ありふれたかもしれないIFの世界   作:uruka

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AS365さんからのリクエストです。が、今回の話は前編です。

アスタロトさんに忠告をいただきましたのでもう1つ前編を書かせていただきました。

後編はまた後日投稿させていただきます。


ハジメが落ちなかったIF 前編 (変更版)

もし、ハジメが落ちなかったら。そして、檜山が魔族側に寝返ったら。

そんなIFのお話。ルートは1つ。

※落ちる直前までカット

 

 

 

メルドが魔法発動の合図をして、全員の魔法がベヒモスに向かっていった。

 

ただし、一つを除いて。

 

その魔法、火球はハジメの方に方向を変えた。

 

ハジメの近くに着弾し、衝撃をもろに食らう。飛び散った破片で小さな傷が体につく。

 

踏ん張って皆の下へ行こうとしたが、衝撃により三半規管が潰され、足取りもフラフラとしている。

 

更に悪意が牙を向く。

 

生きていたベヒモスが殺意をハジメに向けた。

 

逃げようとするハジメに赤熱化した角を向け、突進してくる。

 

残された力を振り絞り、必死にその場を離れた。

 

刹那、異常とも言える衝撃が周りに広がる。

 

その衝撃によって、下からヒビの入っていた橋が更に割れていく。

 

そして、崩壊が始まった。

 

崩壊し始めた橋では重いベヒモスの体を支えられない。

 

グアアアア、と悲鳴を上げながら落ちていく。

 

穴に断末魔が響く。

 

ハジメはその場から必死に逃げる。転びながらも足を止めない。

 

崩壊に巻き込まれるのか、それとも逃げ切るのか。

 

 

 

 

 

 

「はぁ、よかった・・・なんとか逃げ切れた」

 

ハジメが地面の崩壊から逃げ続けていると、あと少しで巻き込まれてしまいそうなところで崩壊が止まった。

 

そのことに安堵しながらも、周りを確認して皆のところへ行く。近づくと香織が駆け寄ってきた。

 

「ハジメくん!大丈夫!?すぐ回復するね!」

 

「あ、白崎さん。・・・大丈夫だよ。ちょっとした傷はあるけど心配ないからさ」

 

「頭から血が流れてるんだよ!?ちょっとじゃないよ!」

 

「え?・・・あ、本当だ」

 

手を伸ばしてみると、ベチャッとした感触が広がる。

 

あのときの破片が頭にぶつかったのだろう。

 

 

 

 

 

そして、ハジメの回復が終わった。

 

「・・・よし!お前ら!もう一度隊列を組め!一刻も早くここから抜け出すぞ!」

 

「「「「「「「「「「「「「「はい!」」」」」」」」」」」」」」

 

 

 

 

 

「クソが・・・なんで生きてんだよ」

 

その言葉は誰の耳にも届かなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ハジメは香織に治癒された後、少し思いついたことがあったようで、そこら中に転がっていた石を5個ほど拾って帰っていた。

 

その石を自分の部屋で錬成していた。

 

「・・・ああ、また失敗だ。なかなかうまくいかないなぁ・・・。これから金属だけ取り出すのってどうすれば良いんだろ・・・。あれを作るには金属がいるし・・・」

 

ハジメは金属を使って何かを作りたいようだ。そのために拾った石から金属だけを抽出したいようだが、なかなか上手くいっていない。

 

「・・・ちょっと、町で聞いてこよう」

 

 

 

「あの、すいません。ちょっと聞きたいことがあるのですが・・・」

 

「ん、なんだ?答えられる範囲でいいなら答えてやるぞ」

 

「えーっと、これなんですが・・・」

 

そう言うとこぶし大の石を渡す。

 

「この石から金属だけを取り出すにはどうすればいいですか」

 

「どれどれ・・・コイツはどこで拾ったんだ?鉱山から持ってきたには金属の種類が多すぎる」

 

「あ、オルクス大迷宮ってところです」

 

「ああ、そこか。兄ちゃん若いのによく挑もうと思ったな」

 

「訓練の一環で・・・」

 

「訓練か。・・・もしかして、兄ちゃんって召喚者か?」

 

「あ、ハイ。隠してたつもりはないですが・・・」

 

「いやいや。町では『異世界から来た勇者様が大迷宮に挑む』って噂が広がっててな。時期と兄ちゃんの見た目からして予想しただけだ」

 

「そんな噂が広がってたんですか・・・。あの、それより分離する方法を・・・」

 

「おっといけねぇ。すっかり忘れてた。待ってろ。道具を取ってくるから」

 

