もし、ハジメたちがトラップにかからなかったら。
そんなIFの話。ルートは1つ。
トラップ発動まで原作と同じためカット・・・としたいところですが少し話の展開を変えているので少し書いてからカットします
※今回、オリジナルの設定が登場します
※原作崩壊しかけてます
錬成師。それがハジメに与えられた天職だ。
だからといって何もしないでいるわけにはいかなかった。
あの思い込みの激しい勇者が皆の意見を全く聞かずに戦争参加を決めてしまったから。
そのため、訓練に参加していなかったりすると非難するような目で見られる。主に光輝に。
そのため嫌々ながらもハジメは訓練に参加していた。
そんなハジメを見ていたメルドは1つの案をハジメに出す。
「戦争参加に表明してもらったからには参加してもらわないといけないのだが・・・流石に異世界人とはいえ錬成師に参加させるのも酷だ。ということで、お前、武器の修復をしてくれないか?」
それは暗に言えば訓練に参加しなくてもいい。という大義名分を与えてくれるものだった。
ハジメにとってそれは願ってもないこと。
「了解です!!!」
食い気味に答え、そして隠そうともしていない喜びが溢れ出ていた。
そこからのハジメはもう凄かった。
何が凄かったのか、いくつかの具体例を出す。
まず、凹んでしまった鎧や刃こぼれした剣、また歪んだ盾や剣とその原料となっている鉱石を組み合わせて修復する、というのがハジメの行った修復方法なのだが、この世界にいた修復師よりも圧倒的にその修復されたものの性質が良かった。
理由としては、この世界のこれまでの修復作業は凹んだ鎧は叩いて似たような形に直す、刃こぼれした剣は研ぎ直すだけ。歪んだ盾や剣も叩いて無理矢理元の形に直すと言ったものだった。
もちろん、そんなことを続けていたら金属は劣化し、実践では到底使用できないものになる。
だが、ハジメの修復方法だとそんなことは起きない。
鎧は錬成で一回溶かし更に失った量の金属も溶かして混ぜる。そして、もう一度同じ形に錬成する。
そうすることで鎧が脆くなることはおろか、金属が劣化することも起こらなくなっている。
剣も同じようにする。歪んだ盾も。さらにはアクセサリーの依頼も来た。
アクセサリーに関してはハジメに鎧を修復してもらった騎士が家族に話したらしい。
あの召喚された錬成師なら何でも直してくれるんじゃないか、と。
最初に来たアクセサリーの依頼はネックレスだった。祖母の形見の飾りが歪んでしまったので直してほしい。
ハジメにとっては簡単なことだった。そして修復されたネックレスが噂となり、ハジメは更に貴族の間で評判になった。
そして世間からの評判は一週間もしないうちにこうなった。
『戦力に関してはかなりの無能だが、修復することに関してならこの世界の誰よりも優れている』
この評判があるため、檜山たちはハジメを罵ろうにも罵れない。むしろしようとしても修復作業を頼んだのはメルドであるため逆に非難される始末だ。
また、この国にもとからいた錬成師たちが嫉妬して突撃してくるのかと思ったら、むしろ逆。
弟子にしてくれと頼み込んできたのだ。
ハジメは逃げた。
ステータスが低くて捕まった。
そうして錬成を駆使して修復をしていると、派生技能が芽生えた。
『鉱物系鑑定』『遠隔鑑定』『武具鑑定』の3つ。
『鉱物系鑑定』は王都の王国直属の鍛冶師達の中でも上位の者しか持っていないという技能だ。
通常、鑑定系の魔法は攻撃系より多くの式を書き込まなければならず、必然、限られた施設で大きな魔法陣を起動して行わなければならない。
しかし、この技能を持つ者は、触れてさえいれば、簡易の詠唱と魔法陣だけであらゆる鉱物を解析できるのだ。
潜在的な技能ではなく長年錬成を使い続け熟達した者が取得する特殊な派生技能である。
が、ありふれた職業とは言えハジメは異世界人。地味だがチートだった。
早速、ハジメは周囲の鉱物を片っ端から調べることにした。例えば、近くにある鎧とかだ。
ステータスプレートにはこう出る。
『アガラメイ・マルドの鎧
ハインツ王国の戦士、アガラメイ・マルドが数年間愛用している鎧。
シュタル鉱石とラーギ鉱石の合金で作られた。
購入当時は現在ほど硬くなかったが長年使用し続けた魔法の魔力によって硬度が増加している。』
他になにかないかと周りを探してみる。
