魔法科高校のドッペルゲンガー   作:西の家

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最後に台風10号の◯◯ヤロウ!家を水浸しにするなよぉ(涙)


入学編 4話「ようやく会えたね♪我が一生の不覚ちゃん」

ゴンちゃんに変装して公衆トイレを出て10分ほど歩くと、学校に到着する。

校門から敷地内に入り、何人かの学生とすれ違いながら、昇降口から2階に上がってA組の教室に行く。

 

扉を開けて教室に入ると、すでに多くのクラスメイト達で賑わっている。

入室する際にクラスメイト達に軽く会釈して微笑みを振りまく。

男子はだらしなく鼻の下を伸ばして、女子は輝いた目付きで眺めてくる。

その顔が驚愕に染まるのが楽しみだぜ。

 

「ワタシの席はこの奥か」

 

昨日、学生証と共に渡された座席表を頼りに自分の座席を確認する。

席に腰を下ろすと、自分の前の席に座る表情の変化が乏しい大人びた顔立ちの美少女に目が移る。

ワタシはその相手を知っている。

 

中学時代の同級生にして我が一生の不覚。

名前は北山雫。

ワタシの、ボクの素顔を見た昔のお友達。

やっと会えたな・・・愛しい愛しい宿敵さん。

 

傍にいる幼馴染の光井ほのかと雑談に興じている。

ほのかは明るく表情に出て、雫は表情の変化はないが、声色からして楽しそうにしているのが伺える。

原作登場人物であり、中学時代からの同級生二人組。

 

中学時代ワタシは彼女達と下の名前で呼び合う程に仲がよかった。性別を知ってもなお、女の子として扱ってくれたっけ。

しかし、雫ちゃんがワタシの素顔を見たことで友情は終わった。

素顔の一件をほのかちゃんも把握している可能性が高い。

 

彼女達が一校に入学することを原作知識で把握していながらも、何故入学してのか疑問に思うだろう。

女子制服もそうだが、一番の目的は汚名返上の為だ。

2人を騙し通すことでワタシは変装者の威厳を取り戻す。

 

ワタシの正体に気付かず、まだ2人とも雑談している。

中学時代の人間が変装して後ろにいるとは思うまい。このまま騙し通してみせるぜ!

胸中で決意を固めると皮の下で笑みが溢れる。

 

「ぷぷ、クケケケ」

 

「朝から何をニヤニヤしているのですか?」

 

ワタシが伏せた顔を上げると、そこには好奇の目を向ける深雪ちゃんの顔があった。

ガワの中で笑みを留めるつもりが、外に漏れていたか。他の人に聞かれてないかな。

あと、今朝登校の際に変装した顔が目の前にあるとデジャブを感じる。

 

「あっ深雪ちゃんだ。やっほー」

 

「おはようございます。権三郎君」

 

できるだけ自然に彼女と軽く挨拶を交わす。

 

「ただの思い出し笑いだよ。それはそうと深雪ちゃんもこっち奥の席なの?」

 

「はい。個人的には貴方と離れた席がよかったですが、非常に残念です」

 

深雪ちゃんの不服な視線がワタシの後ろの席に注がれる。

すぐ側の席だ。やったね!

 

「えー、昨日のことまだ根に持ってるの。ちょっと達也君に抱きついただけなのに」

 

ぶーと頬を膨らませて不満を表す。

 

「それが問題なんです。人目も気にせずお兄様に対してべたべたと身体を寄せ合うなんて、恥じらいを持ってください」

 

「いやいや、深雪ちゃんにだけは言われたくないから」

 

机に伏せた状態でないないと手を振る。

そんなワタシに深雪ちゃんは「あれは兄妹のスキンシップです」と返答する。

いや、誰が見ても兄妹のスキンシップじゃねぇよ。

 

「今更ですけど、そうしていると貴方どう見ても女の子ですね。声も高いですし」

 

「あれ〜今更ワタシに惚れちゃった?どうしようー」

 

「いえ。そういうことじゃありません」

 

ワタシのお巫山戯を込めた問い掛けを深雪ちゃんはキッパリと否定する。

 

「本当は女の子じゃないかと、疑いたくなると言いたいのです」

 

「へぇー、深雪ちゃんからそんな風に言われるなんて光栄だね・・・ボソッ(ボクだって本当なら君のような女の子になりたいよ)」

 

「今なにか呟きましたか?」

 

わざとギリギリ聴き取れる声量の呟きを深雪ちゃんは聞き逃さなかった。

ちゃんと聞き取ってくれたね。流石優等生ちゃん。

変装者としてやりたい事の一つ。

自身の正体に触れる発言を思わず呟く。

変装者の正体に迫るヒントを会話から得る。

うん!素晴らしい局面は間違いなしだね。

達也君の耳にも入ることを期待しているよ。

 

「なーんでもないよ。ワタシからも今更だけど、深雪ちゃん本当に綺麗な顔してるね」

 

座った状態から手を伸ばして、深雪ちゃんの白い頬を指で軽く突っ突く。

うわっ、マシュマロみたいに柔らか。

 

「ちょっと触らないでください。変にくすぐったい」

 

「えぇー、いいじゃない。ほれほれ」

 

深雪ちゃんとのやり取りを羨望の念で遠巻きに眺めるクラスメイト達。

百合の花を期待しても無駄だ。だって、ワタシは。

 

「あ、あのー」

 

側でワタシ達の交流を眺めていた、ほのかちゃんが意を決した様子で話に割り込んできた。

 

