P3 in IS   作:ティターニア

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さぁ、コミュ回の始まりだ!


22:GW 1日目

ピピピピピ ピピピピピ

 

頭に響くアラーム音で目が醒める。

眠い目を擦りながらいつものように横のベッドに寝ている同居人を起こしにかかる。

 

「…………ああ。」

 

が、そこにいるはずの同居人の姿が無いのを見て思い出す。

 

「今日からGWか。」

 

GW。

祝日と土日が続いてちょっとした連休となる、学生にとって至福の日々。

IS学園は普段は土曜日も授業はあるのだが、この期間に限っては土曜日も休み扱いとなるそうだ。

この連休を利用して、大抵の女子達は家に帰ったりするらしい。

同居人の本音も昨日から家に帰っていた。

セシリアもわざわざイギリスまで帰ってると聞いた。

 

「さて、今日1日どうしようかな…。」

 

私服に着替えながら僕は今日の予定を考える。

勿論、僕には帰る家がないので寮にいるしかない。

だが4日間ある連休のうち、中の2日間は一夏の家に泊まらせてもらうことになっている。

ちなみに一夏は今日から家に帰っている。

なぜ1日あけるのかと聞くと、

 

『大掃除しなくちゃいけないからな。』

 

と言うので、そんなに構わないよと言うと、

 

『ダメだ、千冬姉は家ではかなりの___』

 

と言いかけたところで、どこからか千冬さんが現れ一夏を連れ去ってしまい、最後まで話が聞けなかった。

その後、一夏の無惨な姿を見てこれ以上は何も聞くまいと誓ったのであった…。

 

まあ明日の事は置いといて、とりあえず今日1日どうするかだ。

 

「…適当に校内ぶらついてみるか。」

 

誰かに会えるかもしれないし。

そう考えながら、廊下へと出て行く。

 

………

……

 

人のいない静かな校内を歩く。

いつもは騒がしい女子達の声があちこちから聞こえるが、今日はしんと静まり返り普段とはまた違った雰囲気を感じる。

そして、いつもならこうして校舎の外を歩いていると後ろからついてくる女子の群れが無いのにも、ちょっとした解放感を感じる。

と、少し向こうに花壇の花に水をあげている人がいる。

初老の男性で服装からして、学校の用務員さんのようだ。

僕と一夏以外に男がいるとは。

話をしてみたくなったので近づいていった。

 

「おや、君は確か神名君でしたかね。」

 

と、こちらに気づいた用務員さんが先に話しかけてきた。

 

「はい、そうです。

僕の名前知ってるんですか?」

「それは勿論ですよ。

君はうちの生徒ですからね。」

「えっと、用務員さんですよね?」

「ええ、轡木十蔵と言います。」

「僕と一夏以外に男性がいるなんて知りませんでした。」

「そうですねぇ、私はこうした地味な事しかしてませんからねぇ。」

 

轡木さんは笑いながらも花に水をあげている。

 

「でも、轡木さんのおかげで学園が過ごしやすい環境になってるって思うと、尊敬しますよ。」

「いやぁ、そこまで大袈裟に言わなくとも。

そういえば君達の活躍、見させてもらいましたよ。

織斑君も勇気のあるいい子ですが、君は冷静に状況を把握できる聡い子ですね。

ぜひともその力で皆を正しい方向へ導いていってほしいですね。」

 

正しい方向へ。

轡木さんは微笑みながら確かにそう言った。

それは今の世の中の事を言っているのか、それとも他の事を言っているのかは分からなかったが、

 

「………はい。」

 

と、僕は頷いた。

 

 

 

………っ!?

 

頭の中に声が響く。

 

“我は汝、汝は我…”

“汝、新たなる絆を見出したり…”

“絆の力は汝の旅の助けとなる…”

“汝に‘法王’の力を授けん…”

 

頭の中の声は聞こえなくなった。

 

「それにしてもねぇ、もう少しこう、インパクトを出したいんですよねぇ。」

 

轡木さんは首を傾げながら考え込んでいる。

 

「前は女の花園らしく、植え込みを全てバラにしようとしたんですけど、織斑先生に止められてしまいましてねぇ。」

「僕達からすれば、バラじゃなくて本当に良かったですよ。」

 

いや、千冬さんマジでナイス。

 

………

……

 

GW中寮に残る生徒もいるので、祝日だろうと食堂は開いている。

なんと感謝すべきことだろう。

というわけで食堂にやって来ると、

 

「ん?理じゃない、一緒に食べよ。」

 

そこにはなんと鈴がいた。

持っているおぼんには相変わらず中華料理が。

 

「鈴っていつも中華料理だよね?」

「いいじゃない、好きなんだから。

文句あるの?」

「いや、ないけど。

よし、今日は僕も中華にしよう。」

 

人のを見てると自分もそれを食べたくなる現象だ。

麻婆豆腐セットを注文し、鈴のいる席に向かう。

 

「鈴は里帰りしないの?

