俺はそんなに早くていいものを書けない(断言)
4月になった。
始まりを感じさせる季節。皆が新しい生活を送り始める、希望に溢れる季節。
今日は秀知院の入学式。
皆、制服を着込み、入学の挨拶に耳を傾けている。
殆どの者が耳から耳へと聞き流しているだろうが。
かくいう俺も、その1人なのだが。
…あの戦いの後、他人を介した変身解除ができるようになったが、身体への負担の大きさから、変身は承認制となってしまった。
少なくとも、隊長か、それより偉い人…四宮家やそれに連なるの上位の方々からの。
だが、お偉方は出し惜しみはしない方向なのか、承認を得ようとした時には承認が完了されている。
それ程、今の生活が脅かされることに恐怖を抱いているのだろう。
あの戦いの後、一度に出てくるマギアが二体、三体に増えている。
今のA.I.M.S.の装備では、マギアを破壊ないし無力化することができない。
飛電にこれ以上好き勝手させないためにも、「変身しない」という選択肢はとれない。
このことからも、変身の承認が半ば形骸化しているのだろう。
変身の度に、放電による変身解除を手伝って貰っているのが申し訳ないが。
強制的な変身解除をした後は反動が襲ってくるが、俺一人が負えばいいだけのことだ。
俺一人の犠牲で多くが助かるのなら、それでいいに越したことはない。
考え事をしていると、いつのまにか入学式の話は終わっていた。
新入生が退場し始め、俺もそれに続く。
夢にまで見た、憧れの秀知院。
けれど、俺の心は空虚なままだった。
いつのまにか教室についていた。
何も考えていなくても、体はちゃんと動くらしい。
担任の教師が現れ、自己紹介の時間になる。
早坂曰く、生徒の数が多すぎて、同学年の内部進学組なのにも関わらず、顔すらわからないやつが多数いるらしい。
「早坂愛でーす!これからよろしくー!!」
金髪碧眼の美少女…早坂愛が自己紹介をする。
この頃からギャルを演じていたというのか…と思い驚愕する。
早坂なら、軽いフットワークで、クラスの仲間達ともすぐに打ち解けるのだろう。
「次に、鋼塚!」
もう俺まで回ってきていた。
仕方ないと腹を括り、教壇の近くに立ち、言葉を紡ぐ。
「鋼塚鋼太、…これからよろしく」
拍手があがり、自分の席まで戻る。
自然な感じで自己紹介できた…と思う。
少なくとも、誰かに不自然に思われることはなかったはずだ。
結局、この日は入学式とガイダンスだけで終わった。
関係が怪しまれないよう、早坂や四宮とは下校時間が被らないように帰る。
4月から、俺も早坂と同じく、四宮家の別邸に仕えることになったのだ。
もちろん、その時に四宮かぐやとも顔を合わせた。
四宮かぐやは俺が四宮の傘下(という名の駒)になったことを知っていたようだった。
…こちらの事情は全く知らないようだが。
あちらから見れば俺は、代々鋼塚と親交のある飛電を裏切り、四宮の側についた裏切り者に見えているのだろう。
会話の最中、裏切り者など最初から信用できない、と言いたげな視線を感じていたからだ。
こちらのことを詮索しないあたり、そもそもこちらに興味がないのだろうが。
「〜♪♪」
帰路を歩いてると、スマートフォンの着信音が鳴った。
着信名を見て、顔が強張りそうになるが、なんとかこらえて電話に出る。
「…もしもし」
「〇〇区に不明な機体が出た。お前を回収してから現場に向かう、そこで待っていろ。」
不明な機体、という言葉に違和感を覚え質問する。
「マギアではないんですか?」
「わからん。何らかの手段でハッキングされて暴走状態にあるのはわかるが、それ以外はわからんらしい」
「とにかく、現場に着いてから判断する。お前はそこで待機だ。」
最低限のことだけ伝えられ、電話を切られる。
相手が何かわからなくても、いつも通りにすればいい。
壊す。
俺には、それしかないから。
…それしか、できないから。
現場に到着すると、既に破壊された建物の姿があった。
