ガンダムSEED DESTINY 飛び立つ翼   作:izuki

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第四話 襲撃

 あと数時間で朝日が昇るという時間帯。

 十数人以上もの男たちがキラやラクスたちが滞在している家の傍の海岸から出てきた。

 彼らは潜水具を脱ぎ捨て、暗視スコープや拳銃、防弾具などを手早く装備していく。

 そして彼らの中のリーダーがこう告げる。

 

「いいな、彼女の死の痕跡は決して現場に残すな。だが確実に仕留めるんだ」

「「「「「了解」」」」」

 

 彼ら向かう先は、キラ達の住まう家。

 目的は、ただ一つ"ラクス・クラインの暗殺"

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 家の中に機械音声が鳴り響く。

『ザンネン、ザンネン、アカンデェー!』

 いつもラクスの傍にいるマスコットロボ「ハロ」昼間は子供達の遊び道具などになっているが、夜間は防犯システムを稼働させている。

 そしていま、廊下を飛び跳ねながら住人たちに警告音声を鳴らしている。

 侵入者在り、と。

 

「今日か……」

 

 シキは、すぐに部屋を出る。

 自分の目的を果たすために。

 そして、同時刻。

 ハロの警音によりキラが廊下に出るとバルトフェルドとマリューが部屋の前まで来ていた。

 2人の手には、拳銃が握られている。

 

「どこの連中かな。彼女と子供達を頼む。シェルターへ」

「ええ」

「嫌なお客さんだぞ。ラミアス艦長と共にラクス達を、俺はもう1人を起こしてくる」

「ぁ……はい!」

 

 そう言って別れバルトフェルドは、シキの部屋へと向かいドアを開け部屋に入るが。

 

「……っ! いない!」

 

 すでに部屋には彼の姿はなかった。

 バルトフェルドと別れ、キラとマリューはラクスと子供たちの眠る部屋へと来ていた。

 

「ラクスさん」

 

 マリューがラクスを起こしキラがハンドサインを送る。

 

「あ……」

「さあ!みんなも起きて」

 

 マリューの言葉で子供達が起き始める。

 

「んー、何ー……」

「まだ眠いよ……」

「どうかしたのー?」

 

 起きた子供たちが寝ぼけ眼を擦りながら疑問と不満の声を上げる。

 

「ぐあっ!」

 

 その時、部屋の外から聞き慣れぬ男の呻き声が聞こえた。

 その直後に何かを重いものを打ちつけたような鈍い音が聞こえる。

 この部屋にいる全員が何事かと扉に目を向ける。

 扉が開き、何者かが部屋の中に入ってくる。マリューとキラは、銃を構える。

 

「あなたは!?」

「シキさん……」

「シキ……なんで」

 

 部屋へ入ってきたのは何とシキ・クレナイだった。

 その後ろには襲撃者と思われる人物が倒れている。見たところ血は流しておらずおそらく気絶しているだけだろう。

 だが、そんなことよりもキラたちはシキがここにいることに驚愕していた。

 

「無事か?っ!これは⋯」

 

 バルトフェルドがこちらの部屋に駆け寄ってくる。そしてシキと倒れている人物を一瞥する。

 

「……お前さん、どうしてここに?それに──」

「後で話す、今は避難することが先だろ」

「ちっ……後で聞かせてもらう。シェルターへ急ぐぞ」

 

 部屋から出てシェルターへの道を歩き始める。

 先頭にバルトフェルド、次にキラ、ラクス、子供たち、シキ、マリューの順で進行していく。

 

「えい……えい……!」

 

 道中前後左右から次々と襲撃者たちが押し寄せ、次々と銃弾が浴びせられる中シェルターまで急ぐ。

 強盗や空き巣などではなく、重武装に身を包んだ者達。

 明らかにここを標的に選んで襲撃してきた者たちということがわかる。

 

「急げ!かなりの数だ」

 

 敵に銃を放ち牽制しながらマリューが言う。

 

「コーディネイターだわ」

「あぁ、それも素人じゃない。ちゃんと戦闘訓練を受けてる連中だ」

「ザフト軍ってことですか?」

「分からんがね。しかし彼女を狙ってくるとはな」

 

 襲撃者たちを牽制しながら道を確保し、いち早くシェルターへと向かう。

 

「だが、このままではシェルターに辿り着く前に、こちらが危うい」

 

