本当に感謝です!
これからもよろしくお願いします!
「いよいよ始まりますね!」
モニターを見ながら山田先生がそう言う。
私とセシリアは特別に管制室から試合を見ることを許可された。
ここには私とセシリア、それに千冬さんと山田先生がいる。
「…それにしても理さんはどこにいらっしゃるのかしら?」
と、セシリアが私に話しかけてきた。
「分からん…。
途中までは一緒だったんだが…。
まぁあいつのことだ、じきに来るだろう。」
そう、ここには理もいるはずなのだがふと気がつくと姿が見えなくなっていた。
『___それでは両者、試合を開始して下さい!』
アナウンスとともに響くブザーの音で私は試合の方に集中する。
…頑張れ、一夏……。
………
……
…
「…迷った。」
おかしいな、さっきまで箒達と一緒にいたはずなのに。
イデアから教えてもらった試練のことを考えているうちに、はぐれてしまったらしい。
…しかたない。
管制室なんてどこにあるかわからないので諦めることにして、別の場所から一夏の試合を見ることにしよう。
そう思って周りを見渡してみると、どうやらここは一夏達が試合をしている第1アリーナのピット前らしい。
「ちょうどいい、ピットから一夏を応援することにしよう。」
それに、いざという時すぐに一夏達の元へ向かえる。
そう考え、ピットの中へと入っていった。
…この選択が正しかったことに僕は後で知ることになる。
………
……
…
…あれ痛そうだなぁ。
俺は前方で試合開始を待っている鈴がまとっているIS、『
…いやなんだよあれ刺々しすぎるだろ、あとシェンロンって名前別のやつ思い出すなぁ。
よし、これからは『こうりゅう』と呼ぶことにしよう。
「一夏、今謝るなら少しくらい痛めつけるレベルを下げてあげるわよ。」
「雀の涙くらいだろ?
そんなのいらねぇよ。全力でこい。」
勝負は何事も真剣勝負じゃないと意味がないからな。
『それでは両者、試合を開始して下さい!』
「あっそ…。じゃあ、後悔しても知らないからね!」
ブザーとともに鈴が吠える。
「うおおおおおお!」
俺はセシリアから習った
「ふんっ!」
しかし、俺の斬撃を鈴は手にした青竜刀のようなものをバトンのように回してはね返す。
鈴の武器は両端に刃が付いており、高速回転させながら自在な角度で切り込んでくるので、さばくのも一苦労だ。
まずい、消耗戦になる前に一旦距離を…。
「甘いっ!」
少し後ろに下がった俺を見逃さず、鈴の肩アーマーがスライドして開き、中心の球体が光る。
その瞬間、俺は目に見えない『衝撃』に殴り飛ばされる。
「っ!?」
「今のはジャブだから。」
「ぐあっ!!」
さらに見えない衝撃に追撃され、俺は地表に打ち付けられる。
今のでダメージを結構食らった。
なんなんだ、今のは…!?
………
……
…
「なんだあれは…?」
モニターの中で吹っ飛ばされる一夏を見ながら私は呟く。
「『衝撃砲』、ですわね。」
横で見ていたセシリアが答える。
「空間自体に圧力をかけて砲身を生成、余剰で生じる衝撃それ自体を砲弾化して撃ち出す、ブルー・ティアーズと同じ第三世代型兵器ですわ。」
セシリアの説明を聞きながらも、私の目はモニターの一夏に釘付けになっていた。
一夏………。
………
……
…
「へぇ、よく躱すじゃない。
衝撃砲『龍砲』は砲身も砲弾も目に見えないのに。」
鈴はそう言いながらも、龍砲とやらを放ってくる。
実際あれはかなり厄介だ。
砲身が見えないのもあるが、どうやら砲身角度に制限がほぼないらしい。
「くそっ。何とかして隙を作らないと…。」
でなければ、
しかし、鈴はかなり強敵だ。
理が言っていたが、おそらく鈴は戦闘に入ると冷静になるタイプらしい。
冷静でいられるということは隙を作るのが難しいということだ。
…だけど、絶対に負けてたまるか。
「鈴。」
俺は鈴に呼びかける。
「何よ?」
「本気で行くからな。」
俺はそう言って真剣に見つめる。
「な、なによ…そんなこと、当たり前じゃない…。
とっ、とにかくっ、格の違いってやつを見せてあげるわよ!」
鈴はなんだか曖昧な表情を浮かべたが、すぐに表情を戻し青竜刀を一回転させて構え直す。
俺はその鈴が構え直したのを見逃さず、一気に飛び出す。
「なっ…!?『
『
それは俺と一夏が対戦した後、セシリアが教えてくれた技能だった。
近接武器である『雪片弐型』しかない俺にとって、それは勝つために必要な技であった。
使い所さえ間違えなければ、代表候補生クラスとだって渡り合える!
