魔法科高校のドッペルゲンガー   作:西の家

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陰の実のシド君とオーバーロードのパンドラズ・アクターを見て衝動的に執筆しました。


プロローグ

変装

 

幼い頃、周りの友達が特撮ヒーロー物に夢中になる中でボクは変装というものに心を奪われた。

ルパン◯世、怪人◯十面相、怪盗◯ッド、◯ルモット、◯ェームズ・ボンドなど変装の達人と呼ばれる人間達に憧れた。

 

憧れだけで終わらせたくないボクは、変装を学んだ。

外側だけ真似るのでなく、化粧、声帯模写、発声練習、立ち振舞、語学、格闘技・・・ect

変装に必要とされる技術は惜しみなく体得した。決して容易でなかったが、目指す変装の達人へのツールだと思えば苦にはならなかった。

 

しかし、どうしても手に入らなかった物があった。

変装マスクだった。

ベリベリと剥がして脱ぐ。俗に言う皮モノが自分の理想だった。

現実的に製造はできないと知り、それでも自作できないかと試行錯誤してみたが、作ること叶わず。

 

それでも諦めきれず、考え抜いた末に行き着いた結論は魔力の探究だった。

科学的に作れないなら魔力、魔法で作るしかない。

魔力体得の為、山に籠り岩に頭を打ちつけ魔力を感じ取る修行に明け暮れた。

そんなある日、朦朧とする意識の中で魔力の光を確かに感じた。

やったー!魔力だぁぁぁ‼︎と意気揚々と光の方へ吸い寄せられるように飛び出した先には大型トラックが。

 

 

ここまでがボクの前世の記憶。

 

 

唐突だが転生した。

それもボクの知るライトノベル「魔法科高校の劣等生」の世界にだ。

ついでに言えば今世でもボクの性別は男だった。

世界は違えども、今世でもボクの目標ーー変装の達人になるという夢は変わらなかった。

幼少期から前世の記憶・経験をフル活動して変装の特訓に明け暮れた。

そんな息子の姿に、今世の両親は子供のごっこ遊びを眺める感覚だったのだろう、口を挟む事なく寧ろ好きにさせてくれた。ありがとうお父さんお母さん。

 

この世界には魔法がある。正確には限りなく魔法に近い科学のような気がするが、まぁそこはいい。

嬉しいことにボクは魔法が使える人間ーーここでは魔法師の素養があった。

これは変装に活用するしかないのでは⁉︎と思い立ったボクは、早速変装と並行して魔法の特訓も開始した。

姿を変える、相手を騙すなら幻術系統の魔法が手っ取り早いが、ボクの理想はあくまで変装マスク、皮モノによる変装だ。

目指せ皮モノ。成せ皮モノ。被れ皮モノ。

 

 

長い試行錯誤末、シリコン製の皮を系統魔法で変形させて肌色から表情までリアルに作る事に成功した。やったぜ!

常時魔法をかけ続ける必要性はあるが、前世で欲した皮モノによる変装が実現したのだ何の苦にもならない。寧ろ嬉しいほどだ。

特訓の成果なのか、睡眠中に被っていても全身の皮を維持できるようにもなっていた。

 

それからは皮を使って様々な人間特に女の子に成り切ってみた。

女性の立ち振舞いなど既に体得済みだ。

何故男のボクが女子に化けるか?それは某月下の奇術師の言葉を借りるなら「こっちの方が萌える」からだ。

小学校から中学校卒業まで女子の姿で過ごしたが、学校への届出は男で通したし、トイレも更衣室も男子用使いましたよ。

 

中学の思い出として同級の男子達に悪戯して全員の顔を真っ赤にしてやった時は腹を抱えて笑ったものだ。

ただ、中学生になってから両親がボクに「お前(貴方)は自分の素顔で好きな性別で生きていいんだ(のよ)」と真剣な眼差しで語りかけてきた。はて?ボクは変装の達人になりたいだけですが?

 

 

そして、時は経ちボクは高校生になった。

 

 

4月上旬 東京某所の自宅にて

 

「〜♪〜♪〜♪、よし今日も完璧だ」

 

自室の姿見の前で鼻歌混じりに身嗜みを整える。

すっかり着慣れた皮ーー女子の姿に身を包みその上から真新しい第一高校の制服に袖を通す。

ボクが今年から入学するのは原作主人公と同じ第一高校だ。

別に主人公に興味がまったく無いと言えばウソになるが、正直そこまで強い関心はない。

ボクの興味は今も昔も、これからも変装の達人になる事である。

その為の新たなツールとして魔法を本格的に学ぶのだ。

 

第一校以外の魔法科高校でもいいのでは、と述べる人間もいるだろうが、ボクが第一校を選んだ理由は校則にある。

学校への届出は中学と同じ男だが、ボクが着用しているのは女子制服だ。実は学校指定の制服ならOKと校則にあったのが第一高校を選んだ理由である。ビバ多様性‼︎

一校の校長先生には感謝しかない。

 

学校での普段の立ち回りはもう決めてある。

◯パン師匠(勝手に師匠と命名)曰く、「怪盗は素顔を見せるべからず」。

その言葉に従い幼稚園から中学校、高校入学に至る現在まで素顔を人前で晒していない(素顔を知るのは今世の両親くらいだ)。

そして、第一校でもボクは素顔を晒さないつもりだ。

全ては変装の達人になる為に‼︎

 

しかし、私生活のためにも仮の顔は必要である(纏う皮は気分次第で頻繁に変えていた)。

今年からの皮もとい顔は高校デビューを兼ねて前世で読んだ漫画キャラのゴンちゃん風で決めてみた。

男とカミングアウトした時の周りの反応が早くみたいぜ。

 

「あっあっーゴホンッ、それじゃ行ってきまーす」

 

両親と玄関前で記念撮影を終えた後、声帯模写で声色を男から女声に変えて出発を告げる。

魔法で変装の達人へと一歩近づく。

今年の意気込みを胸に秘めて、ボクーーワタシ佐々木権左郎は入学式が行われる第一高校への記念すべき初登校を飾った。

 

 

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