もし、ハジメと光輝の天職が入れ替わっていたら。また、清水とも替わっていたら。
そんなIFのお話。ルートは2つ。
※ステータスプレートを受け取るところまで原作と同じためカット
ルート1 ハジメと光輝
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南雲ハジメ 17歳 男 レベル:1
天職:勇者
筋力:100
体力:100
耐性:100
敏捷:100
魔力:100
魔耐:100
技能:全属性適性・全属性耐性・物理耐性・複合魔法・剣術・剛力・縮地・先読・高速魔力回復・気配感知・魔力感知・限界突破・言語理解
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これがプレートに血をこすりつけたときに現れた情報だった。
ゲームみたいだなと思いつつ、自分の天職に目が行く。
ハジメ本人としてはまさか自分が勇者だとは思っていなかったため、自分の目かこのプレートがおかしくなったんじゃないかと思い、目をこすったりプレートを指で弾いたりしている。
ハジメとしては自分が魔法使いとかだと思っていたからだ。
だが、別に壊れているわけではなさそうだ。
「全員見れたか? 説明するぞ? まず、最初に〝レベル〟があるだろう? それは各ステータスの上昇と共に上がる。上限は100でそれがその人間の限界を示す。つまりレベルは、その人間が到達できる領域の現在値を示していると思ってくれ。レベル100ということは、人間としての潜在能力を全て発揮した極地ということだからな。そんな奴はそうそういない」
どうやらゲームのようにレベルが上がるからステータスが上がる訳ではないらしい。
「ステータスは日々の鍛錬で当然上昇するし、魔法や魔法具で上昇させることもできる。また、魔力の高い者は自然と他のステータスも高くなる。詳しいことはわかっていないが、魔力が身体のスペックを無意識に補助しているのではないかと考えられている。それと、後でお前等用に装備を選んでもらうから楽しみにしておけ。なにせ救国の勇者御一行だからな。国の宝物庫大開放だぞ!」
メルド団長の言葉から推測すると、魔物を倒しただけでステータスが一気に上昇するということはないらしい。地道に腕を磨かなければならないようだ。
「次に〝天職〟ってのがあるだろう? それは言うなれば〝才能〟だ。末尾にある〝技能〟と連動していて、その天職の領分においては無類の才能を発揮する。天職持ちは少ない。戦闘系天職と非戦系天職に分類されるんだが、戦闘系は千人に一人、ものによっちゃあ万人に一人の割合だ。非戦系も少ないと言えば少ないが……百人に一人はいるな。十人に一人という珍しくないものも結構ある。生産職は持っている奴が多いな」
ハジメは自分のステータスをもう一度見る。『勇者』とあり、やっぱり変化していない。
その後に聞いたことは、この世界のレベル1の平均はおよそ10らしいということ。
まあ自分たちは異世界人のためその数倍は上だろうと言われたが。
あと、ステータスプレートの報告をしに来てくれとも言われた。
訓練内容を調整するためらしい。
雫や檜山が報告に行っていて、ハジメもそこに続く。
「ほお〜。さすがは勇者様だな。レベル1ですでに全ステータス100か。これなら成長率にもよるが俺もすぐに追い抜かれそうだな」
聞いてみると、メルドはレベル62で最高のステータスが300を超えているくらいらしい。
ますます自分たちがチートなんだということを実感している。
だが、光輝がまだ報告していないことに疑問を覚えた。
こういうときは真っ先に報告しそうだが。
「おーい、そこのお前ー、早く報告に来てほしいんだが。もう皆したぞ?」
その言葉を聞いた光輝はメルドの方に向かって歩いてきた。
そして、なぜか渡す直前にハジメの方を睨みつけてきた。
今まで、規格外のステータスばかり確認してきたメルド団長の表情はホクホクしている。多くの強力無比な戦友の誕生に喜んでいるのだろう。
その団長の表情が「うん?」と笑顔のまま固まり、ついで「見間違いか?」というようにプレートをコツコツ叩いたり、光にかざしたりする。そして、ジッと凝視した後、もの凄く微妙そうな表情でプレートを光輝に返した。
「ああ、その、なんだ。錬成師というのは、まぁ、言ってみれば鍛治職のことだ。鍛冶するときに便利だとか……」
歯切れ悪く光輝の天職を説明するメルド団長。
それを聞いて光輝はハジメをさらに睨みつける。
「あの、錬成師がなにか特別だということは・・・」
「すまないが、ないな。王国が抱えている鍛冶師は全員持っている職業だ」
近くにいた龍太郎が光輝のステータスを覗き、励まそうとする。
「え、えっと、そ、そんなに落ち込むなよ? な、何かは強いだろうし・・・」
「そ、そうだよ光輝君。一切戦えないってわけでもないだろうし・・・」
恵里も励ましに便乗する。
「天之河君、気にすることはありませんよ! 先生だって非戦系? とかいう天職ですし、ステータスだってほとんど平均です。君は一人じゃありませんからね!」
そう言って「ほらっ」と愛子先生は光輝に自分のステータスを見せた。
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畑山愛子 25歳 女 レベル:1
天職:作農師
筋力:5
体力:10
耐性:10
敏捷:5
魔力:100
魔耐:10
