語られることもない様なパッとしない聖杯戦争を終えたマスターが、FGOの世界にてイベントの敵キャラになるだけのお話 作:一般人の成り上がり
「 なぁ……キャスター」
『なんだ』
凍てついた世界にて。
「本当にこれをあと六回こなすつもりか……?」
ある男が、偉業を成した。
『当然だ。……というより、あと六回ではない』
「……は?」
其は、人類を愛し、愛故に人を滅ぼす厄災である。
『人類悪は七騎ではない。七つの形に分類されるというだけだ。……故に、君がこれから成す偉業は七つでは収まらないだろう」
「ふざけんな。……こんなことが、そうそう何度も上手く行く訳がない」
断片と言えど侮るべからず、欠片だとしても其は人類種を殺す為の存在だ。
「……次の奴には殺されるかもな」
『その時はその時だ。私も共に逝こう』
「……はぁ、変なところで思い切りがいいのは変わらねぇな、お前」
そんな怪物が、たった今、一人の男に討伐された。
『その氷像は、そのままで構わない。私が動ける様になってから利用する』
「こんなもん使おうとすんな」
人類悪Ⅰ 氷結
『目的の為に必要だ』
「……そうか」
『人類悪の断片を呼び寄せるのもその為だ、信じている』
「……嫌な信頼だ」
「サーヴァントを呼んでもらう」
「また随分といきなりだなぁおい」
Ⅰとやらを凍らせてからまだ一週間だが。
「次の人類悪が厄介だからな。人と星に属するあらゆる事象に耐性がある上に、私以上の自己改造ができる」
「?」
「……要するに、人間では勝ち目がない」
「駄目じゃねぇか俺」
元々が神霊の奴が中身とは言え……いや、どうなんだ今の俺、人か神か……。
「ライダーはライダーだ。ただの人間だった頃からそれだけは変わらないだろう」
「それで割り切るお前が羨ましいぜ」
「話を戻そう。そんな次の人類悪を討伐する為の助っ人として、君にはサーヴァントを召喚してもらう」
「……お前が呼び出す方が都合が良いだろ、俺はお前の駒だぞ」
「それがそうならない状況だからな」
「どういうことだ」
「……私がこの世界……他の世界の者からは特異点と呼ばれるこの地と聖杯を手に入れ、この場所に来た際に、縛りを付けた」
「縛り?」
「ああ、それのお陰で、人類悪を呼び出すなどと言う無茶ができている訳だが……」
「どんな縛りなんだよ」
「『自らが呼び出したサーヴァントが、私の手によって拘束されない』こと、だ」
「……令呪が無いってことか?」
「その解釈で構わない、強化や魔力リソースにはなるのだがな。私からの命令や狂化付与が無効化される」
「その代わりに呼び出せるサーヴァントの制限を無くしたってことかよ、危ない橋だな」
「だからこそ、君が頼もしいのだが」
「大き過ぎる期待だ、諦めろ」
サーヴァントとして命令しなくとも従ってくれるってか、確かにな。
「……そういう意味ではないのだが……まぁ、良い。故に君にサーヴァントを呼び出して欲しいんだ」
「できることなら、分類上人と星の属性を持たないサーヴァントが好ましいが……今の君であれば、そう難しいものでもないだろう」
「……神話の登場人物なんて、ロクなのがいなさそうってのは俺の偏見か?」
「……否定はしない。だが君一人で相手取るには少々懸念点が多過ぎる相手になる以上、万全を期す他ないだろう」
「はぁ……しょうがないのか……」
さらっと神霊呼び出せって言われてるのはもう無視するとして……どうせどうにかなるんだろ、多分。
問題は呼び出す相手だ。性格に難……もしくは、俺やライダーと剃りが合わない奴が呼び出された場合に少々怠いことになる。
「儀式は省略させてもらう」
「……何さらっととんでもないこと言ってんだ?」
「とんでもないこと……でもない、ここには無限の記録を記したトライヘルメスも聖杯もある、その程度の無茶は可能だ」
「アトラス院はどんだけ無法なんだ……?」
「人類の保存と滅亡の先延ばし、などと言う戯けた目的を掲げた才人達の溜まり場だからな……私も確認した当初は無法さに頭が痛くなった」
今のこいつが頭痛に悩まされるって相当では? ……これ以上はやめとくか。
「擬似霊子演算装置トライヘルメス・量子終末予測アトラス・ロゴスリアクト……」
「そして、それらと同類とも言える知識の機械のみを選抜し、私と同期させる」
「トライヘルメスはもう良いのか」
「ああ、完全に掌握した。……全く、改造して尚ここまで時間を取られるとはな」
「だが、最大の記録媒体は制した以上、後の物も時間の問題だろう」
「……末恐ろしいのはどっちなんだか」
「だが、攻撃的な兵器は全て使用不可だった。その点でもサーヴァントを呼び出す必要は大いにあると言える」
「……」
……俺一人で戦うよりは勝ち目があるとは言え、使えるか分からない兵器に命運をかけるのは少々……。
「
「なんだそりゃ」
「分からない。トライヘルメスには規格外の兵器である、とだけ記されている。……誰かに操作されたのだろう」
「使いたくねぇけどな、アトラス院で規格外呼ばわりされる兵器とか」
「それはさておき……手をかざせ、ライダー」
「……こうか」
「それで良い」
キャスターが、あらぬ方向を見つめ……なるほど、装置とやらを動かすのか。
「……ロゴスリアクトにより、召喚陣を形成……
「うお……」
こりゃすげぇ……ってか、どこからこんな陣を持って来たんだか。
「仮の条件で定義した仮想空間から、だ。……そこの詳細はまた今度しよう」
「……とんでもないことしてるってのは理解したよ」
俺もだが、本当に訳がわからないレベルの怪物になったんだな……なんか、実感がわかねぇな。
「! ……来るぞ、備えろ」
「あいよ !」
強烈な光の中から現れたのは……。
「……ワルキューレ、個体名オルトリンデです。マスター、よろしくお願いします」
「よいしょっと……同じくヒルデです、よろしくねマスター」
「ライダー」
「……なんだ」
「なんで二人も呼ばれてんだ?」
「……わからない」
どういうことだよ。……いや、本当に。
供養作品だし、オリジナルだし、アトラス院だし多少無茶なことしても大丈夫だよね! ……ていうことですね。