獣の女主人   作:スルメ文庫

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どうもスルメ文庫です。
今回は前回の続きとなっております。
それではアインクラッド編2話、スタートです!


2話

 あれから安全圏にたどり着いた私は何度もGMコールしたのですが結局GMが応答することはありませんでした。それどころか・・・兎に角、ブヒブヒ言っているボア太と一緒に頭を悩ませていると・・・

 

キリト「レイア。」

レイア「うひゃあっ!?って、キリトとクラインさんですか驚かさない下さいよ・・・」

キリト「驚かすつもりはなかったんだが・・・なかなか来ないから当たりつけて探しに来ただけだしな。」

レイア「す、すいません。わざわざ探しに来て貰ったのに・・・」

キリト「いいさ。・・・それで、GMの方はどうなった?」

レイア「まっっったくダメですね、全然応答しません。本当にどうなってるんですか・・・」

クライン「まぁ、初日だしな!それくらいのバグや対応ミスがあってもおかしくはないだろ。」

 

 では、相棒のキリトとお気楽なクラインさんにとんでもない現実を突き付けようと思います。

 

レイア「それだけならまだいいんですがね、ログアウトボタンがなくなってるんですよ。」

『・・・は?』

 

 予想通り2人とも信じられないような表情をしましたね。そう、GMコールをする際に気付いたのですが、ログアウトボタンがなくなっていた(・・・・・・・・・・・・・・・・)のです。

 

キリト「おいおい、冗談だろレイア。流石に笑えないぞ。ソレは。」

クライン「本当に無ェじゃねぇか!」

キリト「クラインまで?ったく・・・」

 

 そう言って懐疑的ながらもログアウトボタンを探したキリトでしたが・・・

 

レイア「ないですよね?」

キリト「・・・ないな。」

クライン「うわマジかよ!って時間は・・・あーっ!6時すぎてんじゃねぇか!俺様の照りマヨピザとジンジャエールがー!」

 

 クラインさんは斜め上に嘆いていますが、これからどうするか考えなければなりません。

 

レイア「どうしたものですかねキリト。脱出方法って、もう知り合いにナーヴギア取ってもらうしかないですよ。」

キリト「いやどうするって言ってもお前が言った通りのことが起きるまで待つしかないだろ・・・」

クライン「おいおい、そうだとしてもよ。俺みたいな一人暮らしはどうすりゃいいんだ?」

レイア「一番の問題はそこですよね・・・私、同室もいない寮生活なので世話人さんが気付いてくれるしかないですよ。キリトの方はどうですか?」

キリト「俺は母さんと妹と爺さんの4人暮らしだな。だから夕飯の時間になったら起こしてくれると思うぞってうおっ!?」

クライン「き、キリトの妹さんっていくつ!?」

キリト「あ、アイツ、運動系だし、ゲーム大嫌いだし、俺らみたいなゲーマーとは接点ないって!」

クライン「そ、そんなこと言わずにさァ!グボッ!?アイタタ・・・って、そういや痛覚無いんだったな。」

レイア「なにしてるんですか・・・」

 

 クラインさんとキリトのどつき漫才は置いといて、本当にどうしてこうなったんですかね・・・

 

レイア「にしてもGMコールも応答が無ければ、ログアウトも出来ないって・・・コレ、いよいよアーガスの信用問題に繋がってきましたよホント・・・」

クライン「確かにそうだよな。・・・SAOの開発運営元のアーガスと言やぁ、ユーザー重視な経営方針と姿勢で売ってきたゲーム会社だろ?その信用があっからこそ、初めてリリースするネットゲームでもあんな争奪戦になったんだ。なのに、初日にそんなバカでかいポカやっちゃ意味ねぇぜ。」

キリト「まったくだ。それに、SAOはVRMMOの先駆けでもあるしな。ここで問題起こしたら、ジャンルそのものが規制されかねない。」

レイア「いずれにせよ、SAOとアーガスの未来は暗いですね・・・」

 

 私たち3人は顔を見合せて、大きくため息をしました。

 ボア太は何も知らぬ顔で呑気に枯れかけの草を食べていました。

 すると、突然大きな銅鑼を叩いたかのような鐘の音が響きました。

 SAOの四季は現実に準拠しています。つまり、11月の初冬らしい黄金の草原という美しい風景が私たちから言葉を奪いました。その瞬間、私たちを包んだ光が・・・

 

