P3 in IS   作:ティターニア

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遅くなりましたが、これで今年の投稿は最後かと思われます。

UA50000達成、拙い作品ですが見て頂けて本当に感謝です。
これからもよろしくお願いします!


25:GW 最終日

目を開くと、イデアの部屋に居た。

…えっと確か一夏達とゲーセンに行って、帰ってきたら疲れて寝ちゃったんだっけ。

 

「ようこそ。」

 

白いイスに座っているイデアが口を開く。

 

「この数日の間に新たに2つの絆を築いたようですね。

さすがですね。」

「…最後の言葉に少し悪意を感じる。」

「また、魔術師の絆をさらに深めたようですね。」

 

僕の言葉を無視して、イデアは言葉を続ける。

 

「絆は築き上げるだけではなく、深めれば深めるほどより強力なサブペルソナを召喚できるようになります。」

「…わかった。」

「では、本題に入りましょう。」

 

そう言ってイデアは立ち上がり、後ろに置いてあるエアホッケー台へと近寄って行った。

…………………。

 

「何をしているのです。

早く始めますよ。」

「…………。」

「貴方達が遊んでいるのを見て興味を持ちましてね。」

「…本題ってこれの事?」

「何を言っているのです。

あれはジョークというものです。

いいから始めますよ。」

 

ジョークと言いながら、ゴールの前でマレットを高速で動かしている。

……これからが本当の地獄か…。

 

………

……

…

 

「………腕がだるい。」

「ん〜?かみなんどうしたの〜?」

 

昨日のエアホッケーの疲労がまだ残っている腕をブラブラさせてると、着ぐるみ姿の本音が訊いてきた。

…何で夢の中なのに疲労は付いてくるんだよ。

 

「何でもないよ。

ちょっと…、死闘をね……。」

「う〜ん、思いの外内容がくだらなさそうだからいいや〜。」

「酷い事言うね。」

 

にしても、彼女の着ぐるみ姿は数日ぶりに見るな。

少し物足りなさを感じていたところだった。

 

「本音は家に帰ってたんだよね?」

「家っていうか、かんちゃん家なんだけどね〜。

わたし、かんちゃんの召使いなんだ〜。」

「へぇ、そうなんだ?」

「うん、うちの家系はね〜、代々かんちゃん家に仕えてるんだ〜。

わたし実はメイドさんなんだよ〜。」

 

かんちゃんが誰かはわからないが、本音はその子の従者らしい。

……正直想像しがたい。

 

「あ〜、その目は疑ってるな〜。」

「まぁ、普段のことを考えたらね。」

「かみなんはまだ見てないからだよ〜。

わたしは本当はなんでも出来るんだからね〜。」

「働かない人が言いそうなセリフだね。」

「む〜、そこまでいうなら見せてあげよう〜。」

 

本音は僕の右腕を掴んできた。

 

「腕がだるいんだったよね〜?

では、私が癒してしんぜよう〜。」

 

そう言って本音は僕の腕を揉んでマッサージを始めた。

ふむ、確かに上手い。

しかし、メイドがマッサージをする機会があるのだろうか。

 

「あー、癒される〜。」

「ふっふっふ〜、お客さ〜んかなりこってますね〜。」

 

よくありそうなセリフを言いながらマッサージを続けてくれる。

…それにしても本音は何かに似てるんだよなぁ。

荒んだ僕の心を癒してくれる…、ああ、コロマルだ。

疲れた時はコロマルを撫でると疲れもとれたなぁ。

そんな事を考えて、本音の頭をついつい撫でる。

 

「よしよしよしよし。」

「…かみなんの私を撫でる手がペットを撫でるそれと似てる気がする〜。」

 

「私はペットじゃないぞ〜!」と怒る本音に構わず、頭を撫で続けた。

 

…>理の疲労がとれた!

>理は絶好調になった!

 

………

……

…

 

お昼を食べに食堂に来ると、一夏と鈴がいたので一緒に食べることにした。

GW最終日にもなると、だいぶ生徒も学園に戻って来ているようだ。

食堂は数日ぶりのにぎわいを見せている。

 

「う、腕が…。」

「あんた達またエアホッケーしたの?

飽きないわねー。」

「弾がやるって…。

結局俺の連勝が伸びただけだけど。」

「あいつ相変わらず下手なのね…。」

 

一夏は昨日のエアホッケーの疲れがまだ取れていないらしく、黒豆を食べようとして落とすという動作を繰り返していた。

 

「理は何ともないのかよ?

