ガンダムSEED DESTINY 飛び立つ翼   作:izuki

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第六話 擦れ違い

 襲撃者による攻撃で住んでいた家は半壊。またも住む場所をなくしてしまった彼ら。

 キラはフリーダムを格納庫に降ろした後、戦闘の跡を調べたバルトフェルドが残骸から襲撃者が使用していたモビルスーツがザフト軍のものであることを聞いていた。

 

「アッシュ?」

「ああ、データでしか知らんがね。だがあれは最近ロールアウトしたばかりの機種だ。まだ正規軍にしかないはずだが」

「それがラクスさんを…ということは…」

 

 プラント側の何者かがラクスの命を狙ってきた。

 

「なんだか良く解らんが…プラントへお引っ越しってのも、やめといたほうが良さそうだって事だな」

「それにあのモビルスーツ……」

 

 キラは先ほど海から現れた翼を持った機体のことを思いだす。

 

「何だったんでしょう?」

「さあね、あまりにも分からんことが多すぎる」

「シキさんは?」

 

 敵部隊に関する推測を聞いた後、ラクスは自分たちの囮になった彼の安否を尋ねる。

 

「まだ見つかっていない、さっきラミアス艦長と一緒に捜索したがな……………しかし」

「しかし?」

「遺体すら見つからん………どうにも、死んでいるとは考えにくい」

「それじゃあ!」

「ああ、おそらく生きている……どこに行ったのかは分からんがな」

「そう、ですか……よかった…」

 

 自分にまた戦う意志を持つ切っ掛けをくれたシキの生存に安堵する。

 それに対してバルトフェルドは何かを考えているようだ。

 

「まぁー!まぁー!」

「ん?」

 

 そんな時、自分たち以外の人の声が聞こえた。

 声のした方を見るとそこにはカガリの身の回りのお世話をしていたマーナがいた。

 

「マーナさん?」

「キラ様!これを。カガリお嬢様からキラ様にと」

「え?」

「お嬢様はもう、御自分でこちらにお出掛けになることすらかなわなくなりましたので。マーナがこっそりと預かって参りました」

 

 突然現れ、カガリから封筒を預かってきたというマーナに困惑する。

 

「なに?どうかしたのカガリさん」

「御怪我でもされたのですか?」

「いえ、お元気ではいらっしゃいますよ。…ただもう、結婚式のためにセイラン家にお入りになりまして…」

「「「「ええ!」」」」

 

 その言葉にキラ達は驚く。

 

「お式まではあちらのお宅にお預かり、その後もどうなることかこのマーナにも解らない状態なのでございます。ええ、そりゃあもうユウナ様とのとこは御幼少の頃から決まっていたようなことですから、マーナだってカガリ様さえ御宜しければそれは心からお喜び申し上げることですよ。でも!この度のセイランのやりようといったら、それもこれも何かと言うと御両親様がいらっしゃらない分こちらでとばかりで…」

 

 マーナは早口でまくしたてる。

 キラは封筒を開ける。

 中には一枚の手紙と指輪が入っていた。

 キラは手紙を読み上げる。

 

「『キラ、済まない―――』」

 

 そこには

 オーブが世界安全保障条約機構に加盟し正式な地球連合の一員になること。

 それに伴いカガリが許婚であるユウナ・ロマ・セイランと結婚すること。

 その為に今、キラたちの元へ直接話に行くことができない事への謝罪。

 そして、最後に同封されている指輪、アスランがプラントに発つ前にカガリにくれた指輪を、アスランに返しておいて欲しいと綴られていた。

 手紙を読んでキラは決意する。

 

「マリューさん。お願いが――」

 

 キラはマリューに耳打し、とある計画を伝えるのだった。

 

 

 新郎ユウナ・ロマ・セイランと新婦カガリ・ユラ・アスハの結婚披露宴は大々的に行われた。それもそのはず。国を担う家系同士の結婚なのだから。

 新郎新婦はそれぞれ真っ白なタキシードとドレスに身を包み盛大に祝ってくれる国民の中を車で移動し海岸沿いにある式場に到着した。

 

「――この婚儀を心より願い、又、永久の愛と忠誠を誓うのならば、ハウメアはそなたたちの願い聞き届けるであろう。今、改めて問う、誓いし心に偽りはないか?」

 

「はい」

 

 婚儀を取り仕切る牧師の詞にユウナは即答するが。

 

「………………」

 

 カガリはその誓いに対し何も答えない。

 当然である、彼女はこの結婚をあらゆる面で望んでいない。

 だが、もう仕方がない、こうするしかないとカガリが誓いの言葉を口にしようとしたとき。

 

「駄目です! 軍本部からの追撃間に合いません!!、避難を!!」

 

 式場の来賓席側から声が上がり、その声を聞いた来賓客たちが我先にと式場から駆けだして行く。

 その直後、一機のMSが飛来する。

 

「フリーダム!?キラっ!?」

「ひっ、う、うわぁぁ」

 

 突然の来訪者に怯えたユウナがカガリを置いて逃げる。

 そうこうしている間にフリーダムはカガリをその手に包み込みその場を後にするのだった。

 

 フリーダムのカガリ強奪から数時間後。

 プラントにてZAFTに復隊したアスランはZGMF-X23Sセイバーに搭乗しミネルバとの合流を果たすためにモビルアーマー形態のセイバーでオーブの領域内に接近していた。 

 

「オーブコントロール、こちら貴国へ接近中のザフト軍モビルスーツ

 

 貴国に入港中のザフト艦、ミネルバとの合流の為、入港を許可されたし」

 ミネルバが駐留しているはずの軍港まであとわずかといったところで

 オーブ港の管制室へ入港許可の入電を入れるが、

 