 私たちから自由を奪った。

 

 

 そして光が収まったかと思いきや、そこにあったのは始まりの街の中央広場でした。先程まで安全圏とはいえフィールドに居た()は大混乱してしまいました。思わず、素で近く居た異性であるキリトに縋るほどには・・・

 

レイア「きっキリト、どうしましょう!?僕たちの身に、一体何が起こるんですか!?」

キリト「うおっ!?れ、レイア!落ち着けって・・・てかその一人称・・・」

レイア「あっ・・・す、すいません。混乱しすぎてあっちでの素が出ちゃったみたいです・・・それと、一人称は家の都合(・・・・)です・・・」

キリト「・・・そうか、ごめん。」

レイア「い、いえ、お構いなく?」

 

 正直、凄く気まずいです・・・あんまり触れてほしくないのは確かですが・・・だからってこんなに空気が地獄のお通夜になりますか、普通・・・

 

クライン「おーい、2人とも大丈夫か?って、どうしたんだよ2人して。」

レイア「あっ、クラインさん・・・」

キリト「いや、なんでもない。」

レイア「そうそう、なんでもないですよ!あはは・・・」

 

 クラインさんは訝しがってましたが、なにか察したのか追及は避けてくれました。

 

クライン「・・・ならいいけどよ。ってか、この強制転移、なにがどうなってやがんだ?」

レイア「さぁ・・・ベータテストの時はごくたまに告知や注意喚起をするためになるのはよくありましたが・・・」

キリト「その可能性も無くはないが、この異常事態で何かあるのか?」

レイア「あっ、もしかしたらなんですけどこの異常を起こしたことを謝罪して、一斉に強制ログアウトを行うためじゃないですかね?ほらあるじゃないですか、ソシャゲとかで不具合のお詫びのゲームアイテムが手に入ったりとかして!」

キリト「・・・だといいんだがな。」

 

 分かってますよ、こんな胡散臭い状況じゃそんなことが行われるのは塵程も無いことくらい。気を紛らわす為に言いましたし。だからキリト、そのどうしようもない奴に向けるような冷めた目と視線を向けるのをやめてください。

 ・・・ゴホン、まぁ兎も角待つしかないので待っていると、人の感情が不安から苛立ちに変わってきましたね。まぁ、かくいう私もその1人ですが。

 すると1人のプレイヤーが上空を指さし、こう叫びました。

 

「あっ!上を見てみろよ!」

 

 私たちもその声に従い、反射的に視線を上に向けました。そこにあったのは一面真っ赤な市松模様で出来た、言うなれば真紅の天井でした。そして1つの市松模様に集中しよく目を凝らすとWARNINGというどう考えても安心できない文体が拡がっていました。というかなんですかWARNING(警告)って。通達なら普通にannounce(通達)でいいしょうが。まぁ尤も、状況的にただの通達じゃなさそうですが・・・それを理解した私とキリト、そしてここに来て運営に猜疑心をもったクラインさんは不意に声が漏れ出てしまいました。

 

キリト「なっ・・・!」

レイア「何故・・・!?」

クライン「おいおい、なんだよコレ・・・!?」

 

 他にもざわめく声はありましたが、殆どが『やっとかよ』などのログアウト前提のお気楽な声ばかりでした。

 が、その声もすぐに止んでしまいました。なぜなら、市松模様のパネルの間から血のようなドロリとした液体が垂れて中身の無い赤いフード付きローブが出てきたからです。

 場が静まりかえる中、手が動いたと思うと、とある不快な声私の耳に届きました。僕が大嫌いな男(・・・・・・・)の相も変わらず傲慢な声が・・・

 

???『プレイヤーの諸君、僕の世界へようこそ。』

 

 ここに来てようやく他のプレイヤーも視認できるだけでも何人かは状況の異常さに気がついたようです。

 

茅場(?)「僕かい?僕は茅場晶彦。今やこの世界をコントロールできる唯一の人間さ。」

キリト「なっ!?」

 

 やはり、貴方ですか。開発に携わっていた1スタッフでしかないのにも関わらず、自身を茅場晶彦だと騙り、自分の世界だと恥知らずに喧伝する浅ましく傲慢な男は貴方以外にいないですもんね。

