああ、おはよう。・・・自業自得っちゃ自業自得だから仕方ないよ」

 

「それが分かっているなら直すべきじゃないか? いつまでも香織の優しさに甘えるのはどうかと思うよ。香織だって君に構ってばかりはいられないんだから」

 

「別に甘えてはいないよ。白崎さんが話しかけてくれるだけさ」

 

光輝がハジメに忠告する。光輝の目にはハジメは香織の厚意を無下にする不真面目な生徒として映っているようだ。

 

「というか、香織も南雲なんかに構わないで俺達と一緒に話さないか?」

 

「え?なんで?私ハジメくんと話したいから話してるんだけど。というか光輝くんに勝手に私の行動を決められたくなんかないんだけど」

 

その言葉に光輝は固まる。

 

直後に担任が入ってきて、始業のチャイムが鳴った。ハジメは寝た。おやすみなさーい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

教室のざわめきに、ハジメは意識が覚醒していくのを感じた。居眠り常習犯なので起きるべきタイミングは体が覚えている。その感覚から言えば、どうやら昼休憩に入ったようだ。

 

ハジメは、突っ伏していた体を起こし、十秒でチャージできる定番のお昼をゴソゴソと取り出す。

 

それを飲もうとすると、

 

「ハジメくん!一緒にお弁当食べよ!いつもそれだけだと栄養足りないよ?私ハジメくんの分もお弁当作ってきたんだ!これ!」

 

「あ、そうなんだ。ありがとう、白崎さん」

 

香織が話しかけてきた。だが、もう一人話しかけた人物がいた。

 

「香織。こっちで一緒に食べよう。南雲はまだ寝足りないみたいだしさ。せっかくの香織の美味しい手料理を寝ぼけたまま食べるなんて俺が許さないよ?」

 

爽やかに笑いながら気障なセリフを吐く光輝にキョトンとする香織。少々鈍感というか天然が入っている彼女には、光輝のイケメンスマイルやセリフも全然効果がないようだ。

 

「え? なんで光輝くんの許しがいるの?というかこれはハジメくんのために作ってきたんだよ。光輝くんのためじゃないよ」

 

そう言うと香織はハジメの方に向き直って弁当を渡す。

 

だが、こんなときに異常事態が発生。

 

光輝の足元から幾何学的模様が出現し、みるみるうちに教室全体まで広がったのだ。

 

「皆! 早く教室から出て!」

 

その言葉が担任から発せられると同時、模様がカッと光り輝いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

両手で顔を庇い、目をギュッと閉じていたハジメは、ざわざわと騒ぐ無数の気配を感じてゆっくりと目を開いた。そして、周囲を呆然と見渡す。

 

 

 

プレートを受け取るあたりまでカットします

 

 

 

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南雲ハジメ 17歳 男 レベル:1

 

天職:錬成師

 

筋力:10

 

体力:10

 

耐性:10

 

敏捷:10

 

魔力:10

 

魔耐:10

 

技能:錬成・言語理解

 

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これが血をこすりつけたときに出てきた情報だ。

 

まるでゲームのキャラにでもなったようだと感じながら、ハジメは自分のステータスを眺める。他の生徒達もマジマジと自分のステータスに注目している。

 

メルド団長からステータスの説明がなされた。

 

「全員見れたか? 説明するぞ? まず、最初に〝レベル〟ってのがあるだろう? それは各ステータスの上昇と共に上がる。上限は100でそれがその人間の限界を示す。つまりレベルは、その人間が到達できる領域の現在値を示していると思ってくれ。レベル100ということは、人間としての潜在能力を全て発揮した極地ということだからな。そんな奴はそうそういない」

 

どうやらゲームのようにレベルが上がるからステータスが上がる訳ではないらしい。

 

「ステータスは日々の鍛錬で当然上昇するし、魔法や魔法具で上昇させることもできる。また、魔力の高い者は自然と他のステータスも高くなる。詳しいことはわかっていないが、魔力が身体のスペックを無意識に補助しているのではないかと考えられている。それと、後でお前等用に装備を選んでもらうから楽しみにしておけ。なにせ救国の勇者御一行だからな。国の宝物庫大開放だぞ!」

