もし、召喚されなかったら。
そんなIFのお話。ルートは1つ。
※一部『人間関係のIF』と同じ設定があります
※10年後の同窓会から始めます
ハジメたちが通っていた高校の同窓会が開かれることになり、出席することになった。主催者は清水と永山だそうだ。ハガキに両名の名前が書かれていた。
久しぶりに会う人もいるだろうと2人分の参加を申し込んだ。
会場につくと、すでに清水と永山がいて談笑していた。他にも見覚えのある人がいる。
「おお、先輩!いらっしゃいましたか!」
話しかけてきたのは清水だ。清水は大学卒業後にハジメの父の会社に就職した。ハジメと同時に新入社員として入社したのだが、ハジメは高校、更には大学にいる間も会社の仕事を手伝ったりしていたため、(というか大学3年生頃にはすでに正社員として認められていた感がある)他のクラスメイトよりも早く大人の世界に飛び込んでいた。あと、ハジメは在宅ワークの仕事を任されていた。自宅とは別の場所で一人暮らししていたからだ。
その結果、ハジメには新人指導員が付く意味がなかったどころか、仕事合間に清水に教えていた。その結果、なぜか『先輩』と呼ばれるようになってしまった。しかも敬語で話されている。
「清水くん。こんなところで他人行儀にしなくていいよ。フレンドリーに話してくれたほうが嬉しいな」
「そうですか?では・・・ハジメ、よく来たな!料理とかあっちにあるから食おうぜ」
「変わり身はっや。・・・でも、そっちのほうが僕としては良いね」
「そう言えば白崎さん・・・今は南雲さんか。どうしたんだ?一緒に来てないなんて」
「ああ、香織は八重樫さんたちと一緒に来るらしいよ。久しぶりに会うだろうし女子同士で話したいこともあるだろうからさ」
「ほえー。・・・そう言えばさ、ハジメと白崎さんの・・・ああ、南雲さんか」
「白崎さんでいいよ。ややこしいだろうし」
「じゃあ遠慮なく。白崎さんとの馴れ初めってどんな感じだったんだ?前は教えてくれなかった、というかはぐらかされただろ」
「ああ、そのことか。・・・まあ良いか。えーっとね。大学時代の話だけど・・・」
ハジメは京都のとある大学の経済学部に進学した。
そして入学式の日、見たことある顔があった。
香織の顔があったのだ。すぐに香織の方もハジメに気づき、近づいて話しかけてくる。
「あれ?ハジメくんもこの大学だったんだ。偶然だね」
「うん。受かってよかったよ。・・・白崎さんは?確か違う大学じゃなかったっけ・・・?」
「ああ、うん。・・・落ちちゃったんだ。だから受かってたこの大学に来たんだ」
「あ、そう・・・聞いちゃってごめん」
「ううん。気にしないで。偶然だけどハジメくんと一緒の大学になれたし・・・」
「ん?白崎さん、なにか言った?」
「え!?な、なんでもないよ!」
その数日後、全学部共通の新入生歓迎会に誘われた。ハジメとしては断ろうとしたのだが、香織が参加を了承し、更にハジメも行こうと誘ってきたため、渋々了承した。
その新入生歓迎会で、あることが起きる。
どう見ても香織が泥酔していた。18歳の香織に酒を飲ませたのは誰だ。
香織が注文してしまった線も考えたが、どう考えてもしっかりものの香織が間違えるとは思わない。なら誰かが飲ませた、または飲み物をすり替えたか、だ。
「あっれ〜?香織ちゃん、どうしちゃったの〜?しょうがないな〜。俺が介抱してあげるよ〜」
絶対こいつだ。どう見てもその目的にしか思えない。
「ふえぇ?わらし、おかひくないれふよ・・?」
香織がろれつの回らない口で答える。顔も赤く、酔っているようにしか見えない。
「いやいや〜。おかしいって。俺がじっくり介抱してあげるからさ。こっち来なよ」
そう言いながら香織に手を伸ばす。だが。
「先輩、ストップです」
「は?何?お前。急に止めるとか何してくれてんの?」
「白崎さんは僕が連れて帰るので先輩の手を煩わせるまでもないってだけですよ」
「いやいや。俺が介抱してあげるって言ってんじゃん。止めんなよ。お前」
「先輩にそんな事させるわけにはいきませんよ。・・・これ、僕と白崎さんの代金です。では」
「あっ!おい!待てよ!」
そして外に出たわけだが、ハジメは香織の家がどこか知らない。