 

 

「これだ」

 

「・・・これはなんですか?魔石とか色々付いてますけど・・・」

 

「今説明してもわからんと思う。1回見せるから説明はそっからな」

 

そう言うとハジメが渡した石を道具の中に入れ、魔石の中でも一際大きい魔石に魔力を流し込んだ。

 

そして5秒ほど経つと、石が溶けてドロドロになった。その石が浮かび上がり、一部分を軸にして回転し始めた。すると、回転している間に温度が下がり始めたのか円柱形になり始めた。

 

そして道具を起動して2分後。石はきれいな円柱形に変形し、道具は停止した。

 

「よし。こんなもんだな」

 

そう言って中身を取り出す。

 

「んじゃ、これを見てみろ」

 

そう言うとハジメに石を見せる。

 

「外側から内側にかけて6層になっているだろ?これは別の種類の金属同士が分離した結果だ」

 

内側から順に、灰、茶、銀白、黒、銀、黒と分かれている。

 

「内側から順に、『普通の石』『普通の土』『ラーギ鉱石』『フラム鉱石』『シュタル鉱石』『タウル鉱石』だ。・・・ああ、『ラーギ鉱石』とか知らないか。ちょっとそこも説明してやる」

 

そう言うともう一度店の奥に行き、今度は金属が入った籠を持ってきた。

 

「よし。これがウチにある鉱石とそのインゴットだな。説明していくからちゃんと聞いとけよ?」

 

「は、はい」

 

「よし。最初はこれだ。『シュタル鉱石』。コイツは武器や防具に使われる中で、一番重要な金属だ。この金属は込めた魔力量で硬さが変化するんだ。・・・これが、ほとんど魔力を込めていないインゴット。曲げてみろ」

 

ハジメはインゴットを曲げてみる。するとある程度の力を込めたとき、インゴットが少しだけ曲がったのだ。

 

「お、伸びたな。じゃ、返してくれ。今度はこのインゴットに魔力を込める。・・・よし。これでだいぶ変わってるはずだ。もう一回やってみろ」

 

もう一度力を込めるが、今度はハジメが全力で曲げてみても一切動かない。

 

「はぁ、はぁ、ぜ、全然曲がらない・・・」

 

「だろ?これがこいつの特徴な。団長様の防具にはコイツがふんだんに使われているんだ。もちろん大量に魔力が込められている。凄い硬いから一回触らせてもらえ」

 

対人訓練でいやでも触るからもうわかってますとは言えない。

 

「じゃ、次。コイツは『ラーギ鉱石』。この世界ではたぶん一番メジャーな金属だろうな。他のやつと比べると特徴はないに等しいところだが、錬成師には人気の鉱石だな。なんでも加工がいちばん簡単なんだとさ。まあ、俺は錬成師じゃなく鍛冶師だからそんなことは知らんがな」

 

「あ、僕錬成師です・・・」

 

「お、そうなのか。なら、一回試してみろや。シュタル鉱石がこれで、ラーギ鉱石がこれな」

 

そう言われて錬成してみると、確かにラーギ鉱石は錬成しやすい。

 

『錬成』は鉱物の粒子の隙間に魔力を送り込み、その魔力を制御して形を変形させるのだが、ラーギ鉱石はシュタル鉱石などの他の鉱石よりも格段に魔力を込めやすい。

 

シュタル鉱石の形を変形させるのに使った魔力量を10とすると、ラーギ鉱石に使った魔力量は4ほどだ。どれだけ錬成しやすいのかがわかるだろう。

 

「あ、凄い変形しやすい・・・」

 

「んじゃ、次行くぞ。『燃焼石』だ。コイツは名前から分かる通り、火を付けたら燃える。ちょっと燃やしてみるから見てろ」

 

そう言って店主は火を付ける。すると燃焼石が燃えた。

 

「と、まあこんなふうに、一回火を付けただけで燃えるんだ。これが大量にある部屋で火なんか使ったらもう死んじまうから注意しろよ?」

 

その言葉にハジメは頷く。

 

「で、次。コイツは『タウル鉱石』だ。ここに置いてある中では一番硬いな。特徴だが、コイツは熱や衝撃に非常に強いんだが、低温に弱い。温度が下がると脆くなっちまうんだ。ちょっと氷を乗せてみるぞ。今のうちに触っとけ」

 

そう言われたため触るが、どんなに力を入れても曲がったりしない。

 

そうすると氷を乗せられたのだが、始めのうちは何も変化がなかった。一気に変化が現れたのは1分ほど後だ。

 