 

メルド団長の言葉から推測すると、魔物を倒しただけでステータスが一気に上昇するということはないらしい。地道に腕を磨かなければならないようだ。

 

「次に〝天職〟ってのがあるだろう? それは言うなれば〝才能〟だ。末尾にある〝技能〟と連動していて、その天職の領分においては無類の才能を発揮する。天職持ちは少ない。戦闘系天職と非戦系天職に分類されるんだが、戦闘系は千人に一人、ものによっちゃあ万人に一人の割合だ。非戦系も少ないと言えば少ないが……百人に一人はいるな。十人に一人という珍しくないものも結構ある。生産職は持っている奴が多いな」

 

ハジメは自分のステータスを見る。確かに天職欄に〝錬成師〟とある。どうやら〝錬成〟というものに才能があるようだ。

 

ハジメ達は上位世界の人間だから、トータスの人達よりハイスペックなのはイシュタルから聞いていたこと。なら当然だろうと思いつつ、口の端がニヤついてしまうハジメ。自分に何かしらの才能があると言われれば、やはり嬉しいものだ。

 

しかし、メルド団長の次の言葉を聞いて喜びも吹き飛び嫌な汗が噴き出る。

 

「後は・・・・・・各ステータスは見たままだ。大体レベル1の平均は10くらいだな。まぁ、お前達ならその数倍から数十倍は高いだろうがな! 全く羨ましい限りだ! あ、ステータスプレートの内容は報告してくれ。訓練内容の参考にしなきゃならんからな」

 

この世界のレベル1の平均は10らしい。ハジメのステータスは見事に10が綺麗に並んでいる。ハジメは嫌な汗を掻きながら内心首を捻った。

 

(あれぇ~? どう見ても平均なんですけど・・・・・・もういっそ見事なくらい平均なんですけど? チートじゃないの?  ・・・・・・ほ、他の皆は? やっぱり最初はこれくらいなんじゃ・・・・・・)

 

ハジメは、僅かな希望にすがりキョロキョロと周りを見る。皆、顔を輝かせハジメの様に冷や汗を流している者はいない。

 

メルド団長の呼び掛けに、早速、光輝がステータスの報告をしに前へ出た。そのステータスは・・・

 

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天之河光輝 17歳 男 レベル:1

 

天職:勇者

 

筋力:100

 

体力:100

 

耐性:100

 

敏捷:100

 

魔力:100

 

魔耐:100

 

技能:全属性適性・全属性耐性・物理耐性・複合魔法・剣術・剛力・縮地・先読・高速魔力回復・気配感知・魔力感知・限界突破・言語理解

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まさにチートの権化だった。

 

「ほお~、流石勇者様だな。レベル1で既に三桁か……技能も普通は二つ三つなんだがな……規格外な奴め! 頼もしい限りだ!」

 

「いや~、あはは……」

 

団長の称賛に照れたように頭を掻く光輝。ちなみに団長のレベルは62。ステータス平均は300前後、この世界でもトップレベルの強さだ。しかし、光輝はレベル1で既に三分の一に迫っている。成長率次第では、あっさり追い抜きそうだ。

 

「ねえねえハジメくん!どうだった?私はこれ!」

 

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白崎香織 17歳 女 レベル:1

 

天職:治癒師

 

筋力:10

 

体力:30

 

耐性:40

 

敏捷:20

 

魔力:120

 

魔耐:120

 

技能:回復魔法・光属性適正・闇属性耐性・高速魔力回復・言語理解

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香織のステータスにうなだれていると、ハジメのステータスを見た香織が言った。

 

「だ、大丈夫だよ!危なくなっても私が守ってあげるから!」

 

その言葉に、ハジメは反応する。

 

「もし、ハジメくんが一切戦えなくt「白崎さん、それはだめだ」え?」

 

「君に守られてばっかりでは僕が自分を許せない。・・・特訓して少なくとも君の隣に立てるようにはする。それまで待ってて」

 

「う、うん・・・///(かっこいいな・・・)」

 

 