結果、様々なものが見つかった。一部を抜粋する。
『シュタル鉱石
魔力との親和性が高く、魔力を込めた分だけ硬度を増す特殊な鉱石。』
『ラーギ鉱石
銀白色の鉱石。
これと言った特徴はないがこの世界ではメジャーな金属。
地球で言う鉄のようなもの。』
『燃焼石
可燃性の鉱石。
点火すると構成成分を燃料に燃焼する。
燃焼を続けると次第に小さくなり、やがて燃え尽きる。
密閉した場所で大量の燃焼石を一度に燃やすと爆発する可能性がある。
威力は量と圧縮率次第で上位の火属性魔法に匹敵する。
主に大砲の発射時に使用される。』
『タウル鉱石
黒色で硬い鉱石。
硬度8(10段階評価で10が一番硬い)。
衝撃や熱に強いが、冷気には弱い。
冷やすことで脆くなる。
熱を加えると再び結合する。』
『フラム鉱石
艶のある黒い鉱石。
熱を加えると融解しタール状になる。
融解温度は摂氏50度ほどで、タール状のときに摂氏100度で発火する。
その熱は摂氏3000度に達する。
燃焼時間はタール量による。』
といった結果が得られている。
そしてハジメは思う。
今ここにある余ったシュタル鉱石、ラーギ鉱石、フラム鉱石であの現代兵器を作れないか、と。
火薬部分をフラム鉱石で。銃身、銃口はシュタル鉱石で。照準はラーギ鉱石で。
そんなふうにしてできたものは地球で最も有名な小型兵器。銃だ。
結構問題なく使えた。強いて言うなら装填に5秒もかかってしまうことぐらいだ。
ではカットします
そこには青白く発光する鉱物が花咲くように壁から生えていた。まるで水晶のようである。
香織を含め女子達は夢見るように、その美しい姿にうっとりした表情になった。
「ほぉ~、あれはグランツ鉱石だな。大きさも中々だ。珍しい」
グランツ鉱石とは、言わば宝石の原石みたいなものだ。特に何か効能があるわけではないが、その涼やかで煌びやかな輝きが貴族のご婦人ご令嬢方に大人気。
加工して指輪・イヤリング・ペンダントなどにして贈ると大変喜ばれるらしい。
求婚の際に選ばれる宝石としてもトップ三に入るとか。
「素敵……」
香織が、メルドの簡単な説明を聞いて頬を染めながら更にうっとりとする。
そして、誰にも気づかれない程度にチラリとハジメに視線を向けた。
だが、ハジメは日々錬成師たちに追いかけられたり見つめられたりしている。そのため視線にはかなり敏感になっている。結果、香織の視線に気づいていた。
もっとも、ハジメ以外にも雫、そしてもう一人だけ気がついていた人間もいたが……
ちなみに、ハジメはそんなに鈍感ではないので視線の意味も理解していることを一応記しておく。
「だったら俺らで回収しようぜ!」
そう言って唐突に動き出したのは檜山だった。グランツ鉱石に向けてヒョイヒョイと崩れた壁を登っていく。
それに慌てたのはメルド団長だ。
「こら! 勝手なことをするな! 安全確認もまだなんだぞ!」
しかし、檜山は聞こえないふりをして、とうとう鉱石の場所に辿り着いてしまった。
メルド団長は、止めようと檜山を追いかける。
その時、ハジメが叫んだ。
「あの宝石、トラップだ!皆逃げて!」
派生した『遠隔鑑定』。
ハジメの立っている位置からあの鉱石まではかなり距離があったが鑑定が使えた。
『グランツ鉱石(罠)
青白く発光する鉱石。
主に装飾用として使用される。
ただし、このグランツ鉱石は65階層までの転移魔法陣を発動させるトラップであるため装飾用には使用不可』
これが出てきた情報。
ハジメの発言を聞いて逃げ出したのは数人。
白崎香織、八重樫雫、メルド・ロギンス、遠藤浩介、そして付き添いの騎士数人だった。
香織はハジメを信用しているから。雫は香織が逃げ出したから。メルドはハジメに鑑定が派生したことを知らされたから。浩介はなんとなくで。付き添いの騎士はメルドに従ったから。
そして、トラップが発動する。まばゆい光が周りを覆い尽くした後、目を開くと残りのクラスメイトはいなかった。
「まずい!坊主、あいつらどこに転移したかわかるか!?」
「あ、えっと、確か65階層です!」
メルドの問いにハジメは答える。
「坊主たち3人は今すぐ地上に戻って事情を説明してきてくれ!お前ら!65階層に行くぞ!ついてこい!」
メルドは指示を飛ばす。自分たち大人は転移してしまった生徒たちを助けに。