技能:土壌管理・土壌回復・範囲耕作・成長促進・品種改良・植物系鑑定・肥料生成・混在育成・自動収穫・発酵操作・範囲温度調整・農場結界・豊穣天雨・言語理解
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だが、筋力や敏捷は平均よりも低い5だが、魔力が勇者であるハジメと同じ。
結論、先生も十二分にチートだった。
更に光輝の闇が深くなった気がする。
「愛ちゃん・・・トドメ刺しちゃだめ・・・」
それは誰が言ったのかわからないが、その場にいた全員の気持ちを代弁していた。
その夜、ハジメはイシュタルを呼んで話していた。
「これはこれは勇者殿。私に何か用ですかな?」
「はい。戦争参加を志願制にしてほしいのです」
それは、最初から思っていたハジメの望みだった。
自分は勇者になってしまい、戦争から逃れることはできないためそこは割り切っている。
「・・・その理由は?」
「この世界の戦争は、殺し合い、ですよね」
「ええ。それがもう何年も続いていますが」
「私達召喚者の中には人を殺す覚悟ができていない人もいます。そんな人に無理やり人殺しをさせても結果的にトラウマになって戦えなくなる、または自暴自棄になってしまう可能性があります」
「ですが、あの錬成師がもう参加を表明しましたが・・・」
「あれは皆の意見を尊重していません。あいつが独断で決めたようなものです。全員に意見を聞いて判断することが私達の世界では良いことだと教えられてきました」
「ああ、そう言えばそうでしたね。・・・あなたは参加するのですか?」
「僕は勇者に選ばれていて、正義の象徴に近いものなのでしょう。そんな自分が参加しないのは国民に不信感や不安感を与えてしまうかと思います」
「それを聞いて安心いたしました。・・・わかりました。一度教会で話し合ってみます」
「ありがとうございます。良い報告を待っていますので。・・・ああ、すいません。もう一つだけ頼みたいことがあるのですが・・・」
それから数日後。ハジメたちは訓練を受けている途中、全員がメルドに呼ばれた。
「質問だ。お前らの中で本当は戦争に参加したくないやつはいるか?」
その言葉を聞いたとき、ハジメ以外のクラスメイトはハテナマークが浮かんだ。
急に何を言ってる?
「ああ、すまんな。説明を忘れていた。教会が戦争参加を志願制にすると連絡が来たんだ。聞くとそこの勇者がイシュタル様に戦争を志願制にしてくれと申し出たんだと」
それを聞いた全員の視線がハジメを刺す。
「南雲!どういうことだ!?お前戦争から逃げるつもりか!?」
早速突っかかってきたのは光輝だった。
「僕は逃げない。というか逃げられないよ。むしろ皆に逃げてほしい方だ」
その発言で再度皆の頭にハテナマークが浮かぶ。
「メルドさん、この世界の戦争は『殺し合い』ですよね?」
「ああ。そうだが?」
「だってさ。天之河君、君は皆を先導して戦争参加の表明をした。そうだよね?」
「ああ!それがどうした!?力があるなら困ってる人を助けるのはあたり前のことだろう!?」
「いや、それもおかしいんだけど・・・まあいいか。なら、質問を変えるね」
「君たちって『人を殺す覚悟』ってあるの?」
その言葉はよく響いた。
「は・・・?何を言ってるんだ?人じゃないだろう?」
光輝はまだ現状をよく理解していないらしい。いや、理解しようとしなかったのか。
座学を学ぶ時間もあったのだが、光輝は部屋にこもってばかりいた。
ハジメが勇者になって自分は錬成師という現実を受け入れられていないからだろう。
「何を言ってるんだはこっちのセリフだよ・・・まあいいや。なら戦争が起きる条件って何があると思う?」
「それは・・・いざこざがあったりするからだろう?意見の相違とか」
「うん。それもある。後は跡継ぎの争いだったりね。でももっと重要、前提となる条件があるよ。」
「・・・?」
「だめか。八重樫さん、何かある?」
「私?・・・ごめんなさい。わからないわね」
「そう。なら言うか。僕が思うには、『知能があること』だと思ってる。ある一定以上のね」
「・・・一体何が言いたいんだ!結局お前が逃げたいだけなんじゃないのか!?」
「僕は逃げないってさっき言ったはずだけど」
その時、突然クラスメイトの女子がメルドに話しかけた。
「ごめんなさい、私、戦争に参加するのをやめてもいいですか?」
「急だな。まあいいぞ。・・・なにか思うところがあったか?」
「・・・はい。人を殺す覚悟ができてませんでした」
それを聞いたハジメは自分が思っていることを彼女は理解したと気付いた。
「・・・人じゃないんだぞ?何を言ってるんだ・・・?」
まだこの愚者は理解できていないらしい。
「知能がある。種族として存在している。魔人族の『国』で暮らしている。僕たち『人』と何が違うんだい?」
その言葉でようやく理解したのだろう。だが、愚者はどこまでいっても愚者だ。
「い、いや、それでも、話し合えばわかるはずで・・・」
「話し合いで解決できてないから何百年も続いてるんだよ」
その言葉を聞き、光輝はその場から逃げ出した。
「う、うわぁあああっ!?認めない認めないっ!俺は間違ってないはずなんだぁっ!」
「お、おい光輝!?」
龍太郎の静止も聞かず、叫びながら走って逃げていった。
「・・・もう一度聞くよ。『人を殺す覚悟』がある人は?」
その言葉に返されたのは、たった数人の挙手だけだった。
ちょっとこの後の展開が考えられなかったので一旦ここで終わります。
力尽きたとでも思ってください。