 

 

 

 

 

報告の順番が回ってきたのでメルド団長にプレートを見せた。

 

今まで、規格外のステータスばかり確認してきたメルド団長の表情はホクホクしている。多くの強力無比な戦友の誕生に喜んでいるのだろう。

 

その団長の表情が「うん?」と笑顔のまま固まり、ついで「見間違いか?」というようにプレートをコツコツ叩いたり、光にかざしたりする。そして、ジッと凝視した後、もの凄く微妙そうな表情でプレートをハジメに返した。

 

「ああ、その、なんだ。錬成師というのは、まぁ、言ってみれば鍛治職のことだ。鍛冶するときに便利だとか……」

 

歯切れ悪くハジメの天職を説明するメルド団長。

 

その様子にハジメを目の敵にしている男子達が食いつかないはずがない。鍛治職ということは明らかに非戦系天職だ。クラスメイト達全員が戦闘系天職を持ち、これから戦いが待っている状況では役立たずの可能性が大きい。

 

檜山大介が、ニヤニヤとしながら声を張り上げる。

 

「おいおい、南雲。もしかしてお前、非戦系か? 鍛治職でどうやって戦うんだよ? メルドさん、その錬成師って珍しいんっすか?」

 

「……いや、鍛治職の十人に一人は持っている。国お抱えの職人は全員持っているな」

 

「おいおい、南雲~。お前、そんなんで戦えるわけ?」

 

檜山が、実にウザイ感じでハジメと肩を組む。見渡せば、周りの生徒達――特に男子はニヤニヤと嗤っている。

 

「さぁ、やってみないと分からないかな」

 

「じゃあさ、ちょっとステータス見せてみろよ。天職がショボイ分ステータスは高いんだよなぁ~?」

 

ハジメは投げやり気味にプレートを渡す。

 

ハジメのプレートの内容を見て、檜山は爆笑した。そして、斎藤達取り巻きに投げ渡し内容を見た他の連中も爆笑なり失笑なりをしていく。

 

「ぶっはははっ~、なんだこれ! 完全に一般人じゃねぇか!」

 

「ぎゃははは~、むしろ平均が10なんだから、場合によっちゃその辺の子供より弱いかもな~」

 

「ヒァハハハ~、無理無理! 直ぐ死ぬってコイツ! 肉壁にもならねぇよ!」

 

そう笑われていると、話しかけてきた人物がいた。

 

「『子供より弱い』?『すぐ死ぬ』?それは君たちが決めることじゃないよ。・・・ハジメくんは努力して強くなるって言ってるんだから」

 

「あ、し、白崎さん・・・でもこいつ錬成師ですぜ?無能に決まってるじゃないですか」

 

「私はそうは思わないな。ハジメくんなら絶対なにか起こしてくれるはず」

 

「・・・へいへい。白崎さんに免じて返してやりますか。どうせお前は無能なんだからせいぜい俺等のサンドバッグになっとけよ?

 

 

 

 

 

 

 

そして、翌日から訓練が始まった。

 

魔法組と戦士組に分けられた。ハジメは戦士組の方だ。

 

戦士組の方には檜山たちもいる。だが香織は魔法組のためいない。ハジメをいじめる絶好のチャンスだ。

 

メルドや他の騎士が目を話した隙にハジメをチンピラーズ4人が殴ったり燃やしたりしてくる。

 

メルドたちが戻ったときには証拠はないため何もできない。

 

ハジメは訓練していたとき、自分には戦闘に関する技能どころか魔法の技能も一切ないことを痛感した。自分には『錬成』しかないようだ。

 

なら、どうするか。香織の横に立つには。単純だ。『錬成』をこの世の誰よりも極めれば良い。

 

すぐに剣の訓練をやめ(しているフリ)、錬成の特訓に訓練時間、更には食事時間や休息を取るはずの風呂の時間や夜までも使って訓練し続けた。フォークや部屋にある燭台を使って。もちろん檜山たちにいじめられている間も錬成に意識を向けていた。

 

香織には特訓に集中したいから1週間ほど話せない、と伝えてある。

 

