咲夜とサクヤの入れ替わり物語   作:RtYB9S

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第63話 9日目 side咲夜 報告

 ――side 咲夜――

 

 

 

 ユウ達が魔界に行った後、私とミーシャはスロイとレノンの転移魔法で城の会議室に戻り、彼女達の無事を信じつつ、退屈を持て余したミーシャとお喋りしながら帰還を待ち続ける。

 会議室の扉が開き、ユウ達が現れたのは、日が傾き始める頃だった。

 

「戻ったぞ」

「おかえりなさい! どうだったの?」

「それがな――」

 

 席に着いた後、アレスが魔界であった出来事を語っていく。

 それをざっくり要約すると、屋敷に乗り込んだものの、家主は既に事切れていた。彼の動機はこの世界のサクヤに対する恨みであり、魔法を使えない絶望を与えるというおかしな理屈で、世界を越えて精神を交換するなんて、呆れた話だわ。

 彼の直接の死因は魔力の暴走によるもので、サクヤが反撃した可能性もあるらしいけれど、詳しい事は本人に聞かないと分からないのね。

  

「咲夜は完全に巻き込まれた形になっちゃったわね。ごめんなさい」

「ユウが謝る必要は無いわ。悪いのは完全にアイツでしょ?」

「そうだよ。エレツィ・フィレッターの死が確認されたことだし、すぐにでもサクヤと咲夜を元に戻す方法を決めないとね」

「問題はその方法だよな。アルカディア様の話では、紅魔館を利用した相転移と、召喚魔法の二つがあるんだよな?」

「やっぱり召喚魔法がいいんじゃない? ここには咲夜を含めて魔法使いが3人もいるんだし」

 

 ミーシャがそう提案すると、まずリィンが首を振った。

 

「私は治癒系の魔法専門なので、成功する保証がありませんよ」

 

 続いてユウも「私も得意な属性が違うんだよねぇ。召喚魔法は、呼び出す対象となる生物の場所とイメージが重要って聞いた事があるし、この中で一番適任なのは咲夜じゃないかな?」と私を見る。

 

 確かに私は紅魔館について良く知っているけれど……。

 

「でも召喚魔法なんて、全く知らないわよ?」

「その点なら問題ない。サクヤの身体に備わる魔力と技術力なら、魔法の習熟度に纏わる障害は無い筈だ。つまり召喚魔法が記載された魔導書を用意すればいい事になる。王都にある魔法図書館を探せばあるだろう。俺の権限ですぐに手配してやろう」

「おぉ~流石アレス!」

「そういう事なら、最善を尽くしますわ」

 

 異世界にいる元の身体の私を呼び出すなんて、おかしな話ね。

 

「後は幻想郷側との調整ですね。一時的にでも幻想郷の結界を開けてもらえるかどうか、管理者と交渉しなければならないでしょう」

「私達は幻想郷の管理者の所在を知らないし、テレパシーで紅魔館にいるサクヤにこの話を伝えて、サクヤの方で行動してもらうしかないね」

「それが妥当でしょうね」

 

 私も八雲紫の居場所は知らないけれど、霊夢なら多分知っているでしょうし。

 

「よし、話は決まりだな。リィン、アルカディア様にこの話をお伝えして、幻想郷に繋がる世界の壁を開けるようにお願いしてくれ」

「はい。では皆さん、大聖堂に移動しましょうか」

 

 会議は終了し、私達は大聖堂へと移動する。アレスは会議室の扉の外で控えていたスロイとレノンに、召喚魔法が記載された魔導書の調達を指示していた。

 外は既に日が落ちており、街のあちこちに灯がともり、まるで暗闇の中に浮かび上がっているに見える。私達が大聖堂へ辿り着くと、中は人の気配がせず、しんと静まり返っていた。リィンの話では夜になると礼拝者の数が少なくなるそうだ。

 私、ユウ、ミーシャ、アレスは最前列の席に座り、リィンは巨大な女神像の前で跪いて祈り始める。間もなく女神像から後光が差し込み、眩い粒子で礼拝堂の中が満たされていく。そして女神像の縁が光り輝いたかと思うと、そこから飛び出すように人型の透明なシルエットが浮かび上がり、リィンの前に降臨する。

 

「私を呼び出すとは、何か進展があったのですね?」

「はい、女神様」

 

 リィンは跪いたまま、魔界での出来事と、先程の会議の内容を伝えていく。静かに話を聞いていた女神アルカディアは、ゆっくりと口を開いた。

 

「なるほど、そうでしたか。分かりました。サクヤへは私から話を伝えましょう」

「ありがとうございます」

 

 女神アルカディアが空中に手を翳すと、空間に歪が生まれる。そこに映し出された場所は、紅魔館の大図書館だった。

 

「紅魔館ですわ……!」

「へぇ、あそこが咲夜の家か」

 

 そして女神アルカディアが空間の歪に手を差し込み、テレパシーを送り込む。すると、空間の歪みの中に、見慣れたメイド姿の“私”が現れた。

 

「!」

「あれが咲夜の元の身体なのね。本当にそっくりだわ」

「まるで姉妹だねぇ」

 

 ユウとミーシャがそんな感想を抱く中、空間の歪みの中に映る“私”はキョロキョロと辺りを見渡した。 

 

『ユウ?』

『――久しぶりですねサクヤ』

 

 私の脳内にも響く女神アルカディアの声に、空間の歪みの中に映る“私”は驚愕した様子を見せる。

 

『!! まさか貴女は、アルカディア様ですか?』

『はい。今日はサクヤに吉報を届けに来ました』

『吉報……ですか?』

『貴女と、十六夜咲夜の異常について、原因と解決策をお伝えしましょう――』

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