「・・・うわ」

 

もう一度ハジメが曲げようとしてみたのだが、インゴットは曲がらずにポッキリと折れたのだ。

 

「な、脆くなったろ?そのためコイツで防具を作ったとしても、相手に氷魔法を使う魔法使いがいたらすぐ負けちまう。コイツが防具に使われることはまずないな。」

 

そう言いながら残りのインゴットを持ち上げる。

 

「で、ここに入ってる中では最後だな。『フラム鉱石』だ。コイツは他の金属よりも融点が低いんだ。燃焼席の上に持っていくと・・・あ、そこのラーギ鉱石でなんか入れ物作っといてくれ。結構すぐ溶けちまうから」

 

そう言って、トングでインゴットを挟んでからさっき燃やした燃焼石の上に持って行く。

 

すると、少ししたときにインゴットが溶け出した。

 

「よし、溶けたな。んで、この溶けた状態にも特徴があるんだ。コイツに火を付けると・・・ここじゃ危ねぇから外で見せてやる。ちょっとついて来い」

 

そう言うと店の奥に連れて行かれた。溶解状態のフラム鉱石は鍋みたいなものに入れられている。

 

 

 

「ここなら良いだろ。ここはウチの剣の切れ味とかを試す訓練場みたいなところだ。ま、それは置いといてコイツに火を付けてみるぞ」

 

そう言って火を付けると、一気に燃え上がって鍋が溶けた。

 

「と、まあこんなふうにかなりの高温になって燃え上がるんだ。絶対さわるなよ?指消えるぞ。・・・燃える時間は溶けた金属の量で変化する。これならもうすぐ消えるな」

 

そう言うと、4秒ほど後に火が消えた。

 

「んじゃ、戻るか」

 

 

 

「んで、ここにはない鉱石なんだが、『アザンチウム鉱石』ってのがある。ここにない理由だが、数が少なくてかなり高価なんだ。王家御用達の鍛冶師や錬成師じゃないと普通は買えない。特徴としてだが、とにかく硬い。さっき見せたタウル鉱石よりも硬い。しかもタウル鉱石みたいに冷やしても脆くならない。熱にも衝撃にも強い。たぶんこの世界で最強の金属だろう。あと、王家に伝わる宝剣はアザンチウム鉱石で作られているって噂だな。・・・まあ、こんなところか」

 

「あ、ありがとうございます」

 

「んで、まだこれの説明をしてなかったな。コイツは魔道具の1つ。『融解分離機』だ」

 

「魔道具ですか」

 

「ああ。説明すると、コイツの中にまず分離させたい石とか鉱石を入れる。そしてこの一番でかい魔石に魔力を流すと作動するって感じだ。作動すると、まずは火属性の魔石が効果を発揮する。コイツの役割は入れた石を溶かす役割だな。で、次。次は風の魔石が作動するんだ。さっき見ただろ?溶けた石が浮かんでたのが」

 

そういえば確かに溶けた状態の石が勝手に浮かび上がっていた。

 

「あ、そういえばそうでしたね」

 

「コイツの役割は、溶かした石が魔道具に付かないようにする、後は浮かべた石を回転させる役割だな。んで、最後は氷の魔石だ。氷の魔石のせいでこの魔道具めっちゃ高いんだよな」

 

「あ、そうなんですか」

 

「ああ。そもそも氷の魔石が取れる魔物自体が珍しいし、その魔物の生息地もほとんど雪山なんだよな。・・・まあ、愚痴ってもしょうがないから説明していく。氷の魔石の役割は、溶けた石を再び固めるって役割だ。風の魔石が作動しているときに作動し始め、外側からゆっくり固めていくんだよ。・・・んで、外側には普通の石とか土よりも重い金属が出てくる。重い金属ほど外側に出てくる。そして外側に金属が出てきたおかげで錬成だったり鍛冶もしやすくなるってわけだ」

 

「ああ、なるほど・・・こういう道具があるのか」

 

「ま、国が抱えている錬成師はこんなの使わなくてもそのまま分離できるらしいがな」

 

「あ、そうなんですか・・・」

 

「がっかりすんなよ」

 

「・・・まあ、教えてくださり、ありがとうございました」

 

「おう。また来いよ」

 

 

 

 

 

 

 

「メルドさん、『融解分離機』ってありますか?」

 

「どうした急に」

 

「いえ、あの、作りたいものがありまして。そのために金属が欲しいんですが、融解分離機があれば石から金属を取り出せると教えてもらったので」

 

