ありふれたかもしれないIFの世界   作:uruka

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試験終わりました。復帰します。(勉強期間中に投稿したのは無視でお願いします)

後半の投稿をお待ちしている方もいますでしょうが、書いている間にものすごい矛盾が生まれてしまい、ただいま絶賛書き直し中です。あと、地味に凹んでます。

ということもあり、後半が投稿されるのはもう少し後になってしまいそうかなと思います。

できるだけ早めに書かせていただきますが、書き終わるまでは別のリクエストの作品を投稿させていただきます。





リョウ・スカーレットさんからのリクエストです。

雫ヒロインルートとお願いされたのですが、後半の雫はそんなにヒロインしてないです。

まだ前半はヒロインしてるかなと思います。(それでも微妙かもしれません)


ハジメが剣道をしていたIF

もし、ハジメが八重樫道場に通っていたら。

そんなIFのお話。ルートは1つ。

 

 

 

ある春の日。とある道場に一組の親子が来ていた。

 

「ああ、南雲さん。いらっしゃいましたか」

 

「はい。今日からお邪魔させていただく、南雲ハジメです。ほら、挨拶しなさい」

 

「あ、はい・・・・南雲ハジメです。今日からお願いします」

 

「うん。今日からよろしくな。ハジメくん」

 

ハジメは両親のすすめで、今日から八重樫道場で剣道を習う。

 

愁が「ハジメに何かスポーツを習わせるのも良いかもしれないな」と言い出したことがきっかけとなり、そのまま近くで有名だった八重樫道場に通うことになった。

 

ハジメに同年代の友人を作らせるのも目的の1つだったりする。

 

「まあ、今日は初日ですので見学させようかなって思ってます。そして近くで見てもら、通うかどうか判断してもらうと言った感じですね」

 

「わかりました。・・・何時頃終了の予定ですか?」

 

「今日は・・・小学生以下は4時ですね」

 

「では、その時間あたりに迎えに来ますね。・・・ハジメ、よくこの人の話を聞くのよ?先生、この子をよろしくお願いします」

 

「うん、わかった」

 

「おまかせください」

 

 

 

 

 

「よし、じゃあハジメくんの道着を持ってくるから、ちょっとここで待っててね」

 

 

 

 

 

そうして待っていると、1人の女の子が話しかけてきた。

 

「きみ、あたらしい子?」

 

「え?あ、うん。今日はけんがくらしいけど」

 

「そうなのね。わたしは八重樫雫。きみは?」

 

「あ、ぼくは南雲ハジメ。よろしくね」

 

「うん、よろしくね。ここのことならなんでもきいてね」

 

「よし、道着を取ってきたから着替えようか。・・・って、雫、どうしてここにいるんだ。まだ練習の時間だぞ」

 

「あ、お父さん。いや、ハジメくんにここのことおしえてあげようかなって・・・」

 

「雫はそれよりもまず練習だ。まだ太刀筋がぶれていただろう?ほら、早く練習に戻りなさい」

 

「は~い。・・・またね、ハジメくん」

 

「まったく、隙あらばサボろうとするんだから・・・。ああ、これがハジメくんの道着だ。教えるからちょっと着てみようか」

 

 

 

「そこに腕を通して・・・これを履いて・・・ああ、前と後ろ反対だから直して・・・そして帯を結んで、よし、できた。なかなか良いじゃないか。似合ってるぞ」

 

近くの鏡には道着を着た少年が写っている。

 

「うごきづらい・・・」

 

「そんなものなんだよ。慣れるところから皆始めるんだ。まあ、今日は見学だから脱いでも良いんだけどね。どうする?着ておく?」

 

「うーん・・・きてる」

 

「そうか。・・・じゃあ、今日は見学の予定だから、自分が見たいところを見ていていいよ。私は皆を教えてるけど」

 

「ききたいことがあったらどうすればいいの?」

 