仕方なく、自分の家に連れてきた。そして、ベッドの上に乗せる。
「場所がわからなかったから、しょうがないか・・・明日、起きたら説明しよう」
「ん、あれ?ここは・・・?」
「あ、おはよう白崎さん」
「え!?なんでハジメくんが横に!?」
「なんでってここ僕の家だから。・・・白崎さん、昨日思いっきり酔っちゃってたんだよ」
「え!?でも、私お酒は頼んでないはず・・・」
(やっぱりあの先輩がすり替えてたか)
「たぶん、誰かが頼んだのを間違えちゃったんだろうね」
「あ、そっか・・・いっぱいいたもんね。・・・迷惑かけちゃったね。ごめん」
「別にいいよ」
2日後、あの先輩が酔った柔道サークルの4年生に穴を掘られたという噂が回った。
「んで、その3日後に告白された」
「羨ましい」
「何が?」
「だって酔った美女と二人っきりで何も起きないはずがないだろ!?しかもお前の部屋!」
「何も起こさなかったけど」
「え?ハジメってホントに男?ついてる?疑ってるんだg「もう今度から清水くんが困ってても手伝ってあげないよ」ごめんなさい。助けてください」
「よろしい」
対等でいてくれと頼んだハジメだが、関係性は完全に上司と部下だ。一応同僚のはずなんだが。
「というか流石に10年も経過すると皆変わってるね」
「そうだな。永山とか昔よりゴツくなってるぞ」
永山は高校卒業後、色々あって警察官の道に進んだ。結構激務らしい。
色々話していると、また新しい人が来た。たぶん、光輝だ。
「おお、天之河か?久しぶりだな」
「久しぶり。えーっと・・・清水であってたっけ?」
「おう。そうだぞ」
「久しぶりだね。隣は・・・南雲か?」
「うん。合ってるよ」
「俺には挨拶なしかよ」
「「「うわ!?」」」
「やっぱり気づかれてなかった・・・これどうすりゃ良いんだよ・・・自動ドアも昔より反応悪くなってるし」
「あ、え、遠藤くん?ひ、久しぶりだね。気づかなくてごめん」
「ああ、す、すまないな。一切気づいてなかった」
光輝と同時に入っていたのだが、誰にも気づかれていなかった。10年前はまだ誰かには気づかれていたはずなのだが・・・今は誰にも気づかれていなかった。
「いいよ。・・・高校卒業してからも影薄いままだったし・・・」
「あ、そ、そうか・・・ん?お前、結婚したのか?」
「え?あ、うん。一応」
清水が視線を下に向けると、指輪がはまっていたのだ。
「へー。誰だ?って言っても俺達が知ってるはずないか」
「いや、知ってると思うけど。『佐伯瑛花』って言ったらわかる?」
「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」
「急に黙ってどうした?」
「ごめん。俺の聞き間違いだと思うからもう一回言ってくれるか?」
「良いけど。『佐伯瑛花』」
「「「はぁあああああああ!?」」」
「うるさっ!」
「そりゃうるさくもなるわ!お前が佐伯瑛花と!?嘘だろ!?」
「いや、ホントだって。ほらこれ」
そう言うと、写真を見せる。写真には遠藤と超美人が写っていた。
『佐伯瑛花』とは7年ほど前からお茶の間を賑わす若手女優だ。長くつややかな黒髪と生まれつきのオッドアイが印象に残る色白の美女で、一気に有名人になった。かといって演技がどうなのかと言われたら、普通に上手い。ビジュアルと演技の技術で成り上がった人物だ。あと、普通にトーク上手い。
その佐伯瑛花だが、3年前に突如結婚発表をして全国のファンが泣き崩れた。一般男性と結婚したとあったのだが、それがまさか遠藤だったとは。
「お前何があった!?馴れ初めは!?そもそもどこで知り合った!?」
「え、な、何?圧が凄いんだけど・・・ちょ、ちょっと話すからどいて・・・」
4年くらい前。遠藤が大学を卒業後、千葉の会社に入社して2年が経過した頃の話だ。
「はぁ〜。課長は酒癖が悪いんだから・・・人がいいし優しいから皆に好かれてるんだけどさ」
遠藤が入社したのはアトラクション関係に携わる会社だ。その中でもホラー系担当の部所に配属された。遠藤は影が薄く、メイクなんか一切しない、すっぴんのままでもただ背後に立っているだけで驚かすことができる。というか日常でも驚かれまくっている。そのせいか遠藤の会社では1日2回は悲鳴が聞こえているそうだ。あと、遠藤は配属された部所の中では珍しい、エキストラ担当とメイク担当、両方に任命された人物だ。
