ガンダムSEED DESTINY 飛び立つ翼   作:izuki

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第十話 姿を現す『翼』

 シキが戦場を離れて数分。

 アスランはエネルギー切れを起こした敵モビルアーマーの撃破に成功した。

 連合軍側に新たにもう二機のモビルアーマーが出てきた以上もう手加減をする必要は無くなり、実にあっさりと撃破することが出来た。

 しかし、肝心の陽電子砲が攻略できない。

 敵が投入してきた二機のモビルアーマーが完璧に陽電子砲の前に陣取り、こちらからの攻撃を一切通してくれない。

 何とか引きはがそうにも二機のモビルアーマーがお互いにお互いをカバーしている為に簡単にはいかない。

 すると、突如、砲台付近の岩肌が爆発しそこからコアスプレンダーが出てきた。

 シンは何とかあの坑道を通り抜けたのだ。

 続けてチェストフライヤーとレッグフライヤーが躍り出て来てすぐさま合体しようとするが、ここで思わぬ事態が起こる。

 

「ローエングリンは?え! 何で!?」

 

 シンが坑道から出て来るのに合わせてミネルバの方からフォースシルエットが射出されてきたのだ。

 慌てて合体シークエンスにフォースシルエットを組む込み、ギリギリのタイミングではあったが換装を成功させる。

 

「どういうことだよ?これ?」

『ミネルバよりシン・アスカ機へ』

「メイリン?一体これはどういうことだよ!?」

 

 換装完了直後にミネルバからの通信が入る。

 未だ状況の理解に追いつけないシンは戸惑うばかリであった。

 

「――作戦内容の変更!? このまま陽電子砲を落とすんじゃないのか!?」

『いいえ。本隊並びにラドル隊はこのまま戦線を維持。敵陽電子砲の二射目に備えて下さい』

「どうして、そんな急に!?」

『敵陽電子砲台に新たに二機、モビルアーマーを確認しました。このままインパルスで強襲を掛けても有効打撃は望めません。よってインパルスはモビルスーツ隊に合流し戦線の維持に当ってください』

「新しいモビルアーマーって、何だよそれ!?」

 

 シンが陽電子砲台を捉えると、そこには二機のモビルアーマーが砲台正面に陣取っており陽電子砲を守っていた。

 それらに向かって空中からセイバーが、地上からはザク二機が攻撃しているが、二機のモビルアーマーの連携により攻撃は全て防がれてしまい陽電子砲にダメージを与えられていない。

 ふと、シンはその光景を見て一つの疑問を覚える。

 

「セイバーとザクだけ?……あのシキって奴は?」

『それは……』

「何だよ、まさか落とされたのか!?」

『そうじゃないんだけど……』

「? だったら―――」

『そんなのこっちが聞きたいくらいよ!いきなり通信してきて少し戦域を離れるから戦線を維持して欲しいって言ってきて、本当ならもうとっくに撤退してなきゃなら―――あ、はい、すみません』

 

 通信の途中でメイリンが不自然に言葉を切る。

 突然大声を出したことをタリアにでも咎められたのであろう。

 

『とにかく、そう言う訳だから……』

「……了解」

 

 まだ色々聞きたい事や納得のいかない事が多々あるが、シンは作戦内容に渋々と了承し、フォースインパルスのスラスターを最大にしアスラン達の元へと急行する。

 

 

 シンが戦闘に参加してから数分。

 インパルスとセイバーは連携して敵の死角を突いて攻撃するが、敵の二機がお互いにお互いをカバーしている為に攻撃は防がれてしまう。

 先ほどよりもマシになったとはいえ二機の見事な連携により陽電子砲にダメージを負わせられていなかった。

 あの二機は他の敵よりも手練れであり、あのアスランですら苦戦を強いられている。

 ミネルバから見ていたタリアはそう思った。

 そして、そうこうしている間に敵陽電子砲の二射目の発射態勢が完了しようとしていた。

 

「敵陽電子砲の発射体勢を確認! 本艦が狙われています!」

 

 シキという傭兵の青年から言われた通り敵の陽電子砲は二射目を放とうとしていた。

 そう言われていたからこそタリアはミネルバをわざと敵の陽電子砲の的となるため、もう一度上空に躍り出させていた。

 

「敵だって馬鹿じゃない、さっきと同じ結果になるかわからないわ。決して油断しないで! ――― タンホイザー起動!!」

 

 その指令に対しアーサーが口を挟む。

 