「ああ、そういうことか。・・・確か倉庫に少し古い型があったはずだ。取ってきてやる。待ってろ」

 

 

 

 

 

「これだ。火の魔石が壊れていたが直しといてやったぞ」

 

「あ、それはありがとうございます」

 

「・・・ところで、石はあるのか?」

 

「あ、それはこの前大迷宮でちょっと拾ってまして」

 

「ああ、迷宮の石か。あそこの石は金属含有量が多いって聞くな。・・・というかあのときに拾ってたのか」

 

「はい」

 

「はあ、まあいい。とりあえず、お前が作りたいものが作れたらまず俺に見せに来ること。それができないならこれは貸してやらない」

 

「あ、それくらいなら良いですよ」

 

 

 

 

 

「じゃあ、分離する方法も確保できたことだし、作りますか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、メルドさん。できたので見せに来ました」

 

「ああ、できたのか。・・・なんだこの小さいものは。こんなのがお前が作りたかったものなのか?」

 

「はい。それですよ?僕たちの世界にあったものです。『銃』って呼ばれてますね」

 

「まあ、作れたのなら良いか。・・・これはどのような用途で使うものだ?装飾か?」

 

「いえ、武器です」

 

 

 

「・・・すまん。俺の耳には武器だと聞こえたんだが」

 

「武器であってますけど」

 

「こんな小さなものが武器なわけ無いだろう!」

 

「いや、小さくても武器なんですが。・・・説明してもよくわからないと思うので、ちょっと訓練場で実践しながら説明します」

 

 

 

 

 

「で、お前の言うことだとここで盾を構えていて欲しいってことだったか?」

 

「あ、そうです。ちょっと離れてから攻撃しますね」

 

 

 

ダァン

ガァアアン

 

 

 

最初の音は銃で撃った音。その後の音は盾に弾丸が当たって響いた音だ。

 

盾は一部が凹んでおり、ひと目見てそこが銃に撃たれた場所だとわかる。

 

「メルドさん、これが銃です。・・・どうですか?感想は」

 

「武器じゃないと言ってすまなかった」

 

「・・・これが僕たちの世界ではいちばん有名だった武器ですね。量産可能ということもあって知名度は本当に高かったです」

 

「ふむ、量産可能か・・・。すまない、銃1つ分の金属を渡すからもう1つ作ってくれないか?」

 

「良いですけど・・・なぜですか?」

 

「実践でどれだけ使えるのか調べる必要があるからだ。さっき見ていたところ、撃つ前に小さな弾を入れていたが、慣れていない人間は弾を入れるのにどれくらい時間がかかるのか、魔物相手にはどれだけの威力が発揮されるのかとかだな」

 

「あ、そういうことですか。わかりました」

 

「よし、なら頼むぞ。金属はお前の部屋に手配しておく。明日の訓練が終わったら渡してくれ。・・・あと、明日の朝はまた訓練が始まるからな。遅れるなよ」

 

「了解です。・・・あ、そういえば。明日の訓練で銃を使おうかなと考えているんですが良いですか?」

 

「ああ、・・・なら条件をつけさせてもらう。相手を殺さないことだ」

 

「了解です。・・・行動不能や気絶なら良いですか?」

 

「それなら良いぞ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よし!今日から訓練再開だ!皆身体は休まったか!?」

 

大迷宮でアクシデントがあってから2日。ひとときの休息が終了し、訓練が再開された。

 

皆それぞれ個人の武器を持って集まっている。ハジメは昨日作った銃を持ってきている。

 

「全員いるな?じゃあ、今日から開始するのはお前らでの対人訓練だ!俺や周りの騎士とは前からしていたが、お前ら同士ではしたことなかっただろ?戦って相手の隙を見つけ報告しあい、それを改善していくのが目的だ!では、相手を決めてから開始!」

 

そう言われて全員がバラバラに移動する。

 

「えーっと、僕って相手はいるのかな・・・」

 

周りを見てみると、光輝と雫、龍太郎と永山といったふうに、すでに訓練を開始しているのも見られる。

 

どうしようとハジメがうろついていると檜山たちチンピラーズが話しかけてきやがった。

 

「オイオイ南雲ぉ〜。何逃げてんだ?お前は俺等にいたぶられてたら良いんだ、よ!」

 

そう言って早速檜山がハジメを殴り飛ばす。

 

「ギャハハ!やっぱ弱え〜。コイツじゃ肉壁にもなれねぇだろ」

 

「そもそも肉壁になる前にどっかで死んでるだろ」

 

「それもそうだな」

 

「「「「ギャハハハハハ!」」」」

 