「はぁ、酔ってるし早く帰って寝よ。・・・・ん?」
前に、何か修羅場が起きている。野次馬みたいな感情で近寄った。
「ちょっと、離してください!」
「良いじゃないか。ちょっと連れ戻しに来ただけだからさ〜。逃げないでよ」
「い、いや・・・誰か!」
マスクとメガネを付けた女の人ににハゲデブジジイが近寄っている。うわ、と思いながら遠藤は離れようとする。だがこういうときに限って影の薄さは通用しない。
「そこの男の人、助けてください!」
周りを見ても、人は少ししかいない。いるにはいるが、全員女性だった。男は自分しかいない。
「ん?何だね、君は。僕たちの邪魔をするとは・・・」
「いや、どう見ても嫌がってるんですけど。・・・そういうやつですか?」
「違います!助けてください!前から追いかけられているんです!」
「助けてとは何だよ。君は僕に『愛してる』って言ってくれたじゃないか」
「そんな事言ってません!」
「嘘を言うなよ。あのドラマのとき愛してるって言ってたじゃないか。あれって僕のことを思っていってくれたんだろ?告白してくれたんだからもう夫婦じゃないか。逃げないでよ」
「違います!ただの演技です!」
どうやら異常思考のストーカーに追い回されているみたいだ。
「えーと、これ使えるかな」
鞄の中をあさり、メイク道具を探す。取り出したのは1つの瓶だ。
「えい」
そう言うと、中身をストーカーの眼にかける。後遺症とかは心配しなくて良い。中身はただの水だったから。
「うわっ!な、何をする!」
「お姉さん、ちょっとこっち来てください」
「あ、はい・・・」
「待て!逃げるな!僕の妻を連れて行くんじゃない!」
逃げている途中、借りているアパートの大家さんに電話していた。
「はい、もしもし。遠藤くん、どうしたのかしら?」
「あ、もしもし。すいませんが、もしかしたら僕の部屋のドアが叩かれてうるさくなってしまうかもしれません。他の部屋の人に伝えてくれるとありがたいです」
『あらあら。何かあるみたいねぇ。良いわ、伝えておくわね。・・・警察は呼ぶべきかしら?』
「あ、お願いします。迷惑かけてしまってすいません」
『良いのよぉ。遠藤くんには色々助けてもらったんだから。これぐらい迷惑じゃないわよ』
「ありがとうございます。ではまた。・・・よし、一旦僕の部屋まで連れていきます。汚いかもしれませんが目をつぶってください」
「あ、ありがとうございます・・・」
遠藤が借りたアパートの大家さんは80代の高齢者だ。夫と二人で暮らしている。男手として遠藤がヘルプに行ったことも何回かあるのだ。
『出てこい!妻を返せ!』
そう言いながらドアを叩いてくるストーカー。無視していると、警察が来たようだ。
『あ?誰だ・・・警察!?なんで・・・ああ、そうか。おまわりさん、この部屋です。僕の妻を連れて逃げやがったんですよ、この部屋の男は』
『この部屋の人じゃなくてお前にストーカー被害の電話がかかってきたんだ。お前のことだな?』
『ぇえええ!?な、なんで!?僕は妻を愛して・・・』
『ストーカーがいつも言うことだな。・・・話は署で聞くから来い』
『そんなぁあ!瑛花ちゃん、助けてぇえええ!』
「・・・行ったみたいですね。送っていきますよ。家ってどこですか?・・・襲う気はないので大丈夫ですよ?」
「あ、はい・・・。近くのマンションです」
「わかりました。・・・・行きますか」
3日後。
「来ちゃいました」
「はい?」
最近助けた美女がドアの前に立っていた。母親らしき人も一緒だ。
「あなたが私の娘を助けてくれたんですね。ありがとうございました。これ、お礼です」
そう言うと紙袋を遠藤に渡した。
「あなたがいなかったら私の娘は・・・本当に、ありがとうございます。女優生命も終わりかけてしまうところでした」
「いや、そんなにへりくだらなくても・・・え、女優?今女優って言いました?」
「あ、外してませんでしたね」
そういうと、マスクとサングラスを外す。
現れたのはオッドアイの黒髪美人。最近有名になりだした新人女優、佐伯瑛花だった。
「・・・はぁああああ!?佐伯瑛花!?本物!?」
「本物ですよ」
