ガンダムSEED DESTINY 飛び立つ翼 作:izuki
シキが囮となった後も、キラたちの前には幾人かの敵が襲ってきたものの、何とかシェルターへと逃げ込む事に成功していた。
「はぁ……」
「大丈夫か?」
「はい」
何とか全員無事である。
「キラ、バルトフェルド隊長、マリューさん。狙われたのは、わたくしなのですね……?」
ラクスがこちらに聞いてくる。その顔には僅かに恐怖が見られる。
次の瞬間、突如シェルター内に響く衝撃。
「狙われたというか⋯狙われてるな、まだ」
それは断続的に続き、今も尚響き続ける。
急いでシェルターのさらに奥へ避難する。
「モビルスーツ?」
「おそらくな。何が何機いるか分からないが、ありったけの火力で狙われたら此処も長くは保たないぞ」
バルトフェルドが顔を苦く歪ませて言う。このままでは、シェルターもろともここにいる全員殺されてしまう。
それはなんとしても防がなくてはならない。
「ラクス、鍵は持っているな?」
「あ……」
「扉を開ける。仕方なかろう。それとも、今ここでみんな大人しく死んでやったほうがいいと思うか?」
「いえ!ぁ…それは…」
ラクスは何かに迷うように傍にいるキラの顔を見つめる。
「ラクス?」
「………キラ」
ラクスがキラの顔から視線を逸らし、ある場所を見つめる。その場所には、不自然に一つだけ大きな扉が構えられている。
「?………!」
キラは勘づいた、その扉の向こうにあるものを。
「……貸して」
「え?」
「僕が、開けるから」
「いえ…でもこれは…」
ラクスはためらい鍵を渡そうとしない。
「大丈夫」
「ぁ…」
「僕は大丈夫だから。ラクス」
「キラ…」
「このまま、君達のことすら守れず、そんなことになる方がずっと辛い」
「キラ……」
「だから、鍵を貸して」
キラは二つの鍵を取り、そのうちの一つをバルトフェルドに渡す。
そして、扉の脇にある二つの装置その一つの鍵穴のようなものに、鍵を差し込む。
「三、二、一」
バルトフェルドの合図に合わせ、同時に鍵を回す。
それと同時に、扉がゆっくりと開かれていく扉が開かれると、灯りがともる、扉の向こう側には、灰色の機体がある。
ZGMF-X10Aフリーダム
前大戦においてキラがラクスから受け取った「剣」である。
キラは、コックピットへとつながる道を進む。 扉が閉まる。その後どんどんと揺れがひどくなっているのを感じ、別のところへ避難をする。
「急げ!チィ、破られたか」
キラは『剣』の中に乗り込むと先日シキから聞いた事を思い出していた。
『私は自分の意志で何のために戦うか決めて戦う。』
「……自分の意志で」
(僕はみんなを守るために戦う)
フリーダムのOSを起動させる。
G ENERATION
U NSUBDUED
N UCLEAR
D RIVE
A SSAULT
M ODULE
COMPLEX
(…想いだけでも)
コンソールのスイッチを押す。フリーダムの装甲に色がつく。
操縦桿を前へ倒す。
(力だけでも)
ペダルを踏みこみ、バーニアを吹かせる。
そしてそのまま外へと勢いよく飛び出した。
シキはアッシュをウイングガンダムゼロの至近距離につけると酸素ボンベを口に咥え、アッシュのコックピットから出る。
”ウイングガンダムゼロ”通称ウイングゼロ、「新機動戦士ガンダムW」にて登場する機体、主人公、ヒイロ・ユイの機体である。
かつて5人の科学者がコストと実用性を度外視し、高性能のみを求め設計した機体であり、しかしその破壊係数が異常に高かったことと製造可能な技術水準に達していなかったため製造されず封印された機体。
そして今目の前にあるウイングゼロはOVA「新機動戦士ガンダムW EndlessWaltz」にってカトキハジメ氏によって新しくデザインされたウイングゼロだがその左腕にシールドを装備している。どうやら漫画版「新機動戦士ガンダムW EndlessWaltz 敗者たちの栄光」に登場した機体のようだ。
シキはウイングゼロのコックピット部分まで泳いでそのまま乗り込みボンベを外し、外へ捨てすぐにコックピットハッチを閉める、コックピットには海水が充満しているがそんなことを気にしない。
(動けるのか?)