「ですが、艦長。タンホイザーの充電率は―――」

「構わないから撃って!……それともアレに対抗する手段が他にあるっていうの?」

「そ、それは、そうですが……」

「とにかく、彼のことを信じましょう。……彼が戻ってくるまで何としてでも時間を稼ぐ」

「り、了解しました。た、タンホイザー起動、目標、敵陽電子砲台」

 タリアはアーサーを説き伏せるが、ミネルバの主砲の充電率は未だ80%を割っている。

「発射のタイミングに留意、敵のローエングリン発射前に先制を仕掛ける!」

「り、了解」

 

 そんな不完全の状態ではあるが相手のローエングリンに対してカウンターを仕掛けるという作戦である。

 タンホイザーを撃てば敵は必ず防いでくる。

 向こうも防御を展開している間はローエングリンを撃つことは出来なくなる。

 

「タンホイザーを撃ち終えたらそのままは急速降下、各員は衝撃に備えて!」

 

 クルーに指示を出してタイミングを待つ。

 

「ローエングリンからの熱源を確認しました!」

「 タンホイザー照準!―――撃てぇーーーっ!!」

 

 敵陽電子砲に向けて一直線にタンホイザーが放たれる。

 案の定、敵モビルアーマーが前に出てきて陽電子リフレクターを展開しこれを防ぐ。

 やがて、タンホイザーは収束する。

 

「機関最大!! 急速降下!!!」

 

 タリアの号令の下、ミネルバは再びその船体を大きく地へと向ける。

 しかし―――

 

「ローエングリンの照準がミネルバの降下先に向けられています!!」

「何ですって!!」

「このままでは直撃を受けます!」

「―――っ」

 

 タリアは想わず唇を噛む。

 敵は先ほどの陽動でこちらの動きを読んでいたということ。

 

「回避!!」

「間に合いませんっ!!」

 

 回避は間に合わず、敵陽電子砲がミネルバに向けて放たれる――――

――――はずだった。

 

 

 

 

 

 

 

「コース固定、ターゲットロックオン、――発射(ファイヤ)

 

 

 

 

 

 

 

 瞬間、ミネルバの上空を閃光が走った。

 二条の光は一直線に向かっていき、リフレクターの展開を閉じ、油断していた敵モビルアーマーと陽電子砲を貫いた。

 モビルアーマーは爆発し、発射直前の状態だった陽電子砲も盛大に爆炎を上げて爆発する。

 タリアも、アーサーも、メイリンも、ブリッジ内のクルー全員が、いや、ミネルバだけでは無い。

 それを見ていた戦場の誰も何が起こったのか一瞬、理解ができなかった。

 

「っ!後方から機影!」

 

 メイリンがそう言い終わる瞬間、再びミネルバの上空を何かが通り過ぎて行った。

 それは、白き翼を持つ鳥の様な戦闘機であり、そのまま空中で変形を開始する。

 

「これは!あのときの!!」

 

 変形を終えた戦闘機、いや、そのモビルスーツは天使の様なその翼を大きく広げる。

 

「綺麗……」

 

 それを見てメイリンは思わず言葉をこぼす。

 それは、ユニウスセブン破砕の現場で見た。

 白き翼を持つモビルスーツだった。

 

 

 「なんとか間に合ったか……ギリギリだったな」

 

 私はレジスタンスの基地についてすぐにウイングゼロへ乗り換えネオバード形態に変形し全速力で戦場へと戻ってきた。

 向かっている最中にZEROが嫌な光景を見せてきたため、敵陽電子砲の確認が出来る距離に入るとすぐに確認。

 発射寸前なのを確認してすぐにネオバード形態のバスターライフルによる狙撃で一機のモビルアーマーと陽電子砲を破壊した。

 高速移動ができるネオバード形態だったから間に合ったが変形できなかったら間に合わなかったかもしれない。

 しかし、陽電子砲を破壊したといってもバスターライフルの出力を落としていたため完璧に破壊できたわけではない。

 この戦いではもう使えないかもしれないが修理をすればまた使用可能になるだろう。

 現に連合軍は直ぐ様ローエングリン砲を地下シェルターに格納しようとエネルギー供給ケーブルを切り離しエレベーターでローエングリン砲が地下で移動してしている。

 そして、その前にモビルアーマーが陣取っている。

 他の連合のモビルスーツもザフトのモビルスーツに攻撃をしている。

 まだ戦いは終わっていない。

 

「いくぞ、ゼロ」

 

 機体を上昇させ、目標位置に到達するとローエングリンへ向けてツインバスターライフルを構える。

 

「ターゲット、敵陽電子砲並びにモビルアーマー、ターゲット、ロックオン」

 

 照準を定め、破壊対象の周りに味方機がいない事を確認する。

 

「破壊する」

 

 放たれた一撃は敵モビルアーマーと砲台ごと敵基地を破壊する。

 今、ここに一つの戦が終わりを告げた。

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