「あ、そうか、どうしようか・・・しょうがない。雫、ちょっと来て」

 

 

 

「なに?お父さん」

 

「ちょっとハジメくんといっしょに行動して欲しいんだ。それとここも案内してあげてくれ」

 

「・・・れんしゅうは?」

 

「しょうがないからなしでいい。その代わり夜に少しやるぞ」

 

「はーい。じゃあ、ハジメくん、ついて来て!」

 

「う、うん」

 

「転ぶかもしれないから走るなよー」

 

 

 

結果として、翌週からハジメは道場に通うことになった。

 

 

 

 

 

その2年ほど後、ハジメが小学3年生のとき、とある新規生が来たりした。

 

聞くと、天之河光輝というらしい。

 

おそらく年齢はハジメと同じくらいだろうが、見た目からしてかっこいい少年だ。

 

そのフェイスに同年代の少女たちは目を引かれている。一部の女子はハート目だ。

 

雫も目を向けている。

 

 

 

そして小学6年の夏頃から、急に光輝が雫に話しかけるようになった。

 

それを面白くないと思うのがこの頃の女子だ。誰にも見られないように雫の私物を盗ったり、傷つけたり、汚したりといった嫌がらせを始めた。

 

 

 

そして中学校に入学してからもそれは続いた。女子たちはもちろん、光輝も一緒の中学だ。ハジメの家は雫たちが通う中学校とは少し離れており、別の中学校に進学することとなった。

 

そのことに流石に耐えきれなくなった雫はまず光輝に相談しようと考えた。光輝ならなんとかしてくれるだろうと期待してのことだ。

 

だが、期待するのは間違いだったとすぐに理解させられることになる。

 

 

 

 

 

女子たちにされていることを光輝に相談していた。

 

「・・・ということがあるのだけど、光輝から言ってくれないかしら」

 

「うーん・・・彼女たちがそんなことするはずないよ」

 

「え・・・?」

 

「雫の勘違いだと思うよ。話せばわかってくれるはずさ」

 

「な、なら私の私物が取られたりしているのはどうすればいいのよ!」

 

「雫がなくしたことに気づいていないだけじゃないか?物を取ったりなんて彼女たちはしないよ」

 

 

 

「・・・ということを雫に言われたんだけど、君たちがそんな事するはずないよね?」

 

「そんな事するはずないよね」

 

「ねー。わたしたちはいつも雫ちゃんと話してるだけだし」

 

「・・・もしかしたら言葉で勘違いさせてたかもしれないから一応謝っておく?」

 

「ああ、そうしたほうが良いよ。わだかまりを残すのは良くないからね」

 

後日、『一応』女子たちは謝った。

 

 

 

 

 

「アンタよくも光輝くんに告げ口したわね。私が嫌われたらどうしてくれんのよ」

 

「光輝くんが優しくて助かったね〜」

 

「というか、アンタって女の子だったのね。男みたいだったしわからなかったわよ」

 

「男みたいって確かにね〜。アンタが光輝くんに優しくされるなんて百年早いのよ!」

 

「・・・」

 

(光輝に期待していた私がバカだったわね)

 

 

 

 

そして、3日後の稽古の日。休憩時間にハジメは雫に話しかけていた。

 

幸運か不運か、女子たちと光輝は偶然にも休みだ。(たぶん幸運)

 

「何かあった?雫ちゃん」

 

「・・・何?急に」

 

「いや、なんだかいつもと雰囲気が違うからさ」

 

「・・・まあ、そうね。何かはあったわ」

 

「・・・なにか、辛いことでもあったの?ちょっと話してみてよ。落ち着くかもしれないしさ」

 

「・・・う、ん・・・あまり言いたくないけど・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えー、いじめ・・・?女じゃないって・・・」

 

「・・・まあ、そう言われるのも仕方ないわよね。こんな事してるんだし、女子力なんか私にあるはずないから。がさつな女子って好かれないわよね」

 