シキはウイングゼロの起動させようとすると、この時を待っていたかのように中央のディスプレイに光がともる。
今、ゼロが起動した。
もし動かなかった場合には破壊しなければならなかったがどうやら問題なさそうだ。そして起動に伴ってコックピット内の海水が勝手に排出されていく。こんな機能あったか?まあいい。
海水が全て排出された後、大きく息を吸う…次の瞬間、メインモニター全体が黄色く発光し頭の中に膨大な情報が入ってくる。
ZEROは私に様々な映像を見せてくる。それは過去であったり現在であったり未来であったり。様々なものを見せてくる。
「…これが……………………ZEROシステム……」
思わず顔を歪める。精神的にくるものがある、覚悟はしていたがこんなにも強大なものなんて、だが。
「悪いけど、支配される気はない。それに普段からどうでもいいことを受け流すのは慣れてる」
操縦桿のグリップを強く握りしめる。
ウイングゼロのツインアイと胸部のサーチアイが緑色に輝く。
ウイングゼロはアブクを上げながら海底で立ち上がった。ペダルを踏みこむ、主翼大きくを広げ、バーニアが海中でくぐもった音を響かせながら大量の気泡を生み出す。
「私は戦う…この世界で、自分の意志で」
「行こう、ゼロ」
「よーし行くぞ!目標を探せ!オルアンとクラブリックは……」
シェルターの壁を突破し襲撃隊のリーダー、ヨップが指示をしているとき。
突如、閃光がはしり爆発した、そこから一機のモビルスーツが飛び出てくる。
「ん?なんだあれは……?」
その機体はそのまま空中へと抜け出すと、背中の十枚の青い翼を広げる。
『あれはまさか……フリーダム!?』
「ええぇ!」
隊員の言葉を聞き、ヨップは驚愕する。
だがフリーダム、キラは彼らが驚愕していることなど知らず頭の中で種をはじけさせる、視界がクリアになる。
キラはフリーダムをアッシュの方へと向かわせていく腰のビームサーベルを抜き放ち一機のアッシュとすれ違うと同時に、アッシュの手足を斬り飛ばした。
パイロットは、何をされたかわからない。
あわてて他のアッシュがフリーダムに向かって攻撃をするもひらりと空中で半回転しながらかわす。
そして空中で逆さの状態でキラは敵をマルチロックオンしフリーダムの五門の砲門を展開し放つ、二機のアッシュの手足、ミサイルポッドが吹き飛ばされる。
キラはフリーダムの姿勢を戻し残りの四機に向かって機体を進めようとしたとき……。
「……ッ!」
不意に何かを感じ機体を急制動させ少し上昇し遠くの海のほうに向ける。地上のアッシュ達はフリーダムの向いている方向を気になったのか何機かは同じ方向を向いている。
「……なんだ、今のは?」
モニターに海面の一部が拡大される、その海面が少しずつ盛り上がっていきそこから一機のモビルスーツが勢いよく飛び出してきた。そのまま空中で停滞し背中に装備されている天使の様な翼を大きく広げた。
「な、なんだあのモビルスーツは!?」
突然現れた謎のモビルスーツに襲撃隊に動揺が走る。
キラも驚愕の眼差しでそのモビルスーツを見ていた。
だが謎のモビルスーツ、ウイングゼロのコックピットにいるシキはそんなことなど知らない。
そしてキラがこちらを見ているのと同様にこちらもフリーダムを見ていた。
「アレがフリーダムガンダム」
青い翼を広げるその姿に少し目を奪われる。
だが今はそんな場合じゃないと思い。シキはウイングゼロの主翼からツインバスターライフルを取り出し構える。
ヒイロの真似事でもしてみるか。
「戦術レベル、ターゲット確認、排除開始!」
ツインバスターライフルの出力を調整し。
ライフルをアッシュに照準を合わせ放ち、すぐさま次の標的にライフルの照準を合わせ放つ。
『なにっ!』
『うわぁぁぁ!』
『ああぁ!』
突然の攻撃に対応できず、最初の一発目で一機、二発目で二機が跡形もなく消し飛ぶ。ウイングゼロがいる場所からはとても距離があるが、正確に狙い撃ってみせた。
「さすが、というべきか…………威力は折り紙付きだな……」
残りは一機、残ったのはヨップのアッシュだけだった。
「な、なんて威力なんだ……」
ヨップは呆然としていた、七機いたアッシュがたった一分足らずの戦闘で、ニ機が戦闘不能に、突如現れたモビルスーツのたった二発の攻撃で三機も撃破されたのだ。
信じられない……フリーダムのことは噂には聞いていたがここまでとは……その前にまずフリーダムと遭遇するところから予定外もいいところだった。
さらに予想外だったのは急に未確認のモビルスーツが現れ、たったの二発で自分以外が全員やられてしまったことだ。
「くそぉおおおおお!!」
こうなったら、一矢報いてやる!
ヨップはミサイルを空中で停滞し謎のモビルスーツを見ているフリーダムに向けて放つ。
しかしフリーダムはそれに気づき、すべて避けられてしまう。
そしてそのまま地上に降りてきたフリーダムにヨップは片手のアームにビーム刃を発生させ突っ込んでいく。
キラは、突っ込んでくるアッシュとの間合いを測る。
そして、機体を横にずらし、その刃をかわしフリーダムのシールドを引っ掛け、背後に投げるだが、アッシュはそれでも立ち上がり、片手のビームを放とうとする。
キラはビームライフルを構え、引き金を引く。
放たれたビームは、アッシュの片手を爆散させる。
キラはその後も、一射一射放ち、残った片手、両足を吹き飛ばす。
立つ能力を失ったアッシュは崩れ落ちる…ヨップはこちらを撃ったフリーダムを憎々しげに睨む…だが、もう自分には何もできない、できることは一つだけ、傍らにあるレバーを引いた。
目の前で、アッシュが爆発していく。
キラは目を見開いてそれを眺める。
駆動部には攻撃を加えなかった…ならば、あの爆発は自爆ということになる。
なぜ彼らは死を選んだのか、考えてみれば当たり前のことだ。任務に失敗して捕らえられ素性を明かすことになる。そんなことになるわけにはいかない。不殺はキラが貫いてきた意志だが、そんなことがきれいごとなのはキラもわかっている。それでもキラの心は暗い思いに包まれていった。
シキも自爆していくアッシュを見ていた。
「…………」
シキは機体を反転させウイングゼロをネオバード形態へと変形させると、ここから飛び去って行った。
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