「?オーブコントロール、聞こえるか?オーブコントロール……」

 

 応答がない。

 

「っ、ムラサメ?――っ!ロックされた!?」

 

 目の前にオーブの最新モビルスーツであるムラサメがセイバーと同様にモビルアーマーの形態で2機接近してくるのが確認できる。

 挙句には、こちらを敵機としてロックオンしてくる始末。

 

「オーブコントロール!これは一体どういうことだ!?」

 

 再度オーブに通信を入れるが、当然返答はない。

 その間にもムラサメからの攻撃が開始され、数発の誘導ミサイルがセイバーに向かって放たれる。

 追尾してくるそれをかわしながら、機関銃でミサイルを撃ち落とす。

 

「オーブコントロール!何故撃って来る!?こちらに貴国攻撃の意志は無いっ!」

『何を寝ぼけた事を言っている?オーブは世界安全保障条約機構に加盟している。プラントは既に敵勢国家となった』

「っ!」

『我が軍はまだザフトと交戦状態ではないが、入国など認められる訳など無い』

 

 ムラサメのパイロットからの通信でアスランはこのとき初めてオーブが地球連合に就いた事を知る。

「大西洋連邦との加盟に合意しただと?……カガリは何も出来なかったのか…行政府!こちら市民番号2500474C、アスハ家のアレックス・ディノだ。代表へ繋いでくれ!」

 

 この遣り取りをしている間にも相手機から次々と攻撃が仕掛けられる。

 その攻撃を躱しながら通信を入れる。

 

『こちらは行政府だ。要望には応じられない』

『緊急を要する事だ。頼む!』

『残念だが不可能だ』

「なに!?」

『どういう作戦かは知らないが、既に出航したミネルバを出汁に使うなど以ての外だ。あまりオーブ軍を舐めるな』

「っ!」

(ミネルバが、いない?)

 

 こうしている間にも的確にセイバーの背後を取り、機関銃やビームを浴びせてくる。

 

「ええいっ、クソっ!」

 

 アスランはセイバーをモビルスーツ形態に変形させ、迎撃するべくビームライフルを構える。

 相手方もすかさずムラサメを変形させ、ライフルをこちらに向けて来る。

 相手のうち一機が先制してビームを放つ。

 アスランはこれを冷静に読み切りシールドで防ぎつつ相手機のビームライフルを狙い、ビームを撃つ。

 相手の右腕部分がビームライフルごと破壊されるのを確認する事無くビームサーベルを抜き、もう一機へ急接近を仕掛けムラサメのウィング部分を切り落とす。

 ムラサメ2機を一蹴、無力化し、セイバーを再びモビルアーマー形態へ変形させ最大戦速でオーブを後にする。

 

「ここから、ミネルバが行きそうな所と言えばカーペンタリアぐらいか」

 

 地球にも少ないながらも、ザフトの拠点基地は存在している。

 そして、オーブから最も近い地球拠点のザフト軍基地がカーペンタリアである。

 アスランは様々な疑問を抱きながらも、セイバーの進路をカーペンタリアへ向けるのだった。

 

 

 キラ達の元から去ったシキはウイングゼロのコクピットの中に居た。

 カーペンタリア近辺の森林地帯に機体を隠し、これからのことを考えていた。

 

「さて、どうするか……」

 

 おそらく少し前にアスランがミネルバに合流するためにオーブの領域に接近して追い返されたはず。

 とりあえずアスランは放置でいい。

 まずは私が最初にすべきこと。

 

「私が最初にすべきことはハイネ・ヴェステンフルスを救うことか」

 

 そのためにはダーダネルス海峡戦に介入する。

 とりあえずそれでいい。

 

「問題は介入した後だな」

 

 戦闘後にウイングゼロの整備と補給の必要がある。

 エネルギーに関しては問題はないが、弾薬と推進剤は別だ、使っていればそのうち無くなってしまう。

 何処かで一旦補給する必要がある。

 そうしなければその先戦えない。

 補給しなければ間違いなく途中で限界が来る。

 

「どうしたものか……」

 

 アークエンジェルかミネルバに搭乗できればこれから先のことにも介入できるし、まともな整備もすることができるんだが。

 アークエンジェルの方はキラ達に私のことは知られているし、あの時ウイングゼロを晒してしまった。

 あのまま降りていたら怪しまれるに決まってる。

 だったらミネルバはというと私はザフトではないため乗ることはできない。

 それにあっちは軍だ、下手に接触すれば捕まる可能性があるし、機体を接収される可能性もある。

 それは困る。

 この世界において未知の技術の塊であるウィングゼロについての情報を下手に与える訳にはいかない。

 それにウイングガンダムゼロには《ZEROシステム》がある。

 もし解析途中にこのシステムを起動させようものなら、システムよって支配され、操り人形となり果ててしまうだろう。

 最悪の場合、システムの負荷に耐えきれなかった人間は、その命尽き果てるまで無意味な破壊と殺戮をことになってしまう。

 それは避けなければならない。

 もしウイングゼロが暴走したらそれを止める手段はない。

 そういったことを考えていると急にZEROが稼働して一つの光景を見せる。

 

「分かってるZERO………始まるか…」

 

 どうやらミネルバと地球軍のファントムペインとの戦闘が始まるらしい。

 巻き込まれることはないとは思うが一応ここから離れよう。

 シキは機体を起こし上昇させると、ネオバード形態へと変形させ、戦闘を避けるべくルートを大きく逸らしながら飛び去った。

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