ガンダムSEED DESTINY 飛び立つ翼 作:izuki
空が茜色に染まったころ、
アスラン、シン、ルナマリアのミネルバ所属のモビルスーツパイロットたちがプラント最高評議会議 長デュランダルに招待を受け、ディオキアのホテルへと案内されていた。
既にもう一人のパイロットであるレイはタリアと共に議長の下へ向かったとのことであった。
もう一人、招待を受けたシキは宛がわれた一室にて案内されていた。
「議長、ミネルバのパイロットたちを連れてきました」
館のバルコニーに辿り着くと純白のテーブルクロスの掛けられた大きなテーブルと椅子が6脚、左側に2脚、右側に4脚に分けられて設置されており左側の方にはデュランダルとタリアが隣り合わせで腰掛け、右側の方には手前から4脚目の一番端の位置にレイが議長たちと対面する形で腰掛けていた。
オレンジの髪のザフト兵の報告に気付いたデュランダルが席から立ち上がり彼らの方へと近づいて行く。
「ありがとう……例の彼は?」
「指示通り待機させています」
「そうか、この会談が終わったらすぐに呼んでくれ」
そういうとザフト兵は一礼してテラスの出入り口前へと移動し護衛としてその場に待機する。
「久しぶりだね、アスラン」
「はい、議長」
「あぁそれから…」
「ルナマリア・ホークであります」
「シ、シン・アスカです!」
アスラン、ルナマリア、シンの順番にデュランダルに挨拶をする。
三人は用意された椅子へ着席するように促される。
全員が席に着いたところでデュランダルはパイロットたちととりとめのない会話に華を咲かせる。
やがて彼らの会話は現在の世界の情勢、戦況についての話に移っていく。
「今は、世界中が実に複雑な状態でね」
「
「相変わらずだよ。時折小規模な戦闘はあるが、まあそれだけだ。そして地上は地上で何がどうなっているのかさっぱり判らん。この辺りの都市のように連合に抵抗し我々に助けを求めてくる地域もあるし。一体何をやっているのかね、我々は」
「停戦、終戦に向けての動きはありませんの?」
「残念ながらね。連合側は何一つ譲歩しようとしない。……我々も戦争などしていたくは無いのだが連合側は何一つとして譲歩してはくれないのだよ。これでは停戦、ましてや終戦に向けての動きなど出来ようがない。こんなことは君たち軍人に話す事ではないのだが……戦争を終わらせる、戦わない道を選ぶことは戦うと決める事よりも遥かに難しい事なのだよ」
「でも……」
「ん?」
デュランダルの言葉が終わると同時にシンが口を挟む。
「あ……すみません」
思わずこぼしたシンの言葉に、その場にいる全ての視線が集まりシンはバツの悪そうに言い淀んでしまう。
「いや構わんよ。思うことがあったのなら遠慮なく言ってくれたまえ。実際、前線で戦う君達の意見は貴重だ。私もそれを聞きたくて君達に来てもらったようなものだからね。さあ」
デュランダルは気にせず、気さくな態度でシンに続きを促す。
「…確かに戦わないようにすることは大切だと思います。だけど戦わないと自分たちの未来が切り開けない時だってあります。戦うべき時には戦わないと。何一つ自分たちすら守れません」
自分の様な境遇をもう誰にも味合わせないようにと、シンはミネルバの中でシキと話し自らの戦う理由を再確認したことで彼の言葉には迷いが無い。
「なるほど……ではシン、君は何故戦いが起こると考える?」
「え?それは……」
デュランダルの問いかけに対し、シンは考え自身の答を紡いでいく。
「いつの時代も身勝手で馬鹿な連中がいるから、ブルーコスモスや大西洋連邦みたいに…違いますか?」
「それもある。誰かの持ち物が欲しい、自分より優れているから妬ましい、憎い、怖い、間違っている、そんな理由で戦い続けているのも確かだ、だが、もっとどうしようもない救いようのない一面もあるのだよ、戦争には」
「え?」
このデュランダルの言葉にはシンだけでなくここにいる者全てが疑問に思った。
「戦争をするには兵器が必要だ。モビルスーツ、戦艦、ミサイル等が戦いが起こる度に生産される。だが、これらを産業として考えればこれほど儲かる事は他に無い」
「議長、でもそれは……」
「アスラン、君の言いたい事は分かる。しかし人というものは、それで儲かると解ると逆も考えるものさ。これも仕方のないことでね。」
「逆…ですか?」
「戦争が終われば兵器は要らない。それでは儲からない。だが戦争になれば自分たちは儲かるのだ。ならば戦争はそんな彼等にとっては是非ともやって欲しいこととなるのではないのかね?」
「そんな!」
「あれは敵だ、危険だ、戦おう、撃たれた、許せない、戦おう。人類の歴史にはずっとそう人々に叫び、常に産業として戦争を考え作ってきた者達がいるのだよ。自分たちに利益のためにね。今回の戦争の裏にも戦争を常に産業としてしか見ず、自分たちの利益しか考えていない者たち――『ロゴス』が蠢いている」
「ロゴス…」
ついにデュランダルの口から戦争の黒幕の名が明かされる。
そして、デュランダルは最後にこう締め括る。
「彼らに躍らされている限り、これからも戦い続けていく事になるだろう。プラントと地球はね………できることならそれを何とかしたいのだがね、私も。だがそれこそ何より本当に難しいのだよ」
私は自身に宛がわれたホテルの一室でデュランダルとの面会を待っていた。
シンたちと別れてから40分程、経過している。
ふと、外の景色を見るとホテルに到着した頃は茜色だった空も薄闇が掛かり始めていた。
「そろそろだろうか」
そんなことを思った矢先に部屋の扉がノックされる。
扉を開けるとそこにはオレンジ髪のザフト兵……ハイネ・ヴェステンフルスがいた。
「議長がお呼びだ。着いてこい」
