ガンダムSEED DESTINY 飛び立つ翼   作:izuki

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第十一話 作戦後

プラント最高評議会 議長室

 

「そうか、ミネルバはやってくれたか」

 

 プラント最高評議会議長、ギルバート・デュランダルはミネルバから送られてきた中東地域のガルナハンで行われた作戦の報告書を読んでいた。

 

「それにしても興味深い」

 

 報告書は通常の文書によるものともう一つ、映像データが送られてきていた。

 それには、ユニウスセブンの破壊作業時に見た一機のモビルスーツが敵陽電子砲を破壊するシーンが録画されていた。

 デュランダルが知る限りこのような機体のデータは見たことがない。

 こんなに強力なモビルスーツの存在をデュランダルが見落とすわけがない。

 であれば、この機体は連合とザフトのどちらにも所属していないどこかの勢力、もしくは個人の手で製造された機体ということになる。

 さらにデュランダルが興味を引かれたのはこのモビルスーツのパイロットが傭兵の青年だということ。

 報告書によればパイロットはレジスタンスに所属している傭兵の青年で作戦には最初レジスタンスが所有していたバクゥで戦っていたということ。

 これらのことがデュランダルの興味を掻き立てていた。

 

「一度、会ってみたいものだ」

 

 ちょうど今度地球で行われる『ラクス・クライン』のライブに便乗し、デュランダルも同行する事になっている。

 そこで会ってみるとしよう。

 

 

ミネルバ・モビルスーツ格納庫

 

 ガルナハンの地球連合軍基地を陥落させてからシキはミネルバの補修が終わる間ミネルバのモビルスーツハンガーを借りてウイングゼロの整備をしている。

 ウイングゼロは海から引き揚げてから今までまともな整備が出来ていなかったため正直言って物凄く助かっている。

 いくらガンダニュウム合金で出来ているウイングゼロとはいえ整備できない期間が続けばいつかはガタが来てしまう、今回整備する場所を得ることが出来てよかった。

 今はコックピットハッチの上に座りコックピットからケーブルで繋いだ端末のキーボードを叩き、機体の状態のをしている。

 

「機体損傷度、各センサー及び、全推進システム、異常なし。全関節駆動部及び、ゼロフレーム、異常なし。装甲損傷率、ノープロブレム。」

「おーい!」

 

 下の方から声が聞こえて私はそちらに視線を向ける。

 ウイングゼロの足元に赤色のメッシュという特徴的な髪色の少年がいる。

 その後ろには黒髪で色黒の肌の少年。

 確か、ミネルバのモビルスーツ整備兵のヴィーノ・デュプレとヨウラン・ケントだったか。

 

「なんだって俺たちの好意を無視するんだよ。せっかく他の機体と一緒に整備してやるっていうのに」

 

 そうなのだ。最初ミネルバにウイングゼロを格納した後、セイバーやザクなどの整備と一緒にウイングゼロの整備もしてくれると言ってきたのだが、私はそれを断り工具だけ借りたのだ。

 何故かというと、この世界において未知の技術の塊であるウイングゼロについての情報をこれ以上彼らに与える訳にはいかないということと、ZEROシステムがあるからである。

 例え整備のためであろうと不用意にコックピットに座り、

 このシステムを起動させようものなら、システムよって支配され、操り人形となり果ててしまうだろう。

 最悪の場合、システムの負荷に耐えきれなかった人間はその命尽き果てるまで無意味な破壊と殺戮をすることになってしまうだろう。

 万が一この場でウイングゼロが暴走を来たしたなら、現時点においてそれを止める為の手段は存在しない。

 それに、露骨に整備をしてくれると言ってきたため、大方整備をしながらウイングゼロのデータでも取る気だったのだろう。

 違ったら申し訳ないが。

 

「私のモビルスーツは他人に触ってほしくない。それだけだ」

「けど――」

「やめろよ、ほら…」

 

 二人はその場を去っていった。

 私は再び作業を再開する。

 キーボードを叩きながら今回の作戦においてのイレギュラーであった二機のモビルアーマーについて考える。

 今回、後から現れた二機のモビルアーマーは私の知る限り本来あの場に存在しないはずだった。

 なのに今回この二機は出てきて、しかもこの二機の連携は完璧でダメージを全く与えることのできなかったらしい。

 

「……私が知る知識とは別の何かが起きていると考えて良さそうだな……」

 

 もしかしたら、これから先もこのようなことが起きるかもしれない。

 それに、私がこの世界に迷い込んだことで本来のストーリーから変わってしまった。ということも考えられる。

 

「おーい、シキー」

 

 考え事をしながら作業していると、再び下の方から声が聞こえてきた。

 コニールの声だ。

 私は作業を中断して、下へと降りてコニールの元へと向かう。

 

 

 シキがウイングゼロの整備をしている一方、シンはコアスプレンダーの整備を行っていた。

 その後ろには先ほどシキに整備を断られたヴィーノとヨウラン、パイロットであるルナマリアが言葉を交わしていた。

 

「ったく、なんだよあいつ、折角俺達が整備してやろうっ言ってるのにさ」

「まあ、自分のモビルスーツは他人に触ってほしくないっていうのは少しだけわかるかなぁ」

 

 ヴィーノの愚痴にルナマリアが理解を示す。

 自分も全くの赤の他人に自分のザクを触らせるっていうのは少し嫌だからだ。

 