「え、どこが?」

 

「・・・どういうこと?」

 

「え、だって雫ちゃんっていっぱいぬいぐるみとか持ってるよね。あと休日にはおしゃれとかしてウキウ「ちょっと待って?なんでアンタが私の趣味や休日のことを知ってるのよ」

 

「だってショッピングセンターをブラブラしてたときに何度か見かけてたからね。クレーンゲームに挑戦とかしてたでしょ。たぶん雫ちゃんは僕のこと気づいてなかったと思うけど」

 

「・・・何回か見られてたのね。・・・どうせ、アンタも私にそんなの似合わないって思ってるんでしょ」

 

「え、なんで?一切思ってないけど。女の子が可愛いぬいぐるみとかを集めるのは普通のことだし、おしゃれしてたのも似合ってて可愛いなって思ったよ。というか僕と話してるときに時々見せてくれる笑顔とかいつもすごく可愛いって思ってるし、そんな女の子がぬいぐるみを集めたりおしゃれするのは何もおかしくないでしょ。・・・って雫ちゃん!?顔赤いけど大丈夫!?」

 

「だ、大丈夫よ、心配いらないわ(なんてこと平然と言うのよ!私がかわ、可愛いだなんて・・・)」

 

「いや心配するよ!?」

 

「そろそろ休憩終わるぞー。全員元の位置にもどれー」

 

 

 

 

 

 

 

 

雫がハジメと話した2日後。稽古の合間の休憩時間にハジメと雫が話しているのを見かけたのか、練習が終わったあとに女子たちが話しかけてきた。なお、他の門下生はすでに帰宅している。

 

「なに、アンタ今度は南雲に乗り換えたの?」

 

「いや、乗り換えたわけではないのだけれど・・・」

 

「ま、私達にとっちゃアンタが乗り換えようがどうでもいいのよ。光輝くんにアンタが近寄らなかったらいいだけなんだから。・・・でもアンタみたいなオトコオンナにはあんな陰キャがお似合いよ。光輝くんに粗暴な女は似合わないわ。私みたいに可愛いオンナじゃないと」

 

「アハハ、確かにね〜。それ言えてる〜」

 

 

 

 

 

その頃。

 

「あ、師範。ちょっと見せたいものがあるんですが・・・」

 

「・・・どうした?ハジメ。何かあるのか?」

 

「ちょっとついて来てください」

 

 

 

 

 

「というかそもそも服とか趣味とかの前に、アンタがこんな長い髪してるの生意気なのよ。こんな長いの邪魔だろうから短くしてあげるわ」

 

そう言ってバッグからハサミを取り出す。

 

「ちょ、ちょっと!やめなさいよ!」

 

「あー邪魔邪魔。腕振らないでよ。・・・ちょっと押さえといて」

 

「「はーい」」

 

「よーし、これでやりやすくなったわね。んじゃ、いきますか・・・」

 

だが、そのとき、ハサミを持っている女子に、急に背後から声がかけられた。

 

 

「―――何をしている」

 

 

「「「ヒッ!?」」」

 

そんな声を出して3人共背後を振り向く。そこに立っていたのは師範、すなわち雫の父だ。

 

「あ、し、師範!?こ、これは、な、なんというか、その・・・」

 

「何をしていると聞いたんだが」

 

「あ、え、えっと・・・」

 

「何をしようとしていたのか答えろ!」

 

「「「ヒィ!?」」」

 

「・・・とりあえず、親御さんに連絡しておく。あと、お前たちは破門だ。二度とこの地に踏み入るな」

 

「そ、そんな!お母さんに連絡するのだけは!」

 

「今頃慌てても無駄だ。今日俺が見たことは全て報告させてもらう」

 

女子たちは絶望したような表情になる。そして諦めたようにトボトボと帰っていった。

 

 

 

「・・・さて。雫、大丈夫だったか?」

 

「お、とう、さん・・・?なん、で?」

 