破壊されているといっても、まだ数軒の家と商業施設だけだ。
これならまだ復興は容易─
そんな思惑を壊すように、ソレは空から飛来した。
轟音を響かせながら、こちらに近づいてくるモノ。
黒い点が、徐々に大きくなって、はっきり見えるようになる。
ソレは凄まじい風を吹き荒らしながら、地上に降り立った。
空から降り立った、こちらを見下ろす黒い絶望。
…ギーガーの姿が、そこにあった。
「…ウソだろ?」
隊員がそう呟く。
全員が嘘であれば、夢であればどれほどよかったかと思いながら、目の前のソレを見上げる。
A.I.M.S.の基地に安置され、先日には性能テストすら行った。
実戦配備までもうすぐと言われ、皆がその完成を心待ちにしていた。
そのはずだったのに…。
A.I.M.S.の作戦を支援するはずの頼もしい味方であったはずの黒い機体は、こちらを見下ろし、敵意を露わにしている。
調整途中だったのか、ところどころ塗装が禿げており、配線も剥き出しになっている。
『A.I.M.S.実行部隊のハイジョを、開始します。」
冷たく、そう宣言してこちら拳を振り下ろそうとする。
あの巨大に押し潰されては敵わない。
「全員、退避!!」
隊長がそう叫び、全員が死ぬ気であの機体から遠ざかる。
先程までいた地面が陥没していた。
そんなものを生身で受ければ、どうなるのかは想像がつく。
隊員達が路地に、店の中に身を隠し、隙を伺う。
俺は、同じ路地に駆け込んだ隊長に声をかける。
「隊長、変身の許可を」
先日のテストでアレの頑強性と破壊力ははイヤというほど知っている。
だからこそ、アレを倒すにはメタルクラスタの火力が必要ということも、理解している。
…完成が遠のいてしまうのが惜しいが、多少の犠牲でアレを倒せるというのだから、惜しみなく変身すべきだ。
「…ダメだ。それはできない」
だが、隊長はそれをよしとしなかった。
「街の被害より、俺一人の」
「それじゃダメなんだ!!」
進言を跳ね除けられ、怒声を浴びせられる。
だがその叫びは、あまりにも優しかった。
「確かに、お前一人を犠牲にすれば被害は最小限で済む!だがな、俺は、俺達は!お前を切り捨て続けることを望んじゃいない!」
「何でもかんでも自己犠牲で解決しようとするな!もっと頼れ、俺達を!お前を徒に使い潰すために、この部隊を結成したんじゃないんだぞ!!」
はっとした。
今まで自分が、自分がで、自分がどうにかすればいいと思って、自分だけが戦っていると思い込んで、誰かに頼るということをしていなかった。
力を得てから、力に出会ってから、仲間に頼るということを忘れてしまっていた。
碌に制御もできない力だというのに、それに縋ることしかせず、仲間達を蔑ろにしていた。
今までの戦いが脳を駆け巡り、自分が力に魅了されていたことに気づく。
そんなんじゃダメだ、飛電のやつらとなんら変わらない。
そう思い直し、思考を切り替える。
これは、壊すための戦いじゃない。
生きるための戦いだ。
「…一つだけ、策はあります。」
「言ってみろ、例えどんな無茶だったとしても、俺達はやり遂げてみせる」
無線で各員に呼びかけ、アタッシュカリバーを構えながら作戦の合図を待つ。
「作戦、開始!!」
隊長の声が聞こえ、皆が作戦を実行する。
その声で、隠れていた隊員達が一斉に飛び出し、ギーガーを囲むようにして発砲する。
『evry bady jump!』
キーを起動し、アタッシュカリバーに差し込む。
『"Progrise key confirmed. Ready to utilize."』
銃撃に気を取られているギーガーの背後から、腹部にアタッシュカリバーを差し込むようにして必殺技をうつ。
『メタルライジングカバンストラッシュ!』
作戦の第一段階、隊長含む数人でギーガーを囲んで撃ち、俺がアタッシュカリバーをギーガーに突き刺す。
うまくいったが、ここからが本番だ…!
