魔法科高校のドッペルゲンガー   作:西の家

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魔法科高校の原作読んでいると、改めてメチャ陰謀渦巻く世界だなと感じている西の家です。


入学編 14話「美少女探偵団(+a)結成2日目」

入学7日目。少女探偵団結成から2日目。

 

「屋上なら学内全体が見渡せるわ」

 

放課後、我ら少女探偵団(+a)は学校の屋上に来ていた。

どうやって襲撃犯を見つけるか相談し合った結果、屋上から双眼鏡で達也君を監視することになった。

双眼鏡は天文部から借りた。その際、しつこい勧誘を避ける為に全員クラブユニフォームを着用することも忘れずに。勿論、ワタシが着用するのはレディースの白のスポーツウェア。

エイミィから「メチャ似合ってる。本当に男子か疑いたくなるわね。一回脱がしてもいい?」とお言葉を貰った。もうお決まりなのか、雫ちゃんが止めた。

 

「さて、ターゲットさんはどこかな〜」

 

「いた。実験棟の方」

 

「あっ本当だ」

 

暫く学内を見渡していると、雫ちゃんが達也君を発見。彼女の言う通りに双眼鏡を向けると確かにいた。走ってる様子からして、違反者を拘束するために急行中のようだ。

 

「ワタシたちストーカーみたいで、ゾクゾクするね」

 

直接確認しなくてもワタシの言葉にほのかちゃんがショックを受けているのが分かる。

 

「あっサイオン波の兆候!えっ?消えた」

 

サイオン光に敏感なほのかちゃんが魔法発動を感知するが、達也君に触れた瞬間に消えたと言う。

 

「今のって、キャスト・ジャミング?」

 

「間違いないの?」

 

『キャスト・ジャミング』

 

魔法式が対象物のエイドスに働きかけるのを妨害する無系統魔法の一種である。

無意味なサイオン波を大量に散布することで、魔法式がエイドスに働きかけるプロセスを阻害する。干渉力の強さはそれほど問題にならない。ただし魔法演算領域を持たない非魔法師が行使する妨害のサイオン波は不安定になる模様。

アンティナイトによる発動が一般的。

アンティナイトは、キャスト・ジャミングの条件を満たすサイオンノイズを作り出すレリックに分類される真鍮色の金属である。

高価な品であるだけでなく、軍事物質に指定され値段以前に一民間人が手に入れられるものでは無い。

 

「うん。雫の家でボディガードさんがアンティナイトの指輪を使ってた」

 

ほのかちゃんの言葉で思い出した。

中学時代、雫ちゃんの家に遊びに行った時、見た記憶があるね。

 

「でもさ、達也君。アンティナイトを持ってないよね」

 

「そうなんだよね。そもそもアレって、軍事物資だから一般では手に入らないはずなんだけど・・・」

 

ワタシの言葉にエイミィが頭を悩ませるが、ワタシは知っている。

彼は決して一般人、カタギではない。

変装者としてやりたい事のひとつ。

わざと仲間に知らないフリする。ふふ、変装者は多くは語らないのさ。

 

「あっ!襲撃者だよ‼︎木陰の方」

 

エイミィの言葉で再び双眼鏡を覗き込む。

アレが襲撃者か。

学校指定の上下ジャージを着た違反者兼襲撃者を達也君が追跡するが、相手は加速魔法が得意なのか、逃げられてしまった。

 

「エイミィ、顔見えた?」

 

「バッチリ!あれは剣道部のキャプテンだよ。写真か何かで確かめてみなきゃだけど、多分間違いない」

 

「写真生徒会にならありそう」

 

確認の為、全員で生徒会に赴こうとしたが、

 

「ごめん。ワタシは帰るよ」

 

「どうして権三郎くん?お兄さんを襲撃した犯人が解るのに」

 

「一緒に行こうよ」

 

「いやー、実は今日、ウチの親から早く帰って来いって言われてさ」

 

バツの悪そうな顔で本当の理由は隠して述べる。

日光アレルギーで赤く腫れた顔の経過を確認させる事を条件に両親から登校許可を貰ったのだ。

大方回復はしたが、ゴンちゃんマスクの下、素顔はまだ少しだけ赤く爛れている。

あの騒動以来、皮を纏っていても少しだけ日光がトラウマになった。

太陽が燦々と降り注ぐ屋上で監視すると聞いた時は、思わず身震いがしたんだよね。

 

「・・・そう言うことで、悪いんだけど、ワタシの代わりに生徒会に行ってくれない?お願い」

 

「しょうがないわね。OK。権三郎君の分も聞き込みしておくから」

 

探偵団の発足者でリーダー格のエイミィから許可を得る。

魔法師の子弟は家の事情で早退、休学する者は珍しくない。

屋上を後にしようとした時、背後から雫ちゃんとほのかちゃんの何処か納得していない視線が気になった。

 