「ああ。お前の父だぞ。・・・あそこにいるハジメに教えてもらってな」

 

そう言って扉の方を親指で指す。

 

そこには中を覗いているハジメがいた。声は聞こえてこないが、『だいじょうぶ?』とでも言っているような口パクをしていた。

 

「たぶん、ハジメに教えてもらわなかったらお前がされていることを今でも気づいていなかっただろう。・・・ハジメには感謝しないとな」

 

 

 

 

 

 

あと、この頃からハジメは光輝にライバル視されるようになった。

 

一応2人の戦い方を説明すると、光輝は基本に忠実なタイプ。基本の型を徹底的に行うため、フェイントには弱い。だが、一度守りを突破されて攻められると、そのまま防御に移るのが難しい一面もある。ただし光輝はフェイントを一切取り入れないため、よく師範に見切られては一本取られている。未だに師範から一本を取ったことがない。そしてハジメは基本を守りながらも、応用していくタイプ。ときにフェイントをしかけたり、ときに竹刀を片手で持って翻弄したりと手数で攻めていくタイプだ。師範との稽古では7回に1回は勝っている。

 

光輝とハジメではハジメが勝つことが多い。というか光輝は10回やって1回勝つかどうかだ。これに関しては才能というより、経験の差だ。ハジメは光輝よりも2年早く剣道を始めているため、そこら辺の差が結果に現れている。

 

「フェイントを入れるなんて卑怯だぞ!正々堂々戦え!」

 

「・・・ルールは守ってるから良いでしょ。師範にもそれでいいって言われてるし」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして数年後、高校に進学した。

 

光輝、ハジメ、雫と全員同じ高校だ。

 

 

 

そしてある日のこと。

 

「南雲!放課後武道場に来い!昨日のリベンジだ!」

 

「ちょ、うるさいって。朝から耳元で叫ぶのやめて・・・」

 

「あ、そ、それはすまない・・・で、返事はどうなんだ」

 

「・・・いつものことだし、まあ良いよ」

 

「よし、なら忘れるなよ!前みたいに来なかったら許さないからな!」

 

そう言って自分の席に戻り、龍太郎と話し始める。

 

「ハジメ、アンタも毎日光輝に付き合わなくて良いのよ?アンタは家のこととかいろいろあるんだし」

 

「いや~、そうしたいのもやまやまなんだけど・・・もしそうなったら絶対光輝くんは僕に何かしらしてくるだろうから。前1回すっぽかしちゃって厄介なことになったからさ」

 

「あー・・・それは・・・否定できないわね。あの光輝のことだし。・・・というか、そろそろ授業が始まるわね」

 

「あ、うん。じゃ、また」

 

 

 

 

 

 

 

 

プレート受け取りまでカットします

 

※この世界では香織はハジメにそれほど好意を抱いていません。ですので昼休みに香織はハジメのところに来なかったものと思ってください。

 

 

 

 

 

 

 

 

=========================

南雲ハジメ 17歳 男 レベル:1

 

天職:剣士

 

筋力:90

 

体力:80

 

耐性:45

 

敏捷:50

 

魔力:40

 

魔耐:45

 

技能:剣術・縮地・先読・気配感知・魔力制御・言語理解

=========================

 

これがハジメのプレートに出てきた情報だ。『剣士』とあり、剣道を習っていた成果が出ているようだ。

 

「全員見れたか? 説明するぞ? まず、最初に〝レベル〟があるだろう? それは各ステータスの上昇と共に上がる。上限は100でそれがその人間の限界を示す。つまりレベルは、その人間が到達できる領域の現在値を示していると思ってくれ。レベル100ということは、人間としての潜在能力を全て発揮した極地ということだからな。そんな奴はそうそういない」

 

どうやらゲームのようにレベルが上がるからステータスが上がる訳ではないらしい。

 