残った生徒のハジメたちには何が起きたのかを地上にいる騎士たちに説明しに行かせる。
そうして3時間が経過した。
地上で待機しているハジメたち4人はメルドたちが出てくるのを待っている。
浩介がやっぱり気づかれてなかったのは御愛嬌。
そうして待機していると迷宮内に多数の人影が見えた。
一応遠隔鑑定で見てみると『聖剣』と出た。
「皆さん、勇者たちが帰還します!」
ハジメは声を上げる。興味を持って見に来ていた観客も歓声を上げる。
外に出てきた生徒たちは安堵の表情を浮かべている。
しかし、暗い表情も浮かべていた。
よく見ると、怪我をしている者が何人かいた。
例えば、龍太郎。
転移先のトラウムソルジャーたちの攻撃で顔を切られ、左目に怪我をしていた。
香織がいたなら治癒できた可能性は十分あったが、香織は避難できていた。
結果、傷は塞がったものの視力が片方無くなってしまったのだ。
「おい、ところでさっきは聞かせてくれなかったがなぜ俺の静止を聞かなかったのか、勝手に行動したのか説明してもらおうか?」
声のした方に顔を向けると、メルドが檜山を問い詰めていた。
しどろもどろになりながら汗をダクダクと流している。
「い、いや、そ、それは、その・・・な、南雲に命令されたからだ!あれ取ってこいって!」
その発言でほぼ全員の視線がハジメを指す。
こんなときにでさえ檜山は嘘をついて責任を逃れようとしている。
だが、それが嘘か本当かは誰も証明できない。
「南雲!お前なんでそんなこと命令したんだ!しかも自分だけ安全なところに逃げて・・・恥ずかしいとは思わないのか!?」
こんなふうにハジメを責める者もでてくる。ちなみにこの発言は光輝。
「ちょっと!ハジメくんは何も関係ないよ!檜山君が勝手に行っただけ!」
「香織こんなやつのことをかばったりしなくてもいいんだ。南雲は罰せられるべきなんだから」
香織がかばう発言をしても光輝は聞く耳を持たず、むしろ更にハジメを責め立てようとする。
そんなふうに口論が続いていると、メルドが叫んだ。
「お前ら!もういい!決闘しろ!勝ったやつが正しい!」
それは王国で伝統的に行われていた裁判の方法。
代表者どうしを戦わせ、勝ったものが主張していることが正しいというものだ。勝利条件は相手が降参するか気絶させること。しかし、相手を殺すことは禁止。殺した時点で相手が主張していたことが正しいことになり、更に殺人の罪も追加される。代表者は同数であれば何人でも良い。また、人数が異なっていても少ない方の代表がその人数で戦うことを了承した場合には人数差があっても決闘することは可能。
このことはこの世界の裁判について説明されたときに皆聞かされたためルールは知っている。
「代表者は南雲ハジメ!檜山大介!この2人は決定だ!後はお前らで勝手に選べ!」
そのことを聞いたとき、生徒たちに同様が走る。
皆錬成師が軽戦士に勝てるわけ無いと思っているからだ。
「決闘は明日正午!王宮で行う!」
そんなことはお構いなしにメルドは決定していく。
そんな事があってその日はお開きとなった。
多くの人間はそのまま王宮で身体を休めるが、そうでもない者もいた。
「南雲・・・お前、香織に何をした?」
光輝とハジメだ。
「何・・・?急に。何もしてないけど」
「でまかせを言うな!香織がお前みたいなオタクをかばうはずがないだろう!お前がなにかしたんだ!」
光輝は自分の都合のいいようにしか物事を解釈しない。その結果生まれているのがこんな発言だ。
「だから何もしてないよ・・・勝手に判断しないでくれる?」
「いつまでも自分の責任から逃れ続けるつもりか・・・?なら決闘だ!明日檜山の後に続けてするぞ!」
「いや勝手に決められてm「うるさい!もう決定だ!」話聞けよ」
そのまま光輝は去ってしまい、決闘するしかなくなった。
「それでは檜山大介と南雲ハジメの決闘を行う。両者、はじめ!」
翌日の正午、結局決闘は行われた。
観客はリリアーナやクラスメイト、後は少しの騎士や司教だった。
ほぼ全員が南雲が負けるだろうと考えている。
「南雲ぉおおお!死ねぇえええええ!」
「殺したら負け確定だよ・・・はぁ。めんどくさ」
思いっきり殺しにかかってる檜山とやる気なさそうなハジメ。
檜山が全速力で走ってきてるが南雲は地面に手をついただけだ。
「命乞いか!?もう遅えんだよぉおお!死ねぇえええ!」