その努力はもちろん実を結ぶ。地面に手をつくだけで一瞬で剣を作り出すことができるようになった。

 

地中に含まれている金属成分のみを抽出し、剣の形を作成する。

 

それがハジメが行っていることだ。傍から見たら急にハジメが手を地面に突き刺したと思ったら、すぐに抜く。その手にはもう剣が持たれている。地中に剣を収納しているみたいだ。

 

だが、いくら一瞬で剣を作れたとしても剣術の技能がないハジメでは上手く使えない。

 

なら、その剣はどうするのか。

 

単純だ。『弾』にすれば良い。

 

剣を敵に投げつける瞬間に柄の部分も金属の刃に変化させる。するとどうなるか。

 

危険極まりない、全体が刃のブーメランの完成だ。

 

また、地面から槍を生やして敵に飛ばすことも可能だ。

 

あと、ハジメはここ1週間特訓に集中していたため、自分の現状を知らない。こんな感じだ。

 

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南雲ハジメ 17歳 男 レベル:5

 

天職:錬成師

 

筋力:17

 

体力:17

 

耐性:17

 

敏捷:17

 

魔力:17

 

魔耐:17

 

技能:錬成[+鉱物系鑑定][+遠隔鑑定][+遠隔錬成][+円滑錬成][+高速錬成][+精密錬成]・言語理解

 

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派生技能が6つも増えた。

 

『鉱物系鑑定』は王都の王国直属の鍛冶師達の中でも上位の者しか持っていないという技能だ。

 

通常、鑑定系の魔法は攻撃系より多くの式を書き込まなければならず、必然、限られた施設で大きな魔法陣を起動して行わなければならない。

 

しかし、この技能を持つ者は、触れてさえいれば、簡易の詠唱と魔法陣だけであらゆる鉱物を解析できるのだ。

 

潜在的な技能ではなく長年錬成を使い続け熟達した者が取得する特殊な派生技能である。

 

が、ありふれた職業とは言えハジメは異世界人。地味だがチートだった。

 

『遠隔鑑定』はその名の通り、離れた場所からでも鑑定することができる。

 

『遠隔錬成』もその名の通り。手元から離れていても錬成できるようになるもの。

 

『円滑錬成』は錬成がスムーズに行えるもの。

 

『高速錬成』は普通の5倍以上の速さで錬成できるようになるもの。

 

『精密錬成』は細かい部分でも問題なく錬成できるようになるもの。

 

自覚していないが、現状誰よりも派生技能を所持しているのだ。

 

その日の夜に香織が部屋にやってきて、ステータスを見せてと言われたところ、2人で目が点になった。

 

少し離れた机においてある燭台が、一瞬で豚の貯金箱になる。また戻った。

『復元された燭台

錬成師・南雲ハジメの技能によって変形させられたあと、復元された燭台』

 

「ねえ、白崎さん」

 

「なに?ハジメくん」

 

「これだったら、君の隣に立てそうかな?」

 

「もちろん!文句は言わせないよ!」

 

「あはは。それは良かった」

 

「・・・ねえ、ハジメくん」

 

「ん?・・・どうかした?」

 

「ハジメくんと私以外に誰もいない部屋。しかも私は寝巻き。・・・襲っても、良いんだよ?」

 

「へ?・・・な、何を言ってんの!?からかいは・・・」

 

「からかいなんかじゃないよ!・・・ずっとハジメくんのことが好きだった。でも告白してくれなかったし、私からする勇気もなかった。・・・恥を欠かさないで」

 

「・・・白崎さん、僕で、良いの?」

 

「ふふっ。違うよ。ハジメくん『が』良いの。君じゃないとやだ。君以外考えられない」

 

「・・・わかった」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ああ、そうだ。白崎さん、順番が変わっちゃったけど言わせて。僕と、付き合ってください」

 

「・・・はい。喜んで」

 

 

 

 

その翌日の訓練で。

 

いつも通りハジメの方にきた檜山だが、ハジメは逃げようとしなかった。

 

昨日、自分のステータスを見たことで勝てるのでは、と思ったからだ。

 