「ステータスは日々の鍛錬で当然上昇するし、魔法や魔法具で上昇させることもできる。また、魔力の高い者は自然と他のステータスも高くなる。詳しいことはわかっていないが、魔力が身体のスペックを無意識に補助しているのではないかと考えられている。それと、後でお前等用に装備を選んでもらうから楽しみにしておけ。なにせ救国の勇者御一行だからな。国の宝物庫大開放だぞ!」

 

メルド団長の言葉から推測すると、魔物を倒しただけでステータスが一気に上昇するということはないらしい。地道に腕を磨かなければならないようだ。

 

「次に〝天職〟ってのがあるだろう? それは言うなれば〝才能〟だ。末尾にある〝技能〟と連動していて、その天職の領分においては無類の才能を発揮する。天職持ちは少ない。戦闘系天職と非戦系天職に分類されるんだが、戦闘系は千人に一人、ものによっちゃあ万人に一人の割合だ。非戦系も少ないと言えば少ないが……百人に一人はいるな。十人に一人という珍しくないものも結構ある。生産職は持っている奴が多いな」

 

ハジメは自分のステータスをもう一度見る。『剣士』とあり、やっぱり変化していない。

 

ハジメ達は上位世界の人間だから、トータスの人達よりハイスペックなのはイシュタルから聞いていたこと。なら当然だろうと思いつつ、口の端がニヤついてしまうハジメ。自分に何かしらの才能があると言われれば、やはり嬉しいものだ。しかも幼少期に一度は憧れたヒーローなのだ。喜んでも良いだろう。

 

「後は……各ステータスは見たままだ。大体レベル1の平均は10くらいだな。まぁ、お前達ならその数倍から数十倍は高いだろうがな! 全く羨ましい限りだ! あ、ステータスプレートの内容は報告してくれ。訓練内容の参考にしなきゃならんからな」

 

ハジメは60や45のように、確かに平均値よりも数倍高い。

 

すると、早速光輝がメルドの呼びかけに応えて報告に行く。

 

=========================

天之河光輝 17歳 男 レベル:1

 

天職:勇者

 

筋力:100

 

体力:100

 

耐性:100

 

敏捷:100

 

魔力:100

 

魔耐:100

 

技能:全属性適性・全属性耐性・物理耐性・複合魔法・剣術・剛力・縮地・先読・高速魔力回復・気配感知・魔力感知・限界突破・言語理解

=========================

 

チートの権化。全ステータスが3桁だ。

 

「ほお~、流石勇者様だな。レベル1で既に100か……技能も普通は二つ三つなんだがな……規格外な奴め! 頼もしい限りだ!」

 

「いや~、あはは……」

 

団長の称賛に照れたように頭を掻く光輝。ちなみに団長のレベルは62。ステータス平均は300前後、この世界でもトップレベルの強さだ。しかし、光輝はレベル1で既に三分の一に迫っている。成長率次第では、あっさり追い抜きそうだ。

 

 

 

そして、ハジメもプレートを見せる番が来た。

 

「よし、次は・・・お、剣士だな。ステータスは・・・筋力と体力がかなり高いな。耐性が低いのは欠点だが・・・まあ、そこは技術でカバーすればいいな。で、技能は・・・おお、これは珍しい。『魔力制御』があるじゃないか!」

 

「あの、『魔力制御』ってなんですか?」

 

「ああ、説明しようか。『魔力制御』ってのは、簡単に言えば、魔力をより精密に操作することができたり、後は魔法を使うときに使用する魔力量が減らせられる。技量にもよるが、『魔力制御』を持っている熟練の魔法使いと持っていない魔法使いでは、持っている魔法使いの使用魔力量は持っていない魔法使いのおよそ5分の1にまで減らせられると言われている」

 

「ふえ、そ、そんな凄い技能が僕に・・・?」

 

「でも、お前は剣士だし、それほど恩恵を感じることは少ないかもしれんがな」

 