 敵はプロであり、おそらくこの襲撃のための訓練を積んでいる。

 対して、こちらの戦力になるのはバルトフェルド、マリューの2人だけ……シキは近づいてきた敵を格闘術だけで倒している。

 そしてキラはラクスや子供たちを誘導するのに手いっぱいで戦力にならない。

 流石のバルトフェルドと言えど、この人数差は厳しい。

 何よりこちらには子供をかばいながらの、それも誰も死なせてはいけないという状況により慎重になりシェルターへの道が遠く感じる。

 

「止まれ」

 

 シェルターまでもう少しというところでバルトフェルドが静止の声をかける。

 あとはここを抜け、先にある突き当りを曲がればシェルターの入り口に着く。

 だが……

 

「厄介だな、敵が数人こちらに近づいてきている。おそらくまだ気こちらには気づいてはいないが、このままいけば犠牲が出る」

 

 どうしたものかと頭を抱えてバルトフェルドは解決策を模索する。

 こうしている間にも敵は歩をこちらに進めている。

 その時シキが声を上げた。

 

「私が囮になる。そのうちにシェルターへ」

 

 彼からのまさかの提案に皆、驚愕する。

 

「ダメだ!そんな犠牲になるなんて」

「ならどうする?他に案があるのか?」

 

 キラの言葉を一蹴するシキ。

 

「だけど……」

「戦況はこちらが不利だ。誰かが犠牲にならねばならない。なら私は行く。急いだほうがいいだろ」

 

 こうしている間にも敵はこちらへ来ている。

 迷っている時間はない。

 

「待て、シキと言ったな……下手したら死ぬ可能性もあるんだぞ、お前命が惜しくないのか?」

 

 シキは、バルトフェルドを見て。

 

「(言葉を借りるか)……命なんて惜しくはない、それに」

 

 シキは一度怯える子供たちに目を向けた後、次にバルトフェルドを見据えて。

 

「命なんて安いもんだ、特に私のはな」

 

 はっきりとそう言い切った。

 ポケットの内からおそらく敵から奪ったであろう銃を取り出し。飛び出した。

 敵の注目がそっちに集まる。

 その隙にキラたちは一目散にシェルターへと駆けて抜けて行く。

 囮となったシキは、敵に向かって銃を撃つ。あらかじめ敵から盗んでおいて正解だった。

 銃を扱うのは、初めてだがそれでも的確に撃ち抜き殺していく。

 

(初めて人を殺した………)

 

 手が震える。

 しっかりしろ。シキ、こんなんじゃこれから先戦えない。

 

「……ちっ」

 

 弾が切れた、予備などない。

 

(やるしかない)

 

 銃の砲身部を持ち、壁に身をかがめ敵がこちらに来るのを待つ。

 残り2人、こちらに近づいてくる気配がある。

 一人目の敵の脚が見えたところで、銃のグリップ部分を膝関節に叩きつける。

 激痛に怯んだ隙に相手の腰部分に携帯されているナイフを奪い取り、素早く敵の首筋に突き刺し殺す。

 もう一人の敵がシキに気付き銃口を向けてくるが、一人目の敵を盾代わりにして防ぎ、そのまま相手の方に突き出しぶつける。

 相手が怯んだところに首にナイフを突き刺す。死んだことを確認した後、ナイフを引き抜き捨てる。

 まだ手が少しだけ震える。

 そのとき暗殺者の無線から通信が入る。

 

『目標の対象を取り逃がした、これよりアッシュを出す。こうなったらやむを得ん。何としても今ここでラクス・クラインの命、貰わねばならんのだ』

 

 切り替えろ。こうしてはいられない。

 すぐ近くの窓を開け海岸へと向かう。

 浜辺へと向かうと近くの岩陰に身を潜める。

 敵の数は8人、彼らは浜に置いてある潜水具を身につけ次々と海中に潜っていく。

 最後の一人が海に飛び込もうとしたところでシキは岩陰から飛び出し後ろから首を締め上げ相手の意識を落とす。

 

「悪く思うな」

 

 そう言って敵の装備している潜水具のうち酸素ボンベのみを奪い装着し、海へ飛び込む。

 しばらく泳ぐと一機のモビルスーツを見つけた。

 

(これが、アッシュ……)

 

 他のアッシュは見当たらないすでに発進したようだ。アッシュのコックピットに乗り込み、「アレ」があるであろう目的の場所に向けて機体を進ませる。

 

(大まかな場所の把握はしてある。あとはどれくらい誤差があるか)

 

 そのまま機体を進ませていると予想地点よりも数十メートル前方に目的のものを見つけた。

 波に流されたのか「アレ」はその白い翼を広げ仰向けの状態で倒れている。

 

(やっぱり、見間違いじゃなかった。アレは、

       "ウイングガンダムゼロ")

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