「話の途中すみません。盗み聞きするつもりはなかったんですが、女の子じゃないってどういう意味ですか?それに聞き間違いなのか権三郎って」

 

「そのまま意味ですよ。この人の名前は佐々木権三郎。こんな姿をしてますが、正真正銘男性です」

 

深雪ちゃんの暴露に「えっ?」とほのかちゃんだけでなく、聞き耳を立てていたクラスメイト達も言葉を失う。

 

「もう!ネタバレしないでよー。間を見てカミングアウトしようと思ってたのに」

 

「権三郎君が悪いんです。あと、いい加減に指を離して」

 

深雪ちゃんの頬から指を離す。

予定よりも早いネタバレだけど、まぁ、いいか。

ワタシは立ち上がると、ゴホンと軽く咳払いして、姿勢を正す。

そして、クラスメイト達に聞こえるくらいに元気いっぱいに声を出す。

 

「佐々木権三郎 男でーす。みんな仲良くしてね♪」

 

「「「男ォォオォォォ⁉︎」」」」

 

朝の教室からクラスメイト達の阿鼻叫喚が廊下にまで響き渡る。

男でーす。残念でしたぁ♪

雫ちゃんは無表情、ほのかちゃんは驚愕と対照的な反応。

 

「ほぇー男の人だったんだ。全然わからなかったよ。あれ、どうしたの雫?」

 

「ううん、なんでもないよ ほのか。・・・あの笑い方まさかね」

 

 

***

 

 

オリエンテーションが終わると、男女関係なく殆どの生徒が椅子を引いて立ち上がり、ワタシの席の周りに集う。

 

「どうしてみんな、そんなに驚くの?」

 

「そりゃお前、男のくせに女の格好してるし」

 

「だってワタシ心は女の子だもーん」

 

愛嬌たっぷりに語尾を伸ばして可愛い子ぶる。

嘘である。ワタシの性認識は男だ。この姿はあくまでも皮によるもの。

 

「やべ。ちょっとだけいいかも」

 

「しっかりしろコイツは男だ!目を覚ませ!」

 

「佐々木君マジで男の子なの?信じられない」

 

「ねぇ、どんなメイクしてるの?教えてよ」

 

「えーっと、それはね・・・」

 

キャキャと明るい雰囲気に包まれてクラスメイトーー特に女子のみんなと親睦を深める。

その傍ら、こちらを好ましく思わない視線を感じる。

 

ワタシの席から見て窓側の一番先頭に座るのは我らがモブ崎こと森崎君(下の名前は忘れた)。

こちらを「なんだあの変態は?」と訝しげに観察する。

くぅ〜その蔑む目と素直な感想ありがとう。

ワタシを蔑む森崎君に感謝の気持ち込めて、ちょっと恥ずかし気味に頬を赤らめて微笑み返す。すると、露骨に「うげぇ⁉︎」と顰めて顔を逸らす。

 

「でも女装してるってことはさ、あれだろう男が好きってこと?」

 

「そりゃそーだろう」

 

席に足を運ばない一部の男子達から心無い言葉を後ろから囁かれる。

幾らでも言うといい。そんな言葉は中学時代にとっくに聞き飽きたよ。

空聞かずに徹していると、

 

「その制服すごく似合ってるよ。佐々木くん」

 

雫ちゃんが席から立ち上がり感想を述べる。

もしかして庇ってくれるの?

彼女の意外な行動にワタシは言葉が出なかった。

 

「でも女の格好してるし」

 

「だからなに?別に女の子の格好をしても誰かに迷惑が掛かるわけじゃない」

 

無表情でありながらも力強い口調と眼差しに男子達はたじろぐ。

 

「たしかに」

 

「すごいよね。あんなに女の子になりきれるなんて」

 

「やっぱりメイク?」

 

クラスの雰囲気が一気にプラスに転じる。

これが鈴◯ならぬ北山財閥の令嬢のカリスマか。

これを利用しない手はない!

 

「あっ・・・あり、ありがとう・・・」

 

声は小さく照れ気味に感謝の言葉を送る。

その仕草はクラスメイト達の心を、ズギューンと音を立てて射貫く。

ちょろいな。きっかけを作ってくれた雫ちゃんには感謝しないとね。

上手く初対面を装って、彼女と向き合う。

 

「庇ってくれてありがとう。えーっと・・・」

 

「北山雫。雫って呼んで」

 

「うん分かった。ワタシのことも権三郎でいいよ。しー・・・」

 

「今なんて?」

 

「えっ?雫って呼ぼうとしただけだよ」

 

私の失言に雫ちゃんが聞き返してきた。

雫ちゃんを昔の愛称『しーちゃん』で呼びかけた。

墓穴を掘りそうになったので、上手く誤魔化す。

ワタシのバカヤロウ。汚名返上を誓っておいて早々にミスしてどうする。

自身を罵倒していると、1限目の開始を知らせるチャイムが鳴る。

それと同時に周りの生徒達が元の席に帰っていく。

 

「授業が始まるから、また後で話そうね。雫ちゃん」

 

「うん。また必ず話そう。ゴンちゃん」

 

そう言って雫ちゃんは自分の席に戻る。

出会って早々、愛称で呼んでくれた。

おまけに去り際、口にした『必ず』のニュアンスに強い感情が込められている気がするが、ワタシの思い違いかな?

 




展開が遅いと感じる方もいますが、どうか気長に温かい目で見守ってください。
次回は校門前でのいざこざまで書けるよう頑張ります。
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