「うおおおおおおっ!!」
たった一度しか使えないこの奇襲。
絶対に決めてやる!
動きが遅れた鈴の懐まで一気に攻め込む。
「くらえ____
ズドォォォォンッ!!!
っ!!?」
鈴に刃が届きそうになった瞬間、それは起きた。
アリーナ全体に走る大きな衝撃。
ステージ中央からもくもくと煙が上がり、客席から悲鳴が飛び交う。
そして、アリーナの遮断シールドが貫通されていた。
「な、なんだ?何が起こって___
「一夏!試合は中止よ!すぐにピットに戻って!」
状況が分からず混乱する俺に、鈴の声が飛ぶ。
その時、ISのハイパーセンサーが何かを捉える。
『ステージ中央に熱源。所属不明のISと断定。ロックされています。』
「なっ!?」
「一夏、早く!」
「お前はどうするんだよ!?」
「あたしが時間を稼ぐから、その間に逃げなさいよ!」
「逃げるって…、女を置いてそんなことできるか!」
「馬鹿!アンタの方が弱いんだからしょうがないでしょうが!
別にあたしも最後までやり合うつもりはないわよ。
こんな異常事態、すぐに学園の先生達が___
「っ!?あぶねぇ!」
ハイパーセンサーの警告を見て、鈴の体を抱きかかえてさらう。
その直後、さっきまでいた空間を熱線が通過する。
ビーム兵器、しかもセシリアのよりも出力が上。
間一髪であった。
今のを食らっていたら…、と思うと俺の背中に冷たいものが流れる。
「ちょっ、ちょっと馬鹿!離しなさいよ!」
「お、おい、暴れるな!」
と、抱えていた鈴が腕の中で暴れ始める。
その顔は真っ赤であった。
「う、うるさいうるさいうるさいっ!」
「だから暴れるなって!また次が___」
と、再びセンサーに警告が出る。
確認すると、煙の合間から砲身がこちらを狙っているのがチラリと見えた。
「っ!?まずい!鈴っ!」
俺は未だ腕の中で暴れている鈴に呼びかけるが、鈴はまだ気づいていない。
まずい、このままだと喰らっちま______
「“アギ”!」
そんな声とともにピットの入り口の方から、中央に向かって火の玉が飛んでいった。
すると、煙の中から何かが飛びだしてそれを躱す。
が、おかげでレーザーが飛んでくることはなかった。
「大丈夫かい?二人とも。」
その声に相手を確認して、目を見開く。
「…理!?」
そこにいたのは、オルフェウスをまとった理だった。
………
……
…
それに気付いたのは、一夏が鈴に飛び込んでいったときであった。
アリーナの上空、遮断シールドよりも更に上。
「…なんだ?」
そう思った次の瞬間、アリーナが揺れた。
確認すると中央から煙が上がり、遮断シールドが破られていた。
「何が起こって……っ!?」
後ろから聞こえてきたアラーム音に振り返ると、先ほどまで空いていた廊下へとでるドアが閉まり、ロックがかかっている。
さらにアリーナへ出る門のシャッターが閉じようとしていた。
「っ!」
閉じ込められる前に、ステージの方へと飛び込んだ。
飛び込んだ先では一夏が鈴を抱えてレーザーを避けたところであった。
そのレーザーの出力に目を見開く。
今のはセシリアのよりも威力が高かった。
あれはかなり危険だ。
空中では、一夏に抱えられた鈴が暴れている。
こんなときにイチャイチャしてる場合か。
そう思った矢先、煙の合間から砲身が一夏達を狙っているのを確認する。
っまずい!あのままじゃ避けれない!
「オルフェウス!」
僕はすぐさま召喚器を構え、オルフェウスを
「“アギ”!」
そして、煙の方へ向けてアギを放った。
すると、煙の中から灰色の物体が飛びだしてきた。
アギは躱されたが、結果的に一夏達への攻撃はキャンセルされた。
「二人とも、大丈夫かい?」
そう言いながら、一夏達の元へ向かう。
「理!?なんでここに!?」
一夏は僕を見て驚く。
鈴も僕の登場でようやく落ち着いたらしい。
「道に迷ってね、ピットから見てたらアレがきたからすぐに来れたんだ。」
「な、なんだよそれ…?」
僕の言葉に一夏は微妙な顔をしている。
「で、一夏はいつまで鈴を抱えているんだい?」
「……っ!そうよ、はやく離しなさい!」
我に返った鈴は一夏の腕から脱出する。
そして、僕達は飛び出してきた何かを確認する。
「なんなんだ、あれ…。」
一夏がそう呟く。
その姿はまさに異形であった。
深い灰色のそのISの様なものは手が異様に長く、首というものがない。
そして、僕と同じ
その巨体の全身には姿勢を維持するためなのかスラスター口があちこちにみてとれ、頭部には剥き出しのセンサーレンズ。
極め付けに腕にはビーム方向が左右合計4つついていた。
「お前、何者だよ。」
「……………。」
一夏が呼びかけるが、相手は答えない。
その時、一夏達のISから通信が流れる。
『織斑君!凰さん!それに神名君!聞こえますか!』
………
……
…
「みなさん!今すぐアリーナから脱出して下さい!