観客は飛び散る血しぶきを想像しただろう。だが現実は違う。
「錬成」
一瞬で石の壁が出来上がる。厚さも結構あるし横幅もかなり大きい。
案の定、檜山は止まれずに壁に顔面ダイブした。
顔の痛みをどうにかしたいため両手で顔を押さえ続ける。
剣は地面に転がっていた。
壁を解除し、剣を拾い上げる。そして、銃を取り出した。
檜山の頭部に押し付ける。
「あれって銃か?」
「いやさすがにハッタリだろ」
「でも南雲くんって錬成師だったよね・・・?」
観客からはどよめきが上がる。
「オイ南雲ぉ・・・こんなときにハッタリか!?俺がこんなハッタリで降参すると思うんじゃねえぞ!すぐにぶっ飛ばしてやる!!」
本物だと証明するにはどうするか。
ハジメは檜山の剣を持ち上げ、刀身を撃つ。
ガキィンと鋭い音が響き、嫌でも本物だと理解させられる。
刀身が撃たれたところから弾け飛んでいたからだ。
ざわめいていた観客は静まり返り、檜山は顔を青ざめる。
「メルドさん、僕の勝ちでいいですよね?」
その言葉に大きくうなずき、発言する。
「この決闘、南雲ハジメの勝利だ!よって、ハジメの発言が正しいものとする!」
この言葉で観客は大きくざわめいた。
そんな観客にハジメは呼びかける。
「天之河光輝!」
その言葉に一瞬で光輝の方を向く。
「え、なんで光輝?」
「恨んでんのか?」
その言葉に光輝が出てくる。顔がなんだか青ざめているようだ。
「い、いや俺は決闘なんか・・・」
「どうしたの?決闘したいんでしょ?昨日の夜に言ったよね?僕の意見も一切聞こうとせずにさ」
その言葉で観客の流れも変わる。
「え、マジ?あいつ人の話聞こうとしないの?」
「あ、でも確かに。クラスでの意見ほとんどあいつ決めてたわ」
「自分の都合のいいようにしたいだけなんじゃねーの?しらんけど」
そんな言葉に光輝は顔色を変える。
「南雲・・・香織だけでは飽き足らずクラスメイトまでもか・・・?許さん!成敗してやる!」
チョロ。
どこぞの時代劇だとか思いつつも決闘のために立ち会う。
今回は公式で行うものではないためメルドも観客だ。
「ルールは普通と同じ。いい?」
「ああ!お前を倒して皆を洗脳から救ってやる!」
的外れな発言を繰り返す。そんなことを聞いたクラスメイトたちの反応はもちろん、
「え。あいつ何?頭いってんの?」
「光輝・・・流石に無理があると思うぜ・・・?」
「うわ・・光輝くんいいかなって思ってたけどこれは無理だわ・・・」
「というかハジメってだいぶ強いんじゃね?」
「確かに。銃も作ったしさ」
「錬成とはああやって戦闘に応用できるものなのか・・・訓練してみるか?」
「ってかハジメの父さんってゲーム会社の社長らしいぞ。どこかは知らんが」
「マジ?将来有望じゃん」
「さすがは女神ね・・・全部計算済みなのかしら?」
といったもの。全部光輝を非難しているものだった。それと引き換えハジメの株は上昇している。後何故か香織が地味に計算高い女だと思われている。
「じゃあ、この鉱石が地面に落ちたらスタートで」
そう言ってハジメは懐にあった鉱石を空高く放り投げる。
カチンと音が響き、檜山みたいに突進してきた。
ハジメは同じように錬成するが、ここで起きたことはさすがは勇者と言ったところか。
壁が聖剣の一振りで破壊された。
そのことに内心驚くも、表情には出さない。
他のやり方をすればいいだけだから。
「もらった!南雲!喰らえぇええええ!・・・ヘブッ」
地面に突如できた穴に足を引っ掛けて転んだのだ。
正直、すんごくダッセェ。
次の瞬間、爆笑の渦に巻き込まれる。
そこには『ダサい』の連呼。
顔を赤くしながらも立ち上がり剣を構えた光輝だったが、その後すぐに地面に埋まった。立ち上がった瞬間に錬成で地中に空洞を作り、落下させたのだ。
驚いた光輝は聖剣を手放してしまい、そのまま穴にすっぽりハマる。
腰の位置まで穴に埋まっている。脱出しようとするが、その都度ハジメが錬成し続けるため全然脱出できそうにない。
結局、この決闘もハジメの勝利だった。
その後起きたことと言えば、光輝がクラスメイトの信用の大半を失ったこと。
どこからか噂が漏れて、しかもちょっと事実と違うあだ名を付けられたこと。『穴掘り勇者』。
檜山が友達ゼロになったこと。
後はいつも通り王国の錬成師にハジメが追いかけられた。