○工場跡地(昼)
ライダーキックを決めるガッチャード。その傍を見守るマジェード。
ケミーカードを目の前にかざし、ケミーを捕獲。ガッチャードはその捕獲したケミーカードを見つめて「ガッチャ!」と喜ぶ。
その傍を見ていたマジェードは肩の力を抜き、変身解除する。同じく、ガッチャードも変身解除する。
りんね「(宝太郎の傍に駆け寄って)また一体確保したね」
宝太郎「(りんねの顔を1度一瞥して)うん。この調子でドンドンとケミーを捕まえていって、友達になろう」
と言い、元来た道を歩き出す宝太郎。その背中をりんねは見つめる。
蓮華「優等生ちゃん、お宝ちゃんのこと好きなの?」
りんね「(驚いて)わっ、えっ、その、あの」
蓮華「(わざとらしい口調で)ええんや~ええんや~。そういうのは青春やで~」
りんね「青春……かあ……」
と独り言のように呟き、楽しそうに歩く宝太郎の背中を見つめた。
そして──りんねのポケットから、レベルナンバー5のオカルトケミー……ズキュンパイアのカードが顔を覗かせていた。
ズキュンパイア「……どうやら、僕の出番のようだな」
※
仲良く歩く、宝太郎とりんね、蓮華の三人。宝太郎と蓮華の二人は隣で話しているが、りんねはその後ろで静かに見守る。
りんねの心の声(私が一ノ瀬のことを好きに……? そんなわけないじゃん……。大体、なんで私が一ノ瀬のことを……)
宝太郎「何悩んでるの、久堂」
りんね「わっ! わっ!!」
と転びそうになるりんね。優しく受け止める宝太郎を1度一瞥した後、「……あ、ごめん」と離れた。
りんね「ううん。なんでもない」
宝太郎「なら良いけど……。困ったことがあったら何か言ってね」
とはにかむ。
りんねの心の声(やばいやばいやばい……!! どうしよどうしよ……!!)
その時だった。
りんねのポケットからあるケミーカードが飛び出し、謎の光を帯びて変化を遂げる。その光から目を覆った三人。
蓮華「なんだなんだ!?」
宝太郎「何が起きてる……?」
と言っているつかの間、彼らの目の前に現れたのはズキュンパイアだった。
宝太郎「ズキュンパイア……? どうして?」
ズキュンパイア「そこの後ろに居る子猫ちゃんに呼ばれてきたのさ」
宝太郎と蓮華はりんねに顔を向ける。りんねはきょとんとした表情のまま、「え? 私?」と話す。ズキュンパイアは少し歩みを進めて、
ズキュンパイア「君……誰かをズッキュンさせたいと思っているのか?」
りんね「え?」
ズキュンパイア「分かるんだよ。(恋する乙女の真似をして)僕のように、誰かをズッキュンさせたいって思う気持ちが」
宝太郎「え? 久堂ってそんな趣味あるの?」
りんねは嘆息をつく。
りんね「(呆れながら)そんなの、あるわけないじゃん。大体なんで私なの」
ズキュンパイア「あら、覚えてないのかい? 僕が君に憑依したこと」
と、宝太郎と蓮華は思い出すように顔を上に見上げた。
(スラッシュ)
ズキュンパイアに憑依されたりんね「ズッキュン」
(スラッシュ)
蓮華「……あぁ、あのことね」
りんね「いやホントに覚えてないんだけど。なんで私なの」
ズキュンパイア「しょうがないなぁ……」
指パッチンをしてズキュンパイアは王冠の姿に変化する。宝太郎は急いでガッチャードに変身し、王冠の動きを止めようとする。が、俊敏な動きに追いつけず、何にもない平坦な路面に躓いてしまう。
蓮華「嘘でしょ……。優等生ちゃん逃げるよ!」
りんね「え、ちょ」
蓮華とりんねは王冠から逃げる。しかし王冠にすぐに追いつかれ、目の前を阻まれてしまう。
ズキュンパイア(王冠)「……もう、なんで逃げるんだい」
蓮華「逃げるも何も、あんたが襲おうとするからじゃない」
ズキュンパイア(王冠)「僕は最初から襲おうと思ってないけどな……。(元の姿に戻り、りんねに顔を近づけて)君、彼のことが好きなのか?」
とガッチャードをチラリと一瞥する。同じようにりんねも見るが、「いやいや」と首を横に振った。
ズキュンパイア「おかしいなぁ……。俺の体感では、君は彼に予感を感じてたはずなんだけどなぁ」
蓮華の心の声(あかん……! これ、優等生ちゃんの恋心にケミーが反応してるやつや……!)
りんね「(小声で)……たぶん」
ズキュンパイア「ほらやっぱり」
蓮華の心の声(言うのか~~~い!!)
ズキュンパイア「なら手を貸してあげるよ。彼をズッキュンさせたいんだろ?」
と言い、王冠の姿に再びなる。そのまま王冠はりんねの頭上に乗る。りんねは少々苦しみ出すものの、すぐに顔を上げて「ふふ……」と不敵な笑みを浮かべた。
そして──橙色の双眸をガッチャードに向けた。
ガッチャード「え、これどういうこと?」
※
ガッチャードに近づく、憑依されたりんね。橙色の双眸と凜々しい顔つきにガッチャードはきょとんとした表情になりながらも、
ガッチャード「え、え、久堂?」
と言う。憑依されたりんねはガッチャードの顔回りを優しく触れ、
憑依りんね「(囁くように)好き」
ガッチャード「えっ?!」
ガッチャードが驚くのもつかの間、りんねから王冠が外れ憑依が解除される。その場に倒れたりんねは変身解除した宝太郎に優しく抱えられる。そんな状況を見たケミー状態のズキュンパイアは何も言わず、ただりんねのポケットに入っていった。
蓮華「(二人に近づいていき)二人とも大丈夫!?」
宝太郎「え、ええ。蓮華さん、久堂に何が起きたんですか」
蓮華「(食い気味に)それは知らない方がええで」
宝太郎「はぁ」
蓮華「まあとにかく……家に戻ろっか」
宝太郎「そうですね」
と言って、りんねをまるで王女様を抱えるかのように──宝太郎は抱いた。
抱えられた側のりんねは──幸せそうな表情をしていた。
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