ありふれたかもしれないIFの世界   作:uruka

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ガラッシアさんからのアイデアです。


ハジメが死んだIF

もし、ハジメが奈落に落ちたとき、神結晶が見つからなかったら。

そんなIFのお話。ルートは1つ。

※今回のお話はストーリーの辻褄合わせのためカトレアは出てきません

※穴を錬成するところまでカット

 

 

 

穴を作り、そこに入り込む。そして、意識を失った。

 

そして、夢をみる。

 

深い海の底、だんだんと沈んでいく夢だ。

 

昔の記憶が蘇る。

 

旅行したこと。

 

初めて自転車に乗れたこと。

 

友達と喧嘩したこと。

 

親と喧嘩したこと。

 

テストで100点取ったことを褒めてもらえたこと。

 

中学の体育祭で優勝したこと。

 

どこかで不良たちに土下座したこと。

 

高校入学を祝ってもらったこと。

 

 

 

全て、懐かしい記憶だ。

 

ハジメはもう命が長くないことを悟る。これは、走馬灯だ。

 

『ああ、もうすぐ死ぬんだな、僕。まだ、死にたくないなぁ・・・何も返せてないのに・・・。母さん、父さんに親孝行、してあげたかったな・・・できないよな・・・』

 

意識はないまま、穴の中でハジメは一筋の涙を流す。

 

15秒後、哀しき1人の錬成師の鼓動が止まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

5ヶ月後

 

光輝たち勇者パーティー、そして檜山たちのような迷宮攻略を継続している者たちががついに、100階層にたどり着いた。最奥には双頭の大蛇が3体出現していた。

 

「これで終わりだ!」

 

その言葉と同時に、最後の双頭蛇の頭が落とされた。

 

「・・・ハジメくん・・・最後まで、見つからなかった」

 

そう香織が呟いた瞬間。

 

ドガァン!!!

 

急に部屋の壁が爆発した。

 

「皆下がれ!危険かもしれない!」

 

爆発によってできた煙が晴れると、穴の先には階段があった。

 

「・・・まだ、続くのか?」

 

龍太郎がそう呟いた。

 

皆がこの状況をどうしようか戸惑っていると、急に香織が階段に向かって歩き出した。

 

「ちょ、香織!?どうしたの!?」

 

「・・・この先に、ハジメくんがいるかもしれないから」

 

「・・・生きてるかわからないわよ」

 

「そんなの関係ない!・・・もし、死んじゃってたとしても、遺品は持って帰った方がいいはずだから・・・ううん。持って帰らないといけないから」

 

そう言って歩き出す。

 

「皆、行こう。危険だと判断したらすぐに戻ってくれば良い」

 

そう言って階段を下り始めた。

 

 

 

その先の風景はこれまでとは全く違う様子だった。なんというか、野生みたいな感じがする。

 

「なんだか、不穏な雰囲気だな。気をつけて進もう」

 

そうして歩いていると、何か金属のような物が見えた。

 

「・・・あれは、なんだ?」

 

そう光輝が呟いた。すると1人で香織が歩いて行く。

 

「香織!?止まるんだ!罠かもしれないぞ!」

 

だが、止まろうとしない。その金属のような物の所に着くと、両膝を地につけて右腕を何かに伸ばす。

 

雫が見に行くと、そこには小さな穴と腐乱死体が置かれていた。

 

「ヒッ・・・!」

 

香織はその死体に手を伸ばしている。涙も流している。

 

「ごめん、ね。守ってあげられなくて。一人ぼっちにさせちゃって。・・・ハジメくんを、死なせちゃって」

 

そう。この死体はハジメだ。五ヶ月も経過してモンスターに喰われなかったのかと思うが、腐った肉は喰わなかったらしい。

 

腐って顔の判断はつかないが、衣服がハジメのものだ。

 

光輝が近づいてきて話しかける。

 

「これが、南雲か・・・自業自得だろう。足を踏み外してしまったのだから。香織が心配することはないぞ」

 

その言葉に香織は激昂する。

 

「ふざけないで!」

 

そう言って、光輝をビンタした。

 

「だっ、か、香織!?一体何を!?」

 

「何が自業自得なの!ハジメくんを死なせたのは私たちでしょ!ハジメくんは何も悪くないじゃない!」

 

「いや、落ちたのは南雲が・・・」

 

「私たちが戦争に参加するってなってなかったら今でもハジメくんは生きてたに違いない!そもそも一番最初に参加するって言ったのは光輝くんじゃない!」

 

「い、いや、でも南雲も賛成したんだろう?」

 

「・・・光輝くんは周りの人なんか見てなかったんだね。龍太郎くんや雫ちゃん、私は参加するってすぐに言っちゃったけどね、愛子先生やハジメくんは最後まで戦争に参加しようとはしてなかったんだよ。でも、皆が、もちろん私もだけど参加するって言ったせいで言わなかった人まで参加することになっちゃったんだよ。・・・直接の原因ではないけど、私たちのせいで死んじゃったんだよ」

 

そのことに光輝は反論できない。記憶を思い返してみても自分が一番最初に参加すると言い、そのうえ皆を扇動していたから。

 

「・・・私は、地上に戻るね。・・・誰か、ハジメくんを運ぶの手伝ってくれない?」

 

「・・・手伝うわ。香織。私も原因の1人だから」

 

「・・・俺も行く。戻る時敵がいても俺なら倒せるからな」

 

雫と龍太郎が着いて行くことになった。

 

「メルドさんに伝えないとな」

 

 

 

 

100階層よりも上で待機していたメルドたちのもとに時間はかかりながらも辿り着く。

 

「ん?戻って・・・おい!何を持っているんだ!?」

 

「・・・ハジメくんの、死体です。あの日落ちた錬成師の人です」

 

「そ、そうか。・・・光輝たちはどうした?」

 

「それも含め、何が起きたか説明します」

 

 

 

 

「・・・そうか。さらに下があって、そこで死んでいた、と。・・・お前たちは地上に戻れ。そして、すぐそいつを弔う準備をしてやれ」

 

「あ、はい・・・わかりました」

 

 

 

その日の夜、ひっそりと火葬が行われた。全員が集まるのは難しいため、代表が集まる。

 

愛子、香織、リリアーナ、メルドの4人だけだった。

 

「南雲くん・・・ごめんなさい。先生がもっとあのとき、強く皆を止められていたら・・・」

 

「南雲ハジメさん・・・苦しかったですよね。痛かったですよね。・・・私達の戦争に巻き込んでしまい、申し訳ありません。」

 

「南雲ハジメ。・・・私達のせいだ。すまない。お前には何の理由もなかったのに・・・。・・・いくら謝っても許されることではないが、謝罪だけはさせてくれ。本当に、すまなかった。・・・私がそっちに行ったら、気が済むまで殴ってくれ」

 

「ハジメくん・・・許されないかもしれないけど、謝らせて。何百回でも、何千回でも。・・・守れなくて、ごめんなさい。助けられなくて、ごめんなさい。あんなところで死なせちゃって、ごめんなさい。・・・1人で死なせちゃって、ごめん、なさい・・・っ!」

 

4人とも思い思いの謝罪を述べていく。言い終わったあと、火を付ける。この世界では火葬は普通行われないが、ハジメの世界の葬式を簡易的ながら行うことになった。

 

「今より未来・・・いつか私があの世に行ったとき、そのときは笑って話してくれると嬉しいな。お土産話、たくさん持って行くから」

 

そう言うと、火を灯す。

 

棺の周りには大量の薪と炭が積まれていて、炎が燃え移っていく。

 

棺が炎に包まれる。

 

「ハジメくん。さようなら」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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