「おい南雲ぉ〜。今日も俺達が『特訓』してやるから感謝しろよ〜?」

 

「わかった。じゃあ、『錬成』」

 

「は?ゴヒャッ!?」

 

錬成して檜山達の足元に岩の拳を作り出す。そして股間にぶつけた。

 

男にしか普通はわからないこの痛み。檜山たちは全員が白目をむいて気絶した。

 

「・・・僕ってこんなのにいじめられてたんだね。情けないや」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ!ハジメくーん!」

 

「香織さん。どうしたの?」

 

「あれ?言われてなかった?今度迷宮ってところに行くからパーティーを組んでって」

 

「あ、そうだったね。特訓しててすっかり忘れてたよ。・・・香織さん、僕とパーティーを組んでくれる?」

 

「もちろん!私はハジメくんの彼女なんだからね!」

 

 

 

 

「ああ、ようやく見つけた。香織、俺と一緒にパーティーを組んでくれないか?」

 

「え?光輝君?私もうハジメくんのパーティーなんだけど」

 

「え、そ、そうなのか?・・・いや、錬成師でオタクの南雲と一緒のパーティーにいるのはやめたほうが良い。何をされるかわからないぞ?」

 

「え?何をされるの?」

 

「う・・・そ、それはあんなことやこんなことだ」

 

「それだけじゃわからないよ。もっと詳しく言ってよ」

 

「っ・・・な、南雲に襲いかかられたり、性欲のはけ口にされたり・・・だ」

 

「へぇ。そんなことなんだ。なら問題ないね」

 

「な・・・何を言ってるんだ香織!問題しかないだろう!」

 

「だって彼氏に求められるのは嬉しいことでしょ?まあ求められなかったら求められなかったで私が襲いかかるんだけど」

 

「え?香織さん?ちょっと?襲われるの?僕」

 

「か、彼氏・・・?だ、誰のことだ!?」

 

「誰ってハジメくんだよ。私の愛する彼氏」

 

「・・・は?」

 

「あ、信じられない?なら見せてあげるね」

 

「香織さん?んぶっ!?」

 

そう言い、香織はハジメの両頬を掴み自分の唇と合わせる。すごーく濃厚なものをしている。

 

「あ、か、香織・・・?」

 

「ぷは。どう?これで信じた?」

 

「・・・南雲!俺と戦え!俺が勝ったら香織を開放しろ!」

 

「「何いってんの?」」

 

「お前みたいなオタクに香織が自分からキスするわけない!お前が香織を洗脳して操ってるんだ!開放しろ!」

 

現状を認められずに意味不明な理論を口走る。面倒なため、了承してここで行う。

 

ちなみにここは王宮の庭だ。

 

香織が「開始」といった瞬間始まった。「クラベッ!?」1秒で終わった。

 

予想しているだろうが、光輝の男の象徴は片方消え去った。

 

残っているだけまだマシか。

 

「えーと、香織さん、襲うとは・・・」

 

「ん?ハジメくんが求めてくれたら大丈夫だよ?満足させてね」

 

「ぜ、善処します」

 

尻に敷かれそうな雰囲気醸し出してる。

 

 

 

 

迷宮までカットします

 

 

 

 

 

ハジメがラットマンと戦う番がやってきた。

 

メルドや周りの騎士は錬成師であるハジメがどうやって攻撃するのか興味があるようで、全員がハジメを凝視している。クラスメイトも同様だ。檜山がハジメに負けたことは全員が知っているからだ。

 

そして、ハジメが突っ立ったまま『錬成』と唱える。

 

次の瞬間、周囲に大量のトゲが生える。材質は石のみ、金属のみ、混ざっているものと様々だ。

 

そのトゲが一斉にラットマンを貫く。脚。額。眼。胸。腕。貫かなかった部位など核しかない。核を貫かなかったのは自分の正確さを知らしめるためだ。

 

誰もが言葉を失っている。無能のはずの錬成師が一瞬で敵を殲滅したのだから。

 

あと、香織は自分の彼氏はこんなに強いんだぞと自慢げだ。

 