すぐに先生達が制圧に向かいます!」
横の真耶が必至に呼びかける。
状況はハッキリ言って最悪であった。
生徒の安全を考え、一夏達にアリーナからの脱出を促す。
『___いや、先生達が来るまで俺達で食い止めます。』
が、返ってきたのは拒絶であった。
「だ、駄目ですよ!生徒さんにもしものことがあったら___
『それに脱出は無理です。』
と、神名が一夏の通信を使ってそういった。
『ピットへのシャッターはすでに閉じています。
それに脱出してしまったら、観客席の人達に被害が及ぶ可能性が。』
神名の指摘は的を射ていた。
今、一夏達が脱出してしまえば、先生達がやって来るまでの間、観客席の生徒達は危険に晒されることになる。
「…神名、どうしてお前はそこにいる?
本来ならば、私達と共に管制室にいるはずだが。」
私は神名に質問を投げかける。
『途中ではぐれまして…。
ピットから試合を見ていたので、ロックされる前にアリーナに出ました。』
「…そうか。神名、指揮はとれるな?」
『…はい、大丈夫です。』
「よし、では現場の指揮はお前に任せる。
応援が来るまで持ち堪えろ。」
「お、織斑先生!?」
横の真耶が驚きの声をあげる。
『わかりました。』
そうして、通信が切れる。
「あっ!もしもし神名君!?
織斑君も凰さんも!」
真耶は慌てて呼びかける。
「本人達がやると言っているのだから、やらせてみてもいいだろう。」
「お、お、織斑先生!何を呑気な事を言ってるんですか!?」
真耶は今にも泣きそうな顔をしている。
「落ち着け。コーヒーでも飲め。
糖分が足りないからイライラするんだ。」
私はそう言って、カップを手に取り棚のコーヒーメーカーの方へと向かう。
コーヒーを淹れて側にあった容器のフタを開け、中の白い粒子を入れていく。
「…織斑先生、それ、塩ですけど。」
「……………。」
……………。
私はピタリとコーヒーを運んでいたスプーンの手を止め、側面に『塩』とかかれた容器に戻す。
「なぜ塩があるんだ?」
「さ、さぁ……?」
「……………。」
「あっ!やっぱり弟さんのことが心配なんですね!?
だからそんなミスを___」
「……………。」
……………。
スッ。
「山田先生、コーヒーをどうぞ。」
「へ?あ、あのそれ塩がはいってるやつじゃ…。」
「どうぞ。」
真顔で真耶に差し出す。
真耶はそれを涙目で受け取った。
「い、いただきます…。」
「熱いからな、一気に飲むといい。」
そう言って、処理を任せた。
「先生!わたくしにIS使用許可を!
すぐに出撃できますわ!」
と、オルコットが声をあげる。
「そうしたいところだが…、これを見ろ。」
そう言って、私は手元の端末の情報をオルコットに見せる。
「遮断シールドがレベル4に設定…?
しかも、扉がすべてロックされてるのですか!?」
「そのようだ。あのISの仕業だろう。
神名の言っていた通り、これでは避難することも救援に向かうことも今は出来ない。」
私は冷静を装ってオルコットに説明するが、内心はかなり苛立っていた。
「で、でしたら!緊急事態として政府に助成を___
「やっている。現在も三年の精鋭がシステムクラックを実行中だ。
遮断シールドを解除出来れば、すぐに部隊を突入させる。」
説明してる間にも苛立ちが益々募っていく。
それを察したのか、オルコットは頭を押さえながらベンチに座った。
「はぁ…。結局、待ってることしか出来ないのですね…。」
オルコットがそう言ってため息を吐く。
実際、今の私達は何も出来ない。
「まぁ、現場の指揮は神名が執っているんだ。
深刻な事態にはならないだろう。」
「…理さんがいるだけでそんなに変わりますか?」
オルコットが尋ねてくる。
「ああ。お前は普段あいつといて、一体何を見ているんだ?」
「た、確かに理さんの動きは素晴らしいですが…。
彼はIS初心者です。」
「そうだな。確かにあいつはIS
…だが___あいつの目は何度も死線をくぐってきたかのような目をしている。」
私はモニターの中の神名達を見ながらそう言った。
オルコットは私の方に視線を向けていたが、ふと何かに気づき呟いた。
「あら?篠ノ之さんはどこへ…?」
振り返り確認すると、オルコットの言ったように篠ノ之の姿は無かった。
「……………。」
私はそれに嫌な予感を感じていた。
長くなったのでここできります!
次回、いよいよ絆の力が!!