 

***

 

 

翌日。

登校して一番にA組に集合した少女探偵団(+a)は、学校の公益通報窓口を経由して生徒会に襲撃犯の写真とメッセージを添付にして送信。

これで動きがあればいいんだけど、有事の前じゃなく、有事の際に動くのが世の常。学校内に達也君並みに腕の立つ◯班とかいないかなー。

そんな気持ちで今日の授業を全て終えて、放課後を迎える。

ワタシ以外の少女探偵団のメンバーは部活だ。

ワタシは下校前にトイレを済ませる為に、教室から退室すると廊下である人物とすれ違った。

セミロングストレートの黒髪が印象的な、なかなかの美少女。

確か名前は壬生沙耶香。2年生のニ科生に所属。剣道部の副部長を務める剣道小町。

二科生の彼女が一科生の教室のある階層に来るのが珍しいのか、廊下にいる一科生たちが好奇な目線を送る。

正直彼女が何の用事があって来たのかどうでもいい。

それよりもワタシの興味は別にある。変装だ。

あの先輩に変装して剣道部に乗り込んでみたいが、生憎彼女を模したマスクがない。

すれ違い様だけど、顔は覚えた。帰宅したら彼女のマスクを作ろうと・・・いや、待てよ。

ここでワタシはある事に気づく。

壬生先輩に変装するなら彼女のことをある程度把握しておかなくては、変装して彼女と親しい相手と遭遇した際、不審に思われるぞ。

予定変更だ。

ワタシはトイレを済ませると、人気のない場所で適当な女子生徒に変装。

そのまま気づかれないように壬生先輩を尾行する。

変装者としてワタシはある程度の尾行術は身につけてあるが、昨日ほのかちゃんにストーカーみたいって人のことは言えないな。

 

壬生先輩を尾行して行くと、彼女はどんどん奥の方へ。あのまま行くとA組の方だぞ。

ワタシの読みは正しく。彼女はA組の方に用事があるようだ。

奇遇なのことにA組の教室の外、廊下の壁に凭れ掛かる達也君の姿まである。

そんな彼にヒソヒソと小声で一科生たちが「あれが例の」「剣術部のエースを倒したってよ」「嘘だろう。二科生だぞ」と口々に言い出す。

一科の言う事など興味がないとばかりに目を瞑って一言も発さない。

風紀員として大いに活躍できているようだね。

達也君の待ち人は恐らく、

 

「申し訳ありませんお兄様。わざわざお待ちいただくことになってしまって」

 

「気にするな・・・と言っても、無理なんだろうがな」

 

ほら、やっぱりね。

深雪ちゃんと待ち合わせ。

深雪ちゃんは兄を待たせた非礼を詫びるが、達也君はちっとも気にした様子もなく、寧ろ慰めるように彼女の頭を撫でる。

何度見ても兄妹じゃねー。学校の喫茶店でコーヒー飲みてー。

ワタシの心境など知らず、兄妹が下校しようとした時だった。

 

「司波くん!」

 

何と壬生先輩が兄妹の間に入り込むように声を掛けたのだ。お、恐ろしやー。

彼女は臆した様子もなく、兄妹の方へ歩み寄る。

 

「こんにちは。一応、はじめましてかな」

 

「そうですね。初めまして、壬生先輩ですね?」

 

完全に初対面ではない言い草での挨拶。

兄の邪魔にならぬ様に、深雪ちゃんは一歩身を引く。教育がしっかりしているな。アレでブラコンでヒステリックじゃなければ、付き合い易いんだけど。

 

廊下の一科生に溶け込んで、彼らの会話に聞き耳を立ててみると、どうやら壬生先輩は達也君に部活勧誘でのお礼を含めた話がしたいらしい。

達也君は「今は無理です」とキッパリと断ると「15分後なら」と妥協したのか付け足す。

まさか後輩から拒否されるとは思わなかったのか、壬生先輩はきょとんとした表情になるもすぐに「それじゃ、カフェで落ち合いましょう」と約束を取り付けて去って行く。

先輩相手でも臆さず容赦ないな。流石、シスコン魔王陛下。

そんな悪口を心の内で叩いていると、達也君が不意にこちらを見た。

ヤバっ⁉︎

動揺を悟られないように一科の中に潜む。

 

「どうしましたお兄様?」

 

「・・・いや、誰かに見られていた気がしてな」

 

「ここは一科の教室前ですから、お兄様の姿が珍しいのではないのでしょうか」

 

「・・・それもそうだな。行こうか、深雪」

 