セシリアは昨日からイギリス帰ってるけど。」

「あのね、アタシここに来てからまだ1週間ちょっとしか経ってないのよ?

そんなんで帰ったらホームシックって思われるじゃない。」

 

そんなものかな?

 

「それに、ずっとここにいるわけじゃないわよ?

明日は友達の家にパジャマパーティーに行くのよ。」

「そうなんだ、僕も明日一夏の家に泊まりに行くんだ。」

 

ぴたっとラーメンを食べていた鈴の手が止まる。

しまった、爆弾を送ってしまった。

 

「…それ、泊まりに行くのアンタだけでしょうね?」

「勿論だよ何を言っているんだ鈴は。」

「ふぅん、ならいいわ。

アンタにそっちの気がないのを祈っておくわ。」

「失敬な。僕にそんなのはないよ。」

 

僕はちゃんと女子が好きだ。

 

「じゃあアンタ今気になってる子とかいるの?」

「え〜、今は特には…。」

「そうなの?あの子は?

アンタとよくいるグループの中で大人しそうな子。」

「ナギの事?」

 

ナギの名前を口にすると共に、一昨日の出来事を思い出す。

 

「…うん、そうだね。」

「はぁ?何その適当な返事、何がそうだね、なのよ。」

「そういえば、一夏とは仲直りしたの?」

 

露骨に話題を変える。

 

「あぁ、その事…。

確かに仲直りはしたけど…。」

 

話題路線の変更は上手くいったようだ。

鈴はみるみる表情が暗くなっていく。

 

「一夏が、あの一夏が、約束の意味をやっと感づいたんだけど、そういう意味じゃないよな?って言われて…。」

「つい、違うに決まってるでしょ、とか言っちゃったのか。」

「………。」

 

無言の肯定。

 

「せっかくのチャンスを無駄にしちゃったわけか。」

「し、しょうがないじゃない!

その時はキスしようとして、急に起きてくるんだから慌ててて…。」

「寝込みを襲うとは卑怯だね。」

「うううるさいわね!

いいじゃないちょっとぐらい…。」

 

一夏ラヴァーズは変な所で奥手だ。

 

「はぁ、皆して変な所で尻込みするんだから…。」

「皆ってアンタ誰の味方なのよ!」

「誰の味方でもないよ。

見てるこっちもモヤモヤするから、誰でもいいからくっついてよ。」

「そんな簡単に出来たら苦労しないわよ!」

 

まぁ、それもそうだね。

 

「てゆうかそんな事言うけど、アンタは付き合った事とかあるの!?」

「あるよ。」

「あるの!?」

 

あるとも。

しかも驚異の5股。

 

「好きな人には好きってちゃんと言うからね、僕は。」

「くぅ、反論できない…。」

「まぁ、僕は僕で一夏に乙女心が分かるように助言するからさ、君達は君達で切磋琢磨しあってくれ。」

「くっ…、一夏のハートを奪うのはアタシよ!」

「いや、僕に宣言されても。」

「見てなさいよ理!

アタシが本気出せばちょちょいのちょいなんだから!」

 

鈴は立ち上がって拳を握り、決意を固める。

鈴の意思が伝わってくる。

 

 

 

 

………っ!?

 

頭の中に声が響く。

 

“我は汝、汝は我…”

“汝、新たなる絆を見出したり…”

“絆の力は汝の旅の助けとなる…”

“汝に‘剛毅’の力を授けん…”

 

頭の中の声は聞こえなくなった。

 

「…うん、頑張ってね。」

「勿論よ!」

 

鈴は勝ち誇った顔で再び席に着いた。

 

「さて、それはそうと午後はどうしようかな…。」

 

この後の予定はまだ決まってない。

このままだと、部屋でゴロゴロすることになりそうだ。

 

「あら、理昼から暇なの?

じゃあアタシの買い物に付き合ってよ。」

「買い物ってなんの?」

「明日のパジャマパーティーに向けての準備よ。

お菓子とか色々買いに行くの。」

「僕が必要な理由は?」

「決まってるじゃない。」

 

鈴はニヤリと笑った。

 

「荷物持ちよ。」

 

 

 

結局、午前中は校内を適当にぶらつき、午後からは鈴の買い物に付き合わされ、GWの初日は幕を閉じた。

 




というわけで一気に2つもコミュ発生でした。
轡木さんの口調がよくわからん。


次回はGW2日目、一夏の家に行きます。


評価がもうちょいで1列揃う。
投票してもいいのよ?(チラッ チラッ
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