ハイネの先導でバルコニーへと案内される。
「議長、例の人物を連れてきました」
テーブルの椅子に腰かけていた人物は、私の姿を見て椅子から立つとこっちに近づいて来る。
「ギルバート・デュランダルだ。よろしく頼む」
「…シキ・クレナイです」
互いに挨拶を交わす。
「ハイネ、すまないが、少し席を外してくれないか」
「ですが…」
デュランダルの頼みにハイネは渋る。
当たり前だ。
私はザフトからしたら素性の知れない傭兵。
それに対してデュランダルはプラントの最高評議会議長だ。
そんな人物が護衛に二人きりにしてほしいと言っているのだ、普通はありえない。
もし、二人きりにしてもしデュランダルが殺されてしまったりなどしたらプラント側は大きな混乱が起きる。
この男、私がそのようなことするたは考えないのか。
「頼む」
「…わかりました。話が終わったらお呼びください」
「すまない」
ハイネは渋りながらもバルコニーから出て行った。
「さあ、こちらへ……どうぞ座ってくれ」
「…………」
私は言われるままに椅子を引き腰を掛ける。
デュランダルは対面に座り向かい合う形となる。
「先ずはガルナハンでミネルバに力を貸してくれた事に感謝したい」
「……感謝されるようなことはしていない。私はレジスタンスとして彼らの街を開放するために戦った。ザフトのためじゃない」
「それでも、君のおかげでこの都市が解放されたといっても過言ではないだろうからね」
「………私をここへ呼んだのは、礼を言う為じゃないんだろう?」
「……無論違う。そうだね……早速だが本題に移ろうか」
「ああ、そうしてくれ」
「それでは、単刀直入に聞かせてもらう―――君は、一体、何者かな?」
「…………」
「どうにも、君には不審な点が多い。まず、君の乗っていたモビルスーツだが、ザフト、連合、どちらにも合致するデータがない。あれほどの機体を我々が見落とすはずがない。であればあの機体はザフトでも連合でもない全くの別の組織作り上げた機体で君はそこの所属という可能性がある」
「……そこまでわかっていて何故、護衛を外し、二人きりの状況を作った?」
私はデュランダルに対する警戒を強める。
「そう警戒しないでくれ……君をこの場に呼んだのは君自身に興味があったからなんだ」
「…………」
「シキ君、キミは戦争に付いてどう考える?」
「それは今の連合とプラントの情勢の事か?」
「ソレもある」
私は数秒考えるとデュランダルに視線を向けた。
「……終戦後の世界情勢を見ても連合もプラントもお互いに戦いを仕掛ける理由はない。それでも今のようになったのには、戦争の裏で何者かが状況をコントロールしていると考えることができる」
「なかなかするどい着眼点だ。私もキミと同じ様に考えてる。いつの時代も戦争なんて起きて欲しくない。皆がそう考え願うにも関わらず人類は戦いの歴史を積み重ねて来た。そう願いながらも人が戦うのは避けられない運命なのかもしれない。戦争の裏では莫大な資金がうごめいてる。兵士が乗るモビルスーツも、艦艇も、1つ作るのに様々な事業と資金が動く。この点だけを見れば非常に効率の良い産業と言える。だがその為にどこかで誰かが死ぬ。そんな事を私は認めない。連合の裏で牛耳る存在、ロゴス。連合と戦うのではなく彼らのような戦争商人を世の中から失くす事が今の戦いを終わらせる1番の道だと私は考えている」
「なるほど……だが、仮にロゴスを壊滅したとしても、世界から兵器と兵士を失くしたとしても、人類の戦いは終わらない」
「何故かね?」
「人は……感情で行動するからだ。たとえ、世界から武器がなくなっても人は戦いを止めない。……人は常に戦う姿勢が必要だ。世界に対して、社会に対して、そして、自分自身に対しても」
「…キミは強い人間だ。私はソレを素晴らしいと思う。けれども人類全てがそうではない。だから私は全ての人々が安心出来る世界を目指す。そのために、君にも力を貸してもらいたいと思っている」
……そうきたか。
「……私にザフトに入れと?」
「ザフトに入隊してくれるのであればそれが一番なのだがね。……どうかな?」
………………ダメだこいつが何を考えているのか分からない。
何故、私をザフトに入隊させようとする?
ウイングゼロのデータ、もしくはウイングゼロが欲しいから?
だが、それなら私を勧誘する意味はない。
それに、私がどこかの所属でここにいるのも何かの任務という可能性はまだあるはずだ。
なのに何故?
……………………………いや、考えてもわからないんだ。
なら、これからのことを考えたほうがいい。
これからは途中まで基本ザフト側というよりミネルバ主体で物語は基本進んでいく。
それならば私の目的を果たすためにもザフト側について行動した方がいいか。
恐らく、デュランダルのことだ、ここで入隊したらこのままミネルバの所属になるはず。
…………多分。
……………………だが。
「いいだろう」
「そうか、ありがとう」
「だが、二つ、条件がある」
「…なにかな?遠慮なく言ってくれ」
「一つ目、私はザフトには入らない。あくまで傭兵という立場をとらせて貰う。二つ目、命令は基本受ける。だが、それを行うかどうかの判断は私がさせてもらう」
「ああ、構わないとも。それで君が協力してくれるのなら」
そんな私の要求をデュランダルはあっさり認める。
デュランダルは席を立ち私には右手を差し出してくる。
私も席を立ち右手を差し出し握手をする。
これをもって、私とデュランダルの会談は終わりを告げるのだった。
前の書き方と今の書き方どっちがいいですか?
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