勝手なことを言いながらハジメを嘲笑っている。

 

逃げたいところだが、ここで逃げると今後厄介なことが起きそうだ。(光輝とか)

 

そのため立ち上がり、檜山達を見据える。

 

持っていた剣ではなく、懐に入れていた銃を取り出す。

 

「お?立ちやがったぜアイツ。ならもう一発くれてやるよ!」

 

「おい近藤、アイツなにか持ってるぜ?」

 

「んなもん役に立たねぇに決まってんだろ!ただのゴミに決まってる」

 

近藤がそう言ってハジメの方に走ってくるが、ハジメからしたらそれは的だ。ただ近づいてくる的。だが、外したら死ぬ。そう思って『撃つ』。

 

 

 

 

 

ダァン

 

 

 

 

 

その音が鳴った直後、近藤は転んで地面を滑る。見ると腹から血を流している。

 

「痛ってぇええええええ!何しやがったぁああ!」

 

そう言ってハジメを見上げる。そして更に叫ぼうとしたのだが、目に入った道具に言葉を失う。

 

ハジメが手にしていた『銃』。それはこの世界にはなかったはずなのだ。

 

なぜ?と近藤が思っていると、檜山たちも近寄ってきた。

 

「おい南雲ぉ!お前何しやがった!」

 

「お前が近藤を倒すはずねぇだろ!」

 

そう口々に言ってくるが、ハジメは無言で銃口を檜山たちに向ける。顔も無表情だ。

 

「お、脅しか・・・?ハッタリかましてんじゃねぇぞ!」

 

「ハッタリなんかじゃないよ」

 

 

ダァン

 

 

「ギャァアアア!脚がぁアアア!」

 

「これでハッタリじゃないってわかったよね?」

 

その様子に撃たれなかった中野と斎藤はすぐさまその場から逃げ出す。

 

「あ、逃げちゃったか。・・・そうそう。これ、もう1つあるんだよね」

 

そう言うともう1つを懐から取り出す。

 

「お、おい、何して・・・?」

 

その言葉には答えず、2つの銃口を2人の額に押し当てる。

 

「な、なあ、あ、謝るから許してくれないか?」

 

「そ、そうだぜ?あ、あれはただの冗談で・・・」

 

「・・・ふざけるのも大概にしなよ」

 

「は?ふ、ふざけてなんか・・・」

 

「君たちが僕にしてきたことがただの冗談?そんなわけ無いでしょ。僕を殴って苦しんでるのを見て笑う。僕を燃やして逃げ回ってるのを見てまた笑う。・・・これ、この世界に来てからできた傷なんだ。ひどいよね?」

 

そう言うとハジメは袖をまくる。そこには焼けただれたような傷跡。この世界に来てからハジメに行ういじめはエスカレートしていた。その結果、燃やすことも平然と行われていたのだ。

 

「あ、そ、それは・・・」

 

「まぁ、これについてグチグチ言うのはやめる。んで本題だけど、今後君たちが僕に何もしてこないようにしようと思ってるんだ」

 

「え、そ、それはどういう・・・?」

 

「死ねってことだよ」

 

「え?そ、それはどうかと・・・」

 

「そ、そうだぞ?俺達を殺したらどうなるか・・・」

 

「問題ないよ。実は僕この前の迷宮で起こったことについて、メルドさんになにか欲しいものとか要望とかあるかって言われたんだ。そのことで許可をもらったんだ。『君たちを殺しても良い許可』をね」

 

これはハッタリだ。『欲しいもの〜』のくだりも作り話。もし事実だとしても殺しても良い許可など許してもらえるはずがない。というかそもそも『殺すな』と言われている。だが、この2人はそんな事知らない。

 

こんなことを言われてパニックにならないはずがない。

 

「はぁ!?う、嘘だろ!?そんな事あって良いわけねぇだろ!」

 

「それがあるんだよね。・・・この世からバイバイする準備はできた?」

 

「ちょ、ちょっと待ってくれ!これまでしたこと全部謝るから!謝るからぁあああ!」

 

「もう無駄だよ。それじゃ、さようなら」

 

「「いやだ、死にたくない、死にたくない!嫌だぁああああああああ!!」」

 

 

 

 

 

「ダァン」

 

 

 

 

 

 

そして2人は白目を向いた。

 

ハジメは銃を撃ってなどいない。ただ『ダァン』と声にしただけだ。

 

だが2人は撃たれると思い込み、気絶してしまった。

 

「あ、気絶した。・・・気絶なら良いって言われたし、まあいっか」

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