「あ、そっか・・・」

 

「まあ、そんなところだな。じゃ、次のやつ・・・」

 

 

 

 

そして翌日。

 

「よし、今日から訓練を始めていくぞ!昨日の夜伝えられたと思うがもう一度言っておく。こっちは剣士や弓士といった戦闘職だ!もし魔法職がいるならさっさとあっちに行け!」

 

だが、誰もいない。でも魔法職の方から2人来た。

 

「お、こっちには間違えたやつはいなかったのか。・・・なら、まずは天職ごとに分けていくぞ。まずは・・・」

 

 

 

「最後、勇者と剣士はこっちだ」

 

そう言われて移動したのは、光輝、ハジメ、雫の3人のみだった。

 

「お前らはまず素振りから始める・・・と言いたいところだが、おそらくお前たち3人共元の世界で剣術を学んでいたりしただろ」

 

そのことに全員が驚き、光輝が聞き返す。

 

「な、なぜわかったんですか!?」

 

「立ち姿にあまり隙が見られない。特にその嬢ちゃんはほとんど隙が見られないぞ。俺でも攻めるのは難しいだろうな」

 

メルドは隙の無さで判断したようだ。

 

事実、3人共隙がないように振る舞っている。その理由は、道場の方針の1つだからだ。

 

『技術を高めることも大事だが、それと同じくらい大事なことがある。――隙を一切見せるな。相手に隙を見つけられた場合、お前たちはその時点で負けると思え』

 

その方針があるため、3人は他のクラスメイトよりも隙がなくなっているのだ。

 

もっとも、光輝とハジメは異世界に来たことで油断してしまっていたのだが。

 

「素振りを続けるのはもちろんだが、お前らならその先の訓練に進めてもいいだろうな。俺と、騎士たちを相手にして実践形式で訓練するとしよう」

 

「あ、そうなんですね。僕はそのやり方でいいですよ」

 

「私もそれでいいです」

 

「俺もそれに賛成です。素振りばっかり続けても太刀筋の矯正ぐらいにしかならないですからね」

 

3人ともその提案には賛成のようだ。

 

「よし、じゃあまずは素振りを100回行ったら一度休む。その後もう一度100回素振りを行い、それが終わった後に対人訓練を始めるとしよう」

 

「「「はい!」」」

 

 

 

 

 

光輝に対して

 

「お前は基礎がしっかりしている。そこはお前の利点だが、悪く言えば基本に囚われすぎている。もう少しフェイントだったり相手を翻弄させる行動も取り入れたほうが良い。魔人族は卑怯な手を使ってくるやつも多いんだ」

 

「フェイント、ですか・・・卑怯な感じがするんですよね」

 

「何を言う。そう言って死んだら元も子もない。生きるためには必要だぞ」

 

『・・・そんな事しなくたって良いじゃないか。俺は勇者なんだ。魔人族だって、圧倒的な力で倒してやる』

 

 

 

 

 

ハジメに対して

 

「お前は基礎もできているし、フェイントだったり相手を翻弄させる技術も高い。だが、攻めが弱いな。手数が多いのは良い点なんだが、一発一発がそんなにダメージになっていない。魔人族は俺達人間よりも身体が強靭なんだ。耐えられて反撃される可能性だって普通にある。一発ぐらいは強力な『奥義』を持っておいたほうが良い」

 

「あ、やっぱり・・・。前からそうだったんですよね」

 

「ああ。・・・お前は『魔力制御』を持っているんだし、何かいい方法はないものか・・・」

 

『・・・ラノベの技、何か良いのあるかな』

 

 

 

 

 

雫に対して

 

「嬢ちゃんは3人の中では一番基礎と応用のバランスが取れている。しかも敏捷がかなり高い。そこは大きな利点だ。だが、筋力の割にはそれほどダメージが高くないな。もしかしたら、武器が合っていない可能性もある」

 

一応、雫のステータスを載せておく。

 