「え!?嘘マジ!?うおおおお!」
「ちょ、ちょっと落ち着いてください・・・。言いたいことがあるんです・・・」
「あ、すいません取り乱しました。・・言いたいこととは?」
「はい。・・・名前なんですか?」
「あ、遠藤です。遠藤浩介」
「では浩介さん、デートしてください」
「・・・はい?」
「あれ、聞こえませんでした?私とデートしてくださいと言ったのですが・・・」
「あ、いや聞こえなかったわけではないんですが・・・なぜ?」
「助けてくださった恩を返すためですが?」
「あ、そういうことですか。なら」
遠藤としてはこれきりの関係だろうな、と、このときは思っていた。
その夜、デートが終わって遠藤の家までついてきてくれたのだが、そのまま中に入られた。
「今日はありがとうございました。楽しかったです」
「えっ、瑛花さん?な、なんで部屋の中に?」
「え、瑛花さん?ちょ、何して!?」
「なんで押し倒して?」
「アッーーーーー!」
あと、その後何度か瑛花の母と会うことがあったが、毎回のように
『私の娘の純潔を奪ったんだから責任取るわよねぇ?』
と言われているような圧がかけられていた。こっちは襲われたほうなんですが。
「ってことがあったんだよ」
「・・・1つ思ったこと言っていいか?」
「え、うん。何?」
「お前ってR18ゲームの主人公?」
「違うわ!」
「いやその話聞いた感じどう考えてもそれにしか思えないんだよ」
それにハジメはウンウンと頷く。
「襲われるなんて現実でもあるん・・・・ごめんなんでもない」
「え、ハジメ?どうした?・・・あっ」
「ん?南雲はどうかしたのか?」
「あ、いや、なんでもない」
「ハジメくん!おまたせっ」
「あ、香織。来たんだ」
「うん。今さっきね」
「ああ、香織。久しぶりだね。昔よりきれいになったんじゃないか?」
「えーと?光輝くん?合ってる?」
「ああ。合ってるよ。久しぶりだね。どうだい?あっちでゆっくり話さないか?」
そう言って近づこうとする。それを止めた人物がいた。
「はい、光輝ストップよ。人妻にむやみに近づかないの」
「ああ、雫か。久しぶりだね。君も一緒に話さないかい?」
「いや、いいわ。それより、人妻にはむやみに近寄らないほうが良いわよ?」
「え?人妻?誰がだい?」
「あら?知らないのかしら?香織よ。南雲くんと結婚してるんだけど・・・香織?まさか結婚したこと光輝に伝えてなかったの?」
「だって連絡先知らなかったんだもん」
「あ、そう言えばそうだったわね・・・」
「・・・え?か、香織が結婚?しかもオタクだった南雲と?」
「うん。私5年前に南雲くんと結婚したよ。連絡が遅れちゃったね」
「い、いやそれよりなぜ俺ではなく南雲なんだ?どこが良いんだこんなやつの」
「光輝・・・『俺ではなく』って香織はアンタのものじゃなかったわよ・・・?」
「え?だって高校卒業してから光輝くんと一切接点なんてなかったもん。それに私高校の時からハジメくんのこと好きだったし」
「い、いや・・・南雲が定職についているはずないだろう?」
「え、何言ってるの?ハジメくんは会社に勤めてるけど・・・あ、知らなかった?ハジメくんのお父さんって会社の社長さんなんだよ」
「え、で、でもそれはコネで入ったものだろう?そんなやつに香織は・・・」
「ハジメくんって高校の時から時々お父さんの仕事手伝ってたんだって。大学に入っても仕事しているのよく見かけたよ」
「はい、光輝そこまでよ。南雲くんの事否定したいのかもしれないけどアンタはどうなのよ」
「俺か?俺は弁護士になったが・・・なぜか上司が俺に弁護の仕事を任せてくれないんだ」
光輝は持ち前の地頭の良さと努力で大学の法学部に進学。そして一度落ちながらも司法試験に合格。晴れて弁護士の仲間入りしたわけだが、そこで光輝の性格が問題を起こす。
少し昔、とある民家で強盗殺人事件が起きた。一家の父が殺害され、1人の男が容疑者として捕まった。だが、その容疑者が事件を起こすには少し不可解な点もあり、この人物が犯人で確定だろう、と決めつけるのは難しい状況だった。その容疑者を光輝と上司が弁護する役割に回った。だが容疑者と面談するとき、光輝はその容疑者を『犯人』と決めつけたように話していたのだ。監視カメラからそのことがわかっている。