「・・・凄いじゃないか!あれはもう『錬成』じゃなくて魔法だったぞ!」

 

一番最初に話しかけたのはメルドだ。近寄って、頭をワシャワシャと撫でる。

 

「訓練時に『錬成』の特訓をしているのは知っていたが、ここまで成長していたとは知らなかった」

 

「あれ、気づいてたんですか?隠してたつもりだったんですけど・・・」

 

「気づくに決まってるだろう。どうみても剣じゃないことに意識が行っていたからな。ウチの騎士は全員気づいていたはずだ」

 

ハジメの『訓練しているフリ』はメルドや騎士には通用しなかったようだ。

 

「お前を呼び出して個別で特訓するって案も出たんだがな。ベイルが止めたんだ。錬成師に剣の訓練を無理矢理させているのはこっちだから大目に見てあげようってな。まさかその時間をこんなことに使ってたとは思いもしなかったがな!」

 

 

 

「・・・メルドさん!」

 

「ん?勇者か?今のは」

 

「南雲は訓練時間を剣じゃなく別のことに使ってたんですよ!?怒らないんですか!」

 

「話聞いてたか?こっちがこいつには無理矢理訓練させてるんだ。自分から進んで参加したお前とは違ってこいつは進んで参加してないんだよ」

 

「で、でも!」

 

「・・・ああそうだ。坊主、プレートを見せてくれるか?もしかしたらだが俺が予想してることが起きてるはずだ」

 

「え?はい。良いですけど」

 

==========================

 

南雲ハジメ 17歳 男 レベル:8

 

天職:錬成師

 

筋力:22

 

体力:22

 

耐性:22

 

敏捷:22

 

魔力:22

 

魔耐:22

 

技能:錬成[+鉱物系鑑定][+遠隔鑑定][+遠隔錬成][+円滑錬成][+高速錬成][+精密錬成]・言語理解

 

==========================

 

「ほお。思ったより多かったな。・・・で、そっちのプレートも見せてくれるか?」

 

「良いですけど・・・なんですか?何かあるんですか?」

 

=========================

天之河光輝 17歳 男 レベル:10

 

天職:勇者

 

筋力:200

 

体力:200

 

耐性:200

 

敏捷:200

 

魔力:200

 

魔耐:200

 

技能:全属性適性・全属性耐性・物理耐性・複合魔法・剣術・剛力・縮地・先読・高速魔力回復・気配感知・魔力感知・限界突破・言語理解

=========================

 

「んじゃ、この2つのプレートを見比べてみろ。ああ、お前らも突っ立ってないでこっちに来い」

 

メルドは周りで立っていたクラスメイトも呼んだ。

 

すぐに気づく人は気づく。気づかない人は全然気づかない。

 

雫や鈴、遠藤は気付いた。龍太郎や光輝、檜山は気づかない。

 

「気づいたか?錬成師の坊主の方はステータスは低いが6つも派生技能が出てるんだ。それに対して、俺達がしろって言ってた訓練だけを行ってた勇者の方は何も派生していない。これは勇者が訓練をサボっていたわけではなく、一ヶ月で6つも派生してるこっちが異常なだけだ」

 

「あの、僕のことディスってます?」

 

「んで、このことから予想できるのは、この坊主は訓練時以外の時間。例えば部屋で休む時間とかにも『錬成』を特訓してたってことだ。さて、こんな事実があるわけだが、それでもお前はこの坊主を怒れってのか?訓練時以外にも特訓してた、お前よりも訓練し続けたこの坊主を」

 

「あ、いや、その・・・」

 

「まあいい。んじゃ、また次の階層に進んでいくぞ」

 

 

20階層までカットします

 

 

 

二十階層の一番奥の部屋はまるで鍾乳洞のようにツララ状の壁が飛び出していたり、溶けたりしたような複雑な地形をしていた。この先を進むと二十一階層への階段があるらしい。

 

そこまで行けば今日の実戦訓練は終わりだ。神代の転移魔法の様な便利なものは現代にはないので、また地道に帰らなければならない。一行は、若干、弛緩した空気の中、せり出す壁のせいで横列を組めないので縦列で進む。