「にしても、すげーよなぁ、あのモビルスーツ。あんなの今まで見たことないぜ。変形もするんだろ?」

「あのビームライフル?も凄い威力だったな」

「いまだに信じられない。私たちがいくら攻撃しても破れなかったのに、あんな簡単に終わらせちゃってさ……」

「……何でアイツ、最初からあの機体使わなかったんだろうな?」

「なあ、しゃべるんなら余所でやれよな。……気が散るから」

 

 コアスプレンダーの整備を行っていた、シンが3人に対して文句を述べる。

 

「いいじゃんべつに、私のザクはもう整備終わって艦長たちの話し合いが終わるまで暇なんだから……」

「それにこうやって手伝ってるだろ」

「そうそう」

「ヴィーノとヨウランはそれが仕事だろ」

「あいつのモビルスーツの整備が出来れば、仕事ができるんだけどな」

「あんた、そういってあのモビルスーツを触ってみたいだけでしょ」

「良いじゃん別に、それが仕事なんだから」

 

 ルナマリアの指摘が図星だったようでヴィーノが不貞腐れる。

 そこにヨウランが会話を続ける。

 

「そういえばさあ、あのシキって奴、作戦の前、シンたちよりも早くここに来たよな」

「……それが?」

「拗ねんなよ、シン。悪かったって」

「別に……拗ねてなんか……」

「で、アイツがどうしたって?」

「……ルナマリア、もうちょっと空気読もうぜ」

 

 ヨウランが大人の対応でルナマリアを諌めるが

 

「だって、シンの機嫌が悪いのなんていつもの事じゃない。一々気にしてたら切りが無いわ」

 

 と、こう返される。

 

「ハァ……もう、いいよ……ヴィーノ、続けてくれ」

「……それでさ、アイツ俺に聞いてきたんだよ。『この艦のモビルスーツはこれだけか?』って」

「……お前まさか答えたんじゃないだろうな?」

「えっ、いけなかったの?」

 本来そういったことは機密情報として扱われるため共に戦うとはいえ部外者に教えてはならない。

「お前ねえ……で、お前何て答えたんだよ?」

「えっと、前はゲイツとか乗せてたけど今はこれだけだって……」

「まあ、それぐらいならいいんじゃない。作戦前に戦力の確認をしただけでしょ……あっ!話が終わったみたいね、隊長戻ってきた。ほら、あそこ」

 

 ルナマリアに促され、シン達が入り口に目をやるとアスランが入ってくるのがわかる。

 アスランはコニールと話しているシキを見つけるとそちらの方へ向かって行った。

 

 

 私はコニールから今回の依頼の報酬を受け取り、別れの挨拶を交わしていた。

 

「なあ、本当に行っちゃうのか?もう少しここにいても……」

「依頼は完遂した以上ここにいる意味はないからな、機体の整備が終わり次第ここを離れる。」

 

 私はこれから起こる出来事に介入する必要がある。

 そのためには整備が終わり次第すぐにでもここを離れる必要がある。

 

「そう、だよね」

「それに、お前たちにはこれからするべきことがあるだろう」

「……うん」

「……お前も早く街へ戻れ」

「……うん」

 

 そう返事をするもののコニールは、立ち去る気配を一向に見せない。

 

「すまない、少しいいか?」

 

 コニールと向かい合っているとアスランが話しかけてきた。

 

「……なんだ?何か用か?」

「ああ、君に話がある」

 

 どうやら私に用があるらしい……何か面倒な予感がする。

 

「……要件は?」

「ああ、ミネルバはこの後すぐにガルナハンを発ち、ディオキアの基地に向かうのだが、君にもこの艦に同乗して貰いたい」

 

 私は顔には出さなかったが、それに驚いた。

 ようは、ザフトの基地であるディオキアにまで同行してほしいと言っているのだ。

 そして、それと同時に疑問も湧く。

 

「……何故、私が同行する必要がある?」

「……ある人が君と話をしたいと言っている。その為にディオキアまで来てほしいと」

「…………私に会いたいというのは?」

 

 私が聞くとアスランは少し考え込む。

 

「……ギルバート・デュランダル。現プラントの最高責任者だ」

 

 アスランがその名を口にした途端、コニールは出てきた名前の大きさに驚きを露わにする。

 当たり前だ。まさかザフトでも無い一介の傭兵にプラント政府の頂点が面識を諮るなど聞いたことありえない。

 だが、私としてはそんなことはどうでもよかった。

 アスランが私に会いたいと言う人がいるということ、そしてディオキアまでと言うことから可能性はあったからだ。

 問題があるとすればデュランダルに興味を持たれてしまったこと。

 恐らくだが今回の作戦での報告書の内容に私のことも書かれているはず、それにデュランダルが興味を持ってしまったのだろう。

 …………最悪だ、関わらないようにしようと思っていたのに。

 それに、来てほしいと遠慮がちには言って入るけど、ほぼ強制じゃないか。

 

「……わかった、同行しよう」

「ありがとう、これからのことを話したい。こっちに来てもらえるか?」

「ああ」

「ミスコニール、そろそろ街へ戻られた方が……出航までもう時間がありません」

 

 アスランが未だガルナハンへと戻らず、ミネルバへと留まっている少女へと下船を促す。

 

「うん……」

 

 私はアスランの先導でコアスプレンダーの整備をしているシン達の元へと行こうとする。

 

「シキ!」

 

 すると、後ろからコニールに声を掛けられて振り向く。

 

「ありがとう!シキがいてくれてよかった!」

 

 そう言って満面の笑みを浮かべる。

 

「……気を付けて帰れよ」

 

 私は一言、そう言ってアスランについて行った。

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