ガンダムSEED DESTINY 飛び立つ翼 作:izuki
翌日…シキは、キラ、ラクスの二人に連れられて子供たちと一緒に浜辺へと来ていた。
二人は何か思い出せることはないかと思いシキを外へ連れ出していた。
浜辺の周りには人の生活の気配がなく、子供たちのはしゃぐ声と波の音が聞こえる。そして離れたところに倒壊した家がある。
「君は、この浜辺に倒れてたんだ」
「……そう」
「何か思い出せた事はある?」
「いや、何も」
「そう……まあ焦らずゆっくりいこう」
キラはそう心配してくれるがシキの目的は、別である。
(私が倒れていたのがこの場所、「アレ」から投げ出され、海に落ちてここに漂着、そして発見された時間を考えると、そう距離はそんなに遠くないはず、だけど流されているだろうから……)
当時、海にはユニウスセブンの欠片が落ちた影響で海は荒れていたようで、「アレ」の居場所を正確に掴むことはできていない。
何か海に潜れるものがあれば確認できるがそんなものはないし、借りることもできない。
「少し歩いてくる」
「うん、わかった」
そう伝えて浜辺を歩く。
歩きながら私は、自分のことについて考える。
なぜ自分がこの世界にいるのか。自分は元の世界でどうなっているのかなど。
けど、考えても考えてもわからない。
「わからないものは分からないんだ…今はな」
そう独り言を言い。空を見る。
「……空は、どの世界でも変わらないな」
「帰るか……」
この後はキラ達と合流して帰宅した。
その日の夜。
シキは外へ散歩に出ていた。
そしてまた考え事をしていた、今考えているのは「アレ」について。
(今のところ「アレ」を回収するには、数日後に起きるであろう”ラクス・クライン暗殺事件”で使用されるモビルスーツ”アッシュ”を奪うしかない。俺が覚えている限り暗殺に失敗した時アッシュを使う。アッシュは全部で八機、そのうちの一人を倒し奪うしかないか…格闘戦は大丈夫だろう、だが相手は銃を持っている。さてどうしたもんか)
モビルスーツの操縦についてだが何故か頭の中に浮かんできたので問題はない、だがこれも何故かはわからない。けどわからないで困るよりましだ。
(うまくいったとして、問題は「アレ」を私が乗りこなせるか……)
まだまだ問題は多い。だが。
(この世界で私が何をするかは決めた)
これからの展開を少しでも変える。それが、どんな影響を与えるかはわからないけれど。
それでも…………。
シキが家まで戻るとリビングである男がコーヒーを飲みながらニュースを見ている。
名はアンドリュー・バルトフェルド、かつてザフトで『砂漠の虎』と名を馳せた男である。
この家の住人の一人でキラ、ラクスとも旧知の間柄である。
「……こんな夜中にどこへ行っていた?」
バルトフェルドから声がかかる。
「………散歩に行ってました」
「そうかい、だが、こんな物騒な世の中だ。気をつけろよ」
「わかりました」
バルトフェルドの言葉に返すとシキは自室へと戻っていった。
シキが去った後、リビングに一人の女性が入ってくる。
「まるで、父親みたいね」
「馬鹿言うな、あんなデカイ子供を持った覚えはないよ」
女性の名前はマリュー・ラミアス。現在は『マリア・ヴェルネス』という偽名を使いモルゲンレーテ社に勤めているが、前大戦で活躍した不沈艦、アークエンジェルの艦長である。
「彼、一体何者なのかしらね?こんな状況の中で漂流はしているし、記憶は失っているし……」
「さあね……ユニウスセブンの飛来とともに、宙から降りてきた妖精とかな」
言いながら、バルトフェルドはコーヒーを啜る。
「まあもちろん、そんなロマンチックなものでは無いが………アイツの眼は、何を考えているのかまったく読めん」
「そうね。彼、全く表情が変わらないもの……」
「まあ、キラ達が面倒を見ると言ってるんだ、俺たちは黙って見ていればいいだろう」
そう言ってコーヒーを啜る。
マリューは、言葉にこそ出さなかったがこう思った。
やっぱり、父親みたいじゃない。
シキがキラ達のもとで居候して一週間が過ぎようとしていた。
その日の昼、子供たちと共にラクスとキラは浜辺に来ていた。ラクスと子供たちが戯れているのを見ていると、クラクションが鳴った。
振り向くとアスランがいた。カガリの護衛でプラントに行っていたアスランが帰ってきた。
その後ラクスは、後から帰るというのでアスランの車で一緒に帰路についていた。
その時アスランは、車の中でユニウスセブンの破砕作業に参加したこと、テロリストと交戦したこと、テロリストの一人から言われたことを教えてくれた。
やがて、現在のキラたちの住まいに到着する。
車を止め、エンジンを切ると、アスランは、聞いてきた。オーブで尋ねられた、何とどう戦っていくのかということを。
そしてその日の夜、キラは悩んでいた……動き始めた世界で自分がどう行動すべきかを。
2年前、ヤキン・ドゥーエでのラウ・ル・クルーゼとの死闘により、人の存在を否定し続ける彼を倒し、人の想いと、世界を守ったが……。
『知れば誰もが望むだろう、君のように成りたいと、君のようで在りたいと……故に許されない君という存在も』
『それが誰に分かる?何が分かる?……分からぬさ、誰にも!』
彼の言葉はキラの中に残り続けていた。
(僕は……どうすれば……)
――ふと、窓の外を見ると人影がある。
シキ・クレナイが浜辺に立っていた。
キラは外に出て、シキに近づき声をかける。
「何してるの?」
「……散歩」
「そう…………」
しばらく二人は、海を眺める。
「何か、悩んでるのか?」
「え」
シキが聞いてくる。こうして彼から話しかけてくるのは、初めてかもしれない。
キラは、少し悩んだあと彼に聞く……何故か彼なら答えてくれると思ったのである。
「もし、戦えるだけの力を持っていて、けど戦うのが嫌で、それでも戦わなければいけない時が来たら。どうすればいいと思う?」
少しの沈黙の後。
「戦うしかないと私は思う」
「……」
「けど……その時、何のために、どうやって戦うかは自分の意志で決められるなら…私は自分の意志で何のために戦うか決めて戦う」
「自分の意志で……」
2年前…キラも守りたい、戦いを止めたいという思いの元、力を手に取り戦った。
まだ少し葛藤があるが、それでもわずかに希望が持てた。
「ありがとう。少しだけわかった気がする」
「そう……」
シキはキラの横を通り抜け、家へと戻っていく。
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