 キリトはどうやら彼が茅場晶彦ではないと見切りをつけたようですね。流石に正体まで導き出すことは無いでしょうが・・・

 

茅場(?)『キミ達は既にメインメニューからログアウトボタンが消えていることに気がついていることだろうね。しかし、これは決して不具合なんかじゃない。繰り返す、これは不具合なんかじゃなくてSAO本来の仕様なのさ。君たちは今後、この城の頂きを極めるまでゲームから自発的にログアウトすることはできない。また、外部の人間の手によるナーヴギアの停止や或いは解除もありえないよ。万一にでもそれが行われた場合、ナーヴギアの高出力マイクロウェーブが君たちの脳を破壊し、生命活動を停止させるからね。』

 

 貴方の本性が路端の吐瀉物にさえ劣ることは知っていましたが、まさか己の自尊心のために他者を殺めるとまでは思いませんでした・・・

 正直、諦念超えてドン引きです。

 周りのプレイヤーたちも流石に殺人予告となっては気が気じゃないらしいですね。

 

キリト「何を言うか貴様は!死ぬ可能性がある中で呑気にゲームを攻略しろ(遊べ)だと!?ゲームオーバーで現実でも死ぬデスゲームなど、前提から破綻してるだろうがッ!!」

 

 全く、本当にキリトの言う通りですね。・・・口調が変化しているのは気になりますが・・・

 ゲームというあくまでも娯楽の範疇に過ぎないもので命を張るなんて前提から破綻してますよ、本当に。

 なのに、それに気が付かないのか彼は戯れ言を宣い続けます。

 

茅場(?)「しかし十分に留意してくれたまえ。君たちにとって【ソードアート・オンライン】とは、ただのゲームではなくなっている。もうひとつの現実というべき存在だ。故に今後ゲームにおいてあらゆる蘇生手段は機能しない。ヒットポイントがゼロになった瞬間に君たちのアバターは永久に消滅し、同時に・・・」

茅場(?)「君たちはナーヴギアによって破壊され、現実世界からも永久退場することになるよ。」

茅場(?)「君たちがこのゲームから解放される条件はただ一つだけだ。先程も言った通り、この城アインクラッドの頂きたる最上部、第100層にたどり着き、そこで待つ最終ボスを倒してゲームをクリアすればいい。そうすればその瞬間生き残っていた全てのプレイヤーが安全にログアウトできることを補助しよう。」

クライン「クリア・・・100層だとぉ!?で、できるわきゃねぇだろうが!ベータテストじゃ碌に上がれなかったって聞いたぞ!」

 

 確かに、ベータテストの時も碌に上がれませんでしたが、それは死亡しても蘇生できるという前提ありきの話です。

 今回はゲーム内で死亡したら現実世界でも死亡するというとんだルールの追加によって更に進行が遅くなり得ることが容易に想像できます。

 正直、脳内だからこそこんなに強気に言えていますが、実際には身体はガクガク震えているのでとてもこんなこと言える状況じゃないんですよね。

 

茅場(?)『それじゃあ最後に、このアインクラッドこそが君たちにとって唯一無二の現実であることを証明しよう。君たちのアイテムストレージに、僕からのプレゼントを用意させてもらった。確認してくれたまえ。』

 

 すると、自然すぎるくらいにメニューを開き、購入した覚えのないとあるアイテムを視認しました。

 そのアイテムの名は───【手鏡】

 使い道がまるで分からないアイテムに、私もキリトもクラインさんも顔を見合せて困惑しました。

 すると突然、クラインさんのアバターが光に包まれました。その光は次々と周囲のプレイヤーを囲んでいき・・・私とキリトもついにその光に包まれました。

 光が収まるとそこは、美男美女の群れからコスプレ会場に成り果てていました。

 

 そして、先程まで共に行動していた筈のキリトとクラインさんを見てみると・・・

 キリトの方は先程までの勇者然とした勇壮な雰囲気はなくなり、柔和で優しそうな黒い目と線の細い顔つきに綺麗な黒髪をもったイケメンな同世代の少年がそこにいました。

 一方クラインさんの方を見てみると、赤かった髪はボサボサとした茶髪に変わり、髭は顎髭だけだったのが、全体的に無精髭もあわさったような、言っていいかは分かりませんが山賊のような男性が突っ立っていました。

 なので思わずこういってしまいました。

 

キリト「お前ら、誰だ?」

クライン「オメェらこそ誰だよ?」

レイア「貴方たちは誰ですか?」

 

 まぁ、当たり前ですが何も変わらなかったボア太が唯一の精神安定剤でしょうか?