========================

八重樫雫 17歳 女 レベル:1

 

天職:剣士

 

筋力:90

 

体力:60

 

耐性:40

 

敏捷:120

 

魔力:20

 

魔耐:50

 

技能:剣術・縮地・先読・気配感知・隠業・言語理解

========================

 

「・・・それはそうですね。私のいた世界ではもう少し違う武器でしたから」

 

「ああ、やっぱりそうなのか。・・・一度、この国の鍛冶師を呼んでみるからどんな武器が良いのか要望を伝えてくれ」

 

『・・・日本刀、再現できるのかしらね?再現してくれたら嬉しいのだけれども』

 

 

 

 

 

 

 

オルクス大迷宮(20階層)までカットします

 

※雫は光輝のパーティーにいません

 

 

 

 

 

二十階層の一番奥の部屋はまるで鍾乳洞のようにツララ状の壁が飛び出していたり、溶けたりしたような複雑な地形をしていた。この先を進むと二十一階層への階段があるらしい。

 

そこまで行けば今日の実戦訓練は終わりだ。神代の転移魔法の様な便利なものは現代にはないので、また地道に帰らなければならない。一行は、若干、弛緩した空気の中、せり出す壁のせいで横列を組めないので縦列で進む。

 

すると、先頭を行く光輝達やメルド団長が立ち止まった。訝しそうなクラスメイトを尻目に戦闘態勢に入る。どうやら魔物のようだ。

 

「擬態しているぞ! 周りをよ~く注意しておけ!」

 

メルド団長の忠告が飛ぶ。

 

その直後、前方でせり出していた壁が突如変色しながら起き上がった。壁と同化していた体は、今は褐色となり、二本足で立ち上がる。そして胸を叩きドラミングを始めた。どうやらカメレオンのような擬態能力を持ったゴリラの魔物のようだ。

 

「ロックマウントだ! 二本の腕に注意しろ! 豪腕だぞ!」

 

メルド団長の声が響く。光輝たちが相手をするようだ。飛びかかってきたロックマウントの豪腕を龍太郎が拳で弾き返す。最前列にいた光輝と龍太郎で取り囲もうとするが、鍾乳洞的な地形のせいで足場が悪く思うように囲むことができない。

 

龍太郎の人壁を抜けられないと感じたのか、ロックマウントは後ろに下がり仰け反りながら大きく息を吸った。

 

直後、

 

「グゥガガガァァァアアアアーー!!」

 

部屋全体を震動させるような強烈な咆哮が発せられた。

 

「ぐっ!?」

 

「うわっ!?」

 

体をビリビリと衝撃が走り、ダメージ自体はないものの硬直してしまう。ロックマウントの固有魔法“威圧の咆哮”だ。魔力を乗せた咆哮で一時的に相手を麻痺させる。

 

まんまと食らってしまった光輝達前衛組が一瞬硬直してしまった。

 

ロックマウントはその隙に突撃するかと思えばサイドステップし、傍らにあった岩を持ち上げ香織達後衛組に向かって投げつけた。見事な砲丸投げのフォームだった。咄嗟に動けない前衛組の頭上を越えて、岩が香織達へと迫る。

 

香織達が、準備していた魔法で迎撃せんと魔法陣が施された杖を向けた。避けるスペースが心もとないからだ。

 

しかし、発動しようとした瞬間、香織達は衝撃的光景に思わず硬直してしまう。

 

なんと、投げられた岩もロックマウントだったのだ。空中で見事な一回転を決めると両腕をいっぱいに広げて香織達へと迫る。その姿は、さながらル○ンダイブだ。「か・お・り・ちゃ~ん!」という声が聞こえてきそうである。しかも、妙に目が血走り鼻息が荒い。香織も恵里も鈴も「ヒィ!」と思わず悲鳴を上げて魔法の発動を中断してしまった。

 

「香織、危ないわよ!」

 