 

すると、先頭を行く光輝達やメルド団長が立ち止まった。訝しそうなクラスメイトを尻目に戦闘態勢に入る。どうやら魔物のようだ。

 

「擬態しているぞ! 周りをよ~く注意しておけ!」

 

メルド団長の忠告が飛ぶ。

 

その直後、前方でせり出していた壁が突如変色しながら起き上がった。壁と同化していた体は、今は褐色となり、二本足で立ち上がる。そして胸を叩きドラミングを始めた。どうやらカメレオンのような擬態能力を持ったゴリラの魔物のようだ。

 

「ロックマウントだ! 二本の腕に注意しろ! 豪腕だぞ!」

 

メルド団長の声が響く。全員で相手をするようだ。飛びかかってきたロックマウントの豪腕を龍太郎が拳で弾き返す。最前列にいた光輝と雫が取り囲もうとするが、鍾乳洞的な地形のせいで足場が悪く思うように囲むことができない。

 

ロックマウントは投石などの攻撃手段があるため、最後尾あたりにいるハジメや香織たちにも攻撃が普通に来る。だがハジメは壁を錬成して作り出し、簡易的なシェルターらしきものを作り出している。

 

「キャアッ!?」

 

だが、そのシェルターが壊された。投石の威力が高くなったわけではない。

 

まさかの投げてきた岩(らしきもの)がロックマウントだっただけだ。

 

以外な攻撃方法に驚きながらもさっきよりも壁を厚くして錬成し、防御手段にする。

 

それと同時進行で地面を錬成して槍、剣を大量に作り出す。

 

その槍と剣を操作し、ロックマウントの体表である岩の隙間に突き刺していく。

 

それが煩わしいのか、ロックマウントは腕をふるったりして払いのけようとする。

 

だが抜けたらすぐハジメが突き刺すため結局刺さっている数は減っていない。むしろ増えた。

 

そして壁から巨大な手を錬成し、突き刺さっている槍、剣をロックマウントに更に深く差し込む。

 

ロックマウントは手を攻撃して逃れようとするが、この手は金属を多めに含ませているため数回殴った程度ではヒビくらいしか入らない。それでもヒビは入っているのがこのモンスターの怪力を物語っているだろう。

 

ゆっくりと手に押しつぶされながら槍と剣が刺さっていく。

 

そして、どれかが致命傷になったのか暴れる音が消えた。

 

手を消すと、地面に倒れ込んだ。そして、微動だにしない。

 

「後ろは錬成師の坊主が倒したぞ!お前らもしっかりしろよ!」

 

メルドが前方で叫んでいる。

 

「南雲が終わらせたんだ、負けてたまるか!」

 

光輝にとってはそれは鼓舞みたいな役割になったようだ。

 

「万翔羽ばたき、天へと至れ――〝天翔閃〟!」

 

「あっ、こら、馬鹿者!」

 

メルド団長の声を無視して、光輝は大上段に振りかぶった聖剣を一気に振り下ろした。

 

その瞬間、詠唱により強烈な光を纏っていた聖剣から、その光自体が斬撃となって放たれた。逃げ場などない。曲線を描く極太の輝く斬撃が僅かな抵抗も許さずロックマウントを縦に両断し、更に奥の壁を破壊し尽くしてようやく止まった。

 

そして倒せたことを噛み締めようとすると、メルド団長の拳骨を食らった。

 

「へぶぅ!?」

 

「この馬鹿者が。負けたくないって気持ちはわかるがな、こんな狭いところで使う技じゃないだろうが! 崩落でもしたらどうすんだ!」

 

「す、すいません」

 

「まあ、今回は崩落とかそんな事故も起きなかったしこのことは不問としよう。もし次回使うときは状況を確認してから使えよ!」

 

「は、はい」

 

このときとある宝石(水晶?)が見えていたのだが、このことに気づく人はいなかった。

 

「よし、今回はここで終了だ!でも気を抜くなよ!まだ帰りがあるからな!」

 

「「「「「「「「「「「「「「はい!」」」」」」」」」」」」」」」




なにげに10000字超えたの初です。
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