 まさかと思い自分の方も見てみると、昔から浮いていると言われた藍色の短く切り揃えられていてどれだけ整髪剤を使っても直らなかった大きめのアホ毛がある髪に髪と同じ色のタレ目気味な目。小柄で華奢ながら不相応に大きな胸をもつ身体。

 コンプレックスだらけの現実の自分がそこに居ました。

 いや嘘でしょ、やめてくださいよ・・・!なんでゲームの中でわざわざこんな現実世界の姿にならなきゃならないんですか!!

 

レイア「う、うぅ・・・!」

キリト「れ、レイア!?大丈夫か!? 」

レイア「ぁ・・・!」

 

 なんで、キリトはこんな()にまで優しくして、手を差し伸べてくれるんですか・・・?こんなどうしようもない人間に・・・

 けど、時間は無情です。現実は非情です。アイツの声が、再び紡がれました。

 

茅場(?)「これで、ソードアート・オンラインの正式チュートリアルを終了する。君たちの健闘をお祈りするよ。」

レイア「あぁ・・・」

 

 何故か、視界が朦朧としてきました・・・体の感覚がない・・・音がやけに遠く感じる・・・意識が、沈んでいく・・・

 

キリト「レイア!しっかりしろ!」

 

 はっとキリトの方をむくと、心配そうに僕を見つめるキリトとクラインとボア太の姿が見えました。

クライン「おい大丈夫かレイアちゃんよォ!?」

ボア太「ブヒブヒ!」

レイア「すみませんキリト、クラインさん。ちょっと取り乱しちゃったみたいです。ごめんね、ボア太。心配させちゃって。」

ボア太「ブヒ〜。」

クライン「ならいいけどよ。それより、これからどうすんだ!?」

キリト「・・・俺は、次の街に向かおうと思う。ここら一帯のモブはすぐに狩り尽くされるだろうからな。」

クライン「そうか・・・俺は一旦ここに残る。一緒に並んでこのゲームを買ったダチがいるんだ。・・・見捨てられねェよ。」

キリト「クライン・・・」

クライン「気にすんなよキリト。これでも俺は前のゲームじゃギルマスをやってたんだ。ダチ集めたらすぐにでも追いついてやらァ!」

 

 この2人は、本当に強いですね。それに引き換え僕は・・・

 

キリト「そっか・・・でもレクチャーしきれてない所があるからそこは後でメッセージで送るよ。」

クライン「おうよ!で、レイアちゃんはどうすんだ?」

レイア「僕ですか?僕はキリトについていこうと思います。キリトとなら、こんな僕でも強くなれると思えたんです。」

キリト「・・・!そうか。じゃあ、一緒に行くか。」

レイア「はい!ボア太、行くよ!」

ボア太「ブヒッ!」

 

 そうして走り去ろうとした瞬間、クラインさんに呼び止められました。

 

クライン「キリト!お前案外いいツラしてんな!レイアちゃんもボーイッシュで結構可愛いし、ボクっ娘なのは驚いたぜ!俺どっちも好みだぜ!」

 

 ボーイッシュで可愛いボクっ娘ですか・・・あんまり自覚したことは無いですね・・・でも悪い気はしませんね。

 

キリト「お前もその野武士面の方が100倍似合ってるよ!」

レイア「それじゃあ、クラインさん!またどこかで!」

 

 そして僕たちは走り出した。いつ死ぬかも分かりません。でもなんとなくだけど、そんなに思うほど未来は暗くならない気がしました。




《今作キリトの設定その1》
名前:キリト/■■■■■
性別:男性
年齢:14歳
身長:158cm(現時点)
誕生日:10月7日
原作主人公。原作との大きな違いは祖父が生存している点とコミュニケーション能力が少しマシになっている点、そして■■を■■■いる点。
趣味はゲームと■■と■■■■■を■■■■■こと。
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