深雪ちゃんに諭されて、達也君は後ろに深雪ちゃんを伴って一科の階層から去って行く。

あの距離で気づくとか・・・どんだけチートなんだよ。今更だけど、絶対に高校生の器じゃないわ。

ラ◯ボーみたいに銃片手に戦場が似合ってるよ。

兄妹の姿が見えなくなっても、ワタシの心臓は激しく動悸している。

やっべー、マジやっべー。今度達也君を尾行してみようかな。絶対にスリル満点だわ。

興奮のあまり、下半身が熱くなりだす。

や、やばい⁉︎◯☆⬜︎が◯起する‼︎

ワタシは慌てて再びトイレに駆け込もうとするが、一般的な女子生徒に変装している事を思い出し、入れない。人気のない場所で身体を落ち着かせるのに苦戦した。

 

 

***

 

 

10分掛けて落ち着いたワタシは、急いで学内の喫茶店に向かった。

幸いなことに達也君も壬生先輩もまだ到着していない。

入り口が見える適当な席で待っていると、最初に壬生先輩が、後から達也君がピッタリ15分後にやって来た。達也君はコーヒーを、壬生先輩はジュースを購入して、空いている席に向かい合わせで腰を下ろした。

ワタシは2人の会話がギリギリ聞き取れる距離、席に移動。携帯端末片手に購入したコーヒーを啜る。誰が見ても不審ではないはずだ。

気づかれない様に慎重に2人の会話に聞き耳を立てる。

 

「司波くんはクラブ活動まで魔法の腕がいい方が優遇されるなんて間違ってると思わない?」

 

思いがけない強い口調。

信念を超えて妄執に近いねこれは。

 

「だから、あたしたちは非魔法競技系のクラブで連携することにしたの。剣道以外にも大勢賛同者を集めた。今年中にもあたしたちは学校側に魔法だけが全てじゃないって伝えるわ」

 

どうやら壬生先輩は二科生の待遇改善を学校側に要求するらしい。それに達也君も加わって欲しいとの事。

二科生だから簡単に仲間に取り込めると思ったら、大間違いだ。

案の定、黙って聞いていた達也が一言。

 

「なるほど、先輩にひとつ質問があるんですが。考えを学校に伝えて、それでどうするんですか?」

 

「・・・えっ?」

 

壬生先輩は後輩の言葉に何も言い返せない。

先のピジョンを全く考えてない。完全に他力本願だ。

何と愚かな。他人に生殺与奪を握られるようなものだぞ。こんな調子では些細な改善だけされて、はいお終いで済まされるのが目に見えてる。

確か原作では壬生先輩を始め非魔法競技の部活生は洗脳されているんだっけ。

ワタシが壬生先輩に変装して学校側に改善を要求してみるのも面白そうだ。

 

コーヒーを啜りながら悪戯を画索していると何気なく喫茶店の出入り口を眺めた。

 

「ブッホッ⁉︎」

 

思わず咽せる。

喫茶店にワタシと同じ顔の女子生徒が入店して来た。適当に変装して遭遇するとか、そんなのアリ⁉︎

備え付けの紙ナプキンを口に当てながら上手く女子生徒や、周りの視線に注意しながら喫茶店を後にする。

達也君の怖い視線を背中に感じたので、ワタシは急いで人気のない場所でゴンちゃんに戻る。

 

 

***

 

 

別side

 

コーヒーで咽せたのか慌てた様子で退店する女子生徒。名前は知らないが、エンブレムから一科生の生徒だ。

特に興味もないので、達也は壬生との話を早々に切り上げようとした時だった。

 

「・・・⁉︎」

 

「司波くん、どうしたの?」

 

達也が目を見開く。彼の初めて見せた驚きの表情に壬生は思わず心配になる。

さっきまで自分たちの近くの席で座っていた女子生徒がまるで入れ替わる様に再び入店してきたのだ。

入店した女子生徒は咽せた様子もない。至って正常だ。それにより、達也の頭にある可能性が浮かぶ。

 

「先輩、すみませんが、今日はこれで失礼します」

 

「えっ?ちょっと、司波くん⁉︎」

 

達也は一方的に話を切り上げるとすぐさま席を立ち、さっき出ていた女子生徒の後を追って店を出る。

しかし、すでに女子生徒の姿はない。放課後生徒で行き交わる賑やかさな学校の風景があるだけだ。

『精霊の眼』で店内にいる女子生徒と同じ個人情報体を追ってみるが、見つからない。

既に別の人間に化けたようだ。

 

「(壬生先輩との会話を盗み聞きされていたか。廊下で感じた妙な視線もヤツの可能性が高いな。しかし、何の為に?)」

 

様々な可能性を考察してみるが、今は妹の安全が優先。

達也は図書館で待たせている深雪の元まで走った。

常時学内に『精霊の眼』を働かせながら。

 

 

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