咲夜とサクヤの入れ替わり物語   作:RtYB9S

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第31話 7日目 side サクヤ 弾幕ごっこ

「弾幕ごっこねえ……、私達がいてもおかまいなしに始めちゃうんだから」

 

 レミリアは呆れた様子で、空中で飛び交う無数の弾幕を見上げている。……そういえば、レミリアに聞きたい事があったわ。

 

「お嬢様、少し訊ねたい事があるのですが、よろしいですか?

「なんだ?」

「実は――」

 

 私は今朝の廊下でフランに会い、その時に起きた出来事をレミリアに説明する。

 

「へぇ、そうだったの。フランは私の妹なのよ。でも、あの子の能力に影響されたのか、少し気が触れてしまっているから、基本的には屋敷から出さないようにしているわ」

「能力とはなんでしょうか?」

「ありとあらゆるものを破壊する程度の能力よ。咲夜を壊さないように厳命はしているけれど、万が一が起きるとも限らないし、気をつけなさい」

「そうでしたか……。なるべく関わらないにします」

「あぁ、でも、遊ぶ約束をしているんだっけ? 貴女、弾幕ごっこできないのに、どうするの?」

「代わりになりそうな遊びを考えていますわ」

「ふーん? でもあの子、結構気分屋だから中々難しいと思うわよ?」

「その時はその時で別の遊びを提案してみますわ」

 

 ここで会話が途切れ、私達は弾幕ごっこをしている方を見る。魔理沙は私が教えた分身魔法を使い、弾幕をうまく使ってパチュリーを追い詰めているようね。

 

(やっぱりセンスあるわね)

 

 そしてとうとうパチュリーに魔理沙の弾幕が被弾し、彼女は撃墜された。

 

「よっし! 勝ったぜ!」

 

 魔理沙は勝ち誇った顔で宣言しながら、床に降りてきた。

 

「ゲホゲホ。まさかこんなスペルを使ってくるなんてね……」

 

 パチュリーは悔しがりながらも立ち上がる。派手な音と光が発生していたけれど、彼女に目立った外傷は無い。本当に非殺傷弾なのね。

 

「私がここに居るのには文句ないよな? ついでに、帰りに何冊か本を借りていくぜ~」

 

 魔理沙は図書館の奥へ向かおうとするが、それを阻むようにレミリアが飛び上がって彼女の前に立ち塞がった。

 

「私の目の前で盗って行こうなんていい度胸してるじゃない? 今度は私が相手になるわよ!」

 

 レミリアの宣言の前に、魔理沙は楽しそうな表情で「いいぜ! お前も倒してやる!」と再び飛び上がり、弾幕ごっこ2回戦が始まった。

 

 

 

「この2人だとどっちが勝つのかしらねえ」

 

 上空でぶつかりあう2人を見ながら私は呟いた。

 

「地力があるのはレミィだけど、弾幕ごっこの分野では魔理沙に分があるわね」

 

 声のした方を見ると、いつのまにかパチュリーが隅っこの座席に座り、詠唱を行っている。少しして詠唱を終えた彼女は、呆れるように口を開いた。

 

「それにしてもあの2人、もうちょっと力を抑えてくれないかしらね。結界の強度を上げるのも中々大変なんだから」

「結界?」

「本が破損したり燃えたり劣化しないように、本棚に結界を張っているのよ。もちろん弾幕ごっこにも耐えられるようになっているわ」

「それはすごいですね」

「だからと言ってここで弾幕ごっこしていいというわけではないんだけどね。なるべくなら別の場所でやって欲しいわ」

 

 私はパチュリーの隣に座って、上を見上げる。2人の弾幕ごっこは佳境に突入したようで、レミリアが優勢に見える。

 

「あらあらどうしたのかしら? これが本気?」

「クソッ」

 

 挑発するようなレミリアの弾幕を搔い潜りながら魔理沙は反撃を行うも、届く前に相殺されてしまい、徐々に追い詰められていく。

 魔理沙はレミリアの正面に向き直り、筒のような物を構え、声高々に宣言した。

 

「こうなったら、最後の手段だ! 喰らえ! マスタースパーク!!」

 

 彼女の筒から自分の体よりも大きな虹色の光線が、レミリアに向かって勢いよく発射された。

 

「ふふっ、それなら私もこれで行くわ!」

 

 レミリアの右手に血のように真っ赤に染まった槍が出現すると、魔理沙のマスタースパークに向け、思いっきり振りかぶって投擲。彼女達の必殺技が互いの間合いの真ん中辺りで正面衝突する。

 最初は拮抗していたが、徐々に紅い槍が魔理沙のマスタースパークを霧散させながら、彼女の体に目がけて飛来。魔理沙は歯を食いしばって必死にマスタースパークの出力を上げようとしていたが、それも虚しく紅い槍に貫かれて、魔理沙は撃墜された。

その様子を見たレミリアは地面に降り立ち、勝利宣言を行った。

 

「私の勝ちね」

「ちぇーっ、私の負けか。力負けするなんて悔しいぜ……」

 

 地面に倒れ伏していた魔理沙は起き上がりながら、悔しそうに呟いている。

 

「貴女達、ちょっと派手にやりすぎよ! 危うく結界が壊れるところだったじゃないの! 外でやりなさいよ!」

「なんだよ、パチュリーだってノリノリだったじゃないか」

「私は本が壊れないように気を使っていたのよ! だけど貴女達は――」

 

 パチュリーは周囲の被害を気にせずに戦闘を行った二人に近付き、色々と文句をつけている。私がそんなやり取りを眺めていると、後ろから声が掛かる。

 話しかけてきたのは今まで静観して様子を見てた紫だった。

 

「弾幕ごっこをみて貴女はどう思ったかしら?」

 

 私は少し考えてから、彼女の問いかけに答えた。

 

「昨日魔理沙から弾幕ごっこの概要を聞きましたが、とてもいい遊びだと思いますよ。このルールなら弱者でも強者に勝てる可能性がありますし、観戦してて楽しい、恐らく参加しても楽しい。いい事づくめの遊びだと思います」

 

 私は思った事を正直に答えると、彼女は嬉しそうに「異世界人から見てもそう思えるのね。外の人間の意見が訊けて良かったわ」と答え、「私はそろそろ帰りますわ」と、空間の裂け目を開く。

 

「八雲さん。私の事を診てくれてありがとうございました」

 

 私のお礼に手を振りながら、彼女は空間の裂け目の中へ消えて行った。

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