上司から
「なぜお前はあの人が犯人だと決めつけて話すんだ!決まったわけではないんだぞ!」
と注意されるも、
「あの人は容疑者なんでしょう?ならあの人が犯人である可能性が一番高いじゃないですか」
とふざけたことを言った。いや、光輝としてはふざけたことを言ったつもりはないだろうが。
と、まあこんな事があり光輝に弁護の仕事を回すのはやめておけ、という噂が回ったのだった。
※作者は弁護士のことを詳しく知りません。おかしなところがあったとしてもスルーしていただけると幸いです。
「おかしいだろう?俺は弁護をするために弁護士になったのに」
「あ、そ、そう・・・(おかしいのはアンタの思考よ)」
「へー。光輝くんは弁護士になったんだ」
「ああ。香織、南雲なんか捨てて俺のところに来ても良いんだぞ?」
「え?捨てるわけないよ〜。というか伊織を残して出ていけないって」
「え?い、伊織?」
「うん!私とハジメくんの子供!」
そのことに光輝は崩れ落ちる。現実を直視できていないようだ。
「え?こ、光輝くん?どうしたの?」
「あー、香織、光輝は私がどうにかしとくから南雲くんのとこ行ってなさい」
「え、そ、そう?なら・・・雫ちゃん、お願いしても良い?」
「良いわよ。ほら、早く行った」
その少しだけ前、檜山が来やがった。
「お?・・・オイ南雲ぉ〜。お前今何してるんだよ?お前のことだから引きこもりのニートか?そんなスーツ着て見栄張るとかだっせぇな〜」
「あ、檜山君・・・来たんだ」
「オイオイ俺が来ちゃいけないってのか?全く南雲さんはひどいことで。工場長のハゲジジイの小言にストレスも溜まってることだし、久しぶりに俺が教育してやるよ、と!」
そう言うとハジメに殴りかかる。
「うわっ!?」
「おい檜山!何してんだ!」
「オイ南雲ぉ、避けてんじゃねぇよ。お前は昔のように俺のサンドバッグになってれば良いんだ、よ!」
今度は膝蹴りをしようとしてきた。
「おい檜山!やめろ!止まれ!・・・というかハジメはニートでもなんでもないぞ?何勝手に勘違いしてるんだか」
「あ?何いってんだ。このオタクがまともに働けるわけ無いだろ?」
「いや、ハジメは俺の同僚だぞ?ハジメは色々手伝ってくれるんだ」
「は?かばってんじゃねぇよこんなやつ。こいつはカスだぜ?」
「いや、マジで本当だz「ハジメくーん!」あ、白崎さん」
「あ、香織。話は終わったの?」
「うん。一応ね。・・・檜山くん?だっけ?そこの人って」
「あ、し、白崎さん。久しぶり・・・」
さっきの威勢はどこに行ったのか。
「あ、そうそう。白崎さんはハジメと結婚したからな。好きになってても無駄だぞ」
「は・・・?」
「あと、お前は認めたくないだろうがマジでハジメは会社員だから。」
「あ・・・?」
「お前がいじめてたやつはお前よりいいトコに勤めてんだよ。問題になるしこれ以上殴ったりすんのはやめとけ。・・・そう言えば遠藤、佐伯瑛花にサインもらってきてほしいんだが・・・」
「え、遠藤くん結婚してたの?私知らなかった」
そう言って檜山のことは無視して別の話題に持っていこうとする。だが。
「・・・んでだ」
「ん?」
「なんで南雲の野郎がいい仕事に就いてて結婚までしてるんだ!このクソ野郎がぁあああ!」
「うわぁああ!?」
「はい。ストップ」
「あ?・・・誰だ!」
「永山だよ。・・・9月23日午後6時13分。暴力行為未遂による現行犯逮捕」
「は・・・?」
「俺は今警察官してるんだよ。・・・話は署で聞く。ついて来い」
「おい!何だよ!ふざけんじゃねぇぞ!」
「すまんが、一旦抜ける。終わったら戻って来る」
「おう、行って来い。開始は7時からだからできるだけ間に合うようにしろよ?」
「ああ、急いで帰ってくるよ。・・・早く来い」
「このクソがぁあああああああああ!」
「殴りかかったら公務執行妨害で更に罪が増えるぞ。やめとけ」
「ぐっ・・・・・」
※作者は警察官のことも詳しく知りません。おかしなところがあったとしてもスルーしていただけると幸いです。
7時直前。なんとか永山が戻ってきた。
「間に合ったか?」
「お、戻ってきたか。もうすぐ開始だぞ」
「よっし。走ってきた甲斐があった」
邪魔者もいなくなったことだ。さあ、同窓会を始めよう。