ギーガーは一瞬よろめくが、すぐに体勢を立て直し、こちらに拳を振るう。
それを飛び退くように避け、煙幕を張り、時間を稼ぐ。
サーモグラフィーの機能があるギーガー相手には焼け石に水だが、やらないよりはマシだ。
作戦の第二段階に入る。
隊員達が車で突進し、ギーガーの動きを止める。
だが、ギーガーが脱出しようと身を捩るたび、車が音を立てて限界が近いことを知らせている。
「受け取れ!」
隊員の一人から展開状態のアタッシュアローを受け取り、ブレイキングマンモスキーを差し込む。
『プレス!』
『"Progrise key confirmed. Ready to utilize."』
いってくれ…!
祈るように矢を番え、手を離す。
『ブレイキングカバンシュート!』
矢が直進する。
先程刺したアタッシュカリバーに向かって。
矢はアタッシュカリバーのトリガーにあたり、アタッシュカリバーとアタッシュアローの必殺が撃ち込まれる。
『メタルライジングカバンストラッシュ!』
銀の刺突と、極大の矢によって、黒い絶望は貫かれた。
結局、ギーガーは木っ端微塵となってしまい、数個の残骸しか持ち帰れなくなってしまった。
「…すみません」
「いんだよ、手加減して倒せる相手じゃなかったろ」
「それもありますが、さっきの…」
戦闘中のことを謝罪しようとする。
「わかればいいんだよ。自分一人でできることは、結局のところ、そんなにないんだって」
隊長は笑ってそう言い返す。
その言葉は、とても暖かかった。
「ほら、引き上げるぞ」
「「「了解」」」
隊長がそう言うと隊員が車に乗り込み始める。
最近、気絶するように車に乗り込んでいたのを思い出す。
疲労はしているが、変身したとき程ではない。
隊長のおかげだな、と思い直す。
帰ったら今度、感謝の品をもっていこう。
そうして全員の乗車が完了し、最後に隊長が乗り込む─
ことはなかった。
乗り込もうと隊長が車に足をかけた瞬間、隊長の腹部を凶弾が貫いたからだ。
「…隊長!?」
一瞬の間の後、急いで行動を開始する。
車のドアに近かった隊員が隊長を持ち上げて車に乗せた後、運転席にいた隊員がすぐに車を発進させる。
「隊長!隊長!」
全員で呼びかけながら、止血を行う。
だが弾は腹部を貫いており、出血が止まらない。
法定速度を無視した速度で車を走らせ、病院に急いだ…。
病院に着いた後、すぐに手術が行われたため、隊長は一命を取り留めた。
しかし、意識は未だに戻っておらず、未だ危険な状態だという。
「…俺の、せいだ」
また、守れなかった。
「馬鹿、誰があんなん予測できんだよ」
近くにいた隊員がそう返してきた。
控えていたメンバーがすぐに狙撃ポイントを割り当て、周辺の監視カメラを確認したが、既に細工されており、映像には何も写っていなかった。
俺を狙うわけでもなく、わざわざ隊長を潰してきた。
…悪意しか感じさせない犯行だ。
全員が顔に悔しさを滲ませている。
隊長の離脱で、確実に味方全体の士気はさがった。
A.I.M.S.が邪魔な企業どもが、このチャンスを見逃すとは思えない。
「隊長不在の中での活動」という点をしつこいくらいにつついてくるだろう。
まんまと敵方に出し抜かれた。
…今回の戦いは、完全にこっちの負けだ…。
一桁話くらいでとっとと復讐終わらせて、二桁話からクソボケ劇場を繰り広げようと思ってたのに…。
復讐期間長くなっちまうよ…。
オリジナルフォームをだしても良いかどうか
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出してよし
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出さないで欲しい
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作者に任せる