あんなに激しい闘いを繰り広げたのに。」

「全然? 今からでも出来るよ。」

「…何か今日は理が輝いて見えるわ。」

 

何せ僕には本音(癒し)がついているからね。

もうトイレに行く必要は無くなったんだ。

 

「あら、皆さんお揃いで。」

 

と、ここでセシリアもやって来た。

 

「おっ、セシリア数日ぶり。」

「ええ、でも体感的には数週間振りのように感じますわ。」

「えっと、確かイギリスに帰ってたんだっけ?」

「はい、お土産に美味しい紅茶の茶葉があるので是非飲みにいらして下さい。」

「それは楽しみだ。」

 

そんなことを話しながら食事を進める。

 

「そういえばここに来る途中、箒さんを見かけましたわ。

ひどく落ち込んでいるように見えました。」

「謹慎室にいたのよね?

昨日アタシも見かけたから一昨日に出れたんじゃないかしら。」

 

そうだ。

箒はこないだの事件の時の行動を咎められて、謹慎を受けていたんだった。

 

「一夏、アンタ同じ部屋なんだから会ってんじゃないの?」

「いや、昨日は帰って来てすぐに寝ちゃったから会ってないし、今朝も俺が起きた時点でもう居なかったんだよな。

確かに居た形跡はあるんだけど。」

 

「ちゃんと話がしたいんだけどなぁ」と、一夏が呟く。

…これは行くべきだな。

 

………

……

…

 

寮棟の屋上。

普段からあまり人が来ない場所であったが、そこに箒は居た。

柵にもたれかかりながら景色を見ているようだった。

 

「こんなところにいたのか、箒。」

 

僕が声をかけると、ビクッと反応してゆっくりと箒は振り返る。

振り返った箒の顔は確かに思い悩んでいる顔だった。

僕は箒に近づき、あらかじめ買っていた缶ジュースを差し出した。

箒は一瞬躊躇したが、それを受け取る。

箒が受け取ったのを確認し、同じように箒の横で柵にもたれかかり、自分の缶ジュースのプルタブを開けて中身を飲む。

 

「…ユグドラ汁意外においしいな。」

「……………。」

 

箒は受け取った缶ジュースを飲まずにただじっと見ていた。

僕は箒が口を開くのを待った。

 

「………あの時は済まなかった。」

 

しばらくして、箒はか細い声でそう言った。

 

「一夏の事が心配で思わず動いてしまった。

…おかげで迷惑をかけてしまった。」

「こら。」

 

どうやら反省の方向を少し間違えてるみたいだ。

 

「謝る言葉が違うでしょ?」

「………。」

「箒が一夏の事を心配してたように、あの時は僕達だって心配したんだからね。」

「…そうだな。

私はちゃんと反省出来てなかったようだ。」

 

そう言って箒は僕の方を向いて頭を下げる。

 

「心配をかけて済まなかった。」

「いいよ、無事でなによりだ。」

 

顔を上げた箒の表情は幾分か和らいだように見えた。

 

「中継室にいた人達には謝った?」

「ああ、ちゃんと誠意を持って謝罪をした。

私の浅はかな行動で命の危険に晒してしまい、本当に申し訳なかった、とな。」

「うん、じゃあ一夏とも話をしないとね。」

 

そう言うと、箒の表情は再び陰りを見せる。

 

「……私は、」

 

箒は俯いたまま口を開く。

 

「一夏の力になりたいと思っている。

少しでも一夏の助けになりたい、そう考えている。

…だがあの時の行動は迷惑だったのでは、と思うと面と向かって話すことが出来ないんだ。」

 

拒絶されるのが怖い。

言葉の裏にそう言っているのを感じた。

 

「……でも、一夏はそんな奴じゃないって分かってるでしょ?」

「…そうだな、一夏はきっと、無事でよかった、と言ってくれるだろう。

…だから、これは私の弱さの問題だ。」

 

「心の弱さ、そして…。」と箒は小さく呟いた。

 

箒の事が少し分かった気がした。

 

「…ありがとうな、理。」

 

やがて箒は顔を上げた。

 

「一夏の所にはちゃんと行く。

行ってちゃんと話をする。

どのみち時間の問題だったがな。」

「そう、それならいいけど。

あの一夏も話がしたいって言ってたからね。」

「…そうか。」

 

箒は自分の想い人(一夏)の事を考え軽く頬を染めながら

、缶ジュースの蓋を開けグイッと飲んだ。

 

「…ふむ、確かに美味しいな。」

 

そう言って彼女は少し笑った。

 




前半コミカル、後半ちょっとセンチメンタル。


あと1話日常的なものをした後に、メインストーリーに入っていこうかと思います。
…ようやく物語がすすむ。

現在のコミュランクはこんな感じですね。

魔術師〔織斑一夏〕:2
恋愛(恋人)〔篠ノ之箒〕:2
剛毅(力)〔鳳鈴音〕:1
法王〔轡木十蔵〕:1
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