背後にいた雫が前に出てダイブ中のロックマウントを切り捨てる。

 

その手にある物は、まさかの日本刀だ。

 

少し前、メルドが王国有数の鍛冶師に雫を会わせた。

 

そこで雫は元の世界にあった武器を鍛冶師に話す。

 

鍛冶師は見た目80代の老人だったが、雫の話を聞いて再現しようと試みている時間は目が少年のように輝いていた。

 

そしてその後、強度が足りなかったり、強度を保つことには成功しても長さが短くなってしまったりと失敗もあったが、最終的には日本刀を再現することができた。

 

ラーギ鉱石が地球にあった鉄と似た性質を持っていたことはかなり幸運だっただろう。

 

そして再現された日本刀を使い、ロックマウントを一撃で切断したのだ。

 

香織達は「ごめんね、雫ちゃん!」と謝るものの相当気持ち悪かったらしく、まだ、顔が青褪めていた。

 

そんな様子を見てキレる若者が一人。正義感と思い込みの塊、我らが勇者天之河光輝である。

 

「貴様……よくも香織達を……許さない!」

 

どうやら気持ち悪さで青褪めているのを死の恐怖を感じたせいだと勘違いしたらしい。彼女達を怯えさせるなんて! と、なんとも微妙な点で怒りをあらわにする光輝。それに呼応してか彼の聖剣が輝き出す。だが、それを止める者がいた。

 

「万翔羽ばたき、天へと「何してんのよバカ!」グフッ!?し、雫!?何するんだ!蹴り飛ばすなんて!」

 

「何するはこっちのセリフよ!アンタなんてものここで使おうとしてんのよ!生き埋めになったらどうしてくれんのよ!」

 

「あ、そ、それは・・・考えていなかった。すまない」

 

「まあ、わかったなら良いわ。・・・って、なんで攻撃が来ないのかしら・・・ハジメ?」

 

光輝が倒そうとしたロックマウントは無傷のままだ。非常に体力を消耗しているわけでもない。

 

なら無防備なままの光輝たちに攻撃を仕掛けるのが普通だろうが、そのロックマウントと対峙していた人物がいた。

 

読者のみなさんなら予想がついているだろう。我らが主人公、ハジメだ。

 

「ハジメ!1人で大丈夫!?危なかったら手伝うわよ!」

 

「問題ない!たぶん倒せるから!」

 

「危なくなったらすぐに呼べ!」

 

「わかりました!でも大丈夫です!もうすぐ終わります!」

 

その言葉に質問していた雫やメルド、そして近くにいた光輝たちは『ん?』となる。どう見てもロックマウントはピンピンしていて、すぐには倒せそうもない。

 

だが、ハジメは懐から1つの石を取り出した。

 

それは手のひらサイズの魔石だった。そしてハジメは魔石を砕く。

 

砕いた瞬間、魔石から魔力が溢れ出てくる。だが、ハジメはその魔力を強引に制御し、剣に魔力を纏わせた。

 

これは、ハジメが地球にいた頃に読んでいた物からヒントを受けたものだ。

 

「――特殊魔力エンチャント!」

 

そう叫びながら、剣を横に薙ぎ払う。

 

一拍遅れて、ロックマウントの身体がずれ始める。

 

そして、ズズンと音を立てながら、周りに砂埃が舞う。

 

ハジメがメルドに近づいてきて言う。

 

「メルドさん、これが僕の奥義です。・・・どうですか?」

 

「・・・正直、想像以上だ。まさか魔力を強引に制御するとはな。あれを喰らってははひとたまりもないぞ」

 

「それは良かったです。・・・ボスも倒したことだし、地上に戻るんですか?」

 

「ああ、そうだな。・・・お前ら、今から地上に戻るが気は抜くなよ!横から来た魔物に襲われることもあるからな!では、整列!」

 

「「「「「「「「「「「「「「はい!」」」」」」」」」」」」」」

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